147-参-共生社会に関する調査会-4号 平成12年03月08日

平成十二年三月八日(水曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 三月三日
    辞任         補欠選任
     渡辺 孝男君     山本  保君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     山本  保君     渡辺 孝男君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         石井 道子君
    理 事
                有馬 朗人君
                南野知惠子君
                佐藤 雄平君
                大森 礼子君
                林  紀子君
                三重野栄子君
                鶴保 庸介君
    委 員
                岩永 浩美君
                大島 慶久君
                釜本 邦茂君
                末広まきこ君
                仲道 俊哉君
                橋本 聖子君
                小川 敏夫君
                千葉 景子君
                福山 哲郎君
                松崎 俊久君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
                八田ひろ子君
                堂本 暁子君
   政務次官
       文部政務次官   小此木八郎君
       厚生政務次官   大野由利子君
       通商産業政務次
       官        茂木 敏充君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大場 敏彦君
   政府参考人
       人事院事務総局
       任用局長     上村 直子君
       内閣総理大臣官
       房審議官     佐藤 正紀君
       警察庁長官官房
       人事課長     芦刈 勝治君
       総務庁統計局長  井上 達夫君
       経済企画庁国民
       生活局長     金子 孝文君
       法務省民事局長  細川  清君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田  進君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       文部省教育助成
       局長       矢野 重典君
       社会保険庁次長  高尾 佳巳君
       農林水産大臣官
       房審議官     大森 昭彦君
       通商産業大臣官
       房長       佐野 忠克君
       労働省女性局長  藤井 龍子君
       自治大臣官房長  香山 充弘君
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  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (男女等共生社会の構築に向けてのうち女性の
 政策決定過程への参画についての現状と課題に
 関する件)
○政府参考人の出席要求に関する件

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○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 共生社会に関する調査を議題といたします。
 「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性の政策決定過程への参画についての現状と課題に関する件について、午前は二時間程度、おおむね正午をめどに委員各位の御意見を伺いたいと存じます。
 なお、皆様のお手元に、これまで行いました参考人の意見陳述の概要、政府の説明の概要、これらに対する主な質疑項目をまとめたものを参考資料として配付してあります。
 議事の進め方でございますが、まず、各会派から大会派順にそれぞれ五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員相互間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、御意見のある方は順次御発言願います。

