153-参-厚生労働委員会-10号 平成13年11月29日

平成十三年十一月二十九日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     森 ゆうこ君     西岡 武夫君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     今井  澄君     円 より子君
     西岡 武夫君     森 ゆうこ君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 正俊君
    理 事
                田浦  直君
                中島 眞人君
                朝日 俊弘君
                柳田  稔君
                松 あきら君
    委 員
                久野 恒一君
                佐藤 泰三君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                鶴保 庸介君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                今泉  昭君
                川橋 幸子君
                辻  泰弘君
                円 より子君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                森 ゆうこ君
                西川きよし君
       発議者      沢 たまき君
   委員以外の議員
       発議者      清水嘉与子君
       発議者      入澤  肇君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣  南野知惠子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       文部科学省高等
       教育局長     工藤 智規君
       厚生労働省医政
       局長       篠崎 英夫君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
   参考人
       毛利助産所助産
       婦        毛利多恵子君
       東京慈恵会医科
       大学医学部看護
       学科教授     茅島 江子君
       社団法人日本看
       護協会会長    南  裕子君
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  本日の会議に付した案件
○保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案
 (清水嘉与子君外二名発議)
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢
 者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等
 を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送付)

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○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十八日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として円より子君が選任されました。
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○委員長(阿部正俊君) 次に、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案について三名の参考人の方々から意見を聴取することといたしております。
 参考人の方々を御紹介いたします。
 毛利助産所助産婦毛利多恵子君、東京慈恵会医科大学医学部看護学科教授茅島江子君、社団法人日本看護協会会長南裕子君、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十五分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず毛利参考人から御意見をお述べいただきます。毛利参考人。

○参考人(毛利多恵子君) 本日はこのような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 私は今回、助産師名称変更に関しまして緊急アンケートをいたしました。その結果、約三千近くのアンケートが集まりました。国民の声として、それを今回この審議で送り届けたいと思っております。それと、この助産という世界をぜひ議員の方々にわかっていただきたいと思って、きょうはスライドを用意してまいりました。ぜひ御検討いただきたいと思います。
 助産という世界はなかなか男性には理解されにくいことかもしれません。
 実は私のところは神戸にありまして、関西大震災で助産所は全壊いたしました。そのときに実は、震災に遭った翌日から、お産をした女性たちが助産所はどうなったということで次から次へと訪れてくださったんです。そのときに女性たちがおっしゃったことは、お産という体験は非常に自分の人生にとって大きな体験であった、その体験が自分の人生の原点になった、今このような人生上の危機が起こったときに私はもう一度あの原点に戻ってその場所を確認したいということでいらっしゃった方が数多くあったんです。
 この出産を扱う専門職がどういう仕事をして、その人材がどういう特性を持って、どういう教育をされ、どういう制度のもとにどういうケアをするのがいいのか、どういう名称がいいのか、そういう視点をもう一度考えていただきたいと思って、スライドでお産の世界を見ていただきたいと思います。
 では、スライドをお願いいたします。(スライド映写)
 これはホームバースといいまして、家庭分娩です。WHOは先進国向けにある勧告を出しました。女性が住んでいる一番近いところで、女性は生理的なプロセス、病気ではないお産をしていいはずだと。その安全性はかなり高いという結果が出ております。日本ではたった一%もないお産ですけれども、しかし今女性たちで少し自宅出産を希望する方がふえてきました。こういうふうに、助産婦はずっとその女性のそばに約十二時間から十八時間寄り添い続けます。痛みがありますので、かなりマッサージをしたり、この場面は、もう赤ちゃんが出るときは肛門部、おしりの方が大変押されてくるので、それを常に押さえてその圧迫感をケアするということをいたします。
 これは助産所での出産の風景ですけれども、今家族が立ち会ってお産をするということを望まれる女性がふえました。このシーンは生まれ落ちた瞬間です。まだ一分もたっていないスライドです。こういうふうに、女性は、出産は大変つらくて痛い体験ではあるけれども、それをどうサポートされて産んだかによってすごく深い自信になるわけです。彼女は生まれ落ちた赤ちゃんをじっと見ていて、上の子供、夫もそれを見ています。家族の誕生がここから始まります。大変プライバシーの強い体験ということです。
 そして、これは生まれて五分以内の写真です。こうやって赤ちゃんは大変自然なリズムで生まれますと、覚せい水準というんですが、大変覚せいがよい状態でお母さんの方を見ます。女性もこのときに赤ちゃんに没頭するんですが、赤ちゃんに静かに語られるわけです。
 それで、このときに、今、母子関係、虐待、いろんなことが問題になっておりますが、出産がいいときに女性は子供がいとおしくてしようがないとおっしゃいます。赤ちゃんに話しかけられるんですね。赤ちゃんもこういうふうに今視覚、五感がかなり発達していると言われていますので、こうやって赤ちゃんはお母さんの方を向いてじっとその言葉を聞いています。この瞬間の、羊水がついた温かい赤ちゃんを抱いた感覚は一生忘れないとおっしゃるんですね。この体験を保障することは、今の社会の虐待とか親子関係にとてもいい影響があるんではないかと実践上感じております。
 これも生まれて五分以内の写真です。赤ちゃんはお父さんが声をかけた方に振り向きました。こういうふうに暗いところで静かにお産をして、その家族が結びついていくこと、女性が赤ちゃんを本当にいとおしく思える心、それを育てるというのが助産だと考えております。
 今度は、ブラジルの海なんですが、私は実はJICAの母子保健プロジェクトでブラジルの方へ二年間、長期専門家で行ってまいりました。ブラジルには助産婦という職業がありません。
 厚生省は、帝王切開が約四〇%以上、大変医療介入が多いので医療経済が破綻するということで、正常出産にシフトしたいという政策を立ち上げました。そこで、だれを専門職として起用すると医療経済、安全性が高まるのかということで世界のデータを調査して、厚生省は助産所プログラム、助産婦を再養成するという決定をいたしました。
 お産は、もうとても機械的なお産をしていましたけれども、自然な、病気ではないので、陣痛も海の波のようにリズムで来るわけです。女性を苦しめ続けるわけではないわけです。苦しいときと楽なときがあって、楽なときに今エンドルフィンが大量に出ると言われていますが、大変至福のときがやってきます。痛いけれども気持ちがいい、そういう経験をして、女の人の愛情を受けて、女性はその痛みを乗り越えたとき、大変深い自信を持たれます。そして、育児をスタートされていくわけです。ブラジルでも同じことが起こりました。
 これはある大きな、一日四十件もある病院の風景です。こういうふうに、女性は痛いときにだれかに抱きついたり甘えたりしたいわけです。今の病院ではなかなかこういうことがうまくいかないことがあるわけですが、こういうふうに女性を抱き締め、つらいことを受けとめてあげる、そういうケアが非常に助産婦の特質かと思われます。ですから、今回は男性は入らないということですが、男性助産婦に関しては、本当にこのケアの特徴をよく見ていただいて検討いただければと思っております。
 最後に、こういうふうに、お産はその家族の一生の出来事、女性にとっては一生の大きな体験、五十、六十になっても出産体験はリアルに覚えていらっしゃいます。だれが何を言った、だれが何をした、夫婦関係でもお産のときの傷は、今、熟年離婚と言われていますが、その原因になっているというのがアメリカのウイメンズヘルスでの研究結果で出ていました。妊娠、出産、産後のすごく心身のナイーブなときの女性の経験というのは非常に大きく人生に影響すると私は考えています。
 現在、リプロダクティブヘルス・ライツの中で、私たちはこの概念というものは、女性が自分の体の主人公であるということ、そしてエンパワーメントするというふうに考えています。それを援助する助産婦という存在をぜひ御理解いただきたいと思っております。
 こういう助産の世界を知っていただいて、その職種の特徴をよく理解していただきたいと思います。
 それで、資料に書いてありますが、今回、アンケートをいたしまして、看護協会の方も五百八十名以上おりました。しかし、賛成される方が一〇%未満でした。私たちは、同じ職種としてこれを理解し、賛成が過半数ないものが法改正されるということに大変危惧を感じております。三千というアンケートは、たった一カ月で自己負担で郵送料を出して届けてくださったものです。ぜひこの国民の声を重視していただきたいと思っております。
 今回、この物事の決まり方に関して私は大変疑問を感じています。私たちが属します日本助産婦会は、昨年三月に自民党に、男性助産士導入、助産師名称変更、女性の選択権を保障してほしいという三項目を要望書として出しました。しかし、その要望書が出される前に会員の中では十分な論議はされませんでした。定款にない書面総会という形でそれが決められました。
 私たちは至急、会員の中で、全員できませんでしたが、アンケートをしました。七千名中の千五百名にした結果、八三%がノーでした。私たちは、会員の総意を反映しないということ、そして助産婦会という公益法人は女性の健康とか権利に関係する団体であるということを考えて、この助産婦会の決定のあり方に大変疑問を感じ、実は一昨日、弁護士を立てて、助産婦の職能団体である日本助産婦会に対して通知書を出しました。この決定のあり方に関しては、私たちは社会的問題にしていきたいと考えております。
 私たち助産婦会、ただ名前だけの変更とは考えておりません。名前に込められた助産婦の特徴、それから女性の権利、すべてが含まれていることです。ですから、とても大切に扱っていただきたいと考えております。
 最後に、当事者の声をとにかく尊重してください。現場の助産婦、そしてケアを受ける女性の立場を尊重してください。この法改正は、結果的には産む女性と助産婦にやってきます。そのことをよく考えていただければと思います。
 御清聴ありがとうございました。

○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 次に、茅島参考人にお願いいたします。茅島参考人。

○参考人(茅島江子君) 東京慈恵会医科大学医学部看護学科で母性看護学の教員をしております茅島でございます。大学では妊産婦さんへの看護の方法などについて教えております。
 本日は、厚生労働委員会にお招きいただき、ありがとうございました。この機会に意見を述べることができ、大変光栄に存じております。
 昨年あたりから、ようやく新聞、雑誌やインターネット上で、助産婦の業務に男性を入れることについての賛成、反対の議論が載るようになりました。多くの国民が参加して法律案についての論議を闘わせるということは民主政治にとって基本的なことです。国会の場において助産婦の名称の変更や資格の男性への拡大に関する意見の陳述が行われるのは初めてであり、看護婦や助産婦の教育に携わっている者として責任の重大さを感じております。
 さて、今回の名称改正法案、すなわち保健婦・保健士の名称を保健師に、看護婦・看護士の名称を看護師に、准看護婦・准看護士の名称を准看護師に、そして助産婦の名称を助産師に変更する法案について、三つの視点から検討する必要があると私は考えております。その三つとは、一つ目は男女平等の視点です。そして、二つ目が名称変更の裏に見え隠れする保健婦、助産婦、看護婦の三職種を統合しようという看護協会の方針との関連からの視点です。最後の三つ目が助産婦教育の現状から見た視点です。
 最初に、男女平等の視点から名称変更法案についての意見を述べたいと思います。
 一昨日に行われた名称改正法案の趣旨説明で、清水嘉与子議員は改正の目的を二つ挙げておられます。すなわち、一つは保助看法に定める資格の名称が男女で異なっていることを解消すること、そしてもう一つが専門資格をあらわすのに現在の名称は不適当なので専門資格として適当な名称に変えるというものです。
 助産婦は女性しかいないわけですから、最初の理由、資格の名称が男女で異なっていることを解消することは助産婦については当てはまりません。保健婦と保健士、看護婦と看護士、准看護婦と准看護士といったぐあいに、男女で職業名ないしは資格名が異なるのは男女差別であるという主張だと思います。それで資格名を性別に関係のない、いわゆるジェンダーフリーな一つの名称に変えようというわけです。しかし、男性と女性何でも一緒にするのが男女平等でしょうか。男性と女性何でも一緒にすれば男女平等は前進するのでしょうか。
 助産婦の仕事ほどではありませんが、看護婦・看護士の仕事も、保健婦・保健士の仕事もケアの提供者が男であるか女であるかがケアの受け手にとっては重大な関心事であると思います。
 このことを実証した興味深い研究をここで御紹介したいと思います。お配りしてある資料の一番上の資料1をごらんください。
 これは東京学芸大学の山田昌弘先生が看護者の性別に関する意識調査をされ、その結果を私がグラフに書き直させていただいたものです。
 この調査で山田先生は、男性と女性に次のような質問をされました。「あなたが入院して看護が必要なとき、体を拭くなど、日常的に看護してもらう人(看護婦または看護士)が次のタイプの人だった場合、どのように感じますか。」。調査の回答者には「好ましい」、「なんとも感じない」、「不愉快」の三つの中から答えてもらっています。
 調査の結果は、男性、女性を通して看護者として女性が好まれている。好ましいというのは左側の方ですが、好まれている。それと、男性からの看護を不快に感じる女性が非常に多いということを示しています。上の右側でございます。
 この研究結果が示しているように、看護や介護の分野では、ケアの提供者と受け手の性別の組み合わせが問題になりやすいと言えます。福祉の分野でも、ケアの受け手の羞恥心に配慮して、入浴や排せつの介助は同性による介護、いわゆる同性介護が行われるようになってきております。
 ケアの提供者の資格名を男性と女性で一緒のジェンダーフリーな名称にすることは、ケアの受け手の側からすると、名称ではケアの提供者の性別がわからず不安を覚えることも考えられます。私は、肌と肌を触れ合うケアの分野では、性差を尊重することこそが男女がお互いの尊厳を尊重することであり、男女平等の前進であると考えます。
 心の性差について語ることは、社会的、文化的につくられた性差、すなわちジェンダーを固定化するので、男女差別や女性べっ視につながるという主張が一方にあります。しかし、最近、男女の脳の性差に関する本がベストセラーになっておりまして、御存じかと思いますが、「話を聞かない男、地図が読めない女」、あるいは「脳に組み込まれたセックス」という翻訳本がよく読まれています。
 資料2に示しますように、「脳に組み込まれたセックス」の著者であるデボラ・ブラムは、この本の最後に、「男性と女性の最高の協調関係(パートナーシップ)とは、私たちがお互いの共通点を心から認め尊重することを学ぶと同時に、戸惑うほどの違いをも心から認め、尊重し続けてはじめて実現するのだろう」と述べています。私もこの意見に賛成で、真の男女平等とはこのようにして実現されると考えます。
 二つ目の視点に移ろうと思います。
 これは、日本看護協会の保健婦、助産婦、看護婦の三職種を統合しようという方針との関連からの視点です。
 先ほども述べましたように、助産婦は女性しかいません。ですから、名称変更法案の第一の提案理由である保助看法に定める資格の名称が男女で異なっていることを解消することは助産婦の名称を助産師に変える理由にはなりません。
 提案者は、第二の理由、専門資格をあらわすのに現在の名称は不適当なので専門資格として適当な名称に変えるを用意したのだと思います。なぜなら、清水議員は、産経新聞の記者に、法律の名称として保健師助産婦看護師法ではおかしいでしょうとしか話していませんし、取ってつけた理由としか考えられません。私は、保健師助産婦看護師法で少しもおかしくないと思います。
 私は、保健婦と助産婦と看護婦の名称を「師」
で統一する理由はほかにあると思っています。配付いたしました資料3に載せてありますが、昭和五十九年の日本看護協会の総会で、保健婦、助産婦、看護婦の三つの資格と業務を統合する看護制度改革を国に求めていく方針を決議しています。このとき同時に看護教育の四年制大学化と准看護婦制度の廃止の方針も決議しています。実は私は、この看護協会の十五年前の決議が今回の名称変更法案の裏に隠された提案理由なのではないかと思っています。
 ここで、私がそう考える理由を三つ挙げたいと思います。
 一つは、資料3が示すように、昭和五十九年の日本看護協会の決議で、保健婦、助産婦、看護婦の三つの資格と業務を統合した後の資格・業務の名称を看護師としているからです。「婦」やさむらいの「士」を教師の「師」に変える理由はここにあるのではないかと思うのです。
 二つ目の理由は、ことしの五月の新聞報道です。この報道には次のように書かれています。自民党の清水嘉与子参議院議員は、日看協通常総会のあいさつで、保健婦・保健士、看護婦・看護士など男女で異なる名称を保健師、看護師などに改める議員立法について、今国会への提出を断念したことを明らかにした、当初、男性に助産婦の門戸を開いた上で名称変更という道筋が模索されたが、男性助産士に対する抵抗感が強く断念、名称変更のみを先行させる二段構えに方針転換したが、合意が得られなかったと。
 これまで清水議員は、男性助産士導入とペアで名称変更を提案してきました。保健婦、助産婦、看護婦の三つの資格のうち助産婦だけが資格対象者に男性を認めていません。これでは保健婦、助産婦、看護婦の三つの資格と業務を統合できません。これが男性助産婦導入法案の目的であり、今回の名称変更法案もその一部分であると私は思います。
 私が、名称変更法案の真の目的が保健婦、助産婦、看護婦の三つの資格と業務を統合する環境整備であると考える三つ目の理由は、日本看護協会内部では、既に看護師の名称を保健婦・保健士、助産婦、看護婦・看護士を一つにまとめた用語として使っている点です。例えば、資料4に示すように、日本看護協会が行っている専門看護師認定事業での使われ方がそうです。
 日本看護協会は、ある特定の専門分野において卓越した看護実践能力を有することが認められた者を専門看護師として認定する事業を平成七年から行っています。専門看護師資格要件の中では、保健婦・保健士、助産婦、看護婦・看護士のすべての資格・業務を統合した意味で看護師の用語が使われています。
 最後に、助産婦教育の現状から見た視点に移ろうと思います。
 名称変更法案の提案者は、改正の第二の理由に、専門資格をあらわすのに現在の名称は不適当なので専門資格として適当な名称に変えるを挙げています。これは助産婦という名称が専門資格をあらわす名称としてふさわしくない、助産師の方が専門資格をあらわす名称としてふさわしいという主張です。
 私は、助産婦という名称が専門資格をあらわす名称としてふさわしくないとは思いませんし、助産婦の間でこのことについて議論したり、合意が形成されているわけでもありません。しかし、私は別の視点からこのことを批判したいと思います。
 先ほど、参考人で意見を述べられた毛利多恵子さんが触れられたアンケートにあるように、出産時のケアを提供する側も受け手も、その多くが助産婦の名称の方が女性に寄り添う身近な職業の感じがするので名称を変えないでと回答しています。私は、専門資格をあらわす名称として不適当だ云々の議論は、少なくとも受け手がどう感じるかの考慮を欠いた議論だと思います。
 現在、昭和五十九年に日本看護協会総会で決議された方針に沿って、約半数の大学が四年間の教育の中で助産婦コースを選択した数名の学生に対して、保健婦、助産婦、看護婦の三つの資格を取得できるようにする詰め込みの教育が行われています。助産婦教育では、病院などで十分に実習をする時間がなかなか確保できず、国家試験受験の資格要件である十例程度の助産の経験を積むことがなかなか難しい状況です。また、昭和五十九年の決議では三カ月の卒後研修を行うことが条件とされていますが、現在、そのような制度は存在いたしませんし、現場の受け入れ体制も整っておりません。医師の研修医制度が見直されている現在、受験資格要件の一部を卒後研修にゆだねるという教育制度改正案はむしろ教育の質の低下につながるものと考えます。
 最後に、すべてを男女で同じにするための名称変更よりも、もっと受け手の視点に立ち、この二十一世紀にどのような看護職を育て、質の高いケアを提供するべきか、十五年前の看護協会の総会決議をもう一度検討し直すことの方が重要であると訴えて、私の意見陳述を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 次に、南参考人にお願いいたします。南参考人。

