156-衆-内閣委員会-2号 平成15年02月26日

平成十五年二月二十六日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 佐々木秀典君
   理事 逢沢 一郎君 理事 小野 晋也君
   理事 星野 行男君 理事 渡辺 博道君
   理事 中沢 健次君 理事 山内  功君
   理事 遠藤 和良君 理事 西村 眞悟君
      大村 秀章君    奥山 茂彦君
      嘉数 知賢君    金子 恭之君
      亀井 久興君    木村 隆秀君
      菅  義偉君    高橋 一郎君
      谷川 和穗君    谷本 龍哉君
      近岡理一郎君    林 省之介君
      石毛えい子君    大畠 章宏君
      平野 博文君    横路 孝弘君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      北川れん子君    江崎洋一郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (内閣官房長官)
   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君
   国務大臣
   (国家公安委員会委員長)
   (産業再生機構(仮称)担
   当大臣)         谷垣 禎一君
   国務大臣
   (科学技術政策担当大臣) 細田 博之君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣
   (規制改革担当大臣)   石原 伸晃君
   国務大臣         鴻池 祥肇君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   内閣府大臣政務官     大村 秀章君
   内閣府大臣政務官     木村 隆秀君
   内閣府大臣政務官     阿南 一成君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  小山  裕君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (人事官)        佐藤 壮郎君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          大村 厚至君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本信一郎君
   政府参考人
   (内閣府男女共同参画局長
   )            坂東眞理子君
   政府参考人
   (警察庁長官官房長)   吉村 博人君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  瀬川 勝久君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 齋木 昭隆君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           丸山 剛司君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            白川 哲久君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房総括
   審議官)         鈴木 直和君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局次
   長)           三沢  孝君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    上田  茂君
   政府参考人
   (林野庁森林整備部長)  辻  健治君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (気象庁予報部長)    北出 武夫君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   内閣委員会専門員     小菅 修一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 内閣の重要政策に関する件
 栄典及び公式制度に関する件
 男女共同参画社会の形成の促進に関する件
 国民生活の安定及び向上に関する件
 警察に関する件

     ――――◇―――――

○佐々木委員長 では、ただいまの点は北川委員の御意見として承らせていただくことにして、それでなお、時間が参りましたけれども、北川委員、質問はまた後ほどもありますね。ですから、この継続でお聞きになりたいとすれば、後ほどもう一度、再質問のときになさったらどうでしょうか。ということで、一応ただいまの質問というかお話は、御意見としてということでいかがかと思いますけれども。
 ということで、一応北川れん子さんの質疑、ここで中断をいたしまして、次に、西村眞悟さんに再度御質問いただきます。
 西村眞悟君。

○西村委員 またよろしゅうお願いします。今度は男女共同参画社会に関して。
 最近報道された各自治体の条例について意味不明の文言等があって、男女共同参画社会とは何か、ジェンダーのフリーか、全く社会的、文化的な性差をなくすものが男女共同参画社会なのかということで、わからなくなっておりますので、政府の御見解をちょっとただしたいと思います。
 報道によりますと、性の自己決定権、これは性と生殖に関する権利という概念を明記した条例があります。産経新聞が報道したわけでありますが、この性の自己決定権の規定とは内容は何だろうか。
 これは例えば、援助交際における、何が悪いの、私の権利じゃないの、中絶、何が悪いのか、私の権利じゃないの、こういうことを意味しかねないと私は思っておる。そういうふうに解釈される場合もある。現実に、そのように言い放って、援助交際が何が悪いのと続けている風潮もあります。
 官房長官にお聞きしたいんですが、担当大臣として、この各条例に盛り込まれた性と生殖に関する権利、性の自由、自己決定権、これは何なのかということについてお教えいただけますか。

