154-衆-決算行政監視委員会第二…-3号 平成14年07月22日

(注:この議事情報は、「決算行政監視委員会第二分科会議録第1号」のデータです。)
本分科会は平成十四年七月十日(水曜日)委員会において、設置することに決した。
七月十九日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      岩屋  毅君    中村正三郎君
      額賀福志郎君    金子善次郎君
      今野  東君    松崎 公昭君
      神崎 武法君    塩田  晋君
七月十九日
 松崎公昭君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年七月二十二日(月曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 松崎 公昭君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      伊藤信太郎君    岩屋  毅君
      中村正三郎君    額賀福志郎君
      家西  悟君    金子善次郎君
      今野  東君    中山 義活君
      松原  仁君    山井 和則君
      神崎 武法君    武山百合子君
   兼務 小西  理君 兼務 木下  厚君
   兼務 春名 直章君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   法務副大臣        横内 正明君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      青山  丘君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       漆舘日出明君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第四局
   長            重松 博之君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策
   局長)          近藤 信司君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文化庁次長)      銭谷 眞美君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           中山 啓一君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議
   官)           馬場 耕一君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局次長) 梅田 春実君
   政府参考人
   (国民生活金融公庫総裁) 尾崎  護君
   政府参考人
   (公営企業金融公庫理事) 片木  淳君
   政府参考人
   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君
   政府参考人
   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
分科員の異動
七月二十二日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     伊藤信太郎君
  金子善次郎君     家西  悟君
  今野  東君     山井 和則君
  神崎 武法君     東  順治君
  塩田  晋君     土田 龍司君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     相沢 英之君
  家西  悟君     松原  仁君
  山井 和則君     中山 義活君
  東  順治君     冬柴 鐵三君
  土田 龍司君     武山百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  中山 義活君     今野  東君
  松原  仁君     金子善次郎君
  冬柴 鐵三君     上田  勇君
  武山百合子君     塩田  晋君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  勇君     神崎 武法君
同日
 第一分科員小西理君、木下厚君及び春名直章君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十二年度一般会計歳入歳出決算
 平成十二年度特別会計歳入歳出決算
 平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十二年度政府関係機関決算書
 平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔総務省所管、公営企業金融公庫、財務省所管、国民生活金融公庫、国際協力銀行、日本政策投資銀行及び文部科学省所管〕

     ――――◇―――――

○松崎主査 これにて木下厚君の質疑は終了いたしました。
 次に、中山義活君。

○中山(義)分科員 大臣、いよいよ夏休みに入りまして、ラジオ体操に私、朝五時半に起きて行ったんですが、最近の子供は朝起きられなくて、だんだん参加が少なくなっているんですね。スポーツとか体を動かすという認識に、御家庭の方も学校の方もちょっと欠けているんじゃないでしょうか。私は、もう長い間議員をやっておりまして、区議会議員から都会議員、それで衆議院になったんですが、区会議員のころからずっとラジオ体操に出ているんですね、夏休みになると。お子さんが年々減っているんですよ。つまり、体を動かすということについての認識がやはりだんだんなくなってきているんですね。それがどれだけすばらしいことかという認識がなくなってきている、このように思うのです。
 そこで、やはり子供たちが運動するきっかけというのは、スポーツをテレビで見たり、自分にできないような技術を見たり、体力を見たり、これでびっくりするわけですよ。あ、自分もやってみようじゃないか。今回のワールドカップのサッカーはまさにそういうことで、ワールドカップをやって、日本で大きな試合をやって、そして多くの人がスポーツに目覚める、こういうきっかけにしよう、こういうことだと思うんですね。
 私は、そういう中でも、特に若い人が君が代を歌ったり日の丸を仰ぎ見て、非常に私どももその感動を見ているとうれしく思いましたよ。スポーツはそういうものです。過去に東京オリンピックがありましたね。これも国家的なイベントだった。ここで多くの競技で金メダルをとりましたね。そういう競技はやはり盛んになっていくんです。
 スポーツというのは、大きく底辺を広げるためには、基礎からいろいろやった方がいいのかというとそうでもないんですよ。やはり有名選手が出ることによって、それにあこがれてスポーツというのは広がっていくんです。
 野球なんか私も随分やりましたけれども、そのころは、やはり大下の青バットとか川上の赤バットとか、そこの委員長席にいる松崎さんと同じだと思うんですが、年からいうと我々は川上や大下にあこがれて野球をやった、そういう空気がありましたよ。私は今ラジオ体操をやっていますが、もともと器械体操の選手で、それも小野清子さんのだんなの小野喬さんなんかの体操を見てそういうスポーツに入ったわけです。ですから、金メダルをとらせるということは極めて大事なことなんですね。
 今回のワールドカップを見てくださいよ。やはり、日本があそこまで活躍したから、うちの近所でも子供たちが何でもかんでもよく蹴っていますよ、ボールやなんかを。やはり、そういうきっかけを持たせるというのは、国がちゃんと全力を挙げてスポーツを振興していくということだと思うんですね。そのためには、オリンピックに対してもっと認識が深くないといけないですね。ワールドカップは、これはプロの方たちがやっているから、ある程度インセンティブというのはお金もうけなんかでやれるでしょう。アマチュアのスポーツは気の毒ですよ。私は器械体操をずっとやっていたけれども、なかなか、生活しながら、勤めながらできないですよ。
 そういう面で、この三回ぐらいのオリンピックの日本の金メダル数をちょっと言ってくれますか。