○参考人(南裕子君) 社団法人日本看護協会で会長をしております南裕子でございます。
 日ごろは兵庫県立看護大学の学長として看護学生の教育に携わっております。
 本日は、私ども、日本看護協会の意見を聞いていただく機会をつくっていただきましてまことにありがとうございました。この名称改正法案に関しまして、唯一賛成の立場でお話をさせていただきます。
 私の意見を申し上げます前に、日本看護協会がどういう組織であるか、また日本看護協会の中でこの名称改正に向けてどのような手続がとられてきたかということをお話しさせていただきます。
 日本看護協会は、昭和二十一年に日本産婆看護婦保健婦協会として発足いたしました。翌年の昭和二十二年に保健婦助産婦看護婦令が公布され、産婆規則の一部改正で「産婆」が「助産婦」となり、昭和二十三年には保健婦助産婦看護婦法が制定されました。これを機に昭和二十六年に現在の名称である社団法人日本看護協会となっております。
 本会は、国民の信頼にこたえるライフサポーターを目指し、保健、医療、福祉の発展に貢献するようさまざまな事業を展開しております。
 現在、日本における看護職は約百十三万人が就業しておりますが、本会の会員数は五十二万人で、約五〇%の加入率でございます。会員の内訳は、看護婦・看護士は四十二万人、助産婦は二万人、保健婦・保健士は二万五千人、准看護婦・准看護士は六万人を抱える組織でございます。特に、助産婦は組織率が最も高く、就業助産婦の約七八%の方が本会に加入しています。
 先ほど述べました私たち看護職の身分法であります保健婦助産婦看護婦法が制定されましてから五十三年が過ぎようとしているところでございます。社会は高度経済成長が終わり、少子高齢社会となりました。また、医療においても疾病構造が変わり、医療技術が高度化し、複雑化いたしています。本会は、この保健婦助産婦看護婦法を時代に合ったものとするための努力を長年続けてまいりました。先生方にもさまざまなお願いをしてまいりました。前国会では、欠格条項の見直し、看護婦、保健婦の守秘義務の明記、罰則規定の見直しがなされ、御尽力くださいました議員の先生方に厚くお礼を申し上げます。
 さて、本日御審議いただいております性別による違いをなくすための名称改正に関しまして、私どもは、看護職の名称をそれぞれ保健師、助産師、看護師、准看護師と改正していただきたいと考えております。性別による相違をなくすための名称の改正に関する議論の始まりは、本会では平成三年度通常総会にさかのぼります。
 私どもの身分法であります保健婦助産婦看護婦法は、昭和二十三年に制定されたことがありまして、時代の流れに合わない部分が幾つかございますので、全体を見直す作業が全国で平成三年から続けて行われております。私どもは全国組織でございますので、看護協会とそして都道府県看護協会、また看護協会の中には職能別の委員会を抱えております。保健婦、助産婦、看護婦、それぞれが自分たちの身分に関する事柄はそれぞれのところで、全国津々浦々で議論ができる組織でございます。
 新しい時代に即応するために取り急ぎ対応が必要と考えられる改正のことを抽出して、平成十二年度通常総会に改正案として提出し、決議されました。その中に名称改正が含まれております。
 ちなみに、この通常総会は年に一回開催されますが、参加者は会員二百人に一人の代議員と一般参加者とでございますので、平成十二年度には七千人余りの参加がありました。大半の代議員、ほとんど全員一致に近い段階でこの保助看法改正の案が通過いたしました。
 また、七千人余の助産婦の皆様が加入しておられる日本助産婦会も、性別による違いをなくすための名称の改正を平成十二年三月の臨時書面総会で決議され、その後の五月の通常総会でも決議されていると伺っています。
 このように、私たちは性別による違いをなくすための名称の改正に関して、非常に長い時間を費やし、慎重に議論を重ねてまいりました。
 多くの職業の名称はさむらいの「士」、また教師の「師」の両方を使っております。さむらいの「士」の例としては、栄養士や保育士、理学療法士、消防士、操縦士などがございます。教師の「師」を使っている職業は、医師、歯科医師、薬剤師、臨床検査技師、美容師などでございます。したがって、さむらいの「士」も教師の「師」のいずれも男女の区別なく使用していると理解しております。しかしながら、看護職の場合、さむらいの看護士は名称に特定づけられました男性という名称にイメージがございますので、看護職では男女の違いのない教師の「師」を用いることが適切と考えます。
 名称統一を必要とする大きな理由の一つは男女共同参画の実現です。
 十五歳以上の女性の就業率は間もなく五〇%に達し、男性と肩を並べるようになってきました。この流れを後押しするように平成十年には男女雇用機会均等法が改正され、女性の昇進や夜間従事に関する制限事項が撤廃されております。男性しか対象でなかった職種にも女性が参画し、男性しか認めてもらえていなかった管理職への昇進などの対象に女性もなれるようになりました。また、従来、女性しかいなかった保育の場に男性が入り、通称保父が誕生しました後、男女共同参画時代の中で保育の資格の名称が保育士に統一されるということもございました。
 看護職は元来女性の仕事だと考えられていましたが、男性の看護婦は看護人と呼ばれ、早くから存在していました。日本で職業として初めて看護を行ったのは西南戦争のときの男性看護士であったとの報告もございます。
 昭和四十三年に男性の看護婦を看護士と称することとし、平成十年には約三万九千人が就業しております。しかしながら、身分法は、相変わらず保健婦助産婦看護婦法であり、一見男性の看護職がいないような法律の名前となっています。看護の実態をあらわすならば、その法律名も女性しかいない法律ではなく、だれが見ても男女の区別のない法律にする必要があると考えます。
 名称の統一に関して反対の意見をお持ちの方もいらっしゃることは十分に承知しております。本会は、今までの法案提出の際に男性に助産婦の国家資格を開放することもお願いしてまいりました。しかしながら、いわゆる男性助産師の問題につきましてはまだ議論が必要であると考え、このたびの法改正で要望はしないという方針を決めました。
 男性助産師の問題は、今回の名称改正のお願いとは問題が異なっております。全くの誤解の上に反対の意見が出されることを非常に残念に思う次第でございます。
 また、現在、女性しかいない助産婦を助産師にすることにも疑問を感じる方が多いことも存じております。しかしながら、「婦人問題」という言葉で「婦人」という言葉を使っていたのが今は「女性問題」に変わったように、「婦」は使われなくなってきております。国家資格において「婦」を使っているのは助産婦を除いてほかにはなく、同じ専門職である看護職として男女の性別にかかわりのない名称にしたいと考えております。
 また、先ほど参考人の方から御紹介がありました看護界では、既に看護のスペシャリストの名称に認定看護師、また専門看護師という教師の「師」を用いた名称を使っております。これは、日本看護協会だけが定めたわけではなくて、看護系の学会、関係団体が集まって協議をした結果、専門看護師という名称が一番適切である、認定看護師という名称が適切であるという了解を得まして、使われております。助産師にかかわりのあります母性看護専門看護師を育成している大学院も増加して、近々不妊看護の認定看護師も育成すべく検討中であります。したがって、助産婦だけ「婦」を残すということは看護界の動向の中では不自然な流れになっております。
 さらに、反対の意見を述べる方々の大きな誤解は、看護職の免許の一本化ということです。本会のホームページでも、一本化によって助産婦の資格が消えてしまうような意見が寄せられており、正しい情報が伝わっていないことが考えられます。
 確かに、本会は昭和五十九年の総会において、看護職は一本化すべきという決議をいたしました。それは茅島参考人がおっしゃられたとおりでございます。その背景には、看護の基礎教育はすべて大学で教育することが必要であるという考えがありました。しかしながら、それ以降は具体的な進展のないまま現在に至っております。これは、保健婦・保健士、助産婦がみずからの専門的知識や技術を確立し、業務や機能を明確にして発展させ、国民の期待と信用を得てきたという歴史があり、さらにその発展を願っているからです。
 また、看護職の統一は本会のみならず、看護に関連するすべての団体などの、また国民の御理解がなくてはその改正ができないということがございます。特に、免許の統一というのはそれ自体が大きな課題でありますし、関係団体等の議論がない現在では今回の名称改正の議論とは全く関係のないことでございます。
 昨今のテロを初めとした国際問題、経済不況、凶悪犯罪など、国民の暮らしを取り巻く社会は今非常に不安定な状態でございます。医療におきましては、今議論されている医療制度改革や、多発する医療事故などで国民の医療に対する不安と不信は増しています。その一方で、子育て不安、虐待、または介護疲れなど、手を差し伸べなければならない状況はたくさんございます。
 私たち日本看護協会は、常に国民の暮らしに根差した看護職でありたいと考えております。安心した暮らしを支えるためには、国民が必要としたそのときに安全で質の高いケアを提供することが必要です。そして、それは人間の尊厳と権利の尊重を基本とした深い看護倫理に基づいていなければなりません。
 看護職は広く国民の暮らしを見詰め、常にそばに寄り添い、社会の福祉に貢献する職種でございます。新しい世紀の初めに、教師の「師」という、保健師、助産師、看護師、准看護師という名称に改正されました暁には、さらに専門職としての自覚を高め、激動する社会の中で国民の暮らしを支えるケアの担い手として活動することをお約束し、意見論述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○委員長(阿部正俊君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
 きょうは参考人の方々にはお忙しい中おいでいただいて貴重な御意見を賜り、心から厚くお礼を申し上げたいと思います。
 特に現場の専門職の方々ばかりでございますから、大変興味深くお話を聞かせていただきました。
 時間が余りないものですから、いろいろお尋ねしたいなと思っておりますが、簡単な質問をいたしますので、ぜひ簡単にお答えをしていただければというふうに思います。
 初めに南参考人にお尋ねしたいんですけれども、この法案は男女共同参画あるいは男女均等法という意味からは不備ではないかと思うんですね、特に助産婦の方においては女性だけということになっているわけですから。そういう意味から、そしてまた今、あとのお二方から言いますと、どうもこの法案には賛成ではないというふうなお話のようでございました。そんな中であえて強く名称を変えることを希望しておられるといいますか、そういうところは私はちょっと腑に落ちないところがあるんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。

○参考人(南裕子君) 名称改正に関しましては、先生方は何か早急な発案ではないかというふうにお受けになられている節もあるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、日本看護協会では、私ども専門職として男女共同参画にふさわしい名称は何なのかということを模索してまいりました。看護婦の「婦」が、女性問題を扱いますときに今まで「婦人問題」と言っていたのをあえて「女性問題」と言い始めた、女性の問題を扱うときには「婦」という名称を使わなくなったというのは、「婦」という言葉はほうきを持った女という意味がございます。私たちは専門職としてふさわしい言葉は何なのかということで、平成三年から模索していろいろな案を考えてまいりました。「士」にするのか、教師の「師」にするのか、「婦」のまま残るのかということでございます。
 私どもは看護婦という言葉に愛着がないわけではございません。看護婦さん、婦長さんと呼ばれることに関して、私たちは今まで気持ちよくそれに対応してまいりました。しかし、これから新しい世紀に入りました。五十年間続いた名称も新たな時代に来たというふうに思います。
 そういう意味で、男女共同参画の中で女性だけの職業かのようにとられる名称改正をお願いしたいということと、助産婦に関しましても、「婦」という言葉ではなくて、私たちはもう既に母性看護専門看護師または不妊治療の認定看護師という言葉を助産婦の人たちの中で議論をして、この名称が最も適切であるというふうに理解しておりまして、私たち自身は「師」にすることが適切であるというふうに思っている次第でございます。

○田浦直君 今お話がありました。私も実は医者でございますから、看護婦さん、婦長さんと随分呼びなれてきたんですよね。看護師さん、看護師さんはいいけれども、しかし今度は婦長さんは師長さんと、こう呼ぶわけです。市役所かどこかに行ったような気になる。非常になじまれておった言葉だと思うんですよね。これは私ども医療関係者だけじゃなくして、国民一般、患者さんですね、そういう方々に対してちょっと違和感を感じるところが強くあるんじゃないかなという心配を私はいたしております。
 質問ですけれども、今お二方は、助産婦さんは反対だという意見が強いようでしたけれども、看護協会の中でも傘下に助産婦さんがおられると思うんですよね。そういった方々はどうなんですか。

○参考人(南裕子君) 現在、就業しています助産婦の七八%の方が日本看護協会に私たちとともに参加してくださっているんですが、そこに助産婦職能委員会というのがありまして、東京にある委員会だけではなくて全国の都道府県看護協会にそれぞれございます。年に二回、全国の助産婦会の集まる会がございます。また、総会のときに助産婦集会というのがありまして、助産婦が全員集まる会がございます。そういうさまざまな組織を通して、名称改正に関しましては助産婦さんも助産師でいいのかということを議論してまいりました。また、日本助産婦会の皆様方とも議論をしてまいりまして、看護職の皆さん同じで「師」でいいのではないかということでございます。
 先ほど呼称のお話がございました。お医者様は医師という名称ですが、医師さんとかいう名称は普通はお使いにならなくて、お医者様とおっしゃいます。今まで婦長の上に総婦長がございましたが、看護部長という名称になりました。したがって、これからの呼び名、婦長に関して適切な呼び名、看護課長と呼ぶのか等のことに関しては今後の議論になろうかというふうに思います。介護支援のことをやっていらっしゃる方たちはケアマネジャーという片仮名が定着しておりますので、人によってはナースと呼んでもいいのではないかという提案もございます。

○田浦直君 それでは、毛利参考人にちょっとお尋ねしたいんですが、今申しましたように、私どもからいうと、男女共同あるいは均等法からいうとこの法案は不備だと思っておるわけなんですよ、実は。これは助産婦を女性に限ると書いてあるわけですが、それでも毛利参考人としてはやっぱり反対なのかどうかですね。

○参考人(毛利多恵子君) それでも反対です。
 私は、学ぶ権利、働く権利が男女で均等だという案には反対はしていません。しかし、その三つの権利を比較したときに、ケアを受ける女性の権利が最優先だと考えています。そのケアを受ける女性がノーと言うことを最優先すべきで、そのノーと言わなくても済む現実というのは今起こっていないわけです。ですから、女性のノーを最優先していただきたいと思っています。
 それと、あと私たちは、看護協会の中でも助産婦たちが知らなかったとか、論議した覚えがないというふうな意見を聞いておりまして、今回は五百五十八名の看護協会の会員の意見でしたが、賛成の方が八・二%だったんです。私はもっと高いと思っていました、論議されているならば。しかし、反対が五七・二%。もし看護協会が賛成ならば、協会の助産婦が本当に論議してそれに賛成したのかどうかという証拠をいただきたいと思っています。看護協会に加入する場合はほとんど施設加入ですから、自動的に会員になってしまいます。決議権は助産婦に任されておりませんので、その決議のあり方を私たちは問題にしたいと思っております。

○田浦直君 では茅島参考人、ちょっと一言だけ、時間がないものですから。
 今お話を聞いて私は賛同するところはあるんです。すべて性別を平等だというのもおかしいのじゃないかという御意見でありまして、私もそう思うんですね。職業あるいは文化、日本の文化はいろんな面で男女差あるいは性別差、いろいろなものがあっていいんじゃないかという気がするんですけれども、もう一度ひとつその辺を御確認をさせていただきたいと思いますが、そういうふうに思われますか。

○参考人(茅島江子君) やはり、性差を尊重する流れというのがこれからの時代には大切になってきます。今まで男女平等、男女雇用機会均等、男女共同参画社会という名前で男女同じ名称というのできましたが、これからの時代は人権を尊重する時代になってくると思うんですね。
 ですから、そういう意味では同性介護もそうですね、同じ性の人が介護をすることで羞恥心を感じないようにするということなんです。実際に同性介護を反対されたのは看護職とかお医者様とか、そういう方が反対されて、そのほかの方がやってみようと言って十年間やった結果、男性、女性の障害のある方が自分の性を本当に大事にするようになった、羞恥心が芽生えてきて、人間としての根本的な権利を今まで侵害されてきたのだということを臨床心理の方なども感じたと言っておられました。

○田浦直君 どうもありがとうございました。

○円より子君 民主党・新緑風会の円より子です。
 私は、助産婦への男性導入問題と、そしてこの名称変更が出されてきましたので、民主党内でワーキングチームをつくりましてその座長を務めてまいりました。そして、さまざまな専門家の方々から御意見を伺ってまいりました。
 その中で、先ほど南会長が、保健婦、助産婦、看護婦の免許の一本化というのは国民の理解がなくてはできないことだ、これからも十分議論したいとおっしゃっておりましたが、実はワーキングチームで看護協会の専務理事さんや常任理事の方をお招きしてお話を伺ったときに、つい先日のことなんですけれども、今回の改正は名称変更だけですが、実は保健婦、そして助産婦、看護婦の三職種の一本化のことと、それから男性助産婦導入については引き続き会の要望の方針だということは変わりませんとおっしゃったんですね。
 この件について、南会長の方で、看護協会はそういうまだ御意向なのか、ちょっと伺いたいんですが。

○参考人(南裕子君) 男性助産師に関しましては、日本看護協会は学ぶ者の権利を男性と女性とで区別する必要はないと考えております。受ける人の立場で女性の方々の権利を守っていく手だてというのは十分にしないといけないとは思っておりますが、助産婦がかかわる仕事は助産の仕事だけではございませんで、これからは赤ちゃんを産み育てていくのは男女共同で、男性も産休をとる時代になりましたから、男性のニーズもございますので男性の役割もあるというふうに考えております。だから、条件整備が整えば男性の導入はあり得るというふうに思いますが、今回は私たちはそれをお願いしているわけではございません。新たに別の議論が必要だと考えております。
 資格、免許の統一に関しましては、昭和五十九年に総会の決議をしています。その決議以後、本会はいろいろなことを決議して将来構想に向けて努力をしていきます。昭和五十九年の段階で看護系の教育を四年制の大学にするという夢の中で議論されたことでございまして、あれから十五年、今また目覚ましく医療界が変わってきております。看護協会がこれをそのまま持続していくかどうかという議論は新たに起こさないといけないことだと私は考えております。
 したがって、今回は、資格統一に関しましては看護協会内でも議論をしておりませんし、他の団体とも議論をしておりませんので、名称改正には関係がないところと理解しております。

○円より子君 はい、わかりました。ありがとうございます。
 それでは、今、助産婦に男性導入のことは引き続き検討していきたいというお話でございましたけれども、先ほどからお話を伺っておりますと、もちろん看護職の方々が名称変更をしたいということも、また助産婦の中で男性導入をしたいということもいろいろ議論されて、またそういう要望が長くあったということも、議論も長く慎重になさってきたということもわかりましたが、私たちは、この名称変更だけではなくて、やはり看護を受ける、それから助産の介助を受けるということは受け手の側に大きな問題がありますので、業界といいますか看護界だけの意見でこうしたものが通ることに大変危惧を感じております。
 特にワーキングチーム、民主党は、組織されない女性たち、受け手の側の、ケアを受ける側の女性たちの意見を十分反映した常に法改正でありたいとこれだけじゃなくて思っておりまして、男性助産婦導入問題、また先ほど田浦先生もおっしゃっていましたが、なじんできた助産婦さんとか看護婦さんという名称を変えること、その両方について、受け手の側の女性たちの意見、アンケート調査、そういったものをなさったのか。
 それから、先ほど男女共同参画社会という時代の流れに沿ったものだとおっしゃいましたが、男女雇用機会均等法でも差別に関する指針で例外規定がございます。警察でもレイプされた女性たちにはちゃんと同性の人たちが状況を聞くとか、また介護の現場でも女性同性介護がだんだん主流になってきております。そういう状況下で、なぜあえて医師よりも性器に長くかかわる、点ではなくて線でかかわる助産婦に男性を導入しなきゃいけないか。その辺を受け手の側から考えられ、意見をとられたんでしょうか。

○参考人(南裕子君) 私どもは、国民がどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということは、調査という形ではございませんが、各助産婦職能が都道府県にございますので、直接目の前の方々の御意見は伺っております。女性たちは、当然嫌な方もいらっしゃるし、気にしないわと言う方もいらっしゃいます。既に看護婦の教育の中には、以前は男性は母性病棟、産婦人科病棟では実習ができなかったんですが、現在もう既に実習をしております。本学でも男子学生がいまして母性の病棟で実習しておりますが、学生側も患者さん側もお聞きしたところでは意見は分かれるところです。
 したがって、実践上で実際に男性が導入できるかどうかということに関しましては、いろいろな条件整備をしないといけないというふうに考えております。ただ、資格の段階で、学ぶ権利、例えば私どもの男子学生も助産について学びたいという学生もいます。学ぶ権利や資格の段階で閉ざすことはないのではないかというのが看護協会のスタンスでございます。