○福田国務大臣 地方公共団体で男女共同参画に関する条例を出しております。条例を決めているわけでありますけれども、この男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえまして、各地域の特性に応じ、また、住民の意向等を踏まえまして作成されていると認識をいたしております。
 この条例にあります性と生殖に言及した規定は、男女共同参画基本計画で、生涯を通じた女性の健康支援に関して、女性も男性も各人がそれぞれの身体の特徴を十分に理解し合い、思いやりを持って生きていくことは男女共同参画社会の形成に当たっての前提である、そして、女性がみずからの身体について正しい情報を入手し、自分で判断し、健康を享受できるようにしていく必要がある、こういうふうに定めていることに沿って地方自治体でも条例をつくっているというように理解しております。
 こういうような条例の規定は、男女の生涯を通じた健康のために、いつ、何人子供を産むか、産まないかなどについてみずからの決定を尊重する趣旨である、こういう認識でございます。また、これらの取り組みは、正しい情報を提供することなどによりまして、まずは望まない妊娠を防ぎ、中絶や堕胎に至らない状況をつくることも目指すものでございます。
 条例は、あくまでも法令の範囲内で策定されているのは当然でございまして、刑法とかそれから母体保護法に触れるものではございません。

○西村委員 一応、条例の文言が、国法、国の刑法等々で矛盾するものでないという御答弁なんですが、今の御答弁にあらわれた産むか産まないかというのは、妊娠するか妊娠しないか、これはわかるんですが、妊娠した後で産むか産まないかは女性が決めるということの意味に解されるんですが、こうではないんですね。

○福田国務大臣 それは、個人の意思というものはあります。しかし、そのことを決めることについては、それぞれの人の価値判断とかいうものもあろうかと思います。その前提として、そういうことをしなければ、例えば中絶とか堕胎するとかいうことを決めなければいけないような背景があるのかどうか、それが妥当なものかどうかといったようなことは、当然、私は個人の価値判断の中に入ってくるんだろうと思いますよ。ですから、そういうことをしなさい、してもいいんですよということを推奨しているものではないということは、これはもう自明のことであります。
 それは、やはりその時々の社会の状況、例えば家庭環境だとか、また社会の状況などに影響を受ける部分も多いと思います。そういうことが当然だというふうに皆が認識しているような社会では、そういうことはしやすいということもあるんじゃなかろうかと思いますから、それはそれでまた別途いろいろ考えなければいけないことはあろうかと思いますけれども、そういうことを条例とか基本法でもって推奨しているものではないんだということは、これは御理解いただけるかと思います。

○西村委員 ちょっと確認ですが、性の自己決定権というものは中絶を容認するものではないわけですね。
 先ほどの質問は、産むか産まないかは女性が決める、それから、妊娠した後で産むか産まないかは女性が決める、産まないと決めれば中絶ということになりますね。これをいわゆる性の自己決定権は容認する概念なんですかと、確認のためにお聞きした。容認というか、認める、中絶を認める、オーケーですよという意味ですね。

○福田国務大臣 これは法律論じゃないと思いますね。法律じゃなくてむしろ、そうじゃなくて、そういうものを容認するかどうかということ、これは、本人がその必要があるかどうか、その必要が、先ほども申しましたように、本当に必要なのかどうかという、そういうような個人の問題もあるし、また、先ほど私があわせて申し上げたのは、そういうことを容易に許すような社会があるのかないのかということも、これも大事な要素だというふうに思っております。

○西村委員 どうもちょっと確認し切れていないんですが、私は児童の権利に関する条約の条文をちょっと申し上げます。
 この条約には条文の前文がついておりまして、その箇所を少し指摘しますと、「この条約の締約国は、」「児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、」次のように協定した。第一条「児童とは、十八歳未満のすべての者をいう。」第六条「締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。」
 この条約を起案した国はプロテスタントの国であって、この児童の権利条約は、日本文では明確には示されていないけれども、前文と今私が読み上げた条文を総合して解釈するならば、出生の前後における、つまり中絶を禁止している条約ではないかな。
 したがって、官房長官が今お答えになった点については、我が国の国法はこの条約の効力において下位にあるわけですから、やはりこの条約を締結した国として、いやしくも条例においても中絶を容認するかのごとき風潮が生じてはならないために、十分、点検、調査しなければならないのではないか、こう思いますが、いかがですか。