○南野知惠子君 自民党の南野でございます。
 本調査会におきましては、参考人の方々から、具体的に、時には刺激的に、また感動的に多くの学びや気づきをさせていただきました。
 男女共同参画社会基本法は、昨年六月に公布、施行されていますので、その理念が具体的な施策の中で十分に理解され、生かされるよう、我々はもとより、国、自治体、国民それぞれが今後とも一層の努力を重ねなければならないと思います。
 そこで、まず、平成八年に策定されました男女共同参画二〇〇〇年プランに基づく政策方針決定過程への達成状況はどうなっているのか、その実態について統計上にあらわれる数値についても国民の目に見えるように、理解しやすいようにその実績が示されなければならないと思います。
 男女共同参画社会基本法の第二条におきます「男女共同参画社会の形成」につきましては、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成すること」となっております。
 そこで、このたびの調査を通しまして感じたこと、また今後の取り組みや課題、対応策などについて私見を述べたいと思います。
 経済は財政や税制などと関連するわけでございまして、今、我が国には六百兆の借金があるとも言われておりますが、今日の所得税非課税分が厚過ぎはしないか、もう少しすそ野を広げたらどうなのだろうかということも思っております。俗に言うパート減税、いわゆる百三十万円の壁を見直し、社会保障の受け手から支え手になれるようにすること、そのためには労働環境の整備も必要でしょう。女性の経済的自立、医療、年金問題も含め、世帯単位から個人単位への方向はこれからの課題かと思います。男女雇用機会均等、同一職種同一賃金等々で男女の意識改革や共生を可能にするための労働時間短縮、育児、介護などに対する支援体制、男女ともに働きやすい環境整備は少子社会の課題とも共通して必要であるとの思いを一層深くしたところでございます。
 次に、政策決定過程への参画でございますが、我が国の女性国会議員の割合は、衆議院議員で五%、参議院議員で一七・一%を占めるにすぎず、特に下院の女性議員比率は世界で百二十位以下という状況であります。首長では、知事一名、市長三名、町村長三名と、全国三千三百自治体のわずか〇・二%を占めるにすぎず、家父長制の意識が強く作用するためか、今さらながらと思われております。地方議員数でも全体で五・九%にすぎません。諸外国では地方議会ほど女性割合が高いという常識からしますと、特に参議院との比較で逆ピラミッド状態が顕著であります。
 こうした状況は、単に政策決定過程のみならず、民間各種団体などを含めた我が国社会全体の問題でもあり、樋口参考人の言葉をかりれば、男の声だけでなく、男女の声が聞こえる男女混声合唱型の社会に早急につくり変える必要があると感じました。女性の政治参加が促進されれば、特に福祉、環境、教育という分野を中心に政治の質が大きく転換するであろうことも参考人の御指摘のあったとおりであると思いますし、また、男性社会から共生型の社会への転換も急激に促進されると思います。
 次は、ジェンダー教育による男女の意識改革、共生をより可能にするための相互の特性理解や心の涵養は、より基本的なことであると同時に、必要不可欠のことと思います。社会の構造が複雑化し、環境が発達、変化すればするほど心のストレスは激しく、多様化する生活への適応にも困難が見られます。二十一世紀は心の時代とも言われるほどに心のケアが家庭でも学校でも産業界でも求められます。心の健康は体の健康を左右します。身体構造がより微妙な女性にはリプロダクティブヘルス・ライツ、これは性と生殖にかかわる健康と権利ということでございますが、それは保護され、育てられなければならないものと思います。男女がお互いに認め合うことは両性の健全なる共生のために重要であり、共同参画社会に生きる人としての幸せにつながることでもあると思います。
 以上でございます。

○佐藤雄平君 佐藤雄平でございます。
 今、南野さんからも話がありましたけれども、共生社会また男女共同参画の大前提として私は、男性は女性を、女性は男性をそれぞれ尊厳を重んずるという中で出発することがもう本当に共生社会の大前提であろうと、そんなふうに思います。
 六人の方のいろんな意見を聞いている中で、私は、男女共同参画社会における、この調査会と、さらにまた、政治家は機会均等をいかにつくってやるか、さまざまな社会の中でつくってやるかというふうなことが大きな役割であるかなと。