○岸田副大臣 過去三回のオリンピックにおける金メダルの獲得数ですが、夏季大会については、平成四年、バルセロナ大会、三個、平成八年、アトランタ大会、三個、平成十二年、シドニー大会が五個です。そして、冬季大会につきましては、平成六年、リレハンメル大会、一個、平成十年、長野大会、五個、そしてソルトレークシティー大会、平成十四年ですが、ゼロであります。

○中山(義)分科員 この長野でやはり五つとっています。これは一生懸命強化したんですよね。オリンピックは四年に一度ですよ。その年だけ補強したんじゃだめですよね。やはり四年間で選手を育てていく。ワールドカップはそうでしょう。やはり何年かかけて、今の日本の選手が育ったわけですね。
 大臣、芸術でもそうでしょう。大臣がお勤めになった西洋美術館で、いい美術を見せることがみんながやるきっかけになるんでしょう。スポーツも一緒なんですよ。
 私は、長野オリンピックの後に文教委員会、国の方で視察に行きました。そのときに、五個とったという、それがやはり一番大きな実績だと言っていましたよ。まずスケートから始まって、金メダルが一個とれた、そこからわあっと盛り上がってきたわけですね。だから、あのオリンピックを盛り上げたのはある意味では清水選手なんですよ。金メダルをとった選手があのオリンピックを、日本でやってもし盛り上がらなかったら恥ずかしいじゃないですか。スケートをやろう、子供たちはみんなそう思ったじゃないですか。
 もうちょっとスポーツに対して正確な、ちゃんとした予算をつけていかないとまずいと思うんですね。実は、あのtoto、サッカーくじで今度しっかりお金をつけますから、そういうばくちみたいなもので、もうかったら選手を育てるとかそんな発想じゃなくて、ちゃんとした予算で選手を育てなかったらやはり日本のスポーツというのは振興されませんよ。
 だんだんラジオ体操にも子供が行かなくなっちゃう、スポーツもやらない。だから国民の医療費だってふえていくんじゃないですか。病気にならないということが一番大事なんです、体力をつけるということですよ。その辺、どうでしょうか、大臣。

