156-参-内閣委員会-4号 平成15年03月26日

平成十五年三月二十六日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 敏夫君
    理 事
                阿部 正俊君
                亀井 郁夫君
                森下 博之君
                長谷川 清君
                吉川 春子君
    委 員
                阿南 一成君
                上野 公成君
                竹山  裕君
                西銘順志郎君
                野沢 太三君
                山崎 正昭君
                岡崎トミ子君
                川橋 幸子君
                松井 孝治君
                白浜 一良君
                山口那津男君
                島袋 宗康君
                黒岩 宇洋君
                田嶋 陽子君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (産業再生機構
       (仮称)担当大
       臣)       谷垣 禎一君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
       国務大臣
       (規制改革担当
       大臣)      石原 伸晃君
       国務大臣     鴻池 祥肇君
   副大臣
       厚生労働副大臣  木村 義雄君
        ─────
       会計検査院長   杉浦  力君
        ─────
   事務局側
       事務総長     川村 良典君
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
   衆議院事務局側
       事務総長     谷  福丸君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事務局長     天野英太郎君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事務局長     高田 健一君
   国立国会図書館側
       館長       黒澤 隆雄君
   政府参考人
       行政改革推進事
       務局公務員制度
       等改革推進室長  春田  謙君
       人事官      佐藤 壮郎君
       人事院事務総局
       総務局長     平山 英三君
       人事院事務総局
       人材局長     石橋伊都男君
       人事院事務総局
       勤務条件局長   大村 厚至君
       国家公務員倫理
       審査会事務局長  平野由美子君
       内閣府政策統括
       官        山本信一郎君
       内閣府賞勲局長  佐藤 正紀君
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       原子力安全委員
       会事務局長    小中 元秀君
       警察庁刑事局長  栗本 英雄君
       総務省人事・恩
       給局長      久山 慎一君
       総務省行政管理
       局長       松田 隆利君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       外務大臣官房参
       事官       齋木 昭隆君
       外務省中東アフ
       リカ局長     安藤 裕康君
       文部科学大臣官
       房総括審議官   玉井日出夫君
       厚生労働省職業
       安定局次長    三沢  孝君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院審議官   薦田 康久君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第四局長   重松 博之君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十五年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十五年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所
 管(人事院を除く)及び内閣府所管(内閣本府
 (沖縄関係経費を除く)、国際平和協力本部、
 宮内庁、警察庁))

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○島袋宗康君 終わります。

○田嶋陽子君 無所属の田嶋陽子です。
 昨日、齋木参事官に質問しましたけれどもお答えをいただいていなかったので、再度同じ質問をいたします。
 日本政府の政府関係資料の中で初めて慰安婦という言葉が使われたのはいつでしょうか。そして、どの文書にどのような形で使われていたのか教えてください。

○政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。
 昨日の段階では質問通告いただいてなかったものですから、昨日の夕方……

○田嶋陽子君 しました。

○政府参考人(齋木昭隆君) いえ、いただいておりません。
 いずれにいたしましても、この話は九一年の十二月に──政府、一九九一年の十二月に政府が調査いたしまして、そのときに、膨大な資料の中からいろいろな事実関係探していったんでございますけれども、慰安婦という言葉を示唆する表現というのは、いろんな表現の中で最も古い資料ということで私どもが把握しておりますのは、昭和七年、いわゆる上海事変が勃発いたしましたそのころに、この上海の辺りの軍の駐屯部隊のために慰安所というのが設置されたという、そういう資料があることを把握しております。

○田嶋陽子君 私は、よくEメールとか電話とか、罵倒する言葉をもらいます。おまえのやっていることはでたらめだと、慰安婦問題はでっち上げだと、そんなことはしていないと。今でも質疑の後、それから私が物をしゃべった後にそういうEメールが来ます。
 それってすごく私はその方たちはお気の毒だと思います。日本の教科書にもきちんと載っていないし、それから日本の政府もそういうことをきちんと国民に表明していないということで、自分の国に関することで大変無知だということですね。その人たちは私を批判することでうっぷんを晴らしているんでしょうけれども、私はやっぱりこういう事実、私もこの昭和七年ということを私なりに調べて知っております。
 ですけれども、外務省も、こういう事実があったなら、私は、何らかの形を通してきちんとやっぱり国民に伝えること、情報公開することが役目だと思いますが、そのことに関してはいかがでしょうか、齋木参事官。