○福田国務大臣 児童の権利条約なんですけれども、児童の範囲を十八歳未満、今委員御指摘のとおりでございますが、十八歳未満の者である旨規定し、特に出生前の胎児を含む旨の断りがないこと及び意思表明、教育等の本件条約のほとんどの規定が明らかに出生後の児童のみを対象としたものであり、胎児を対象とすると考えなければならないという規定はないことなどから、本件の条約上の児童は胎児を含まない、こういうような解釈をいたしております。
 これは、胎児の保護について、この条約審議においても種々議論がされたようでございます。そして、結局、本件条約の保護の対象として胎児を含めることについてはコンセンサスが成立しなかった、こういうような経緯もございます。

○西村委員 いろいろ質問もしたいんですが、何分十五分ですので、本日はこれにて中断します。

○佐々木委員長 以上で西村眞悟君の質問は終了いたしました。
 次に、引き続いて吉井英勝君。

○佐々木委員長 これにて渡辺博道君の質疑は終わりました。
 次に、林省之介君。

○林(省)委員 私も今すぐ出たいんですが、時間、今、十六分か七分押していると思います。今すぐ出ても、友達との約束が守れるかどうかわかりません。しかし、走れメロスではありませんけれども、最短の質問をさせていただいて速やかに終わらせていただきたい、こう思っております。
 実は、副大臣きょうお見えでございますが、この間うちから、産経新聞が、男女共同参画社会条例、この条例にいろいろと問題があるということを盛んに書いております。中には、表現の自由の侵害もあるというふうなことまで言っているわけであります、明らかにいわゆるジェンダーフリーまで認めてしまうような男女共同参画社会のあり方でいいんだろうかと。
 今、いろいろなところでいろいろな問題が起きています。例えば、今大学で、教師がまともに学生の目を見て授業ができない。目が合うと、はいセクハラだ、ああだこうだと言われるわけです。下を向いて、前を向くときには肩と肩の間を見て、天井を見て授業をする。恥ずかしい話ですが、こんなことは一々世間では問題にはなっておりません。これは明らかに行き過ぎではないかということを、いろいろと、こまごまとお聞きをするつもりでございました。
 早い話が、例えばこれはある県の条例でございます。読ませていただきますと、「性別による役割分担の固定化又は女性に対する暴力的行為を助長し、又は連想させる表現を行わないよう努めなければならない。」まだこれは「努める」だからいいですよ。これが「罰する」となってきたら明らかに、恐らく表現の自由の、あるいは思いでございますから、思ったからそれで犯罪だというんだったら、例えば、これはちょっと下世話な表現になるかもわかりませんが、友とけんかをして、あの餓鬼はけしからぬ、一遍ぶっ殺してやりたい、こう思うた、それがもう犯罪ですよということになってしまうわけですね。
 思いまで制限を加えるというような条例にもなっているわけでございまして、この辺のところについて、副大臣にお願いいたします。その御見解をお聞きしまして、終わらせていただきます。

○坂東政府参考人 地方公共団体で、今都道府県が四十、市町村が九十五、男女共同参画に関する条例を定めておりますけれども、これらは男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえて、各地域の特性に応じまして地方議会で制定されているというふうに思っております。
 市町村あるいは都道府県の個別の条例について、そういうことですので、個別に判断する立場ではございませんけれども、お尋ねの、地方公共団体の公衆に表示する情報に係る配慮等の規定につきまして、一般論として申し上げますと、男女共同参画社会の形成という目的のために、男女間の暴力行為を助長するような表現等一定の表現を行わないような配慮または努力を求める規定ということですので、直ちに憲法上の問題が生じるとは言えないというふうに考えております。
 また、特定の表現を規制するのではなしに、単に配慮や努力を求めるにすぎない規定につきましては、表現の自由との関係では、問題が生じることはないというふうに考えております。

○林(省)委員 私はそうは思いません。だけれども、きょうはもう時間がありませんので、またの機会がもしございましたら、一々証拠を挙げて議論をしたいと思っております。
 終わります。

○佐々木委員長 以上で林君の質疑は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十分散会