○遠山国務大臣 やはりオリンピックでは金メダルをとってもらいたいですね、銀も銅もよろしいんですけれども。やはりあれは選手自身が、自分の体力、知力、精神力の限界まで出して、そして世界の中で戦ってトップに立つということですから、個人にとってすばらしいというだけではなくて、そういう国民を生み出した国も、これも誇りに思っていいと思うのです。
 同時に、子供たちやすべての国民があれを見ていて、やはりそこで大活躍してくれると大感動が巻き起こるわけですね。ということは、全体として国力が増すわけでございますし、そのことを考えれば、議員おっしゃいますように、国としても、単に名目的なことではなくて、しっかりと、オリンピックのような国際的な試合にも日本の選手が存分に活躍できるように、そういう条件を整えていくというのは、私は大変大事な国の責務であろうと思っております。
 じゃ、これまで何をやってきたかということでございますけれども、日本の国際的な競技力の向上を図って、優秀な成績をおさめることができるように、国費、スポーツ振興基金、それからスポーツ振興くじ、totoという、いろいろ議員の皆様にも御協力をいただいて、そういう財源を多様に使って活用して、支援をしているところでございます。
 具体的に申しますと、日本のナショナルチームなどの強化合宿、専任コーチの設置などの事業への国費、それからスポーツ振興基金による助成を行っております。また、オリンピック等において入賞が期待される選手や将来有望な若手選手の日常のスポーツ活動に対するスポーツ振興基金による助成、あるいはジュニア選手の発掘、それから強化練習へのスポーツ振興くじの収益による助成、そういった方途を用いてやっているわけでございますが、トータルの額が本当に十分なのかというふうに思わないでもございません。
 最近、一ついいニュースといたしましては、日本の国際競技力の向上のための中核機関としまして、昨年十月に国立スポーツ科学センターをつくりまして、ここでは、スポーツ医・科学を活用したトレーニング、あるいはメディカルチェックなどの医学的なサポートなどを実施しておりまして、今後は少し科学的な視点も加えながら効果的な訓練をしてもらって、競技水準の向上に努めたいと思っております。
 厳しい財政状況とはいいながら、委員御指摘のように、こういう分野についてもできるだけの努力を私どもとしてもしていかなくてはならないと考えております。

○中山(義)分科員 今、いろいろ予算はつけているというお話でございますが、何を予算の財源にするかというと、大体がかけごとなんですよ、自転車とか競馬であるとか。地方なんかもそうですね。そういうものじゃなくて、ちゃんと予算を組んで日本のスポーツを育てていこうという気概がないと、やはりまずいと思うんですよ。
 今回のサッカーもそうでしょう。本当にそう思いませんでしたか。日の丸が上がったり君が代を歌っている。やはり国威というか、または国の力というのを感じませんか。
 仮に幾ら経済がどんどん発展したとしても、ジャパン・アズ・ナンバーワン、確かによかった、でも、ジャパン・アズ・オンリーワンの方が大事なんですよ。文化やスポーツを大事にする、そういうきらっと光る国じゃなきゃいけないんです。何だか知らないけれども、日本の場合は、経済は一生懸命やるけれどもスポーツやなんかは余り振興していない、予算を見たらこんなものだ、それじゃ、外国に文化国家としてばかにされちゃいますよ。
 やはり人間が生きていくために、体を動かすということがどれだけ必要か。それには、底辺をうんとつくるよりもトップをつくる方が大事なんだ。だから美術館をつくっているんじゃありませんか。これは、芸術を伸ばそうと思ったらいい美術を見せることがいいと思っているからやる。今まで大臣はそういうところへお勤めになって一生懸命やっていたわけでしょう。スポーツも同じ考え方を持ってくださいよ。
 ちょっと青山副大臣にもお聞きしますけれども、どうですか、今。やはり文化の中にスポーツがあって、恐らく今回のサッカーでも興奮されたでしょう。ボールを見ていたら急にけりたくなる、そういう気持ちになったんじゃないですか。
 やはりスポーツというのはそれだけ、国のためにも大きな、国威や愛国心を育てるにもいい。今回そういうことがあったじゃないですか。しかも、日韓でやった。お互いの国が仲よくなった。こういう大きな目的でやっているわけですから、その辺、いかがでしょうか。