○政府参考人(齋木昭隆君) ただいま申し上げました調査の結果は、九三年の八月に調査結果ということで発表、公表いたしてございます。
 それで、結構膨大な資料なものですから、ごらんになる方々がどのくらい、全部通してごらんになる方がどれぐらいいらっしゃるか分かりませんけれども、それをまとめたものというのが本になって出ておりまして、その中で、今私が申し上げたように、その昭和七年の駐屯地、駐屯部隊のための慰安所設置というくだりが実は書いてあるんでございます。

○田嶋陽子君 ありがとうございます。
 それではまた、これからも折に触れて、膨大な本で出ていても普通の人の目には触れないわけですよね。ですから、折に触れてやはりそういうことは積極的に表に出していっていただきたいと思います。
 それから、昨日に引き続きまして、上海韓国婦女共済会の名簿について質問いたします。
 昨年、岡崎議員がこの名簿のことで質疑をなさいました。そのとき、その日本政府は名簿を手に入れたいと、そして韓国政府関係機関に申し出たというところを、昨日の参事官のお話ではプライバシーの問題もあるということで拒絶されたというお答えでした。
 それについてですが、日本政府の申入れを断ったのに、私は今年その名簿を手に入れてきました。韓国政府から拒否されたのか、なぜ拒否されたのか、そのことに関して参事官はどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(齋木昭隆君) 昨日もちょっとお答え申し上げましたけれども、昨年のたしかこれ国会で取り上げられて、それで報道もたしかございましたけれども、私どもとしてもすぐに調査いたしまして、外交ルートで韓国の政府関係機関に名簿の入手ができるかどうかということを問い合わせいたしまして、また今回こういう御質問をいただくということもあったものでございますから、最近またこの件についてどうであるかということを改めて外交ルートで問い合わせをいたしたわけでございます。
 結果的には、昨日もちょっと申し上げましたけれども、やはり個々人の方々のプライバシー等の問題があるので、韓国の政府としてはこの名簿の写しを外に出すことについてはこれはできないということを明確に私どもに対して言ってまいったわけでございます。
 私どもとしましては、この種の問い合わせをやる相手としては、やはり外交関係持っておる国につきましては、窓口としては、先方に対して外交ルートでこれは照会せざるを得ないという立場でございますので、重ねての私どもからの問い合わせに対してそういう先方政府からのお答えがあったということは、私どもとしては、これは受け止めざるを得ないというふうに考えております。

○田嶋陽子君 でも、私は一介の代議士、代議士じゃなくて、何ですか、国会議員です。それに対して、のこのこ独立記念館に行ってお願いしたら、くれたわけですよね。というのは、政府よりも私の方が信頼されたということです。──何ですか、その笑顔は。でも、それっておかしくありませんか。どう思われますか。

○政府参考人(齋木昭隆君) 恐縮でございますけれども、田嶋先生、大変に信頼が厚いんだと思いますが、私どもは、あくまでもこれは相手国の政府の機関の中での仕切りなものでございますから、一義的には、窓口としては、向こうのそういう言わば外交通商部を通じていろいろとお願いをせざるを得ないということでございます。
 また、これやっぱりプライバシーに本当にかかわっている話だということを、向こうは大変にそこの部分については神経質になっているものでございますから、私どもは、そういうことで、昨日先生がお持ちになっていらっしゃったその名簿の写しも、先方はそういう扱いを恐らく望んでおるんだろうというふうに思っております。

○田嶋陽子君 しつこく言うつもりはありませんが、私は、やはりそれは韓国の人たちも韓国の政府も日本の外務省を信頼してないんだと思うんですよね。やっぱりそれは今までの外務省や政府の態度と無関係ではないと思います。ですから、日本政府が真摯に調査を重ねて、被害者や被害国に対して誠実な責任を取ろうとしてきたんだったら、私はやはり喜んで提供してくれたと思うんですね。私に渡した方がプライバシーの侵害は大きいと思います。ですけれども、そういうことをしてくれたということは、私はそのためにも頑張らなければいけないと思っているんですけれども。
 そのときに韓国の国会議員たちは決議案を出してくれると約束してくれまして、何と、一か月もたたないうちにこの促進法案を通してほしいという決議案を、決議文を出して、送ってくれました。
 ですから、やっぱり相手国が必死になってやろうとしていることに対して、日本政府は少し誠実さが私はやっぱりないと思います。国対国のことですので、どうかこれから真摯にこの問題に取り組んでいただきたいと思うんですが、そのことに関していかがでしょうか、参事官、お約束いただけますでしょうか。もしお約束いただけるんなら、私は、独立記念館との間のクッションになって、この名簿を渡してもいいかどうか話を付けて名簿をお渡ししますが、その辺りはいかがでしょうか。