○円より子君 学ぶ権利、職業を持つ権利は確かに平等でございますが、女性のプライバシー権、そういったものの方が重要だということもございまして、これはまた引き続き午後の部分でいきたいと思います。
 ちょっと毛利さんまたは茅島さんにお伺いしたいんですが、毛利さんからは先ほどスライドを見せていただきました。あの中で、かなり控え目なスライドしかお出しになっておりませんが、私たち女性は、子供を産むときもそうですが、病院の分娩台で本当に冷たい雰囲気の中で指示されながら怒られて産むということで、せっかく子供を産むときに余り楽しい気分になれないんですね。そもそも実体験からも、ほとんどの女性たちは背中を下にして分娩台であおむけになって子供を産むと、それまで立っていろいろやったり座ったりしているときは子供がどんどんおりてきてもう産まれそうなのに、逆に全然産まれなくなってしまうという感覚をみんな持っております。
 ああいった病院での分娩台での出産の仕方というのは私たちは全く合わないと思っているんですが、日本の出産医学といいますか、そういったことはきちんと科学的にこれが本当に生まれる子供にとっても母親にとってもいいことなのか、そういった証拠がある医療が行われているのか、そういった調査が行われているのか、その辺についてもしおわかりになればお聞かせ願いたいんですが。

○参考人(毛利多恵子君) まだ日本では、あおむけで分娩台が狭くて冷たいとか、足を広げて無影灯という手術の光を当てられてお産をする女性が多いわけですけれども、今、エビデンス・ベースド・プラクティスといいまして、医学の中でも、看護の中でも、助産の中でも証拠に基づいたケアをしましょう、何が効果的なのかということをわかった上でケアをしましょうという流れになってきました。
 WHOが勧告を出しました。それは先進国向けに出されたものと私たちは聞いているんですが、その中では、分娩体位は女性が自由に選ぶべきであると。その方が胎児の状況と女性の精神的な面と分娩経過が早くなるという結果が出ております。
 現在、私たちは助産所で自由な姿勢でお産をしているんですが、あおむけをとる人はたったの一・七%なんですね。ほとんどが四つんばいとか、前傾姿勢といいますか、いすにもたれた姿勢で、そうすると重力を利用しますのでかなりスムーズに赤ちゃんが出てくる。私も病院で、最初は周産期センターで働いておりました。よく出口部難産といいまして出口で詰まっちゃうことがあるんですが、その場合に四つんばいにすると実にスムーズに出てくるということで、今はいろんな病院でも体位を自由にするという動きがやっと始まってきました。
 姿勢を自由にすると女性は自由感があるんですね。拘束されないということはすごく大切で、自分の意思とは無関係に何か医療処置が侵入された場合、その心理はレイプに似ていると言われています。ですから、私たちはお産のケアをして、それで加害者にはなりたくないというふうに考えるので、女性の側からはそういう姿勢がもっと進められることを祈りたいです。

○円より子君 茅島参考人にお伺いしたいんですが、そういったいいお産のあり方みたいなものは助産婦教育の中でかなり今行われているんでしょうか。

○参考人(茅島江子君) 私は、大学の中で助産婦教育をしてきた人間としましては、なかなかそういう教育はできておりません。というのは、実習時間も短いですし、私が受けた教育は、十例の中でも三例は妊娠中から出産後までずっとケアをするという経験をしていますけれども、大学の中ではそのような実習をできない状況にありますので、そういう経験が少ないのが残念だと思っています。

○円より子君 ありがとうございました。

○松あきら君 公明党の松あきらでございます。本日はお三方の参考人の先生方、本当に御苦労さまでございます。ありがとうございます。
 私自身は、私的なことでございますけれども、五年間の不妊治療をいたしましたけれども、残念ながら子供には恵まれませんでした。その間には男性のお医者様あるいは女医さん、今、婦人科の主治医は女医さんでございますけれども、いろいろな先生に診ていただいたりいたしました。その経験から申しますと、女医さんがいい、あるいは男性の先生がいいということは、別に性では、性差では決められないなと、こういうふうに思っております。
 私自身は、今回、名称の変更に関しましては、実は個人的には名称の変更自身は今のままでもいいのではないかなと思っているんですね。
 しかし、ここにもちょっと表があるんですけれども、今、保健婦、助産婦、看護婦の女性のみ、あるいは制限なしというのを諸外国で見ますと、女性のみというのが、台湾、マレーシア、中国、日本、インドネシア、バングラデシュ、カンボジア等々、スリランカ、ナイジェリア、トンガ、ベトナム、ガーナ、マルタ、タンザニアなどの、こういった国。そして、制限なしというのが、先進国はほとんどそうです。そして、ミャンマー、フィジー、ネパール、フィリピン、タイなども制限なしということになっております。
 私自身は、この名称の変更ということよりも、やはり今まさに男女共同参画社会推進ということから見ましても、そして学びたい、あるいは資格を取りたいということに関して、これは門戸を閉ざしてはいけないというふうに私自身は実はそういうふうに思っているんです。そして、しかし大事なことは、まだこういう国民的議論がなされていない、本当にこれをまず深めていかなければいけない。そして、もしこれを制限なしとこの諸外国のようにするのであれば、きちんと選択をできる、体位も含めて選択をできる、法的な規制までも含めてこれをきちんとやった上で私は制限を撤廃すべきだと、そういう意見をまず申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 その上で、南先生に一点。
 今、医療事故などの影響で医療に対する国民の不安、不信などが募っているわけでございます。今後、「師」という名称に変えたいということでございますけれども、専門職としてどのようにこれに対応していくおつもりか、それを伺いたいと思います。
 それから、茅島先生に二点お伺いしたいと思います。
 現在、男子の助産課程の修了者が一名いるというふうに伺っております。また、助産課程を学んでいる者が一名いると、先ほども出たと思いますけれども、そういうふうにお伺いしました。このように、助産課程に男性学生が学ぶ場合、大学の教員として、先生としてどのような支援が必要か、あるいはそういった配慮は必要ないとお考えか、これが一点でございます。
 また、職業選択の自由、学問の自由、これは憲法上で国民の権利としてうたわれているところでございます。私自身も、先ほど私の考えを申し述べさせていただきましたけれども、男子学生が助産課程を修了しても国家資格が取れないという現状に対して、教育者としての考えをお伺いしたい。
 以上でございます。

○参考人(南裕子君) ありがとうございます。
 医療不信に関しましては大変責任を重く感じております。私どもは、名称が変わろうと変わるまいと、このことに関しては自覚を持って私どもの実践が向上していくように、また責任を重く受けとめていくようにというふうには考えております。
 ただ、二十一世紀のこの最初の年に私たちが長年願っていました名称の改正ができますと、私たちは気持ちを新たに医療事故の防止またはさまざまな国民にとって最もふさわしいケアのあり方等のことに関しまして次々といろいろと手を打っていきたいというふうに思っている次第でございます。

○参考人(茅島江子君) まず第一点ですね、男子学生、修了生が一名いるという、この学生に関しては私もちょっと話を聞いておりますが、その学生は、現在、母性病棟で働いているわけでもございません、看護士としてですね。その助産婦課程を終えても資格がない、だけれども看護士としては働けるわけですよね。ですけれども、そこでも働いていない。なぜならば、彼は、その学校で自分が助産婦教育を受けているときにかなり教員から手厚いケアを一緒に受けたと、サポートされて自分は卒業することができた、それだけの配慮をして初めてその助産というのは成り立つんだと、だから今僕はすぐに助産士になるということを言っていないんだというようなことをちょっと聞いております。
 それと、教育上の配慮なんですが、今現在、母性看護学の実習でもかなり配慮をしております。乳房ケアとかあるいは外陰部のケアに関しては女子学生と一緒につけるとかいうことで、一人でのケアはなるべくさせないようにというような配慮をしております。ですから、女性に対する羞恥心を配慮して教員が必ずつくという、あるいは女子学生をつけるというような形でのケアのやり方、学習の学ばせ方ですね、そういう配慮をしなければいけないので、実際にその方が資格を取ったときに本当に一人で働けるのかどうかというあたり、非常に疑問に思っております。
 それから、第二点目です。
 学問の自由ということですが、既に男性助産士が教育課程の中に入っているということですけれども、看護士の場合でも資格を取るまでに十年以上たっている、たしかたっていると思うんです、教育を受けてからですね。ですから、そういう意味では、今回の男性の問題というのはもっともっと保健士よりも議論が起こっておりますので、十分な議論をした上での導入をするならばする、あるいは、先ほど先生がおっしゃったように、チョイスできる環境を整えるような条件整備をきちんとした上でのことならば私はよいかなとも思いますが、条件整備が現在できていない中で学問の自由を言うことは女性の人権を優先しないことにつながると私は思っております。

○松あきら君 ありがとうございました。

○小池晃君 最初に毛利参考人と茅島参考人にお伺いしたいんですけれども、男性助産師導入に対する強い危惧の念をお持ちだということ、大変よくわかりました。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、この議論の中で、先ほどもちょっとあったんですけれども、選択権が保障されればいいのではないかというような議論がございます。それでもやはり危惧の念が強いという意見もあるわけです。この選択権が果たして保障される、現実的に可能なのかということも含めて、この問題についてどのような御意見をお持ちか、それぞれお伺いしたいんですけれども。

○参考人(毛利多恵子君) お産というのは陣痛という痛みがやってきます。かなり女性は無防備な弱い立場に気持ち的に置かれることが多いです。そのときにノーと言うのは大変難しいと思っています。だから、かなり安心した環境が設定されて初めて女性は本音が言えるというふうに思うので、それをつくるのはかなり条件整備が必要かと思います。
 以上です。

○参考人(茅島江子君) やはり、選択権が保障されるかということなんですけれども、現在、助産婦養成校がどんどん減少しているんですね。そして、看護婦の資格を持った人が助産婦養成校に入るということに、権利があるわけで、現在養成校が減少しているために、看護婦の資格を持っていても助産婦になれるコースはどんどん減っているわけです。そういう中で、地方に行きますと助産婦が余りいないというところもかなりありますので、そういう意味ではもっともっと助産婦を養成していただきたいと、そしてたくさんいれば選択権も行使できるだろうと思っております。

○小池晃君 それからもう一つ、この男性助産師導入を進める側から出てくる声として、実際、助産の場ではなくていろんな活躍の場があるんだなんという話もあるんですね。例えば、思春期の男子に対する性教育とか不妊の夫へのカウンセリングとか、あるいは国際医療協力というような、そういったことも言われているんですけれども、果たしてこれが本当に男性助産師を導入するという根拠になり得るのかということについて、やはりそれぞれ御意見をお聞かせ願いたいんですけれども。

○参考人(毛利多恵子君) 私はならないと思います。
 この保助看法では、助産婦というのは、妊娠それから助産、介助、そして産後の保健指導をなす女子とするという法律がありますが、助産をするというのが私たちの専門職性であります。そこがどうかということがクリアされないで、その周辺のことで専門性を問うというのはおかしいと考えます。

○参考人(茅島江子君) 私は、性教育などは、男性には男性をということがありますけれども、これは別に助産婦でなくてもいいわけで、保健士あるいは看護士でもできることであると思います。
 それともう一つは、性教育というのは助産婦の仕事だけではないんですね。助産婦は一部受け持てますが、主に学校の教員がしているわけです。そうすると、そのことが助産婦の専門性の一部ではあっても全体ではないということだと思います。

○小池晃君 男性助産師の導入については、大変強い意見もあるという中で時期尚早であるという御意見は、私はまことにもっともだというふうに思っております。今のお話を聞いて、進める側の論拠というのも弱い面があるのではないかなという印象を受けました。
 その上でちょっと南参考人にお伺いをしたいんですけれども、先ほど参考人は陳述の中で、男性助産師の導入問題と名称問題というのは別問題だというふうにおっしゃいました。ということは、看護協会の内部での議論あるいはその手続というのは、男性助産師導入ということに関していうと、これからの問題だ、これからスタートで、今の段階ではその問題については特に手続なり一定の見解というのはないんだというふうに理解してよろしいんですね。

○参考人(南裕子君) 先ほど申し上げました総会を通過した法案、私どもの法案の改正の中には男性の助産師を導入することが入っております。
 したがって、本会の体制というのは、名称改正と男性導入のことに関しましては、本会自身はございますが、私たちは准看護婦廃止等々いろいろなことを決めておりますけれども、法案提出というのは手続が必要だと思います。そして、一般市民の皆様方、国民の皆様方が御理解いただけないと法案は提出できないということも理解しております。
 そういう意味で、できるところからお願いしていくということもございますし、今回は、助産婦だけの問題ではなくて、看護婦、保健婦の問題がございますので、名称改正だけを提案しているということになります。

○小池晃君 ありがとうございました。

○森ゆうこ君 自由党の森ゆうこでございます。
 きょうは、三人の参考人の皆様、大変ありがとうございます。
 先ほど毛利助産婦さんのお話を聞いて、大変いいお産のケアをされているんだなと思いまして、私なんて、お産が楽だったものですから病院のベッドにほっておかれたまま、だれの手助けも受けないまま、お医者さんが来るのをもうちょっと待ってという感じで、非常に惨めな思いで三人の子供を産んだということで、もっと本当に、女性が出産のときに至福のときというような気持ちになれるような助産の体制というのが早く整備されるべきだろうな、そっちの方が先だろうなという気持ちで先ほどの話を伺いました。
 それで、今回は名称のことというふうに南参考人もおっしゃっておられますけれども、名称というのは非常に重要な問題でして、男性と女性だけの名称ととらえられるべきではないということが南参考人の主張でいらっしゃいますし、茅島参考人、そして毛利参考人の主張は、女性に寄り添うということをむしろ名称の中に入れた方がいいんだということだったと思うんですが、そのことについての、サービスを受ける、ケアを受ける側の女性の立場に立っての名称ということについて考えた場合、南参考人からほかの二人への反論というのをお聞きしたいんですが。

○参考人(南裕子君) 名称に関しましては、「婦」という言葉が適切であるかどうか。例えば、以前は助産婦は産婆と呼んでいた時代がございます。それから助産婦という名称になりました。時代とともに名称も変わっていくということはあろうかと思います。
 私たちは、このたびは、看護婦とか保健婦は何々する「者をいう。」と書きますが、助産婦に関しましては「女子をいう。」と女性を特定しております。したがって、例えばほかの職種、教師でも、ほかの職種はすべて名称は中庸な名称をつけられていますので、優しい先生が欲しいというのはあると思いますけれども、保母さんも、優しいお母さんみたいな保母さんが欲しいという方があったとしても保育士さんという名称になります。したがって、名称が持つトーンというのは確かにございますが、名称が変わるときというのはなれないので、名称に対する違和感というのは国民の中にあるというのはよくわかっています。そういう意味で、私どもは御理解いただける努力をしていきたいというふうに思います。
 「師」になったから患者さんに添わない人になるというふうには、看護婦も患者さんのそばにいて、患者さんの死の間際までそばにいるものでございます。だからといって、「婦」でないといけないということではないというふうに思います。

○森ゆうこ君 引き続き南参考人にお伺いしたいんですが、看護協会の意見の代表者としてきょうお越しになっていらっしゃるわけですけれども、先ほど意見の集約の手続がおかしいのではないか、物事の決め方について非常に疑問を感じるというようなお話がお二人の方から出されたんですが、その点についての反論をお聞かせください。

○参考人(南裕子君) 毛利参考人からのお話では、調査に基づいて看護協会の中にも反対の人が多いじゃないかという御意見でした。私は、調査というのは調査用紙を見てみないと本当の意図は伝わらないと思います。私は、調査用紙を拝見して、あたかも今度は男性の導入がある、または名称の統一が裏にある、だから名称改正が行われている、それに対して賛成、反対を問うているということがわかるような、そういうような導入がされている調査でございました。
 意見はいろいろな聞き方があると私は思います。看護協会は、先ほども申し上げましたように、都道府県看護協会と力を合わせまして、都道府県看護協会には助産婦職能団体がございまして、そこで助産婦に関する事柄は議論をしてまいります。そして、私たちの中で助産婦が賛成しないことは決して決めません。
 助産婦さんは目の前の患者さんとお話し合いをしています。また看護協会は、先ほど私は言い忘れましたけれども、ホームページを開いておりまして、市民の声を聞く機会も設けてございます。
 もちろん、五十万人いますし、看護協会の中で知らない人がいるというのは、私どもの努力が足りなくて五十万人全員に徹底していないというのはあり得るかもしれません。しかし、民主主義というのは手続を踏んでみんなの総意を取りつけていくということで、私はこのことに関しては非常に丁寧にやってきたというふうに思っております。

○森ゆうこ君 そうしますと、南参考人の方は、看護協会の会員の合意が得られて、そしてそれを代表していらっしゃるというお立場だと思いますが、その点に関して茅島参考人の方から御意見をお願いいたします。

○参考人(茅島江子君) 私も二十年以上看護協会の会員でございます。看護協会のニュースを見ておりますが、それ以外の情報がなかなか入ってこない状態です。ですから、今回、男性助産師問題についても名称変更についても、特に名称変更に関してはほとんど会の中に、男性とペアではないわけですよね、名称だけの変更はどうかと言われていて、助産婦会は、「助産婦」という雑誌の中で、名称だけの変更には反対ですと二回雑誌に書いているんです。
 そういうことで、今回は名称だけの変更だけれどもどうかというような聞き方はたしか看護協会の方ではなされていないように思うんですが。

○森ゆうこ君 ありがとうございます。
 同じことに関して、毛利助産婦さん、お願いします。

○参考人(毛利多恵子君) 今回、バイアスが大変強いアンケートをしたという御指摘だったと思います。でも、私たちは民主党のヒアリングでその情報をキャッチして、これを私、助産婦に伝えたいと思ったんです。それで、伝えてどうかというアンケートをとりました。ですから、私たちは、岡谷専務理事がおっしゃった看護師一本化、男性助産師導入が背景にあるというふうに考えて、それを助産婦にとにかく情報提供したいという思いでそれをしました。それがバイアスならば、看護協会の方たちが、違うわよ、それはという意見があってもいいのですが、それは一切私の場合は受けることがありませんでした。

○森ゆうこ君 ということで、それぞれのお立場によってこの看護協会でのコンセンサスが得られているというところについてはまだ疑問があるということだと思うんですが、それと同時に、やはり受け手の側、女性の立場で、助産婦さんが現場で女性たちにそういう意見も聞いているというふうなお話がありましたけれども、私は、実際、地元に帰ってこのお話を聞いてからさまざまな女性たちに聞いてみましたけれども、別に名前ということだけではそんなに、そんなの変える必要があるのと余り問題にもしない。
 ただ、今までの流れの話をしますと、嫌だ、生理的に受けつけられないというふうなお話ですが、そういう声にどのようにお答えになられますでしょうか、南参考人にお聞きします。

○参考人(南裕子君) 受け手の側の方々が嫌なものを嫌と言える環境を整えていくということは、私は非常に重要なことだと思っております。したがって、医療を受ける側、または分娩介助を受ける側が嫌だと思える状況設定は大いにしていったらいいと思いますが、資格の段階でハードルを決めるわけではない。
 例えば、助産婦の仕事は多様であるという話がありましたけれども、それは助産婦じゃなくてもいいというお話ではありますが、助産のことがわかっているがゆえにお父さんや男性たちへのアピールができるということも今後は若い人たちの場合はあるというふうに思っておりますので、私はそのように思いません。
 先ほど看護協会の総意が取りつけられてないかのような御発言でございましたけれども、私たちは総会が最高決議機関です。民主主義のルールでございますね。すべての法律が、国民一人一人が全部知っていた上で物事を決めているんでしょうか。もちろん知る努力をいたします。平成三年から私たちはしてきております。
 そういう意味で、国民に向けてもいろいろな意見を問うてきております。そういう意味では、看護協会の中では必要な手続を飛ばしたことは一度もございません。特に、看護職員としましては非常に重要な名称改正でございますので、そういう意味におきましては、手続をとってきて看護協会としては組織決定をしているということでございます。

○森ゆうこ君 ありがとうございました。

○西川きよし君 本日は御苦労さまでございます。
 まず、私の方からは毛利参考人にお伺いをしたいんですが、日ごろ事務所に御丁寧に資料をいただきまして、本当にありがとうございます。いただきました十一月七日の要望書の中からちょっと質問をしたいんですけれども。
 「助産婦学校には、すでに男性が入学しています。法律がまだ変わっていないのに、実習の体制も不備なまま、教育は開始されています。」、こういうふうにあるわけですけれども、厚生労働大臣あるいは文部科学大臣の指定を受けた養成施設ですから、そうした状態というのは大変問題があるのではないかなというふうに私自身思うわけですけれども、この点、詳しくお述べいただけますか、時間はたっぷりございますので。