 六人の先生方の中で、特に統計的な話で、今、南野さんからも話がありましたけれども、私は特に地方議員が非常に少ないという結果を改めて数字を見て感じたわけであります。しかしながら、冷静に考えてみると、それぞれきょう参加されている先生方の中で、選挙を通じたときにそれこそ婦人部がないと場合によっては落選してしまう。婦人部ほどその選挙に我々にとって大事な支援団体はないんです。そういうふうな中で、私も今新年会、それぞれ先生方のところに行っておりますと、最近つとに女性の方の参加が目に見えているような状況であります。
 しかしながら、それはあくまでも冷静に考えると間接的な参加になるのかなと。直接的な参加にするためにはどういうふうな土壌をつくらなきゃいけないのかな、そんなことを思うと、これまた私、都市と地方のいわゆる感覚的な一つの乖離みたいなのがあるのかなと。
 いろんな参考人の話の中で、家父長制というか、やっぱりまだ地方はそんなことがあって、女性の方の政治、行政への参加というのはなかなか難しいところはあるんですけれども、これも私は、十年前、十五年前と今日とを比べると、もう全然世代が変わることによって違ってきて、参画される土壌はできつつあるかなと、そんなふうに思っております。
 ですから、そういう意味で私は、一つは、男女共同参画社会をつくるにつけて機会の部分を我々が全力でさまざまな社会の中で頑張っていかなきゃいけないなというふうなことをみずから感じております。
 もう一つは、六人の参考人の中で、樋口さんがお話をして、いわゆる混声合唱団、私も実は合唱をやっておりまして、樋口さんの意図するところと私ちょっと違うのかなと。樋口さんは、男性合唱から混声合唱にしようと。それはもう当然のことで、私は、その中でやっぱり日本の一つの歴史、伝統の中で、日本人たるゆえんというか、これは歴史がそういうふうなことを語らせているのかなと思うんですけれども、やっぱり男らしさ、女らしさというのはある意味ではうんと大事なんです。
 ですから、私は、樋口さんのお話ししている中での混声合唱団というのは、まさにそれぞれのパート、いわゆるソプラノ、メゾ、バリトン、ベース、それぞれのパートが本当に独自のカラーを出して初めてこれは混声合唱団になっていくんで、美しいハーモニーができるかどうかというのもそれぞれのパートの役割というのはうんと大事だと思うんです。
 そういう意味で、私は、広く共生社会、これは二十一世紀のある意味ではキーワードになると思うんです。いろんなところで共生というのが叫ばれている今日でありますし、特にまた環境問題等を考えると、本当に自然とどういうふうに共生していくかというふうなことを問われるときでありますし、その中で私は、最もやっぱり基本となるのが人間の社会の中の男女の共生。
 ですから、この辺が私自身、やっぱりこれは誤解を生むんじゃないかなと思うような話は、この間も質問でさせてもらったんですけれども、結果平等に限りなく近づける機会均等というのが一番の共生社会、いわゆる共同参画の基本であろう、そんなふうに私は思います。
 以上です。

○大森礼子君 公明党・改革クラブの大森礼子です。
 これまでも参考人からいろいろ御意見を伺いましたけれども、今の段階で意見を述べさせていただきます。
 女性の政策決定過程への参画ということについてはさまざまなレベルでとらえることができます。国政レベル、それから地方議会レベル、行政ポスト、公務員一般、それから、あるいは女性の意識改革といいますか、さまざまな段階でとらえることができますけれども、きょうは国政レベル、いかに女性国会議員をふやすかという観点について述べさせていただきます。
 まず、参考人質疑の中でも、小選挙区制というものが女性の政界、特に衆議院ですけれども、政界進出を阻む制度であるという指摘がされました。そうであるならば、この調査会が女性議員をふやすという、これを目的とするのであるならば、この選挙制度そのものについて触れないわけにはいかないのではないか、こういうふうに思います。
 それから、二大政党制を目指すということで小選挙区制度が導入されたわけですけれども、二大政党政治が機能するためには、衆議院のみならず参議院でも単独で過半数をとれる可能性を持つ政党が二つ以上存在する必要があるわけでありまして、果たしてこういう流れになるかどうか、これは次の総選挙の結果を見まして、多少流れが明らかになるのかなと、こういう気がいたします。その場合には、もしかすればこの選挙制度そのものについて女性の議員をふやすという観点から議論する必要も出てくるのかなという気がいたします。
 それから、現行制度のもとで考えますと、常に女性の政治進出を促すためにはクオータ制ということが問題になります。法律で政党に義務づけるということについては憲法上の問題があると私自身も思います。平等原則との関係それから政党の政治活動の自由との関係で、男性だけの政党とか女性だけの政党とか、これも決して憲法で許されないものではないと思いますので、そういった場合に政治活動の自由を制約するのかなと。これ、さまざまな議論がありましたけれども、参考人質疑の中で問題点が明らかになったことは非常に有意義であったと思います。