○青山副大臣 私も、サッカー観戦、実は生まれて初めてしたのですが、会場の雰囲気と一緒に非常に意識が高まるものを強く感じました。あのすばらしい試合は、やはり日本国民全体に非常に大きな感動を与えてくれました。
 感動というものが国づくりに非常に重要なことで、よく私が言うのですが、悲しみや苦しみや怒りの涙ではなくて、喜びや感動の涙を流せるような社会は、きっと創造的ないい社会になっていくことができる、豊かな心の社会になっていくことができる。
 その意味では、ワールドカップが日本で開催されましたことを、私はある意味で、ちょっと話が脱線してはいけませんけれども、副会長に一つは感謝を申し上げました。触れない方がよいかもしれませんが、そのときに触れたのは、実は大臣からもFIFAの会長に強く、例の空席の問題でしたね、触れたんですが、それはちょっと脱線ぎみの内容だと思って受けとめていただきたいんですが。
 あのサッカーの開催によって日本国民がサッカーについて新たな認識を深めて、そしてすばらしい選手たちの戦いぶりを見てどれだけ自分たちの気持ちが高ぶって、同じ民族として、そしてまた、特に韓国が勝ち抜いてきたときに日本人の多くが応援をした姿が韓国に伝わって、韓国にも非常に対日感情をよくしてきたという意味で、いろいろな意味で大きな効果を果たしてきたことを私は評価しております。

○中山(義)分科員 今お話しのとおりなんですね。
 要するに、都議会なんかも、石原さんが都議会を休んでも行ってくれと言うような、それは国威を上げるためにも、純粋な愛国心もすばらしいというような意味合いがあったと思うんですね。そういう面でも、やはりこれから日の丸国旗法案とかそういうことで考えるならば、スポーツの世界でそれをやるのがある意味では一番健全じゃありませんか。
 そういうことを考えて、これからもちゃんとした予算をつけてもらわないと、選手は育ちません。サッカーだってそうでしょう。これだけ長い間ワールドカップだということでいろいろ選手やなんかにも便宜を図ってきた。東京オリンピックのときもそうですよ。あの当時はやはり日本の国が上昇で、どんどん経済も伸展した、あのオリンピックにも大変な予算を使ったわけですね。ハードはもちろん、選手にも強化費もすごく出ました。私もそのころ一緒にオリンピック選手なんかと参加して練習したことがあるんですが、こんなうまいものが食えるのかとか、こんないいものが。やはりそのくらいの配慮がなければ選手が強くならないんですよ、あの当時はまだまだそういう食生活でしたから。
 今は、やはり個人個人にもちゃんとしてあげないと、これから強い選手は絶対育ちません。特にプロのないアマチュアスポーツ、器械体操もそうですが、ほかにもありますね、これからは卓球だとかそういうものも、後、出てくるかもしれません。日本でプロのないスポーツは、やはり大変ですよ。そういう面では、しっかりしたインセンティブを引いてもらいたい、このように思うわけでございます。
 そういう面でも、これからもスポーツのことにつきまして、私も文科の方に今度来て、一生懸命スポーツの振興に努めるように御質問させていただきたい、このように思うわけでございます。
 次に、知的財産権の問題なんですが、発明、発見、これはやはり子供にとって大きな新しい世界を開いていくことなんですね。今一番日本が問われているのは技術力です。
 そこで、知的財産とは何であるか。こういうこともまだ子供たちはよくわからないんじゃないですか。日本はある時期に、一九七〇年代でしょうけれども、池田さんが総理大臣のころ、よく言われたのは、トランジスタのセールスマンだと言われたんです。あの当時は、外国の技術を日本が学んでそれを大量生産してどんどん外国に売った。今、そんなことできませんよ。勝手によその国の技術を盗んだりまねしたら大変ですよね。今日本が中国にそれをやられているでしょう。
 だから、知的財産とはどういうことなのか、子供たちがわかっていないと思うんですよ。一番ここが柔軟なのは小学生ぐらいだと思うんですね。そういう時期に発明や発見、新しいものを生み出す、そういう力をやはり教育でつけなきゃいけないんじゃないですか。
 知的財産に関する教育というのはどういうふうにやっているか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