○政府参考人(齋木昭隆君) 先生のお言葉は重く受け止めさせていただきました。
 引き続き、私ども真摯にこの問題については取り組んでまいるつもりでございます。

○田嶋陽子君 名簿は要りませんか。

○政府参考人(齋木昭隆君) ここは韓国政府との関係もございますので、私どもはそこの外交関係に対する配慮というのをちょっとしないといかぬかなという感じは持っております。

○田嶋陽子君 それではよろしくお願いします。
 次に、男女共同参画社会のことについてお話しいたします。
 福田官房長官は、今日はお忙しくてお出にならないということでしたが、いらしてくださってありがとうございます。それとも途中からいなくなるんですか。そんなことはないですね。

○国務大臣(福田康夫君) しばらくいます。

○田嶋陽子君 ああ、そうですか。それでは一生懸命頑張ります。
 男女共同参画基本法が公布施行されました。一九九九年ですね。それからもうすぐ四年になります。昨年十一月の質疑で私は、女性省を作ってくださいと申し上げました。そこで総合的な政策を進めてほしいと提案しました。その際、坂東局長の方から、政府の中央に近いところ、局でやっていく方がいろいろ参画、男女共同参画の視点を反映させやすいし効果的だというようなお返事をいただきました。そのときに局長は、努力はしているけれども十分であるかと言われればまだまだなすべきことが多いという答弁もいただきました。
 そこで、福田官房長官にお尋ねします。
 今日は、まず初めに、その後の進捗状況について、局として何がどう進んだのかを具体的にお聞かせ願いたいと思います。
 前回から四か月しかたっていませんが、政府としては、所信のところでも本当に力をやっているんだということをおっしゃっていました。ですから、全体の統括責任者として、男女共同参画担当大臣の福田官房長官にお聞きします。

○国務大臣(福田康夫君) 昨年十一月ですから、四か月かそこらですね。それ以降どういうことをしたかということになりますが、例えば女性のライフスタイルに中立的な制度ということがありまして、これは影響調査専門調査会ですね、ここでもって昨年の四月に税制を中心に取りまとめを行いました。これは、昨年の十二月に社会保障制度を中心とする提言として取りまとめまして、税制改革に間に合わすことができたわけですね。御案内のとおりでございます。
 また、意欲と能力のある女性が社会で十分活躍できるようにするための女性のチャレンジ支援ということについても、基本問題専門調査会において約一年間検討を進めてまいりました議論も、これもうそろそろ結論を出す段階に至りまして、その結果が本年四月の男女共同参画会議に報告される予定でございます。
 いろいろなことをやっておりますけれども、みんな一瞬にしてできるという話じゃないものばかりでございまして、問題は、こういう施策を作りました、それを後どういうふうに定着させるかと、日本国内全部に、そのことが大変大事でございまして、そういうことについても鋭意努力をしておるところでございます。

○田嶋陽子君 税制のことも頑張ってくださって、特別配偶者控除はなくなることになりました。これに関しては、それを増税にしないで今おっしゃたような分野に振り分けて使っていただきたいと思います。それに続いて、やはり配偶者控除の点でも続けて努力していただきたいと願っております。
 一つお伺いしたいんですが、そのいろんな施策をおやりになった場合、チェックといいますか、おかしなところで今バックラッシュというものが起きていることは御存じだと思いますが、その件に関して、坂東局長は今どんなふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○政府参考人(坂東眞理子君) 二点御質問をいただいたと思いますが、まず一つ、その男女共同参画に関する施策がどのように進んでいるかということがチェックされているかという御質問に対しましては、私どもの男女共同参画会議に苦情処理・監視専門調査会というのがございます。ここがその政府関係の施策、男女共同参画推進関係の施策が十分に推進されているかどうかについて監視、モニタリングをしていただいております。言わば第三者といいますか、外部評価を政府の施策についてやっていただいているというふうに受け止めております。現に、例えば女性の国家公務員の登用について、女性の審議会委員の登用について、そしてまた仕事と子育ての両立支援について監視をしていただき、意見をいただいております。
 それからまた、バックラッシュというふうにお尋ねがございましたが、地方の方で今、四十一の都道府県、百三の市町村で条例作りが進んでおります。それぞれの議会でそれぞれの地域の実情に応じた条例を制定していただいているわけですが、その過程でいろいろな御議論がなされているということについては十分承知しております。