 このクオータ制につきましては、イタリアでもフランスでも違憲と判断されているということ、しかしながら、例えばアファーマティブアクションとして過渡的にという条件つきで法律制定をするならば辛うじて合憲と言えるのではないかという気もするのですけれども、しかし女性国会議員の少ない国会で、男性議員が現段階で賛成するかどうかも疑問です。そうしますと、今の段階で言えるのは、各政党が積極的に採用するしかないということになるわけですけれども、政党任せであるならば、調査会の検討もそこまでということになります。
 そこで、政党にこれを、クオータ制導入とかを促す方法はないかということで、一例ですけれども、政党助成金制度がございますけれども、例えばクオータ制、比例候補者名簿など女性の政治進出に有効な方策を講じている政党への分配を多くするとか、あるいは助成金のうち一定割合を女性候補者の支援に使用するとか、こういうことを義務づけると。この範囲内であれば違憲の問題は起きないのではないかという気がいたします。
 それから、これは樋口参考人が挙げられた、私の知人が選挙に出たときにという、こういうエピソードだと思いますけれども、非常に選挙というものは複雑であると。私自身も法律と無縁ではないんですけれども、公職選挙法のあの条文を見ただけで、もう何というか、混乱するというかむっとすると思います。例えば、女性市民団体が団結して女性候補者を立てようという動きが出たときに、現行の選挙規定は複雑過ぎないかと。もしかしたら、公職選挙法の条文を読んだだけで断念するのではないかという気もいたします。厳格な割には抜け道も多く、違反があっても取り締まる体制が不十分ということで、いたずらに萎縮効果を及ぼしていないかということも検討する必要があると思います。
 それから、例えば資金が豊富でない陣営ですと、候補者本人の人格、それから直接の対話で勝負するしかないわけでありまして、そうしますと、戸別訪問の禁止ということももう廃止すべき段階に来ているのではないか。戸別訪問一律禁止規定が合憲であるとする最高裁の理由づけも、もはや時代錯誤の感ありと私は思います。
 それから大事なことは、まず隗より始めよで、女性国会議員がどのような役割を果たすかということで、まず私たち女性議員が積極的な行動をとらなくてはいけない。例えば、言うなれば、政党内でのクオータ制導入などについて党内で十分な働きかけ、努力、説得をすべきだろうと、このように思います。
 それからもう一つは、平成元年参議院選挙、マドンナブームが起こりました。それで、この後の参議院では女性議員の占める比率が二けたになりまして現在まで続いております。しかし、平成十年の選挙で一七・一%に伸びるまでは大体一三%から一五%台で推移しております。これを定着と見るか伸び悩みと見るかですけれども、私はむしろ、参考人のどなたか御指摘ありましたけれども、伸び悩みと見てもいいのではないか。平成元年の参議院選挙でブームをつくった後の伸び悩みは何が原因かということについて、女性議員の方からも、女性議員も期待に十分こたえていないのではないか等のシビアな検討も必要であろうと思います。
 そうする中で、女性に政治ができるかという、国民の中に根づく儒教的な観念といいますか、こういうものを変えていく必要がある。そのためには、まず女性議員が実例を示すべきであろうと思います。例で言うならば、女性閣僚が少ないと言われますけれども、女性閣僚にしましても、大蔵、通産、外務大臣とか、こういう場面で女性閣僚が誕生すれば、大きく国民の意識も変わるのではないかなと思います。
 それから大事なことは、女性国会議員が何らかの成果を出すということを考えますと、超党派での取り組みというものが大事になってくると思います。
 昨年、児童買春、児童ポルノ禁止法、これは超党派で、特に、男性議員も非常に協力を得ましたけれども、女性議員が非常に頑張って成立させました。女性問題と人権問題には党派はないというふうに私自身思うのですけれども、こういう取り組みをする中で新しい流れを女性国会議員がつくっているということを国民に理解していただければ、女性だからこそこういう政治ができるということも示すことができるのではないかと思います。例えて言うならば、民法改正、選択制夫婦別姓なんかもこれになじむと思います。この点については、たしか岡澤参考人と思いましたけれども、福祉問題などでは全党一致でできるんではないか、こういう御意見もありましたので、まずここらあたり、女性議員の方から努力していくことも必要かなと思います。
 以上です。

○林紀子君 日本共産党の林紀子です。
 私は、女性の政策決定過程への参画はなぜ必要か、今回の調査の課題のそもそもですけれども、ここから考えたいと思うわけです。