○参考人(毛利多恵子君) 今現在、新潟の方で一人男性が助産婦教育を受けていると聞いております。私は、これは文部科学省として、これがいいのかどうかわからないんです。一応、法律上はまだ女子とするということで、資格が与えられるわけではないのに、教育側が資格を与えられるという保証がないのにそういう教育を開始していいのかなということと、あと実習は約十例の分娩介助をするので、その介助を実際男性学生がするということですね、実習で。もう既に実習が始まっていると聞くんですけれども、その辺の倫理的な配慮をどういうふうに女性にとっているんだろうかというのは大変疑問なんです。
 私たちもその情報がよくまだ入っていないんですけれども、とにかく一人男性が開始したということで、その文面を書かせていただきました。

○西川きよし君 南参考人といたしましては、何か御見解ございますでしょうか。

○参考人(南裕子君) 先立っての、私どもにも関係がありましたが、ほかの医療職にも関係ありました欠格事項の撤廃のときに、欠格事項が撤廃になったがゆえに、例えば、薬剤師の教育を受けていたんだけれども、耳が聞こえなかったので国家試験を受けられなかったという方が国家試験を受けられるようになりましたですね。
 私どもの経験では、保健士のときもそうでした。保健士の教育を受けていたんだけれども、男性は保健婦にはなれないということになっておりましたので、そのときは国家試験を受けられなかった。しかし、後日それができるようになりましたら、さかのぼって教育を受けた人は国家試験を受けられるということがございました。
 そういう意味で、教育を受ける自由というのが保障されてもよろしいんではないかと私は思っております。つまり、教育は受けていて、そして社会の人たちのコンセンサスが得られる段階で免許が、国家試験を受けられる、資格が与えられるということは当然なんではないかというふうに思います。特に、私どものように男女共学の大学で教育をしております立場からいきますと、あなたは男性だからこの教育は受けられないのよと言うこと自体は、教育者としては大変じくじたるものがございます。
 そういう意味では、教育を受けることができるということはいいことだというふうに思います。

○西川きよし君 今のお答えに対しては、毛利さんはよろしいでしょうか。

○参考人(毛利多恵子君) 昨年一年間、男性助産婦問題が物すごい社会的論議になりました。女性たちは、男性が嫌だという気持ちが八〇%以上でした。私は、そういう状況で教育を始めた場合、どういう教育の配慮をしているのかとか、もっと情報公開しないといけないと思います。ほとんどの女性はこの事実を知らないと思います。そして、どういう教育をして、どういう配慮をして、どういう結果が出たのかということをもっと国民に出さないといけないと思います。それが国民のすごく疑問点だと思います。

○西川きよし君 時間はたっぷりあると申しましたが、実はもう少なくなりましたので、お三人さんに聞きたいと思います。
 いろいろ諸先生方からもいろいろな角度の質問がございましたのですけれども、この男性の助産師の内容ですけれども、では今後具体的にはどういうふうな細やかな環境の整備と申しましょうか、どういうところを整備、クリアすれば必要だとお考えになられるのか、南参考人、茅島参考人、そして毛利参考人、お一人ずつよろしくお願いいたします。

○参考人(南裕子君) 現在、看護職で男性の方は五%でございます。非常に少ない人で、その中でさらに助産婦を専攻するという人は極めて少ないというふうに予測できます。したがって、その人たちを嫌だと言う、その人たちに助産をされたくないと言う権利を保障するということは手だてとしてできるだろうというふうに思います。
 その方法としては、私は、情報開示の時代でございますから、男性助産師がいるところには必ず男性助産師がいますという表示をすることが可能だというふうに思いますし、それによっていろいろな病院を選択してくることができます。
 また、私たちは、看護の場合もインフォームド・コンセントをとらないといけないというふうに思っておりますので、ケアを起こすときにもし不愉快なことがあれば、またはそのことを、男性が嫌であればおっしゃっていただきたいというふうに当初から、分娩の直前ではなくて、もう病院にかかわりを始めたときからお話ができるのではないかというふうに思います。
 したがって、資格を取る希望のある方たちの数の場合と、それが非常に多くて全部の人に保障ができないというものではございませんので、体制をきちんと整えれば私は実際に可能だというふうに思いますし、分娩自体ではない、マーケットしては、これから少子化の時代でございますので、男性たちの理解を得るという意味ではマーケットは広いというふうに思っております。

○参考人(茅島江子君) 私が環境の整備と言いましたのは、先ほども申し上げましたように、助産婦がいない県というか、少ない県が結構日本じゅうにはいっぱいあるんです。そうしますと、選択権を保障しろと言われても助産婦自体がいないという状況があるところがたくさんあるわけです。ですから、助産婦をもっとたくさん養成してほしいと思っております。
 特に、病院ですと三交代制なんです。少ない助産婦が三交代していたら、男性しか助産師がいないということもあり得るわけです。となると、もうそこで嫌ですとか言うことができない状況も起こり得ると思っております。
 ですから、どうか助産婦をたくさんふやしてください。それを厚生労働省の方にお願いしたいなと思っております。

○参考人(毛利多恵子君) 選択権の保障といった場合に、私は女性が現実的に、そう、確かに医療の現場で選択ができるわという実感ができる事態にならなければいけないというふうに思っています。
 例えば入院時に、私は男性は嫌なんです、女性にしてくださいとか全部言えるということです。でもその前に、言ったからいいではなくて、もう既に今の医療の現場で、浣腸は嫌だとか剃毛が嫌だとか分娩は自由な姿勢でしたい、それすらも言えない、そういう状況なのだという現実がやっぱり女性の意識の中で変わったときに初めて国民のコンセンサスが変わってそれが導入されるというふうに思います。
 先ほど、国際協力はどうですか、国際協力するために男性を採らなきゃいけないとおっしゃいましたが、私はブラジルに二年間行って、不十分な教育を受けた者が国際協力することほど大変害を及ぼすことはないということを実感してきました。つまり、助産の教育をこんな六カ月でやっていちゃいけないと思います。世界で男性を導入しているのは、もう四年以上、三年以上助産だけの教育を受けて、女性と性と生殖に関する勉強をしっかりしてから資格が与えられています。それが社会に対する責任だと思います。つまり、助産婦の教育をもっとしっかりしなくちゃいけないというふうに思っています。
 以上です。

○西川きよし君 ありがとうございました。

○委員長(阿部正俊君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして御礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会

○委員長(阿部正俊君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医政局長篠崎英夫君外三名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

○委員長(阿部正俊君) 休憩前に引き続き、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○円より子君 午前中は、参考人質疑、本当いい質疑が行われまして、私どもも参考にさせていただきましたが、実は本日の質疑は、こうした保助看法の改正で名称を変えるというようなことは、いわゆる看護婦さんや保健婦さん、そして助産婦さん等の看護団体といいますか、業界団体からの意を受けた議員立法というのは、今まで、私、国会議員になりまして足かけ九年ほどになりますが、審議が余り行われないで、委員長提案という形でそのまま通ってしまうということが多かったんですね。
 それで、国会議員になる前は、え、いつこんなのが変わったのというようなことがしょっちゅうありまして、そういったものが業界団体の大きな昔からの要望だということはわかっておりましても、この今回の法案だけではないんですが、かなり国民の生活に重要なかかわりがあるのに、へえ、国会というところはそんなにいつも審議もせずに決まってしまうものなのかなというのを大変不思議に思っておりました。
 国会に来てからもかなりそういったことが多くて、今回の保助看法の「婦」から「師」に変わるということ、特に助産婦さんの場合は男性がいまだ導入されていない状況で、女子のみのときになぜ「婦」から「師」に変わるのか。多分、この法案が通ってしまいますと、多くの女性たちが、え、どういうことなのと不信感をお持ちになるに違いないと。国民の、特に女性、これから出産をする方、またこれまでに経験なさった方やそのパートナーも、大変重要な自分たちにかかわりのある問題をそんな簡単に決められるのかというふうな思いを持たれてはいけませんし、この問題の中には「婦」から「師」に変わるという名称変更だけではないさまざまな問題があるのではないかということで、こうして審議の時間を持っていただけたことを大変きょう私はうれしく思っております。
 そして、午前中、そうした意味でいいお話が聞けたんですけれども、実はこの問題、私も厚生労働委員会のメンバーでもなく、きょう差しかえで質問をさせていただくんですが、初めて助産婦に男性を導入ということを聞きましたときにまず思いましたのは、何も専門知識がなかったものですから、自分の出産体験を照らし合わせまして、えっ、助産婦さんに男性が入って、その人にそれこそ子宮口の中に手を入れられたりいろんな形で性器にさわられるのは嫌だ、乳房のマッサージをされるのは嫌だなという、ごくごく当たり前の生理的嫌悪感や羞恥心やそういったものから、これは一体どういうものなのかということから勉強を始めて、そして民主党内でワーキングチームもつくりという、そういう状況がございました。
 そして、もう皆様は御存じのことなのかもしれません、特にお医者様方はよく御存じかもしれませんが、実は私は、自分の兄弟を家で母親が出産したときに、妹が生まれたときに立ち会った経験もございますけれども、この問題が起きて周りじゅうの方々にホームページやメールや、そして実際に直接会った方々にこの問題をいろいろお聞きしましたら、大体、助産婦さんが病院にいるのか、もう今助産婦さんという仕事があるのかどうかさえ知らない方も多かったと。病院の中で看護婦さん、助産婦さんという区分けの名札もつけていらっしゃらないから、え、知らなかったわと言う方がいるくらい、残念ながら、助産婦さんというのは大変重要な仕事だと思っていますのに、今知られていないなということもわかったんです。
 その中から、例えば一九四七年には病院等の施設内出産はたった二・四%だったのが、つまりそのころは大多数が自宅での出産だったわけですね、それに対して現在は施設内出産、つまり病院等での出産が九九・八%にもなっておりまして、つまりこういう状況の中で、病院内で助産婦という名札もつけていらっしゃらないから、助産婦の仕事が受け手の側に見えなくなっているという現状がまずございます。
 そうした中で、なぜこういったことになったかといいますと、正常なお産は産婆さんがする、異常なお産、危機にあるお産は産科医がするというすみ分けが戦前はありましたけれども、お産婆さんをすごくおくれたものだというふうにみなしたGHQの意向によって米国をモデルとした施設内分娩へと急速に移行していった結果が今のような状況になっているわけです。
 これは私たち女性の側にも大変問題がありまして、お医者さんや助産婦さんや医学界だけの問題ではなくて、女性の側にも施設内分娩の方が、またお医者さんの方が安全であり無痛であり便利であり、そしてその方が高級なんじゃないかといった、そんな思考が価値観を持つようになってしまった、そして医療的分娩が選ばれてきたという状況も私はあると思うんですね。
 その一方で、ようやく最近は、女性たちが、もっと多様なお産のあり方があっていいんじゃないかと。病院の中で、先ほども参考人からお聞きしましたら、今ほとんどが病院の分娩台でのお産ということになっておりますと。
 分娩台というのは男の方はおわかりにならないかもしれませんが、私のときなどは両足を広げて、その両足はほとんど拘束され縛られた状況で、そして下はコンクリートで、こんなところに赤ちゃんが落ちたらどうなるのかしらと心配するようなところでした。そして、陣痛室にいましたときには、男の医者がたった一人で夜遅く入ってきて、そして、だんだん子宮口が開いているかどうかとか、赤ちゃんがもうすぐ生まれそうかというのをたった一人で診たわけです。
 そのときとても嫌な気がしましたけれども、でも、まさか私は、男の医者がたった一人でそういうところに本当は行っちゃいけない、必ず女性をつけなきゃいけないなんということが内規にあるということすら知らなかったわけです。とても嫌な思いをしましたが、そういうことが後から今回勉強した中で出てきたわけです。
 私だけではなくて多くの女性たちが、せっかく子供を産むという大変うれしい状況の中なのに、今の日本のお産の状況というのは、たった一人で置いておかれて、痛いなんて言ったらしかられて、そしてそんなのは我慢するのが当たり前と言われ、だれもさすってもくれない、そしてそういう恥ずかしい形でしか産めない。
 それは、今まで立って仕事をしているときには、どんどん赤ちゃんがおりてきてもう生まれるなというのがわかっているのに、突然あおむけになって分娩台になるともう産めないような状況になってしまう。赤ちゃんにとっても、血流が逆行して悪いという。
 そういう決してお産にとっていい状況じゃないお産がずっと行われてきているという、そういった情報提供が、何がいいか悪いかということも国民には知らされていませんし、そして、もっと別のお産のあり方を私たちが選択したいと言っても、それがほとんどないというような状況の中で、私は、この問題は、ただ単なる名称変更だけではなくて、その奥にあるお産のあり方に対してもっと多くの女性たちが目を向けてくれて、医療界とそして行政と一体となって、今、少子化が叫ばれていますけれども、生まれてからの保育の問題だけが少子化の問題ではなくて、本当は生まれる前の避妊や中絶や、そして出産のあり方、そういったところからきちんと一体となって考えていけば本当にお産も楽しいし、そして子供との後の親子関係もよくなるんじゃないか、少子化の問題だって少しずつ解決していくんじゃないか、そんなことを思ったものですから、今回、そういった視点で、業界の側の看護婦さん、助産婦さん、そして保健婦さんたちの勤務の状況がどんどんよくなることをもちろん私たちは期待しておりますし、そういう中での名称変更だと信じたいんですが、それだけではなくて、ぜひ受け手の側の人たちのことを考えた改正であってほしいと思うものですから、そういう視点で質問をさせていただきたいと思っております。
 そういう形でいきますと、まず今回、民主党は長い間ワーキングチームでこの問題を検討いたしまして、最終的には助産婦会の中で本当に名称変更がいいと思っている方と違うという方の両方の意見がもう真っ二つに割れているような状況で困ってしまいまして、アンケートがないとおっしゃっていましたので、ぜひもう一度アンケートをとっていただけないかということを申しました。
 そうしましたら、とても急いでいてそんな時間はないとおっしゃったんですが、長い間の念願であったはずですからそういったアンケートをおとりになったのかなと思っていたんですが、ないということですので、今国民にとってはとても急な改正に思えるわけで、名称変更がなぜこんな急なのか、なぜここまでアンケートもなしに急がなければならないのか。これは助産婦の方々だけのコンセンサスではなくて、国民の皆さんが看護婦さんと呼んでいたのが看護師さんと呼ばなきゃいけないのか。さっき看護協会の方が、いや、それは婦長の場合は看護部長だとか何だとかというふうに呼べばいいことですとおっしゃいました。それは医療現場の中での話で、受け手の側は、困ったときに来てもらいたいというときに、看護部長さんとかと呼ぶわけじゃないと思うんですね。
 そういう意味からいって、受け手の側のコンセンサスはとれているのかどうか、その辺を提案者にまずお伺いしたいと思います。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 長い時間をかけて民主党の方で、円先生が中心になりましてこの問題を検討されてこられたことに大変私も敬意を表する次第でございます。そして、最後にこうした会を持たせていただいて、けさからずっとこの問題を中心にかなり内容の深いお話ができたと思います。
 そこで、一般の方々にどういうふうにしてこの問題を提起したか、アンケートをとったかというお話でございます。
 けさからずっとお話を聞いていてくださってわかったと思いますけれども、この話が出てきて随分長い時間がたっているわけでございまして、かなり看護界の中ではコンセンサスを得ているというふうに思っております。その決め方についても、きょうは決め方がおかしいんじゃないかという御意見もございましたけれども、しかしかなり民主的なやり方でそれぞれの会が自分たちの会員の意見を吸い上げてきたと思います。その中には、やはり一般の方々の御意見も徴しながら、そしてまた協会としてもインターネット等を立ち上げながら意見を聞いてきたというお話もございました。
 ただ、私は、やはりこのことを通じましていろいろお話を伺っている中で、一般の国民の方々が医療に対する、助産のことだけじゃございません、いろんな意味で不信感を持っているということを本当に実感したわけでございまして、私どもは、看護職は患者さんの側に立って、患者に寄り添って仕事をするんだということをずっと教育でも言っておりましたし、現実問題、そういうふうなことを思っておりましたけれども、やっぱりサービスを受ける立場に立つといろんな問題があるんだなということを実感したわけでございます。
 私どもとしては、かなり長い時間をかけてそれなりの御意見をちょうだいしてきたというふうに思っておりますけれども、しかしまだ一層この問題につきましては、特に男性の問題につきましては御意見もちょうだいしていかなきゃいけないというふうに思っております。

○円より子君 先ほども申し上げましたが、今、医療機関任せのお産が見直されようとしております。
 それは、今、産婦人科医にもほとんど女医さんがおりませんで、ようやく女性の産婦人科医が一割を超えた程度になっておりまして、女性たちは助産婦の男性導入の問題だけではなくて、産婦人科医もできれば女医さんにかかりたいという人が今多くて、そうしますと、数が少ないものですから、地方ではいらっしゃらないところもありますし、東京など結構女医さんが多いところでも、もう私なんかでもちょっと診てもらいに行くだけで三時間、四時間待つなんというのはざらなんですね。
 だから、なかなか実際の選択権が保障されていないという、そういう中で、ちょっとこれは横道にそれましたけれども、医療機関任せのお産ではなくて、助産所やまたは助産院、それとか家庭内でお産をしたいという方も出てきているんですけれども。
 ただ、現場でなぜそういったことを見直されてきているかといいますと、医療現場では、特に医療機関では、例えばお産のときに剃毛があったり浣腸が当たり前のようにされているんですが、先ほどの仰臥位の分娩なんかも、参考人がけさほど、もっと女性が本当に満足のいくお産、そして子供を産んだことがうれしいと思えるようなお産のためには分娩の体位も自分で選べるようになればなおいいんじゃないかという、そういうお話がございました。
 それは、助産婦さんだけの問題ではなくて女性たちもそう思っているところなんですけれども、そういったときに、分娩台のあり方とか、それから剃毛や浣腸がなぜ行われなければいけないのかとか、そういったものが本当の意味のお産にとって有効なことなのか、そういった調査は厚生労働省の方でされているのかどうかお聞きしたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。南野先生は助産婦さんですから、南野先生でも結構でございますが。

○国務大臣(坂口力君) 至らざるところは南野副大臣にひとつ後をお願いをするといたしまして、この問題を拝見しましたときに、実は私は助産婦さんに取り上げていただきまして生まれたんだそうでございます。記憶にございませんけれども、そういうことだそうでございます。今、円先生のお話を聞いておりますと、私の母は大変幸せであったと、こう思いながら聞いていたわけでございます。
 今、お話しございましたように、会陰切開でありますとか、あるいはまた帝王切開というのがかなり多い確率になっていることだけは事実のようでございます。
 私も数字を見てびっくりしたわけでございますが、会陰切開率は五二・一%という数字が出ておりまして、これは平成十一年度だけの数字でございますからこの数字が最近の動向をすべて物語っているとは言いにくいというふうに思いますけれども、一年限りではございますけれどもそういう数字が出ております。また、帝王切開におきましても一一・一%という数字が出ておりまして、これも予想以上に多いのではないかというふうに私も思っている次第でございます。
 昔、インターン制度がございまして、私も産婦人科にインターンでお邪魔をさせていただいたときがございましたが、立ち会いましたときに、上司の先生が会陰切開をいたしました。そうしましたら、翌日、そのまた上司が出勤をされまして、なぜ会陰切開をしたかということをひどくお怒りになったのを今も記憶をいたしております。
 やはり、それなりの理由がなくやってはいけないんだなということをそのときに私も初めて感じたわけでございますけれども、いずれにいたしましても科学的な根拠に基づく医療というのが今言われているところでございますから、出産におきましてもやはり科学的な根拠に基づくことが必要であろうというふうに思っている次第でございます。
 私の方の健康日本21というのを今展開をいたしているわけでございますが、健やか親子21というのがその中の一つにございまして、妊婦の皆さんあるいは出産にかかわります方々に関します安全性と快適さの確保というものを位置づけまして、そして広く関係者への周知に努めていこうということに今努めているような状況にございます。
 今後、これまでの研究成果あるいはまた取り組みを踏まえまして一層関係者の共通認識を図るようにしていきたいというふうに思いますし、先ほど申しましたような、平成十一年一年限りの数字ではございますけれども、そうしたものも今後少しフォローアップをしていきたいと思っているところでございます。