○田嶋陽子君 その過程で、早いところでは、私は去年、質疑した中で言及したんですけれども、例えば宇部市なんかでは、女性の生涯にわたる健康、生殖のことをちゃんとやろうという、そういうものが入っていたのに途中からなくなっちゃったり、それから、例えば専業主婦に配慮しようとか、全く違う言葉が入ってきたりとか、いろいろ反動的なものも出てきたりするわけですよね。
 その場合、どんなふうに政府はかかわっていらっしゃるんですか。それはそのまま地方自治体の自治ということに任しておしまいになるんですか。それとも、基本法にのっとってきちんと言うべきことは言うシステムがあるのでしょうか。

○政府参考人(坂東眞理子君) 地方公共団体の施策につきましては、特に男女共同参画関係行政はいわゆる法定事務ではございませんで、自治事務ということで、一応政府としては技術的な助言をするということでございますけれども、地方公共団体の取組を支援するために内閣府では、基本法の趣旨について都道府県・政令指定都市男女共同参画主管課長会議、あるいは基礎研修あるいは政策研修など各種の研修を行いまして情報提供を行っております。
 また、男女共同参画社会形成の目的や理念について十分誤解なく理解していただくために、広報誌共同参画21という雑誌を創刊いたしましたり、あるいはホームページ等でいろいろな専門調査会会議の議事、報告書すべて公開をする等、様々な機会をとらえて広報啓発に努めておりますし、また国会における関連質疑を取りまとめた資料を都道府県に昨年十二月に送付しております。こうした形で情報提供、広報等を行う。
 そしてまた、二十一世紀の我が国社会にとって、どうしてこれが重要なのかということについて十分啓発広報に努めまして、いやしくも誤解されることがないように最善の努力を尽くしていきたいと思っております。

○田嶋陽子君 それでは、広い意味で教育を通して、情報を通してということですよね。よろしくお願いいたします。
 ただ、じゃ、国会内の議員に対するそういう教育はどのようになっておりますでしょうか。

○政府参考人(坂東眞理子君) 国会議員の方たちは、皆さん大変高い見識をお持ちで国民から選ばれた方たちばかりでございますので、もう啓発ということは必要ないと思いますけれども、十分な情報を提供するように努めております。

○田嶋陽子君 皆さんに選ばれた方で偉い方だとは思いますが、私は、やっぱりこの男女共同参画に関しては偏見を持っていらっしゃる方が非常に多いように思います。それから、やっぱり世代というものがありまして、これが非常に問題になっているように思うんですね。私は、単にこの国会の議員たちには情報公開という、情報を十分に出してとかいうのは効果ないと思います。皆さん大変お忙しいですし、首根っこつかまえてきて、一人ずつやっぱりお話しなさるとか、やっぱり委員会作るとか何か工夫をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 というのは、やっぱり国の政策を決める人たちが一番先端に行っていてほしいと思うわけですよね。でも、ここがもしかしたら一番古いかもしれないという、率直に申し上げますと、私はじくじたる思いがするんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(福田康夫君) 議員のことですから私からお答えしますけれども、いろいろこの問題については見解の相違というものがあるんだろうと思います。私も正直申しまして、この仕事を始めて、これを担当しまして、それで、ああこういうものかというように気が付いた部分がたくさんあります。本当、正直言って。
 ですから、今はいろいろな意見言っておられる方も、田嶋先生の意に反するようなことを言っておられる方も、田嶋先生に怖い顔してにらみ付けられれば、それでもって自分の考えがどういうものかということが恐らく分かるんだろうというように思います。決して焦ってはいけない。これは焦らないで、やっぱり意識の変革を、変化を見ていかなければいけない、そう思っています。
 そういう意味においては、かなり効果は上げているんじゃないかと思いますよ。だんだんだんだん変なこと言う人は減ってくるという、そういうように私は思っておりますので、私は希望を持っております。