○岸田副大臣 今先生御指摘のように、国際的な社会の変化に伴いまして、知的財産権の重要性はますます高まっていると認識しております。そして、すぐれた知的財産を生み出す人材の育成、これは大変重要なポイントであります。七月三日に、知的財産戦略大綱においても、こうした知的財産に関する教育の重要性が指摘されたところであります。
 そういった中にあって、どんな教育が行われているかという質問ですが、著作権等の知的財産権については、現状、中学校の技術・家庭科あるいは高等学校の公民科等において取り上げるという形で、こうした知的財産に対する教育を行っているところであります。
 加えて、そもそもこういった人材の育成ということを考えますときに、今新しい学習指導要領がスタートいたしました。その趣旨は、みずから学び、みずから考える力をはぐくんでいくこと、あるいは個性、能力を最大限に伸ばしていくことも重視してこうした新しい制度をつくっているわけでありますが、そういった中にあって、体験的学習、習熟度別学習、選択学習、あるいは個に応じた学習、こうした少人数学習を重視するというような考え方も盛り込んでいるわけでありまして、そういった制度の中でこの創造的な人材、知的財産権を重視し、そして創造できるような人材、こういったものを育成していくことを考えていかなければいけないと思っております。

○中山(義)分科員 今のハイテクでできたものというのは、どっちかといえばブラックボックス化して、子供たちは中を見ないわけですよ。なぜだろうという考え方がなかなか生まれてこないと思うんですね。エジソンであるとかいろいろな伝記を見てみますと、やはりなぜと思う気持ちがほかの人より強いと思うんですよ。だから、子供たちが単にハイテクの機械は使いこなせるというだけじゃなくて、もっと単純な技術の中に、やはり、なぜだろうとか新しいものを生み出すとか、そういう力が本当はあるんじゃないかと思うんですね。
 ですから、私たちが子供のころは糸巻き戦車をつくったり、または竹トンボを飛ばしたり、なぜ竹トンボが飛ぶのか、そういうやはり基本的なところから新しいものが本当は生まれたんじゃないかと思うんですね。そういう面では、実際に物をつくったり、物づくりの世界の中で案外単純な作業の中から生まれてくるものだと思うんですが、最近の子供たちは相当ハイテクなものを使っていますね。しかし、それはブラックボックス化している。そういう面での、ちょっと、我々の頭の中で考える新しい知的財産というのは、単純に、こういう技術がある、ナノテクノロジーというのはこういうものだ、バイオとはこういうものだとか、そういうふうに言っているだけで、案外子供たちの発想とかそういうものに、この脳に刺激を与えていないんじゃありませんか。
 そういう面では教育のシステムや何かのあり方について、大臣の所見は何かありますでしょうか。

○遠山国務大臣 子供たちが生き生きと新しい発想を持ってくれるようにするというのは大変大事だと思っております。
 その意味で、この四月から始まった新学習指導要領による教育というものは、学力低下ということがいろいろ懸念されておりますが、私はその方向に向かって大きく歩み出したと思っています。単に受け身で物を覚えるということではなくて、自分で考えるようにしよう、できれば自分で課題を見つけてそれに自分なりの回答を考えていく、そのようなことが非常に大事だと思います。
 物づくりというのは、やはり実際につくってみて、実感をして、そしてそういう創造をすることの楽しさ、あるいはそのことが人の役に立つことの楽しさなども非常に大事でございまして、物づくりでありますとか、あるいは今理科離れの大作戦といいますか、理科大好きプランというのもやっておりまして、さまざまに今やっております。
 ただ、私はむしろ、日本の経済あるいは産業界において物づくりについて余りにもこれを、何といいますか、その技術を伝えるあるいは伸ばすことにおいて手を抜き過ぎたのではないかなと思っております。社会全体がそういうことに向かって努力をしていかなくちゃならない非常に深刻な問題だと考えております。