○円より子君 今、帝王切開率のお話をしてくださいましたが、昨日聞いたときは、会陰の切開率はなかなか厚生省でもとっていらっしゃらなかった。でも、十一年で五二・一%。帝王切開の方は、多分大臣が今おっしゃったのは診療所での帝王切開率が一一・四%で、病院はもっと高くて一七・四%になっているんですね、今。
 それで、御存じだと思いますが、一九八五年にWHO勧告が出まして、これは日本政府もお金を出して調査してつくった勧告の中で専門公文書が出ているんですけれども、この中で行き過ぎた技術に警告を発しているわけですね。その中では慣例的に会陰切開を行うことを禁じております。それが今、日本では半分が会陰切開をしているわけですし、それから帝王切開率も一〇%以下に抑えるようにというふうに勧告されているわけです。
 それが出たときは、一九八五年に勧告が出て、当時の日本での帝王切開率は病院で八・二%、診療所では六・一%だったんです。だから、勧告よりも低かったからよかったんですが、それがどんどんどんどん今ふえているという状況なんですね。これをどうお思いになりますか。
 ぜひとも、これを少し変えるような是正の行政指導をなさるとか、それからもう一度調査をなさるとか、先ほど私が言いました分娩の体位についても行政指導をするとか、そういうお考えはございますでしょうか、大臣。

○副大臣(桝屋敬悟君) 今、大臣の方からもお答えを申し上げましたけれども、委員から御指摘がありましたWHOの勧告が確かにございます。委員御指摘のように、慣例的に会陰切開あるいは帝王切開が行われるということは、大臣も科学的根拠というふうにお答えを申し上げましたけれども、決して好ましいことではないという勧告をいただいているわけであります。
 今、委員の方からもこうした勧告を受けてどういう対応をするのかと、こういうお尋ねをいただいたわけでありますが、一つは、平成十三年度の厚生科学研究におきまして、先ほどの大臣の御答弁のとおりでありますが、科学的根拠に基づきました妊娠・出産管理のあり方、これを今研究していただいております。こうした成果を踏まえながら、先ほど大臣が申し上げました健やか親子21、こうした国民運動の中でどういう活動を展開していくのか、しっかり我々も検討していきたいと思っております。

○円より子君 ぜひその際、受け手の側に配慮する形で改善していただきたいし、調査もきちんとした、それも長期にわたる調査でないとこういうのはなかなかわかりませんので、しっかりお願いしたいと思います。
 それで、外国では男性の助産婦さんもいるのではないかというようなことも言われて、外国との比較がよく出るんですが、今の帝王切開率等で見ますと、これは日本の助産婦さんでイギリスに留学なさっていた山本令子さんが調査なさったものなんですけれども、例えば助産婦さんのいないブラジルでは帝王切開率が八〇%を超えるというような異常な状態になっておりまして、今、ブラジル政府は大急ぎで助産婦さんをもっと養成して、そして人間らしい出産を取り戻そうというプロジェクトが進められていて、何とこれは日本のJICAの協力で進められているわけですね。
 それからまた、インドネシアでは、やはり日本と同様に、日本がGHQのあれでこういう助産婦制度、看護制度が導入されたと同じようにアメリカの看護が導入されたんですが、そこでもまた助産婦という職業が制度の上でなくなりました。その結果、インドネシアでは異常なお産が大変ふえて医療費の高騰を招いたので、またインドネシアは再び助産婦を復活させたというような、さまざまそういう例がありまして、いかに助産婦さんが重要かということで、私は南野先生のような助産婦資格を持ち、働いていらっしゃった方が副大臣であられるのは大変いいことだと思っておりまして、今後どんどん助産婦さんの質の向上や、それからもっとふやすことに努めていただきたいと思って、エールを送りながら質問をさせていただきたいと思っているんです。
 ところが、助産婦さんの教育ということで、これは厚生労働省と文部科学省にお伺いしたいんですが、大学四年間ですと、三年間の看護の基礎教育というか看護教育の後で保健婦になるための六カ月、また助産婦になるための六カ月というような勉強の中で、助産婦の勉強コースを取るといいますか、選択制ですから、取る方はかなり優秀で、そしてガッツもあって、頑張ってお取りになっている方が多いと聞いているんです。それは六カ月という大変窮屈な日程、短い日程の中で両方やらなきゃいけないからとても大変で、本当に優秀でガッツのある人でないとなかなか取れないということも聞いております。
 その六カ月以上という中で、実は出産介助の実習が十例以上ということで百年間ぐらいずっと、日本では長い間十例というのが最低数だったわけです。ところが、十例程度ということに通達で改められまして、その十例程度となった理由を私が聞きましたら、いや、少子化でなかなか実習ができないんだという厚生省の方からのお答えだったんですが、その十例程度ということになってしまった後、実際にはどの程度の実習例で国家試験を受けるような形になっているのか、それをちょっと教えていただきたいんです。

○副大臣(桝屋敬悟君) 今、助産婦教育について、特に実習の点からお尋ねをいただきました。
 委員お尋ねのとおり、助産婦さんの教育課程におきまして、特に御指摘の実習については指定基準の中で正常お産を十回程度直接取り扱うことを目安として実施をするというふうに定められているわけであります、今までの経緯はあるようでありますけれども。
 これをこういうふうに定めてからの実績はどうかというお尋ねでございますが、私ども厚生労働省が指定をしております養成施設におきまして確認をいたしました。例えば、平成十二年度における学生一人当たりの分娩取り扱い回数でございますが、平均で九・二例でありまして、おおむね必要な回数を確保しているのではないかというふうに考えております。
 なお、これは平均でありまして、分娩取り扱い回数が少ない養成所に対しましては回数を増加するよう指導するなど、適切な実習が行われるように努めてまいりたいと思っております。

○円より子君 今の調査はどういう対象で、ちょっとそれを教えていただけますか。

○副大臣(桝屋敬悟君) 厚生労働省が指定をしております養成施設、全国で四十一ございますが、この四十一の施設で十二年度分を調査して整理をいたしたものでございます。

○円より子君 実は、この調査については六月の時点で私は厚生労働省にぜひしていただきたいと言ったんですが、この質問が始まる二、三日前からなさったということを聞いておりまして、その調査はどうなったかと言いましたら、やっていませんし、やる気はありませんというあれで、質疑時間が決まってからやっていただいたような状況らしいんですが。
 今の九・二にうそはないとは思います。まさかそういうことはないと思うんですが、実は日本助産学会の方々が、そんな二、三日でできるようなあれではないので、ずっと調査をしていらっしゃいまして、ここの中では、現在総合病院に勤務する助産婦のうち、卒業後四年以内の方にアンケートをとった結果、まだ中間報告なんですが、今、桝屋副大臣もおっしゃいましたけれども、平均ではなくて一つ一つこれはとってあるんですが、何と五、六例とかというのがかなり多いですし、それから二例のところもございますし、こんな程度でいいのかなと思うようなのがあるわけですね。
 ですから、これから指導なさるとおっしゃっていますけれども、この出産介助の実習例を少なくしてしまうと、その後実際に勤めた場合でも、その助産婦さんの方だって自信がなくなるでしょうし、受け手の側もそういう方の介助では心もとないということもありますので、まずこの実習をきちんとしていただくことが大事だと思いますし、程度というようなあいまいな基準は私はもとに戻された方がいいのではないかと思うんですが、いかがですか。

○副大臣(桝屋敬悟君) 今、委員の方から、私も専門の分野ではありませんので、御指摘をいただいて、二、三日で調査と、こう言われたんでありますが、どれぐらいで作業をしたかわかりませんが、しかし十三年度の保健婦助産婦看護婦法施行令第十四条に基づく報告、これを整理させていただいて、一年間の平均の件数を上げたものでございます。委員の方に御説明がどのようにあったかわかりませんが、そのように理解をしております。
 この回数でございますが、いずれにしても、後ほど議論が出るかもしれませんが、大学におけるカリキュラムの統合でありますとかいろんな経緯を経て、今日、正常お産を十回程度直接取り扱うことを目安とするという状況になっている、なおかつ、おおむねの状況はそのレベルに達しているということでありますから、今の体制で進めていきたいと考えております。

○円より子君 まず、実習事例が少ないのは、その教育期間が短いということを皆さんおっしゃっております。先ほど言いましたが、六カ月以上というふうに法律では規定されておりますけれども、六カ月というのは大変短い。
 午前中の参考人質疑の中で、質問者の方から、ほとんど先進国では男性の助産婦さんが入っているとおっしゃいましたが、そういう国は六カ月なんという短い教育期間ではないんですね。男性も女性も助産婦として、もちろん実習だけじゃなくて、助産婦の仕事というのは、技術も大事ですけれども、精神的な、寄り添って安心感を与えていくというそういうケアもとても大事ですから、長い教育期間の中でそういったものをきちんと身につけていくことが大事。そういうことがありますので、例えば英国では看護教育を経た場合は最低十八カ月以上ですし、オランダ、ニュージーランド、カナダでは看護教育はせずに、別に助産婦だけの教育が四年間されています。
 また、先ほど、日本はアメリカの影響を受けて、GHQのあれでもう全部お産のあり方を変えられてしまったわけで、いまだまだ占領下にあるようなお産のあり方をしているわけですけれども、その日本のお産のあり方を指導したアメリカでも、助産婦のダイレクトエントリー教育といいますのは、先ほど言いましたように、看護教育の後にちょっと助産婦教育をつけるのではなくて、最初から助産婦の教育を四年間するというような、そんな形の教育がもう進められているんです。
 看護と助産の区別をきちんとしていく、そういう教育が本当の意味でのいい助産婦をつくっていき、そしてそれが受け手の側にきちんとしたいいサービスとしていいお産ができるようになっていくんだと私は思うんですが、なぜ文部科学省では四年間の大学教育の中に、六カ月以上となっていますが、実質は六カ月の助産婦教育という形をとって、別々になさらないんでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) カリキュラムの編成は、これはそれぞれの大学の御判断なんでございますけれども、近年、大学の養成の仕組みとしましては、これまで三年制の短大で行っていた例が多いのでございますが、それを随時四年制へ転換する事例がふえておりまして、私どももそれをバックアップしているのでございますけれども、その中で、看護婦さんのほかに保健婦さんあるいは助産婦さん等の医療技術者の多様なニーズにこたえるカリキュラムが用意してございます。複数のコースを用意している大学が多いのでございますけれども、学生の側からしますと、容易な資格を取りたいという御希望の方も多いようでございますし、大学側としては、その資格を取得するに必要な少なくとも二十二単位以上のカリキュラムを用意しながら、助産婦の養成に努めているところでございます。
 なお、今御指摘がございましたように、実際にその出産介助の事例が少ないというのは大学の場合もございまして、それは少子化の影響もありましてなかなか御出産に見える方が少ないということのほかに、大学病院にいろいろお聞きしてみますと、どうも学生さんには取り上げていただきたくないという妊婦の方の御希望などもあったりして、なかなか学生が介助するようなあれが進まないという現場での御苦労もあるようでございます。
 そのために、いわばバーチャルで実体験できるような教材開発を今進めておりますほかに、通信衛星を用いまして遠隔で大学病院での実例をほかの大学でも体験できるようなことも含めてカリキュラムの改善充実に努めているところで、私どももそれを応援してございます。

○円より子君 少子化の中で現場が大変御苦労なさっていることはよくわかりますけれども、それであればこそ、先ほど申しましたように、六カ月というふうな期間ではなくて、きちんと長い期間をとって助産教育ができるようになさるべきだと思います。きょうは文部科学省の方は副大臣も来てくださっていませんので、なかなか行政の側の方ではお話しできないかとも思いますけれども。
 看護系大学院が続々と今開校している中でぜひとも、文部科学省も大学教育の改革の中に今度実践型大学院みたいなものも入れていきたいとおっしゃっているわけですから、助産婦が大学院教育になじまないということではなくて、大学院にも助産婦さんのコースを入れたり、それから大学の中に、その大学を卒業した後、専攻科として二年とかきちんと助産婦のコースを入れるとか、またさまざまな、それこそ助産婦さんになりたい方のためにも選択肢が幾つもあっていいと思うんですね。それが六カ月ですとかそういったことではない方向にぜひ持っていっていただきたいと思います。
 それで、教育の方は文部科学省と厚生労働省の二つに分かれているわけですが、今、厚生労働省の方の管轄の助産婦の養成ということに関しますと助産婦養成所ですか、そういったものがどんどん少なくなっているという統計がございまして、きのういただいたものは平成十年か何かでしたかしらね、それを見ますと、知っていらっしゃる方はもっとこれよりも減っているところもあるというふうな、最近はどんどん減っているという状況で、先ほど、短大が大学四年制に変わったりとかという中でなんでしょうが、厚生労働省としては、助産婦養成所は一年間の大体勉強があるんですが、大学の六カ月でいいと思っていらっしゃるのか、もっと充実させるためにはどういった助産婦の養成機関のあり方を考えていらっしゃるのか、それをちょっとお聞かせください。

○国務大臣(坂口力君) 現在役所の考えておりますことはまた役所の方から答弁をさせていただきたいというふうに思いますが、現実は、私の知っている限りにおきましては、大体一年ぐらいやっているんではないかというふうに思っておりましたが、六カ月以上ということになっているということを私も聞きまして、六カ月というのはちょっとやっぱり短いなと私も率直に言ってそう思っております。
 とりわけ、その実習の問題等になりますと、その中で全部を終わるということは、最低限度のその学校を卒業する資格を取るためのことはできたといたしましても、実際にそれで役立つかといえば、臨床でそれだけでは役立たないんだろうというふうに思います。その後のいわゆる臨床研修と申しますか、研修期間がかなり必要になるんだろうというふうに思いますが、それはしかし学校のいわゆるカリキュラム、学校とはちょっと、もう学校を卒業した卒後教育みたいなことになるわけでございますから、これからのそのあり方を考えていきますときに、いかに正常な分娩を取り扱うということが中心だというふうにいたしましても、病院で勤める方もお見えでございますしいたしますから、少しそこらの、今後の助産婦さんの、何と申しますか、いわゆる勉学のあり方あるいは大学のあり方、あるいは専門学校のところもございますけれども、教育のあり方とそしてそうした臨床的な取り扱い、こうしたものを含めてもう少しやはり充実をさせる方向でいかなきゃならないことだけは間違いないと私も思っている次第でございます。

○円より子君 ぜひ充実させてはいただきたいんですが、今ちょっと卒後研修のお話が出ましたけれども、今、研修医制度の中でいろいろ医療事故等も問題になっておりますので、私は卒後の研修よりも、先ほど申しましたように、ダイレクトエントリー教育と申しまして、例えば助産婦だけの教育をしっかりしていくとか、そういう方向の充実ということでぜひ考えていただきたいと思っているんです。
 先ほどちょっと文部科学省、副大臣いらっしゃらないということでお返事をはしょりましたけれども、大学院を助産婦のためにつくるとか、大学の専攻科をつくるということに関してもう検討などはしていらっしゃるでしょうか。

○政府参考人(工藤智規君) 十年前に比べますと大学レベルでの助産婦養成コースを置いております大学というのが十一倍ほどになってございます。平成三年は五大学でございましたけれども、十三年度現在で見ますと五十五大学になってございまして、着実に養成水準の高度化といいましょうか、より資質の高い助産婦さんの養成に力を入れている大学がふえているところでございます。
 さらに、専攻科あるいは大学院レベルでの教育の充実をということでございましたが、私どももそれに全く異存はございませんで、基本的には各大学がそれぞれ御準備をされて、そういう体制を組まれれば私どもは支援をしてまいりたいと思いますが、現実的には、先ほど申しましたように、いわば短大レベルから四大レベルまでやっと充実し、あるいは卒業生を出しつつある大学も多い中で、まだそこまで準備が整っていないというのが現実でございます。今後、私どもも支援してまいりたいと思っております。

○円より子君 しっかり助産婦さんの質を高めて、そして助産婦さんがなくなっていかないような、そういった方向で、数が今どんどん減っておりますので、ちょっとふえたりもしていますけれども、以前に比べれば大変少ないという現状ですので、ぜひとも助産婦さんの数をふやし、多くの方々が病院だけではなくて自宅でも出産が可能なように、そして助産院でも可能なような形にしていただきたいんですね。それは助産婦さんの教育だけではなくて、助産所のあり方にも一つ問題があると思います。
 といいますのは、今、医療法の第十九条に、開業に際して助産院は嘱託医が義務づけられております、御存じだと思いますが。お産を医療で管理する方が安全だという神話があるわけで、分娩の異常というものは一刻を争うものですから、もちろん正常なお産だけではないので、助産院に来ているときに突然本当に嘱託医というか医者がいなければどうしようもないこともあるわけですが、なかなかずっと嘱託医を置くというのは大変ですし、緊急時に助産所から直接搬送ができて緊急対応可能な医療機関がシステム化されていましたら、大変助産婦さんの方も、また助産所でお産をする女性たちも安心だと思うんです。
 嘱託医制度を一歩進めて嘱託医療機関制度に変えるべきだと私は思っているし、またそういった要望が大変強いんですが、厚生労働省はどうお考えでしょうか。

○副大臣(南野知惠子君) 先生、助産婦に対する大変熱い思い入れをいただきまして感謝いたしておりますが、今、先生が御心配な部分につきましても法律上どのようになっているかということでございます。これは、助産婦が妊産婦等に対して異常が発生したときにどうするか、助産婦は当然正常お産という範囲がございますけれども、開設に当たっては嘱託医制度を設けるということが一つの起点になっております。
 そういう意味から、厚生労働省としましては、危険な状態にある妊産婦さん、または低体重児が生まれるような場合には、医療を体系的に実施するために地域の周産期医療ネットワークというものをこのたび整備を進めているところでございます。これは平成十六年度までに四十七都道府県に整備をするということを目標といたしておりますので、そこら辺の充実、さらにそれを進めていく上にもう少しきめ細かな我々助産婦の気持ちを入れ込んでもらいたいというのが私の意見でございます。そのような展開をしてまいりたいと思っております。

○円より子君 ぜひ、嘱託医制度がネックになってなかなか助産所をつくれないというようなことも聞いておりますので、先ほど申しましたような医療機関との連携を考えていっていただきたいなということを要望しておきます。
 それで、提案者の方にお聞きしたいんですが、先ほど参考人質疑の中で、この助産婦を助産師という名称変更したら、その次はぜひともまた男性導入を、もちろんこれはいろいろの国民のコンセンサスを得てからだとおっしゃっておりましたが、そうしていきたいというお話がございました。
 先ほどの名称を変えることだけではなくて、これは一番最初に私も申しましたけれども、大変大きな問題で、例えば諸外国ではそれこそ乳房マッサージすら、そんな大事な乳房を、それはパートナーと子供のものであって同性にでも見せたくないしマッサージもされたくないというような国だって、イギリスなどではあるわけです。女性の羞恥心とかそういったもの、プライバシー権というものを大変大事に思ってこの導入のときには慎重な論議をしていただきたいと思っているんですが、英国では大々的な国民的な世論調査を何度もしておりまして、最初は大変大きな反対があったのが、ようやく賛成がふえて導入されたと聞いております。
 今回、セットで男性導入のことが図られておりましたけれども、そこに大変危惧を持ちましたのは、私はもちろん国民の多くが賛成すればそれは反対する気など何もありませんから、まずそういった世論調査をすべきではないかと思っておりました。
 それからもう一つ、選択権があるから大丈夫だとおっしゃっていますが、最近、医療事故が大変多くなっているので、その事故防止のために日本医師会がまとめられた中に、上司に対しても発言できるよう医療現場を意識改革するということが入っているんですね。今ごろこういうことを言わなきゃいけないというのは、やはり医療現場では医師が上位にあって、看護職がなかなか医師に物を言えないという状況があるということで、そういう状況下で患者が、ましてや陣痛で苦しんでいるときに選択権をなかなか行使できないだろうと。そんなこともありまして、ですから環境整備ということが大変必要だと思っています。
 その世論調査の件と、環境整備をどう整えていくかということに関して、御意見を伺いたいと思います。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 先ほどから先生、同じ問題を提起されておられるわけでございますけれども、先ほども、病院に行ってもだれが助産婦だか、だれが看護婦だかわからないというような状態があるというふうにおっしゃいました。
 確かに、病院に行ってもだれが看護部長であるのかということも看板に書いてなかったり、医者はたくさん書いてありますけれども看護婦はだれが責任者か書いてなかったり、そんなようなこともございます。そういうことを改めたり、あるいは病院によっては各病棟にきょうはだれがあなたの看護をさせていただきますというようなことで顔が全部出してあったり、随分患者さんに近づく努力をやっているところがふえてまいりました。
 やはりそういうところから情報公開といいましょうか、患者さんが、本当に助産婦さんがいるんだかいないんだか、男性がいるんだかいないんだか、きょうはだれが自分の当番なんだかというようなことがはっきりわかるような、こんなことの環境整備なんということも必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
 それから、先ほどの世論調査の話でございますけれども、これは、やはり私たちこれを望んでまいりました各団体が本当にこんなに長い時間かけて討論してきたわけでございますし、また、それをもう少しやはり国民の側に返していくという努力をしなきゃいけないということは先ほども申し上げたとおりでございますけれども、そんな努力はこれからもしていきたいというふうに思っております。