○田嶋陽子君 福田官房長官でさえもお変わりになられたというんですから、そばにいらっしゃる坂東局長の力は大変なものだろうと思います。やっぱり変わられた官房長官は大変に偉いと、私は尊敬いたします。ですけれども、現実はやっぱりとても政策の足を引っ張るようなことが多いし、やっぱり多勢に無勢で女は負けがちなところもあると思うんですね、悔しいんですけれども。
 例えば、ここはその後、どうなったんでしょうか。十一月十二日、内閣委員会の亀井議員の質疑ですね。ここで亀井議員は、ジェンダーフリーという言葉はない、アメリカでは使われていないと。確かに坂東局長も、その用語はアメリカでは使われていないと。日本の男女共同参画社会基本法、その中の法令においても使用されていないと。そのときに、亀井議員は大変調べていらして、ジェンダーイクオリティーとかジェンダーフェアネスとかいう言葉を紹介なさってくださいました。
 それ以後、私はその坂東局長の答え方がもしかしたらバックラッシュの引き金を引いたんじゃないかと、済みませんね、一生懸命頑張っていらっしゃるのに、でもそんなふうに思うときがあります。(「日本語で」と呼ぶ者あり)バックラッシュですか、反動的な動きです。例えば、亀井議員が男らしさ女らしさを否定しちゃいけないと言うと、そうだそうだといって産経新聞なんかでも言いますよね。それから、男女差別を助長するような言葉遣いをしちゃいけないとか、そういうふうに言うと、それは表現の自由を損なうものだとかまた新聞で言いますよね、亀井議員の影響力は大きいですから。反動的な新聞はみんなそういうのを取り上げて喜んじゃいますね。Eメールとかなんかでも今すごいですね。そういうことです。
 それで、私がお聞きしたいのは、そのとき坂東局長は、男らしさ女らしさは否定するものではないというようなことをおっしゃって、その後亀井議員が否定なさったジェンダーフリーという言葉、それに代わるものとしてじゃ現在今何を使われておられるのか、それもはっきりしない。それから、男らしさ女らしさというのはこれは生来的なものでなくて、生まれ付きのものではなくて、ジェンダーというのは文化、社会的に作られたものですから、それが男女性差別を作る役割をしているわけですね。それに対して、坂東局長が必ずしもそれを否定するものではないというふうにおっしゃられると、これは大変国民に混乱を引き起こすわけですよね。
 その意味で、その二つの点において、坂東局長はそれ以後どんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。

○政府参考人(坂東眞理子君) 申し訳ございません、二つの点ということで、私の理解が十分でなかったらまた御訂正いただきたいと思いますけれども。
 そのジェンダーフリーという言葉を男性と女性の区別を認めない画一的という意味では、男女共同参画という言葉、我々の言葉で目指していないということ、そしてまたジェンダーフリーというのは公的な文書で使っておりませんし、我々としては、こうである、ああであるということを解釈する権限がないというふうにまずお答えしたかというように思います。
 それから、いわゆるその男らしさ女らしさに代わってどういうような言葉を作っているのかというふうなお尋ねに関しましては、基本法に書いてございますように、性別にかかわりなくすべての人、男性も女性もすべての人が個性、能力、適性を発揮できるような社会を目指していくということを行政の使命というふうに理解して取り組んでおります。恐らく人々の心の中でいろいろなことを思われることにつきましては、行政としては直接申し上げる立場にはないかなと思います。

○田嶋陽子君 でも、そのジェンダーフリーという言葉は世間で皆さん使っていらっしゃいますよね。その言葉が普通英語としては使われないといったときに、坂東局長はやっぱり長としてそこにいらっしゃるわけですから、それでも日本はいろいろ英語をも変わった形で使う国ですからそのまま使いますよとか、じゃ、ジェンダーフリーってとても簡素な便利な言葉ですから、その代わりにこういう言葉を使おうとか、提案はおありですか、その後していらっしゃいますか。というのは、ジェンダーフリーという言葉は余りにもある意味では九四年以降定着していますね、ここずっと十年、それを否定されたわけですから。