○中山(義)分科員 私は経済産業省の委員会にずっといましたので、既にそういうことを、いろいろ教育の場面で、例えば弁理士さんを行かせたらどうかとか、日本の発明協会の人を、土曜日行って子供たちにお話ししたらどうか、そういう提案もしているんですね。
 同時に、やはり一トンの鉄鉱石というのは、これは買ってくると五千円ぐらいです。これは鉄板になると五万円、車になれば百万円ですよ。そこに技術という付加価値が乗っていって、今の例えば車、こういうものがあるわけですね。だけれども、そこにはやはり技術というものがあるわけですよ。そういう技術とか新しいテクニックとかいろいろなものがあります。こういうことに子供たちはまだよくわかっていないんですね。例えば特許と実用新案、意匠登録、それからブランド、いろいろなものがあったとしても、何が特許だかよくわからない。だから、中国の製品が日本のまねしているとかいろいろ言われてもよくわからない、または、にせブランドの商品を買っても罪悪感がない、こういうことが出てきちゃうと思うんですね。
 だから、やはり、週に二回お休みがあったとしたら、物を発明する力を生み出すような教育をやってくださいよ。私は弁理士さんにもよく言っているんですよ。弁理士法改正になった、訴訟代理権もできた、しかし、弁理士さんがやるべきことはもう一つ、小学校へ行ってこの特許のすばらしさとか発明のすばらしさをもっと訴えてください。そうしたら、ちゃんと弁理士さんの協会の方で、最近は学校にも行っているんだそうですよ。
 我々もいろいろそういうことを通じて、違う世界から学校教育に入ってくる、そして、発明であるとか新しい発想を子供に教える、こういうことを考えていただきたいと思うんですが、大臣、もう一度答弁してください。

○岸田副大臣 基本的には大臣が先ほど申し上げたとおりでありますが、先ほど先生、ブラックボックスの話をされておられました。従来の日本の教育における学力というのは、ややもしますと知識や技術の習得にとどまっていたという指摘があります。そのあたりがブラックボックスという指摘にもつながるというふうに思います。
 それで、その点、みずからなぜかと考えるようなところから学力を考え、そしてさらに、習得した知識、技能をどう活用するか、そこの部分まで含めて全体を学力ととらえる考え方、これは新しい学習指導要領の考え方でありますが、こういった考え方をより徹底すること、これが、御指摘になられましたような知的財産の活用につながるものだと考えております。そういった方向で努力したいと思っております。

○中山(義)分科員 産学官と言われることは随分長い間言われてきて、いかに大学の研究室が、何らかのインセンティブで何かを発明して、それが、発明したその利益にもなっていく、または、その発明した利益がまたさらに大きな発明を生む。産官学、いわゆるTLOや何かやってきましたよね。しかし、もうちょっと下の子供たちがそういう気持ちを持たなきゃいけない、こういうことですよね。
 やはり、子供のうちからちょっとした技術を学んでいくということが大事で、どうも最近は見ますと、技術関係のオリンピックというのがありましたね。そういうことでも、全然日本がだめじゃないか、こう言われているんです。だから、子供たちがブラックボックス化したものをただ使うというだけじゃなくて、自分で物をつくるということを教えることによって、そこから発明や工夫が出てくるんですよ。
 だから、そういう面では、もっともっと物をつくる現場に子供たちを連れていく。先ほど言いましたように、週二日、この二日を徹底的に社会に順応させて、物をつくる現場がどういう現場か、最近「プロジェクトX」なんかを見ていても、これはNHKでやっていますね、大臣、ごらんになっているでしょう。物を生み出す、やはりすばらしいことですよ。私は涙して見ていますよ。
 そういう面では、やはりだれかが、物をつくっていく過程を子供たちにしっかり教えなきゃいけない。今の子供は、できたものをただ操作しているだけ。確かに操作はすぐれているし、すばらしい大きなテクノロジーを彼らが操っているわけです。だけれども、単純な、竹トンボであるとかまたは糸巻き戦車であるとか、こういう物をつくる技術をしっかり子供に与えることを、週二日のお休みの中でしっかりやっていただきたいと要望いたします。
 それと、もう一つだけちょっと質問させてもらいたいんですが、ジェンダーフリーということが最近よく言われておりまして、宇部市が男女共同参画社会の中で、本来のジェンダーフリー、つまり、先ほどちょっと岸田副大臣からも出たのは、個性や何か話がありましたね。男と女が違うということが一番の個性なんですよ。男が女っぽいとか女が男っぽい、そういうのは個性じゃないと思うんですね。やはり、まず男であること、女であること、これは現実でございますから、そういう面で、お互いに協力して何をやっていくかということが大事なので、お互いに、男は女になろう、女は男になろう、こういう考えがあるかと思うんですが、広島県で石橋県会議員が何か教育長に質問した、そんな話が出ている記事がありまして、これは先生のところの地元なので、このジェンダーフリーについて少しお考えがあったら。