○円より子君 一言だけ申し上げておきますと、男女雇用機会均等法ですかとか、そういった男女共同参画社会というもので職業選択の自由を奪ってはならないと、そういうことはもちろんありますけれども、そもそも男女雇用機会均等法ですとか、そういうものができましたのは、女性が性によって同一労働同一賃金というものがなかなか確保されないような状況ですとか、さまざまな問題があってそういった雇用の現場から出てきた、雇用というよりも賃金とかそういった問題から出てきたことでございまして、米国の公民権法の第七編でもそうですし、今言いました男女雇用機会均等法でもそうですが、純粋に職務上の適性というものに対しては性差別の禁止の適用除外になっているわけですね。
 ですから、先ほどの参考人質疑でも申し上げましたけれども、介護の現場でも今行き過ぎたそうした男女平等というものを是正して、介護は同性介護がだんだん主流になってきておりますし、警察でもレイプされた女性たちにはやはり女性の警察官が事情を聞くようになってきているとか、そういったところをぜひお考えになった上でしていただきたいなというふうに、そして女性が本当にリラックスして、緊張や不安を持たないでお産ができるような形ということを考えますと、育児参加にもちろん男性が入ってほしい、でもそれは自分のパートナーであって、何も乳房のマッサージだとかそういうのをほかの男にしてほしいということが男女平等では私はないと思うんですね。そういったことをぜひお考えいただきたいなということを申し上げておきます。
 それで、文部科学省にちょっとお伺いしたいのは、先ほども少子化の問題は保育所だけの問題ではないと申し上げましたけれども、生まれてきた子供たちが残念ながら数が少なくても、その子供たちが健やかに育てばいいんですが、今大変児童虐待の問題がもう全国各地で起きております。
 この児童虐待とか自閉症とかそれから多動症とか、そういったものが出産時における超音波検査、また羊水検査、鉗子分娩、こういったものと関連しているのではないかということも言われております。でも、日本では多分そういった調査をされていないんじゃないかと思いますが、親子関係がうまくいくように、そういった調査をしようとお思いになっているか、既になさっているか、それについてお聞きしたいと思うんです。

○政府参考人(工藤智規君) 教育というのは、学校だけでなくて、地域でもあるいは家庭でも行われている中で、家庭教育といいますか、親と子、あるいは兄弟と御本人との関係など、いろいろ問題を抱えている子供たちが残念ながらふえているような状況については大変心を痛めているところでございます。
 ただ、今御質問の御趣旨が医療現場での検査体制との関係とかいうことになりますと話がまた別の角度になりますけれども、いずれにしましても、厚生労働省の方とも御相談しながら、私ども、日本の将来を背負う健やかな子供たちの発達というのはみんなの願いでございますので、そのために力を尽くしてまいりたいと思います。

○円より子君 それでは大臣にお伺いしたいんですが、今の関連なんですけれども、実は今、大分状況が変わってきまして、ちょうど私は、おととい知り合いが赤ちゃんを産んだものですから、その病院に行きました。そうしましたら、私が産んだ十何年前と全然違いまして、今でもそういう病院もきっとあると思いますけれども、次の日というか、もうその日に赤ちゃんがお母さんの横に来て、もうほとんどできるだけ赤ちゃんのそばにいられるような体制ができて、母子が別室でというような状況がなかったものですから、もう本当にそこに行っただけで、一生懸命消毒して抱かせていただいたというようなことがあって、とてもお母さんも幸せそうでしたし、生まれたばかりの赤ちゃんも、今の赤ちゃんてこんなにもう生まれたばかりで手も大きくて、こんな開いたりするのかしらともうびっくりするような状況でとても気持ちがいい思いをしたんですけれども、全部の病院がそうはなっていないと思うんですね。どのくらいなっているというふうに調べていらっしゃるのか。
 それから、母子の別室というのが、つまり出産後に母親から子供を引き離すことが、それは一種の暴力で児童虐待の一つの原因になっているなんていうことも言われているわけです。ですから、そういったものをやはり、先ほどから科学的な根拠、証拠に基づいた医療をしていかないといけないと大臣もおっしゃっていましたけれども、こういった点の調査をぜひやっていただきたいなと、それがやはり健やかな子供、親子関係をはぐくんでいく私は一つの要素だと思いまして、厚生労働省にはそのあたりをきちっと力を入れていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

○副大臣(南野知惠子君) 私が困ればまた大臣の方でお助けいただきたいというふうに思いますが、調査研究ということにつきましては厚生労働省がするというやり方もあるでしょうけれども、我々、学術集会を持っております。いろいろ助産婦がその専門性の立場に立って学術集会をし、その中で自分が受けた症例についていろいろあらゆる個々の角度からも研究調査して、どういうことが一番いい母子とのボンディングがあるのかとか、何がいい形をつくるのか、それからどういうお産はどういうふうな結果になるんだというようなことも調査いたしております。
 先生御存じでしょうが、ちなみに陣痛を促進するというアトニン、オキシトシン、これはイギリスで開発された薬物であるわけですけれども、それは比較的日本でよく使われていた、これも比較的過去の問題になっているかなと。または、帝王切開することによって日にちを決めてお産をしようというような働きかけも過去にはありました。私はあえて過去ということを使わせていただきたいと思いますが、今はもう母と子のあり方、きずな、それと父親を合わせた家族のきずなをどのようにしていったらいいかというお産のあり方をみんな研究、試行していっているところでございます。
 つい前までは、先ほどの助産婦会の方々とも一緒にラマーズ法の研究、またはソフロロジーの研究、中には水中分娩の研究、そういったことをいろいろ通していきながら、何が妊産婦さんにとっていい、自分が自己評価するわけですね、自分の評価としていいものなのか、または他者が見てそれをどのような角度でサポートできるのか、あらゆる角度で検討されておりますので、そういった個々の学術集会ということも我々参考にすべきではないかなと、そのように思っております。

○円より子君 例えば、先ほども産婦人科医には女医が少ないというお話をいたしました。ぜひとも女医さんをふやすというような教育も含めて、出産のときに助産婦の方が医師より安全だという証拠が米国などではきちんと調査で出ているわけですが、こういった調査をしていくとかということも含めて、本当に科学的な証拠と臨床の間に大きなギャップがありますので、その辺を十分調査していただいたりしながら、ぜひともお産の自然な過程を妨害するような形じゃないお産が助産所や自宅分娩や病院でできるようにしていただきたいなというふうに思っております。
 そういったことを今後女性たちが、そのパートナーも、しっかりとそういった、どこの病院が、先生さっきおっしゃいましたけれども、助産婦という、助産師になるんですか、今度、名札をつけて、それはそこに南野とか清水とか書いてあって、清水さん助けて、ちょっと来てと言えるような、そんな体制もつくっていくことが大事だと思いますし、ぜひともそういういいお産ができる体制と選択と、そしてそのための情報公開をやっていただきたいということを要望いたしまして、私、質問を終わりますが、最後に一言、要望についていかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 今御指摘になりましたことは私もそのとおりと思っております。医療全体のこれからの改革もございますけれども、とりわけこの出産という人生のスタートに当たりましての部分というのは大変大事な部分でございますし、非常にナーバスな部分でもございますから、ぜひ、育児までいかない、出産、そして出産直後、いわゆる周産期と言われております時期等々につきましての医療のあり方ということにつきましては、やはり念には念を入れて、そしてお母さん方が本当に安心をして出産をしていただけるような体制をさらに構築をしていかなければならないと、私もそう思います。
 さらなる努力をお約束を申し上げたいと思います。

○円より子君 ありがとうございました。

○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 私は、きょうの重要なこの法案にすぐ入りたいのですが、この間、二十二日の児童福祉法の審議の中で答弁をいただいていない内容がありますので、それを一問だけ、本当は幾つかあるんですけれども、ほんの一問だけやらせていただきたいというふうに思います。
 この児童福祉法の改正によりまして保育所事業に株式会社が参入してくるというのが出たわけなんですけれども、株式会社というのはやはり営利追求を目的としているというふうに思うんですね。利益を生み出すということがありますので、そしてその生み出した利益については配当していくというふうになるわけですよね。だから、保育所運営において株式会社が参入してくるという場合には、国民の税金が配当に回されるということがあってはならないのではないかと私は考えるんですけれども、保育所の運営において利潤を生み出し、配当することについて、どのような歯どめをされていくのかということですね、これをまずお聞きしたい。
 さらに、私、この間の質問のところで三つというので早口で言ってしまったのですが、時間がなかったものですから。保育所もやりますが、さらにほかのいろんな営業活動をやるということで、例えば保育の雑誌を売っているとか、ベビーフードを売っているとか、また育児のグッズだとかそういうものを売っているというのが実際に今日あるわけですね。だから、そういうふうになっていきますと、保育所に営業活動的なものが入ってくるということが大変心配されるし、やはり保育所を事業の中に入れていけば特定の商品のイメージというのも出てくるのではないかなと。そういうふうになったら、命を扱う保育所はどうなのかというのがありますので、そういうところも考えながら御答弁をいただけたらと思うんです。
 もう一つ、国と自治体がいろいろ加算しながら運営費や補助金、それから保護者からの保育料や国民の血税というのがあるわけですけれども、この保育所運営を営業活動とする場合、配当はあってはならないと思うんですけれども、公有の財産を企業に貸与した際の賃貸料の問題というのがもう一つ出てくると思うんですね。その扱いをどういうふうにするのかということで、具体的にどういうふうに対応しようと思っておられるのかというのを、まず一問だけ御答弁いただきたいというふうに思います。
 大臣にお願いしたいんですが。

○国務大臣(坂口力君) 株式会社も私はいろいろだと思うんですが、とりわけ保育所でありますとか、それからこれからケアハウスなどもいろいろ今取りざたをされているわけでございますけれども、そういう福祉部門と申しますか、そうしたところに参画をしてきます株式会社というのは、やはりそれぞれの理念というものを十分にわかった上で参画をしてくるということが大事だというふうに思います。
 特別養護老人ホーム等につきまして、今ここは株式会社ではなくて社会福祉法人ということになっておりますけれども、しかし何となく株式会社的な考え方で始められるという皆さんもなきにしもあらずでございます。やはり、そうした福祉のことをおやりになります以上は、その理念というものをよく理解していただいて、そして参画をしていただくというのがまずスタートとして一番大事なことだというふうに思っているわけでございます。
 そういう前提を置いた上で今、二、三、先生の方から御質問がございました。
 一つは、保育所の運営費を配当に回した場合にどうするかという話でございますが、これを配当に回しちゃいかぬということを禁止しているわけではございません。
 しかし、現在、公私間の給与格差の是正などを目的としました民間施設給与等改善費、民改費と言っておりますが、民間に対しましてそれを出しております。そうしたものを出しておりますが、もしこの配当等をするということになれば、それはそれだけのゆとりがあるということでございますから、こうした性質上支弁されておりますものにつきましてはその取り扱いをなくするとかいったようなことが起こることは間違いがございません。したがいまして、現実的に保育所ということをおやりになる、それがもし株式会社であったといたしましても、そんなゆとりはないだろうというふうに私は思っております。それが一つ。
 それからもう一つは、営業活動についてでございますが、これもどの程度の行為について規制すべきかというようなことにつきましては一概になかなか言えないものですから現在のところございませんけれども、その設置主体のいかんを問わず、児童福祉施設最低基準あるいはまた保育所保育指針の遵守というものが義務づけられていることはもう今さら言うまでもないわけでございますから、そうしたものに照らしまして適正な保育が確保されているかどうかという観点からそこは見ていかなければならないというふうに思っております。
 それからもう一つは、公有財産を公の支配に属さない株式会社などに貸し付ける場合にはどうするかということがございましたが、有償での貸与になるものというふうに考えております。

○井上美代君 これからやることですけれども、非常に重要な中身だというふうに思いますので、理念の話も出ましたけれども、ぜひ徹底をして、本当に良心的に命を預かるものとしてやっていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それで、いよいよきょうの重要なこの法案なんですけれども、私は午前中に参考人の三人の方のお話を伺いながら、この問題というのは決してきょうのこの法案に限らず私は非常に重要な内容を持っている、ここで男女平等というのは一体何なのかということを午前中も考えさせられたわけなんです。本当に女性、男性がそれぞれの立場で、私は異性という意味ではやはり違う部分もあると思うんですよね。だから、そこをきちんと押さえながら、この男女平等とは一体何かということが各論として我々に迫られている問題、そういう問題だというふうに私は思っております。
 今回の議員立法ですけれども、これは助産婦において名称だけを「婦」から「師」に変えていくという中身だということですよね。それで、国家試験受験資格、受けていくということでは女性のみというのが括弧してありますので、これは規定変更していないものです。
 しかしながら、与党が以前提出を目指した法案というのがありましたよね、去年。そして、男性の助産士導入法案ということでした。そのことから、近い将来において男性助産士を導入する足がかりにしようとされているのではないかというのが言ってみれば懸念されている部分だと私は思っているわけなんです。
 妊婦の方や、きょう本当に席いっぱいに傍聴の方がお入りいただいております。恐らく皆さんの代表だというふうに思いますが、みんなにかわりながら、その後ろにはたくさんの人たちがおいでになるというふうに思いますので、こうした心配を持ってこの審議を見守っておられるわけなんですけれども。
 私は、まず発議者にお聞きしたいのは、改正理由について、名称が女子と男性で異なっているのを改めるというものだと、看護士を看護師ということは、これは私はわかるんです、しかしながら、女子のみといいながら、なぜ助産婦のままではだめなのかというところを、助産師にどうしても変える必要があったからきょうのこの審議がやられているんだというふうに思うんですけれども、括弧して女子のみというふうにするんだったら何も変えないでいいのではないかなというふうに思うのですけれども、変えなければいけない理由は一体何だったんだろうかというふうに思っているわけなんです。それをぜひ御答弁願いたいと思います。

○委員以外の議員(入澤肇君) 保健婦さん、看護婦さん、准看護婦さん、これは同一の資格で男女で名前が変わるというのはもう今の時代にふさわしくないんじゃないかということで、保健師、看護師、准看護師というふうに名前を変えるわけですね。
 助産婦さんについては、私は群馬の山の中で育ったんですけれども、地域医療システムの中で、医療行為こそしないけれども、いろんな健康相談等にあずかって、非常に地域では尊敬されております。まさに「師」と言うにふさわしい役割を担っているわけです。
 そういう意味で、逆に言えば、なぜほかの保健婦さんや看護婦さんが「師」という名前になって助産婦さんだけが助産師と言っちゃいけないのか。女性のみということで限定づきではありますけれども、助産師というふうに変えるということは、むしろこの際一括してやるためにはふさわしいのではないかというふうに考えております。

○井上美代君 今、御答弁いただいたんですけれども、女性のみということであるならば、私はずっと未来永劫に変えないということを言っているんじゃないんです。このたび変えるということですので、しかもそこには女性のみというのがあるわけですから、だから私は変えなくていいのではないかと、こういうふうに今お聞きしたところなんです。
 次に行きますけれども、午前中の参考人質疑の中で、看護協会の南会長からお話がありました。その中で、参考人質疑の中で、名称改正と男性の助産婦の導入とはどうなのかという質問があったんです。それに対して、名称改正と男性の助産婦の導入とは関係がないというふうに答えられたんですね。
 今回、男性助産士導入法案から名称変更のみの法案に変えられたわけなんですよね。今回は名称変更だけなんです。ここには、やはり国民の合意というのが午前中も随分審議されたんですけれども、国民の合意というものが得られたからそうされたのか、その経過とそして理由について、前のことがありますので、御答弁を願いたいと思います。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 先生御指摘のように、昨年の百五十国会におきまして、私たちは保健婦助産婦看護婦法の改正を国会に出させていただきました。その内容は、おっしゃるように、男性の助産業務への導入と、そしてあわせて男女の名前を変えるという法案でございました。
 それは時間切れで廃案になったわけでございますけれども、その後、私も真剣に先生方のところにも、そしてまたいろんな方々にもそのことを、お話を伺いましたけれども、この問題はもう先ほど来参考人からもお話がありましたように長い経過があって、かなりもう煮詰まっている話だというふうに思っておりましたけれども、初めて聞いた、そして女性の立場からというようなことで、やはりいろんな方々から驚いたというような御発言の中で、幾つかの疑義が出てきたのも事実でございます。
 そういう中で、このたびは皆様方からの意見が出されているということと同時に、やっぱり男女共同参画社会の中での、今までは保健婦、助産婦、看護婦というのは、これはこれだけ見ただけでもう女性の職業とわかっちゃうわけでございますけれども、初めに男性が精神科にいた、一部精神科だけにいた、それはもうちょっと片隅にいたような感じなんですけれども、その後、四十三年に看護人と呼ばれていたのが看護士になって、そのとき以来、今はかなりいろんなところに男性が働いている現状がございます。
 そして、平成五年になりましてから保健士も誕生するというようなことで、女性の職種にだんだんに男性が入ってきているということの実態を、やはりきちんと変えていかなきゃいけないんじゃないか。男女共同参画社会の点からいっても、やはり看護の場合には逆差別ではないかというようなことがありまして、それを変えていった方がいいんじゃないかということもありましたし、また平成六年には、規制緩和の点から、規制緩和の問題から、この女性だけに限定されている助産婦の問題について、これを男性にも門戸を開くようにというような閣議決定が行われている。
 こんなようなこともありましてお出ししたわけでございましたけれども、実際問題として、皆様方のところにいろんな御意見もございますことがわかりましたので、そのことを私は、無理に反対を押してまで、皆さんに祝福されないでこの新しい職種が生まれるということはやはり困るというふうに思いましたものですから、このたびは皆さんの合意が得られる名称変更をまずしたいということで法案を新たに出し直したわけでございます。その辺、ぜひ御理解いただきたいと思います。

○井上美代君 その点について、私もう一つ聞きたいんですけれども、発議者の議員のお一人が五月の看護協会の定期総会にお出になって、そして男性の助産婦には反対が強い、まず名称を変更しようと考えたと、こういうふうに説明をされたということなんですが、その事実関係と、それから、まずというのが気になるんですけれども、まず名称を変更しようと考えたという、そのまずということなんですけれども、連続的に男性助産師導入の法案の御準備をされているのではないかということをまた女性たちは心配をしているわけなんです。
 だから、男性に門戸を開くという点では、助産婦会の皆さんの納得と合意、そして何よりも女性たちの人権にかかわる問題だというふうに思いますので、人権だとか、それから選択権、そういう保障への環境整備の上でのことだと考えるのですが、そのことなしに男性助産師の導入をするということは考えてはいらっしゃらないと思うんですけれども、そこのところをお聞きしたいというふうに思います。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 五月の看護協会の総会のときの発言のこと、よく調べていただきまして、ありがとうございます。
 昨年来はそういうわけで、私どもは、看護協会のもうみんなの強い要望もございまして法案を提出したというところまではみんなが知っているわけでございまして、その後どういうことになったのか、やはりそれを総会で御報告する義務があると思います。そこで、今までのように、男性を導入する、そして名称を変更するという法案については、やはりいろんな御議論があって、まだまだそこに踏み込むことができないという状況についてお話を申し上げたわけでございまして、先ほど申し上げたような事情でこのたびの法案提出になったわけでございます。
 井上先生おっしゃるように、環境整備がなければとおっしゃるのは当然のことでございまして、仮に男性が入ることになりますれば、当然のことながら、先ほど来、円先生のときの御質問でもございましたけれども、いかに受け手であります妊婦さんたちが選べるのか、情報をとらえて選べるのかというような環境整備は当然のことながらしなければならない、それは十分考えているところでございます。