○政府参考人(坂東眞理子君) 否定をしたというよりは、ジェンダーフリーという言葉でいろいろな解釈が人によって異なっていると。特に例えば一部にはそのジェンダーフリーという言葉は男性と女性の区別をなくするんだ、画一的に扱おうとするんだという意味でお使いになっていらっしゃる方がいると。だから、そういう意味では使っていただきたくない。もし、それこそ我々は公的文書では使っておりませんけれども、いろいろな場でお使いになるときは差別や抑圧から解放するという意味できちんと定義をなさってお使いいただければというふうに思っております。

○田嶋陽子君 普通、ジェンダーフリーといったら性別役割分業反対、その性別役割分業を形容詞で言うと男らしさ女らしさという、そういう男には男らしく、女には女らしくという、こういう一人の人間の在り方を政策で決めることは、それは人権侵害なんだよって、その人はその人なりでいいんだよという意味でジェンダーフリー、男らしさ、いわゆる括弧付きの男らしさ女らしさというのは抑圧になるからよそうよ、生きたい人はそう生きればいいけれど、政策の中でそんな言葉を使うのは良くないし、人にああせいこうせいって男らしくしろとか女らしくしろとか、子供をそう教育するのもそれも性差別を助長することになるし人権侵害になるからよそうよって、そういう意味だと思ってみんなはそういうふうに理解していると思います。それをたまたまそんなふうに理解しない人たちがその言葉に対して異議を唱えていらっしゃると思うんですね。
 問題は、じゃアメリカで使われていないからって亀井議員がせっかく二つの選択肢を出してくださったわけですが、そのジェンダーイクオリティーとフェアネスをお使いになりますか。それとも、解釈さえ正しければ今までどおりジェンダーフリーを使っていってオーケーですか。局長でいらっしゃるわけですから、それを使っていませんで終わられると困るわけですね。

○政府参考人(坂東眞理子君) 先ほども申しましたように、我々は公式の文書では使っていないということを申し上げただけでございまして、それぞれの場でどういう定義でお使いになるかという分について、私たちは干渉する権限はございません。
 それからまた、ちなみにジェンダーイクオリティーについては私どもの方の英文の文書等でいろいろ使わせていただいております。

○委員長(小川敏夫君) 田嶋さん、そろそろまとめてください。

○田嶋陽子君 まとめる、まとまります。まだあるんですけれども、済みません、時間がうまくいかなくて。でも、ありがとうございました。じゃそういうことで終わります。(「一言ないの、最後に」と呼ぶ者あり)一言ですか。
 いろいろお世話になりました。ありがとうございました。(拍手)

○黒岩宇洋君 何か田嶋さんの御自分の議員生活を総括するようなすばらしい質問の後でやりづらいんですけれども、まず構造改革特区について昨日の、ちょっとこうぶつ切りになって寸断された形で恐縮なんですけれども、鴻池大臣そして厚労省木村副大臣に御質問いたします。
 私は、昨日の質疑の中でもどうもこの各省庁が不承不承の態度でいる限りなかなかこの規制改革は進まない、特区構想というものは進まないという、このことについて疑念を生じていると申し上げました。
 実はこの厚労省、特に株式会社の医療参入という象徴的なことを私取り上げさせてもらいますけれども、三月十八日のいわゆる閣議で改正案の閣議決定をしたこの日に出てきました、これからの医業経営の在り方等に関する検討委員会という最終報告書がタイミングいいことに同じ日に出てきました。六月に要は医療参入の具体的なものを検討するということがその時点では閣議で決定されていましたけれども、まるでこれに反するような報告内容です。これ明らかに矛盾するんですよね。
 かいつまみますけれども、要は株式会社が積極的に参入することを認めるべきとの論拠は、論証を認識するに至らずと、確認するに至らずと、認めるべきではないという意見がほとんどであったと。試行を行うべき意見というのも一部であったということを間に挟みながら、また再度株式会社参入を認めるべきとの結論には至らないと。その後に、要は医療法人制度の改善の中で対応すると。これすなわち株式会社参入しないということですよね。
 こういうタイミングで厚労省の検討会からこういう報告書が出ていると、このことについて木村副大臣としての御見解をお聞かせください。