○岸田副大臣 まず、ジェンダーフリーという言葉自体は、これは男女共同参画社会基本法等の法律、あるいは男女共同参画基本計画等の計画等を通じましても、ジェンダーフリーという言葉は政府としては使っておりません。
 ジェンダーフリーという言葉は民間ではいろいろ使われておりまして、この定義はさまざまでありますので、この言葉自体を正確にコメントするのは難しいと思うんですが、ただ、御指摘の男らしさ、女らしさということに関して言うならば、そうした生き方とか特質、違い、これをしっかり理解して尊重すること、これは大切なことだと私も考えております。そうした認識のもとで、お互いに男女が責任を分かち合い、協力し、そしてそれぞれの個性をしっかり発揮できる社会をつくっていくこと、これがこの男女共同参画社会のあり方だというふうに思っておりますので、そういった考え方、男らしさ、女らしさという考え方、こうした違いを理解し尊重するということ、これは大切なことだと私も考えています。

○中山(義)分科員 大臣、宇部市の新しい男女共同参画社会、これを何かで読みましたか。(遠山国務大臣「存じません」と呼ぶ)これは、やはり男は男らしく、女は女らしく、一つの今までの政府の考えている男女共同参画社会の、ちょっとそういうところから違っているんですね。
 しかし、いろいろな市が、男女共同参画社会とはこういうものである、男は男らしく父性を持って、女性は女性らしくお母さんの愛情を持って、お互いに協力して家庭をつくっていくんだとか、こういう考え方で、宇部市の場合はそれを提起したわけですね。しかし、どうも男女共同参画社会というのは違ったような行き方をしているようで、宇部市でもそれは大変大きな問題になったそうです。
 さっきの広島県のお話もそうなんですけれども、男女共同参画社会に対して、広島県はこうだと。宇部市の場合も、それぞれの市や県がいろいろなことを考え出して、国との考えとずれてきたときはどうしますか、大臣。

○遠山国務大臣 ジェンダーの問題は、私は長い議論が、日本のみならず世界でも行われてきたと思います。
 必要なことは、一人一人の人間がそれぞれの個性を十分に伸ばして互いに尊敬し合う、その上に、それぞれの立場を十分に発揮し得るようにということでありまして、らしさ、らしさというだけを強調していくということが問題だという、そういう方向にあると思います。
 私は、一人一人がそれぞれの能力を発揮していく上で、いろいろなチャンスが与えられていくということは非常に大事だと思います。そうしたチャンスという角度から見ると、まだまだ日本の場合には努力すべき面があるのではないかとも思われます。でも、それぞれの個人がしっかりした生き方を可能とされる、そういう社会である上に、また本当の意味の、それぞれの持っている特性というものが発揮されていく、そのような成熟した社会になっていきたいと思いまして、右か左かという議論にとどまっている段階ではまだまだ成熟していないなという感想を持ちます。

○中山(義)分科員 時間が来ましたので、この論議は、またどこかで大臣ともやりたいなという気持ちでいっぱいでございます。特に昨今は、性教育なんかでも非常に、ある意味で違った方向に行っているような気もいたしまして、大変心配な部分があります。そういう面でも、私どもはこれから、学校教育だけじゃなくて社会の良識とは何か、こういうこともしっかり考えていきたい、このように思っています。
 私どもは、国民の大体七割か八割が良識というものはある程度共有していかないと、日本というのは間違った方向に行っちゃうんじゃないか、こう思うんですね。そういう面でも、これからも、今度は経済産業委員会から、機会があったら大臣と副大臣のいる委員会に変わりましてしっかり論議をしていきたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いします。
 以上です。

○松崎主査 これにて中山君の質疑は終了いたしました。
 次に、小西理君。