○井上美代君 環境整備をやるということで言われましたけれども、日本共産党は、もう男性助産師導入というのは、当事者の女性たちの合意が図られておらず、やはり単純に男女参画時代だからというそれだけの理由でやってはならないというふうに思っておりまして、やはり女性の自己決定権というのがあると思いますし、選択権が完全に保障されないもので、男性助産師導入はやはり反対だというふうに考えているわけなんです。
 助産の仕事というのは、やはり一方の性である女性、これはもう母性を持っているのは女性のみですから、残念ながら男性には母性がないわけですから、密着した出産介助を行う者であるというのが女性ですので、私はそういう点でも、日本共産党としても、男性助産師導入というのはいけないという、国民の合意がきちんと得られる、そういうところまでは無理に出してきては困るというふうに思うんですよね。
 だから、本当に合意をつくっていくということ、そのことが大事であって、私どもは、やはり女性がそういう選択権もないのにやられるなんといったら、これはもう人権じゅうりんですからね。だから、先ほどから現状が出ているんですけれども、スライドでも出てまいりましたけれども、こういう現状の中でやられるべきものではないということを私は強調しておきたいと思います。
 もう時間がいつも足りなくて困ってしまうんですけれども、やはり合意を大事にするということを特に強調したいというふうに思います。
 それで、もう一つお聞きしたいのは、午前中の参考人の中でもありましたけれども、三婦統合一本化というのが出ましたよね、午前中に。それで、これは一九八四年、昭和五十九年ですけれども、午前中も何回か出ておりましたけれども、免状だとか業務を含めて、三婦、看護婦さん、保健婦さん、それから助産婦さんですけれども、これを統合一本化していくというのが看護協会の通常総会で確認をされているということがあるんですけれども、私はこれについて副大臣の方にお聞きしたいんですけれども、検討を国の方でやっておられるのかどうかということを聞きたいんですが。

○副大臣(南野知惠子君) 国でやっているかどうかということは、それは今私お答えする何物も持っておりませんけれども、けさも南会長の方から、看護協会、いわゆる学術集会、学術団体としてそういうことについては今考えていないということをはっきり申されておりますし、我々は会員としてそれを認めるということもこれありというふうに思っております。
 ですから、そういうような事態に向かう場合には、これ看護協会の合意が要りますし、看護職である三職の、看護婦、保健婦、助産婦、そういった者どもが一緒になって検討して合意を見なければいけないという問題であろうと思っております。

○政府参考人(篠崎英夫君) ただいまの副大臣の御答弁に追加をさせていただきますと、厚生労働省といたしましては、ただいま先生御指摘のような三婦一本化の検討はいたしておりません。

○井上美代君 いよいよ時間が、二十九分までですか、時間がなくなってきているんですが、時間いっぱいやらせていただきますが、私は、円議員がお話しされました助産婦や保健婦の実態ですね、この養成学校がずっと閉鎖されてきているというのを心配しております。看護大学へ移行される傾向がずっと出てきているということなんですが、養成学校ではやはり助産婦はもう一年間の期間ということでやられていると。実際には六カ月ですか。だから、そこのところは円さんがもう既に出されておりますが、私もここは非常に重要だと思っているんです。やはり相当皆さん、すぐれた方ばかりいらっしゃいますけれども、私、助産婦は命を預かる者としてぜひ強めていただきたい、教育を強めるということでやっていただきたいと。だから、当然、この研修ですか、これについても延ばしていただきたいというふうに思っておりますことをまず意思表示しておきたいというふうに思います。
 その次に、もう一つ、これは臨地実習の研修の問題なんですけれども、これもちょっと円さんと重なるところもありますので重ならない部分で申し上げたいと思いますが、以前は十回以上の研修を勧められていたということなんですが、現行では十回程度とされていて、そして四、五回経験で修了した例もあるということなんですね。外国の場合では、EUで四十回やっているということなんです。アメリカでは二十回以上やっているということですので、そういう点でもやはり十例以上の研修は当然であるというふうに思いますので、さらに充実させていかなきゃいけないんじゃないだろうかというふうに思います。
 そして、異常お産が今ふえているんですね、働く女性が非常にふえているから。だから、助産婦の人でもそこのところを研修、実習をしておかないと、病院に送るにしても出てくるというふうに思いますので、その点についてやはり研修の中でやってほしいというふうに思います。
 私は、もう一つ、委嘱したドクターがいらっしゃるんですけれども、これで幾つかのところから訴えが来ているんですけれども、搬送願いの用紙を地元で配っておられないという地域があるようなんですね。そのために、サインがなければ搬送しても医療機関が受け付けないというのがあるようですので、その点を受付がきちんと受け付けてもらえるように、助産婦の判断でも速やかにやれるようにしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。
 これについては政府参考人に御答弁願いたいんですけれども。

○政府参考人(篠崎英夫君) 最後の御質問でしょうか。
 御指摘の件につきましては、現在、調査中でございまして、もしそういうことがあれば、そういうことがないように都道府県を通じて指導をしてまいりたいと考えております。

○井上美代君 私はやはりこの問題というのが非常に重要だということを冒頭で申し上げたんですけれども、この間、私もずっと国際会議にも出て、女性たちの、男女が平等であるということをずっと学んできております。
 去年の六月に開かれました、ニューヨークの国連で開かれました国連の特別総会、これは女性二〇〇〇年会議ということで行きましたけれども、ここで出された性と生殖に関する健康・権利というのがあるわけですね。これはリプロダクティブヘルス・ライツというふうに言っているんですけれども、なかなかこの言葉というのは、言葉もその中身も日本の中にはなかなか定着しないんですけれども、それをもう一度、ここで採択された「成果文書」というのがあるんですね。かなり長いんですけれども、その中の障害になっているものというので、「障害」という項目がありまして、何が障害になっているかというのがそこに書いてあるんです。
 それを見ますと、一つは、医療を受けている女性はしばしば尊厳を持って扱われず、プライバシーや守秘性が保障されず、また利用できるサービスや選択肢についての完全な情報を与えられていないということや、それから女性に医療サービスを提供する際、人権や倫理的、職業的な、またジェンダーを考慮した水準に合致していなかったり、責任ある自発的なインフォームド・コンセントを保障していない場合があると、こういうふうに言っているんですね。これがやはりリプロダクティブヘルス・ライツの障害になっているということを言っているんです。
 私は、やはりこうした問題についても考えていかなきゃいけないし、具体的にやはり日本は、じゃそのことについて、これは政府間の会議の合意の文書ですからね、だからそういう点で、南野副大臣と、それから清水提案者と、それから最後に坂口大臣に国連のこの特別総会の採択の「成果文書」というのを受けて、どう取り組もうと思っておられるのかということを手短に御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。

○副大臣(南野知惠子君) では、この前と違ってちょっと手短に答えさせていただきたいと思っております。
 先生御承知のように、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツ、こういった問題点については、女性が自分の性のことについて自己決定ができると、そういうようなところに大きなポイントを置かれているところであり、これは我々、妊娠、分娩、産褥というようなところの範囲でも検討していきたい。それは、女性が本当に男女同権というようなところに成り立っていくというところにあるだろうと思っております。
 二十一世紀における母子保健分野の運動計画の中にも、健やか親子21において、妊娠、出産についての満足ができる割合というようなものも、我々、目標を高く掲げていっているところでございます。
 厚生労働省といたしましても、この目標の実現に向けて、周産期医療体制の整備や各自治体、専門団体における取り組みを推進していくということについては、先生の御懸念がないようにというふうに思っております。
 さらに、一つコメントを申し上げたいんですが、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツというのは、過去に、我々の法律の名称改正のときに附帯決議の中に取り入れられているということを御承知だろうと思っております。それは、我々、女性であるから、そういった附帯決議をその中に盛り込み、このリプロヘルスをさらに高く我々検証していこうという意味で附帯決議に載せておりますので、そのこともあわせて御承知おきいただきたいと思っております。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) この「成果文書」の取り扱いにつきましては、今、副大臣の方から政府としてのお取り扱いについてはお話しいただいたわけでございます。
 私の立場といたしましては、具体的な活動をする助産婦を中心にした看護職のこれからの充実発展をぜひ私も心がけてまいりたいというふうに思っております。

○国務大臣(坂口力君) 国連主催の世界女性会議の中でこうした問題がなぜ取り上げられたかといえば、やはり世界のそれぞれの国においてなかなか十分にこういった点が守られていないということがあるから私は取り上げられたのだろうというふうに思います。先進国と言われております国々の中においてもまだ不十分な点があるという、そういう御指摘であろうというふうに思っております。
 日本におきましても大変大事な問題でございますし、医療全体の中に占める位置からいきましても大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。よくこれから研究させていただいて、そして前進できるように取り組んでいきたいと存じます。

○井上美代君 終わります。

○大脇雅子君 それでは、発議者の方にまず最初に確認的にお伺いしていきたいと思います。
 今回、議員立法によりまして、保健婦助産婦看護婦法の改正によってそれぞれの名称が保健師、助産師、看護師と改められるということでありますが、その意義をどのように考えておられるのか、確認をさせていただきたいと思います。

○沢たまき君 大脇先生にお答えいたします。
 同一の専門資格であるにもかかわらず女性と男性とで名称が異なるのは、法律上は保健婦助産婦看護婦法が定める保健婦と保健士、看護婦と看護士、准看護婦と准看護士だけとなっております。このような状況を改めて、その名称を統一するとともに、助産婦も含めその名称を専門資格をあらわすのに適当なものに改めますことは男女共同参画の趣旨にも沿うものでありまして、大きな意味を持つものと考えております。
 また、この改正については、ほとんど御異論はなく、それぞれの看護職種からも強い要望をいただいておるところでございます。

○大脇雅子君 その中で、助産師につきましては、現行法第三条の「業とする女子」の文言のままということで女性のみの資格要件が残されましたが、この理由について改めて確認させてください。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 御承知のように、昨年の国会におきまして保助看法の改正を提案いたしました。その中には、助産婦に男性を導入すること、そして名称を改正する、この二点を出したわけでございますけれども、その後、さまざまな男性の助産師導入に関しまして慎重な御意見が幾つかございました。そのことを配慮いたしまして、このたびは、そのことはもう避けてといいましょうか、その部分は、つまり助産師については改正をしない、女子のままというふうに残して、そして名称の改正だけを行いたいと、こういう改正をお願いしているところでございます。

○大脇雅子君 今回の改正法案に対する多くの陳情や要請の中で、助産婦を助産師とすることが男性助産師への道をつけるための改正であるから反対という意見がございますが、この見解については発議者はどのように受けとめておられますか。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) これは、繰り返し御説明申し上げておりますように、男性に助産婦の道を開くということに関しましてはいろんな御意見、慎重論もございまして、このたびはこの法律の中に入れていないわけでございます。したがいまして、男性助産師への道をつけるための一つの方法であるということはないわけでございまして、全然そういうことは考えていないわけでございます。
 もし仮にそういうことになりますれば、また改めて国会の御審議をちょうだいすることになるわけでございまして、このたびは男性助産師につきましては導入することはない、女子のままでいくということでございますので、御了解いただきたいと思います。

○大脇雅子君 改正法案の第三条で「業とする女子」という文言が改正されなかったのでありますが、「女子」という文言は「女性」とすべきではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。

○沢たまき君 確かに、労働基準法とか男女雇用機会均等法においては、平成九年の改正で「女子」が「女性」に改められております。「女性」という文言に改めるべきであるというお考えも一つの御見識であるとは思います。
 しかし、今回の改正はその内容を資格の名称の統一、変更という点に絞っております。特に、助産師の定義について、女子の部分に変更を加えるといいますのは、これまでの経緯にかんがみますと思わぬ議論を呼ぶことにもなりかねませんので、そのようなことから必要最小限の改正にとどめることといたしたわけでございます。

○大脇雅子君 そうしますと、今回は名称だけの改正ということであります。しかし、保健、助産、看護を業とする人たちの権利とか労働条件の改善、向上がなければ、単に名称変更したということでは意味が軽いといいますか少ないのではないかと思いますが、今回の改正によって具体的にどのような効果を発議者は期待されておるのでしょうか。

○委員以外の議員(入澤肇君) 名称が変わることによって一層専門家としての自覚が高まると思うんです。
 ただ、私は、看護婦さんや助産婦さんの労働現場におきまして、お医者さんと一緒になって相当過重な労働をしている現場を見ております。したがいまして、診療報酬の改定の都度、やはりその処遇の改善等については相当なことが配慮されなくちゃいけないというふうに思っています。
 幸いなことに、看護協会、助産婦協会、それぞれ国会議員を出しているわけでありますから、この先生方にもっと頑張ってもらって、常に恒常的に継続的に労働条件の改定についていろんな努力がなされることを期待しているところでございます。

○大脇雅子君 私は、この問題は単なる男女平等から男性、女性の名称を「師」に変えるというだけの発想であってはならないと思います。職域分離というのは、これは職場における男女差別の大きな原因であるということで、私どもは性差別の是正に取り組み、真正な職業資格といいまして、性において特定される職業の資格というものはできるだけ少ない領域にしていくというのが今までの男女平等運動であったと思います。
 この件に関しましても、私はリプロダクティブヘルス・ライツのいわば本質的な部分として適用除外とすべき問題なのか、あるいは今の女性が担われているこの助産という仕事を組みかえていって専門職の能力と適性という分野にすべきことなのかという本質的な論議を含むものだというふうに今考えております。
 そういう中で、病院に今お産は管理されている。妊産婦のニーズあるいはパートナーのニーズというもの、そして出産のトータルケアということを考えますと、あるいはこれが医師という男性によって営まれる出産というものの効果かもしれないと実は私も考えることもございます。
 しかし、今、出産と分娩は非常に多様化いたしまして、水中の出産をこの間私の友人がいたしましたけれども、連れ合いとともに水の中に入って夫がへその緒を切るということで、非常に感動的な出産をしたという話も聞きました。在宅分娩あるいは無痛分娩等、そうした多様な分娩に対応するシステムというものは日本にはないというふうに皆さんいろいろな質問の中で言われますし、私もそのように実態を把握しております。
 今度は政府の方にお尋ねをいたしたいのですが、保健、助産、看護を業とする労働者の権利や労働条件について、厚生労働省としてどのように実態を把握しどのような施策をこれから遂行されていくのか、改めてお尋ねしたいと思います。

○政府参考人(篠崎英夫君) ただいまの先生の御質問で、保健、助産、看護等のことについての労働の状況等の御質問というふうに承らせていただいて御答弁をさせていただきますと、看護職員、現在、平成十年度末で約百九万人ほどおりまして、女性が九六・四%、男性が約三・六%という状況でございます。
 また、その状況等についてでございますが、これは看護協会の調査によりますと、病院の看護部長などの責任者というポストを占めておられる方は、この数の問題も関係しておると思いますが、平成十一年で約九七・三%というような状況でございます。また、賃金につきましても、平成十二年の賃金構造基本調査によりますれば、これは勤続年数が男性の方が長いのでございますが、男性の方が勤続年数七・九年で約二十九万一千円の給与、それから女性の方は勤続年数が平均六・七年ということでございますが、二十八万四千円というようなことでございまして、また国立病院等の医療職俸給表等におきましては男女による格差はないということでございます。
 保健、助産、看護等の業をしておる方たちにつきまして男女差のないように、私どもも努力をこれからもしていきたいというふうに考えております。

○大脇雅子君 それでは時間もございませんので、最後に二点お願いをいたしたいと思います。
 男性が保健、看護に従事しているという場合で、専門職としての高い人権意識や倫理観というものの確立が必要だという声を聞きます。そのような点と、助産師の養成システム及び養成機関の拡充強化に向けた積極的な施策をお約束いただけるかどうか。それからもう一点は、円議員も言われましたように、男性が参入することの是非、あるいは出産のあり方や家族のあり方等について広く国民の意見、とりわけ女性の意見を厚生労働省として調査をするということをお約束していただけるかどうか、この二点について大臣にお尋ねしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 最初の男性助産師を今後どうするか、認めるかどうかということにつきましては、現在のところは考えておりませんが、今後これはまた議論になるときがあるいはあるのかもしれません。そのときには、いずれにいたしましても当事者であります女性の御意見というものを十分に拝聴して、そしてその女性の意思を尊重する中でこれは決定をすべきものというふうに考えている次第でございます。
 それから、厚生労働省としてもう少しこの実態をよく把握しなければならないではないかという御意見につきましては、それは御指摘のとおりでございますので、引き続きまして関係団体の皆さん方とよくお話し合いをこれからさせていただきたいというふうに思いますし、情報につきましても十分にこれは収集していかなければならないと考えているところでございます。
 養成所の問題につきましては、今までもこの施設の整備でございますとか、あるいはまた運営費につきましての助成等を財政的にもしてきたところでございますが、そうした面も重要ではございますけれども、やはり助産婦の皆さん方、今度助産師になりますけれども、皆さん方が仕事に張りを持ってやっていただけるような仕事環境というものをつくり上げていかなければならないというふうに思います。
 そのためには、やはりこの助産婦あるいは助産師でなければできないお仕事の内容というものをより明確にしていかなければなりませんし、そしてそこは、例えば今まで病院におきまして病院の先生のお手伝いをするというのではなくて、助産婦あるいは助産師の皆さん方固有のと申しますか、固有にひとつおやりをいただけるそういう分野を私は確立していくべきだというふうに思っている次第でございます。

○森ゆうこ君 自由党の森ゆうこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回のこの法案の保助看法の改正に関しまして議論になっている点ですが、今後男性の助産師の導入があるかという点で、先ほどからそれは今は考えていないというお話がありました。ただ、先ほどから発議者である清水議員の発言の中に、まず名称から変更したい、それから今回はあえて避けたというふうなお話がありました。また、午前中の参考人質疑の中でも、看護協会を代表された南参考人からも、看護協会の中では職業の選択、そして学問の自由ということを保障するという立場で、方向性としては今後も男性の助産師の導入ということを考えていると。ただ、また議論は改めてするということです。
 ということであれば、発議者の立場とすれば当然、将来男性助産師の導入を考えてということで、その前提でお聞きいたしますが、学問の自由、そして職業選択の自由という男女共同参画社会の推進という点でその理論については納得できるわけですが、一般の女性の感想からいたしまして、そうはいってもやはり生理的に受け入れられない。助産婦さんのされているお仕事の、本当に女性の体を出産後非常に丁寧にケアをしてくれる、乳房マッサージもしてくださる。私自身も桶谷式の乳房マッサージ、週に一回通いまして一時間余りのマッサージをしていただいて、三人の子供を母乳で育てましたけれども、そういうような仕事に男性が来て入っていただくことに関しては生理的に受け付けられないという反応があるんですが、それに対してどのような説明をされるのか、お願いいたします。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 男性の助産師を導入することに対しての御議論の一番の問題点、異論というのは、先生が今おっしゃったようなことであろうかというふうに思います。ケアを受ける女性が拒否をするというお立場だと思います。
 ただ、一方におきまして、先生前段でおっしゃいましたように、学問の自由、勉強することも法律で認めない、資格も認めない、このことについてどうするのかという問題が一つあると思います。それは法律がきちんとしなければ、ずっと勉強というか国家試験を受けられないわけでございますけれども、嫌な女性がちゃんと情報を提供されて、そしてこのことは受けたくないという選択をする、拒否をする、これは当然のことながら、先ほどからずっとお話し申し上げていますけれども、仮にこういうことになればそれには十分配慮しましょうということを言っているわけでございまして、それはいろんな歯どめがかかる可能性はあるわけでございます。その辺でぜひお考えいただきたいというふうに思っております。

○森ゆうこ君 今回の問題は本当に大きな基本的な問題が含まれていると思います。
 きょうは内閣府の男女共同参画局長の坂東眞理子さんにおいでいただきました。
 今、男女共同参画社会を実現するということでいろいろな施策が進められておりますが、男女平等ということについて基本的な質問をさせていただきますが、今進められている男女平等というのは、社会的な性差、いわゆるジェンダーというものを排除してジェンダーフリーな社会をつくろうということだと思います。
 しかし一方、生物学的な性差というものもあるわけでして、私は個人的には、この男女共同参画、男女平等ということがなかなか広がらないということの原因の中に、一般の方たちの認識ではそうはいっても男と女は違うじゃない、何でもかんでも男と女を一緒に同じことをするというのはおかしいんじゃないということに対して上手に説明できていないからだと思うんですが、社会的な性差と、そして生物学的な性差ということに関して、特に生物学的性差、今回はこのことが問題になっていると思うんですが、これについて区別をつけることがむしろ望ましいと思うんですけれども、局長の見解をお願いいたします。

○政府参考人(坂東眞理子君) 今、御指摘いただきましたように、男女共同参画社会の構築というのはこれからの二十一世紀の日本にとって最重要な課題の一つであるということで政府は真剣に取り組んでおりますが、昨年の十二月に閣議決定いたしました男女共同参画基本計画の中におきましても、「生涯を通じた女性の健康支援」という項目の中で、「女性も男性も、各人がそれぞれの身体の特徴を十分に理解し合い、思いやりを持って生きていくことは、男女共同参画社会の形成に当たっての前提と言える。」というふうに述べております。その趣旨でジェンダーと性差の問題を考えております。

○森ゆうこ君 それで、大変申しわけございません、これは通告していないんですが、午前中来、学問と職業選択の自由と女性の人権、どちらが優先されるのかという議論があったんですけれども、男女共同参画局長の立場として、今の御答弁ですと女性のプライベートな人権の方が前提である、男女の性差の方が前提であるというふうなニュアンスだったのかなと思うんですが、通告していない質問で大変申しわけないんですが、学問、職業選択の自由と女性の人権、プライベート権はどちらが優先されるのか、お答え願いたいと思います。

○政府参考人(坂東眞理子君) 私もその部分について十分勉強、準備してきておりませんので、もしかしたら後から失言したということになるんじゃないかと心配ですけれども、私は、恐らく人権の中にはいろいろな要素が、ディメンションがありまして、自由権ですとか生存権ですとか、それぞれがどちらにより優先するということは言えないのではないかなというふうに考えております。

○森ゆうこ君 済みませんでした、通告なしで。
 それで、今回いろいろ議論が起きているのは、今回の法改正が要するに医療の提供者側の理論が主に進められている。しかも、それもかなり合意形成が、代表者は図られているとおっしゃっていますが、かなり助産婦さんの中で異論がある内容であるということ、そしてもう一つ、ケアを受ける側の女性の声、女性の立場というのが尊重されていないのではないかという、そういう懸念があるわけです。
 それで、先ほど来いろいろな先生方からの御質問の中で、ケアを受ける側の女性の選択権を必ず保障するという条件つきであるならば、この学問の自由、職業選択の自由もそのうちに議論されるかもしれませんが、この名称、今回はそういう意味での名称の変更ということで、すぐ男性の助産師の導入にはつながらないという、女性の選択権を保障するという条件つきである程度理解するというふうな方向性だと思うんです。
 そこで、その女性の選択権ということについてお聞きしたいんですが、それにはケアを受ける女性の側に立った医療サービスがどのように提供されているというのかというその現状をお聞きしなければいけないと思います。おととい二十七日、火曜日の日経新聞の夕刊に、女性のための専門外来ということで千葉県立の病院ですとか、それからViViでしょうか、女性のための生涯医療センターというこういう記事が載っておりましたけれども、女性のための総合医療サービスというふうなことについて、医政局長に御答弁をお願いいたします。

○政府参考人(篠崎英夫君) 先生の御指摘の件は千葉県立の東金病院のことだと思いますが、ここでは女性医師が窓口になって総合的に診療する女性専用の外来がこの九月八日に開設をされたそうでございます。開設当初は医師一名で月四回の診療であったものが、受診希望者が多いことから現在は女性医師三名で月七回の診療体制をとっている、これは堂本知事のイニシアチブでこういうことが始まったと県を通じて承知をいたしております。

○森ゆうこ君 ただいまの御答弁、ありがとうございました。
 その私が先ほど引用した新聞ですが、「日本では女性本位の医療が欧米に比べ遅れ気味だといわれる。医師たちは専門や所属を超えたネットワークを生かし、医療に新風を吹き込み始めた。」というふうに書いてあるんですが、そういう女性の選択権を保障するという意味で、女性の立場に立った医療の体制が今後ともさらに充実されていくべきだと考えますが、その点について御答弁をお願いいたします。

○政府参考人(篠崎英夫君) 二十一世紀の我が国のあり方のことについて論じますときに、一つの視点として患者の選択、このポイントが非常に大事なキーワードであろうということが言われております。そのような視点から申し上げれば、先生御指摘のような、女性も含めてそういう患者さんが自分で好む医療を選択できるような医療体制を整備していかなければならない、このように考えております。

○森ゆうこ君 それでは、もう一度坂東男女共同参画局長に伺います。
 先ほども申し上げましたが、男女共同参画の推進に当たり、広く国民の理解をさらに得るためには社会学的な性差、社会的な性差、いわゆるジェンダーと、そして生物学的性差とのバランスといいますかについて、多くの皆さんから理解を得てもらうように運動を進めるべきだと思いますが、大変雑駁な質問で申しわけないんですが、その点についての局長の見解をお願いいたします。

○政府参考人(坂東眞理子君) 私どもでも、そういった男女共同参画に関しましていろいろな見方、中には誤解をされていらっしゃる方々もいらっしゃるのではないかということは承知しておりますので、男女共同参画会議のもとの専門調査会の中でも、一般的によく提示されます疑問等に答えるための我々としての意見を集約しておく必要があるのかなということを考えておりますので、今後広く有識者の方々の御意見を聞きながら、一般的な素朴な質問にきちんと答えていけるようにしていきたいと思っております。
 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 今回のこの法改正の論議の中で、今の日本におけるお産の現状というものが非常に明らかになったと思います。子供を産み育てるということが女性にとって、私は損得の勘定はよくないと思いますが、マイナスのイメージが非常に大きくなり過ぎているのではないか。子供を産み育てるということは本当にすばらしいことであって、そしてその出発点には、午前中の毛利助産婦さんのお話にもありました、すばらしいお産、本当に至福のときというふうなことを実感できるようなお産というものがあって、そこから始まるものだと思います。
 そういうことで、今後このお産をめぐる環境というものを厚生労働省としても整備していただきたいということと、先ほども申し上げました女性の人権、プライベートな権利というものが優先されるということに今後も御配慮されるということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 男性はただ僕一人でございまして、しっかり三人の子供を産み育てた父親の立場からしっかりとお話をお伺いしたいと思うんですが、何か事あれば必ず子供たちは、日ごろはパパとかお父さんとかということで声はかけてくれるんですが、いざというときには、人生の過渡期、ターニングポイント、そんな折には必ずママというふうに母親のところへ参ります。寂しい思いを多々いたしておりますけれども、やっぱりどうしてかなと自分で考えてみまして、僕もやっぱり、親子四代で生活させていただいておりますが、何かあればいまだに、五十五歳になってもお母ちゃんというふうに、父親よりも母親のところへ相談に参ります。そういった点では、十月十日という、十カ月おなかの中でお母さんにお世話になる、出産する、あの一体感にはどうしても父親は勝てないのかなというふうに思うわけですけれども。
 まず何からお伺いしようかなと思ったんですが、先日、新聞の報道にもございましたのですが、日本母性保護産婦人科医会の無資格者の医療行為問題について厚生労働省は実態調査を指示しているという内容を目にいたしました。これを一点お伺いしておきたいと思います。この問題の経緯と、これまで明らかになっている点を御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(篠崎英夫君) 御指摘の点につきまして、経緯も含めまして御説明をさせていただきますが、日本母性保護産婦人科医会の支部などが設置いたしました日母産科看護学院というものにおきまして、助産業務を行うことができない無資格者などに対して分娩介助の方法などについて研修を実施し、研修修了者を産科看護助手などとして認定してきた経緯がございます。
 平成十二年六月に、この研修を修了した無資格者二名が札幌市の診療所において注射などの医療行為を行ったとして、保助看法違反の疑いで書類送検されるという事件がございました。
 厚生労働省といたしましては、無資格者などによる助産業務が行われることのないよう、通知により都道府県に対し注意喚起をいたしましたとともに、また、同法人に対しまして、こういう研修施設に無資格者の入学を認めないこと、これは平成十一年度からは認めておらないということでございます。それから、産科看護助手等の、あるいは産科看護婦等の登録証の名称を、登録証の名前を研修修了証というようなものに改め、研修を修了したことをもって助産業務を行えるものでないことを研修修了者に周知徹底すること、それからまた、既に研修を修了した者が十二年度までに二万四千人ほどおりますので、その者たちが今どういう就業実態にあるかどうかについて調査をし、その報告をただいま求めている、こういうような状況でございます。

○西川きよし君 わかりました。
 次に、助産師の問題について提案者に、清水先生にお伺いしたいと思いますが、昨年の秋、先ほどもおっしゃっておられましたが、清水先生、南野先生が中心になって保助看法の改正案を提出されて、結果的に審議未了になったわけですけれども、男性助産師の部分について今回の提案では触れなかったと。その間に、先ほどほかの先生ですけれどもお伺いしたときには、さまざまな慎重な意見がたくさんございましたと。どういった内容だったんでしょうか。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 先生御指摘のように、昨年の百五十国会におきまして、資格の名称の統一、変更だけでなくて、助産業務へ男性を導入するということについて保助看法の改正を出したわけでございますけれども、この男性の問題につきましては、先ほどからお話も出ておりますように、男女共同参画の趣旨からも推進すべきだという意見も多いし、また関係団体も長いこと検討してきたということもあって出させていただいたわけでございますけれども、一部には、そういうニュースを初めて聞く皆様方の中には、やはりどうであろうかというような、女性を中心に多い意見だと思いますけれども、そういった慎重論が出てきたわけでございまして、結局出すには至らなかったわけでございます。
 そこで、このたびの法案は、そういった慎重論の中で強引にこの法案を出すことによって祝福されない助産師が出てきても、男性の助産師が出てくることについては私どもも望んでおりませんものですから、合意形成にはもう少し時間がかかるという判断をいたしまして、このたびは、まずと言うとまた森先生にしかられますし、切り離してもいけないんですけれども、とにかく異論のないところで名称の変更だけをこの法案に出させていただいたと、こういうことでございます。

○西川きよし君 よくわかりました。
 それでは次に、日本看護協会の機関誌の九月号ですけれども、清水先生、南野先生のお名前も出てまいりましたんですが、確かに、看護協会といたしましては長年にわたって議論、研究をされましたといった考えでお出しになった。そして、非常に共鳴する部分も、私自身も目を通して、しかし現状では、今までも出ておりますけれども、多くの女性の賛同を得ているようには、男性の立場から見ても、内容を読ませていただいてもそういうふうに思うわけですけれども、この点については、当時の清水議員としてはどのように認識をされていたのでしょうか。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) 先生御指摘のように、男性の助産士につきましては、団体としてはかなり長いこと検討をされてきたわけでございます。
 そして、国会におきましても、私は平成五年のときに保健士の導入をさせていただいたわけですけれども、そのときにも助産士の問題についてできるかどうかということをいろいろ議論いたしました。しかし、そのときにはもう国会に出すような状況でもなかったんですね。そこまで出すような状況ではございませんで、保健士だけ出させていただきました。保健士につきましても、従来は随分慎重論もございましたけれども、もう大分実際に大学を卒業して保健士の資格を持っている人がたくさん出てきていたということもありまして、導入が認められるようになったわけでございます。
 また、平成六年に、規制緩和の点から、政府におきまして助産婦の資格を男性も取得できるようにすることを検討するというような閣議決定もされているわけでございまして、こういったような環境が整っていたということもございます。さらに、平成十一年六月、男女共同参画社会基本法が制定されまして、その中で、男女が社会の対等な構成員として、みずからの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画できる機会が確保される社会、いわゆる男女共同参画社会の形成を目指すというようなことが出されているわけでございます。
 こういった流れの中で、実は、従来それに対して反対をしておりました日本助産婦会のグループの方々が、この助産の問題について、男性にむしろ積極的に入っていただいて、一緒にともにこのリプロダクティブヘルスの問題にかかわっていく方がいいのではないかというような考え方をお出しになりまして、そういうこともありまして社会の認識が進みつつあるというふうに私ども理解したわけでございます。
 もちろん、その一方におきまして、助産の男性が入ってくるということに対しましては、妊産婦の選択とか、そういう立場を尊重しなきゃいけないという声もあることも事実でございまして、そのことは十分に理解いたしまして、当時の法案の中には、助産士に関する情報の適切な提供の問題、あるいは妊産婦の立場に立ったサービスの提供が行われるための環境整備を促進するための規定等、具体的に設けたところでございます。そんな考え方でございました。

○西川きよし君 ありがとうございました。
 私は十六分まででございますが、あと六分でございます。
 正直に申し上げまして、昨年あたり、今、副大臣の南野先生が一生懸命に私どものお部屋にも何度かお越しいただいて、本当に汗いっぱいかいて行ったり来たり行ったり来たり、大変だなと。何か情で負けてしまうというんですか、やっぱりこの国の風土や風習の中にはそういうことが大いにあると思うんですけれども、そして何度もお越しいただくと、今度はまた、名称改正にとどまらず、早くも男性参入の法改正も視野にあるのではないかなというふうにもまた思ってしまうわけです。
 今回はあくまでもこの名称の改正のみということで、何度も質問にも出ておりますけれども、男性の助産師参入については改めて今後国民の合意を得られるような取り組みをどういうふうに行っていかれるのかというのを清水先生にお伺いしたいと思います。

○委員以外の議員(清水嘉与子君) この助産師の問題、今まで本当に社会で余り問題にならなかった問題であろうと思います。このたびこういった法改正を行うということによりまして非常に多くの方々が関心を持ってくだすって、国会の中でもこんなに議論がされるなんというようなことは本当になかったことでございます。
 私どもも、このことを受けまして、きょうは看護協会の会長も日本助産婦会の会長も来ておられると思いますので、ぜひ各団体におきましてもさらにこのことの意味を十分、ここでこれだけの議論がされたということを踏まえながら、ますます皆さんに御理解いただけるように努力したいというふうに思っておりますし、また先生方も各党におきましてこの問題をぜひ引き続き一般の方々にもお広めいただきますように心からお願いしたいと思っております。

○西川きよし君 御丁寧な御答弁ありがとうございました。
 本当にきょうのこの委員会、午前中の参考人質疑、午後からの委員会、本当にすばらしいと僕自身も思いますし、男性の立場からもよく理解ができるような御答弁、議論、討論を聞かせていただいてよかったと思います。
 実は私も、この八月ですけれども、まだ五十五歳という若さでありますが、人生八十年時代、五十五歳、まだまだ若いわけですけれども、孫ができまして、部屋に出産ぎりぎりまで先生に置いてくれということでお願いいたしまして、できたら立ち会いまでさせてもらいたいということだったんですけれども、西川さん、あと三十分で生まれなかったら帝王切開ですというふうに先生がおっしゃいました。そして、そのときに助産婦さんが懸命な対応、本当に感謝いたします。ありがたいなと思いました。妊婦にとってどれだけ重要な役割を果たしていただいているかということも目の当たりにいたしまして、本当に感謝し、今こうして質問しているこの言葉が私の実感であります。本当に大変なお仕事であります。
 もちろん、男性参入への門戸を開くことに否定をいたしませんが、やはり直接援助を受ける妊産婦への影響なり不安というものが払拭されない限りは国民的な合意は得られないというふうに私自身も思います。
 今後、政府といたしましてこの問題についてはどのように対応していかれるのか。午前中の参考人の質疑の中で公明党の松あきら先生がおっしゃいましたが、やっぱり妊産婦が選べるということを明記する、担保をするべきだというふうに御質疑されておられました。僕もそうではないかなというふうに思いますが、こういうことも含めて、最後に坂口大臣に御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 出産だけの話ではなくて医療全般にわたることでございますが、日本の中で何が一番おくれているかといえば、やはり医療の世界におきましては情報開示、そして患者さん、この場合は妊婦さんになるわけでございますけれども、そうしたそれを利用する人たちの選択ができない、そして結果として患者さんとか妊婦さんが主体になった機関になっていない、いわゆる医療従事者主体の施設になっている、あるいは病院になっているといったことが一番大きな問題として今提起されているというふうに私は思っておりますし、自分の経験からいたしましても率直にそう思う次第であります。
 そうした中で、今後の助産婦さんあるいは今回なります助産師さんになりましたときに、やはりその皆さん方がそうした立場で妊婦の皆さん方に接していただけるようにしていかなければならないんだろうというふうに思います。
 ですから、妊婦の皆さん方がやはりいろいろの病院の、あるいはまたいろいろの施設の情報を得られるように、そしてまたその中でいろいろの選択がしていただけるようにする、そして結果としてやはり妊婦さんを中心にした施設であり病院であるということが実現可能になるようにしていかなければならないというふうに思っております。
 きょう、多くの先生方の御発言もそうした観点からであったというふうに思っているわけでございますが、そうしたことを十分に念頭に置いてこれから私たち、病院であれ施設であれ、その改善に取り組んでいかなければならないと思っている次第でございます。

○西川きよし君 ありがとうございました。
 終わります。

○委員長(阿部正俊君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(阿部正俊君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。

○柳田稔君 私は、ただいま可決されました保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び無所属の会の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、出産に関するケアを受ける者の意向が尊重され、それぞれの者に合ったサービスの提供が行われるよう、必要な環境の整備に努めること。
 二、助産師教育については、十分な出産介助実習が経験できるようにする等、その充実に努めること。
 三、保健師、助産師、看護師等の看護職員については、その職責と社会的使命の重大さにかんがみ、それぞれの職種が果たしている機能の充実強化に向けて、教育環境の改善、人員増等の施策を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(阿部正俊君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(阿部正俊君) 全会一致と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。

○国務大臣(坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

○委員長(阿部正俊君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(阿部正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

○委員長(阿部正俊君) 次に、経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。

○国務大臣(坂口力君) ただいま議題となりました経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 一層厳しさを増している雇用情勢にかんがみ、政府におきましては、本年九月に総合雇用対策を決定し、雇用の安定の確保に向け総合的な施策を展開することとしております。このうち実施の緊急性が特に高い施策につきまして、十月に策定しました改革先行プログラムに盛り込み、先行して実施することとしており、これに必要な法的措置、具体的には、中高年齢者すなわち四十五歳以上の方々の再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置を実施するため、本法律案を作成し、ここに提出をした次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、雇用保険法の特例であります。
 中高年齢者のうち六十歳未満の者について、公共職業安定所長が指示した公共職業訓練等の受講後、必要に応じて、基本手当を受けつつ再度公共職業訓練等を受けることができるようにすること等としております。
 なお、船員保険法についても、同様の措置を講じることとしております。
 第二に、中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律の特例であります。
 中小企業者が中小企業経営革新支援法による承認を受けた経営革新計画に基づき経営革新を行い、これに伴って中高年齢者を雇い入れた場合に、雇用保険法の雇用安定事業等として必要な助成を行うこと等としております。
 第三に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の特例であります。
 派遣先が、専門的な知識、技能または経験を必要とする業務等以外の業務に中高年齢者である派遣労働者を受け入れる場合に、派遣期間の上限を三年間とすることとしております。
 なお、この法律は、平成十四年一月一日から施行することとし、平成十七年三月三十一日限り効力を失うこととしております。
 以上が今日の法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。

○委員長(阿部正俊君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十三分散会