 何よりも民主主義の問題として重要だということは当然なのですが、岡澤憲芙参考人からスウェーデンの例を引いてお話がありました。女性が政治に参加するということは国民に政策の納得が得られやすい、これが一番大きなメリットだというお話がありましたが、それは裏返して考えますと、女性も含めてみずからの願いが政策に反映される、そういう信頼があるということではないかと思います。ですから、男性でも女性でも人間らしく生きる社会、自分の願いがきちんと政策に反映される社会、それが男女が共生する社会の青写真というか目標ではないかというふうに思うわけです。
 こうした社会をつくるために、政策決定過程への参画は政治の場だけではなく、あらゆる分野で進める必要があると思います。もちろん政治の分野が非常に重要なわけですけれども、地方や国会議員の女性議員をどれだけにするか、また首長をどうするか、そういうことは第一には各政党の責任に属する問題だと思うわけです。
 我が党は、こういう観点から、候補者は能力、条件など適材適所ということでふさわしい人を決めておりまして、もちろんこの中に女性も入るわけですが、男女の数値目標は特段設定はしておりませんけれども、こういう努力を積み重ねた結果、現在、国、地方合わせて女性の議員は約三〇%となっております。
 女性の政策決定過程への参画のために何をすべきかということですが、今政策決定過程への参画の障害となっている問題、いろいろあると思います。男女の役割分担意識、それから家庭責任を共通してどうやって果たしていくのか、また深夜にわたるような労働、単身赴任など労働条件の問題というのも非常に大きいと思います。訓練、研修などなかなか女性には機会が与えられない、こういう問題を解決していかなければならないと思います。
 参考人からも指摘されましたが、我が国では公的部門での政策決定過程への参画が非常におくれている、民間よりもおくれている、そういう状況がある。ですから、国、地方の公務員、教員などで女性の政策決定過程への参画を大幅に引き上げる必要があると思います。そのためには、各省庁、女性の応募者、採用者数、それから女性の登用数など情報公開をさせるということがまずスタートなのではないかと思います。
 今政府が政策決定過程への参画として数値目標を挙げているのは審議会だけですけれども、しかし審議会だけであっても足を踏み出したら大きな波及効果があらわれるということは、福岡県に行って、既にあそこは三〇%審議会は女性が参加をしているわけですけれども、その波及効果というお話も聞いてきて大変参考になりました。
 ですから、ポジティブアクション、こういう考え方に基づいて、数値目標を掲げながら引き上げていく、これが今非常に重要ではないかと思います。参考人からは、フランスでは男女同数、パリテという考え方もあるというのが紹介されましたが、先進的な外国の例も参考にしながら今後調査を進めていく必要があると思います。
 そして最後に、それでは立法府として何をすべきかということですけれども、現在、男女共同参画審議会で検討中で、その答申を受けて今年度じゅうに男女参画のプラン、これを政府は策定するということになっておりますが、このプランに向けて公的分野で抜本的な対策をとる、そのことを立法府として提言していく必要があるのではないかと思います。
 この調査会の役割としては、そういうことに焦点を当てて調査を進め提言もしていくということが必要だということを提案して、私の意見表明を終わります。

○三重野栄子君 三重野でございます。
 私は、この調査会には今年度から参加をさせていただいたものですから、参考人との協議等々についても非常におくれています。二回ございましたのですが、一回は私の事情で欠席をしましたものですから、先回だけしか伺っておりません。そういう状況の中で、これからの問題も含めてどのように感じるかということについては、いささか離れた面があると思いますけれども、それぞれ今まで議員の皆さんがお話しくださいましたことを参考にしながら、私自身が今思っておりますことを申し上げてみたいと思います。
 いろいろ政策をつくる、あるいは選挙に参加をする、いろいろありますけれども、私たち個人の問題の中にどういう考え方があるのかということをひとつ考えてみました。
 何を考えますにも、まずは自立をするということを考えていかなくてはいけないのではないか。その自立は精神的問題もありますし、経済的問題もありましょうけれども、一人一人が生涯生きていくために必要なのは自立をしていこう。それからまた、自分だけでは難しいわけですから、協調する精神も非常に重要視していかなくてはならないと思っています。
 自立をし協調しながら生涯を終わるわけですけれども、その場合に、男女の差別はもちろんですけれども、年齢の差別、学歴の差別、職業の差別、それから資産の差別、そういう差別をなくしながら協調していくような状況でなければならないと思っております。
 なお、なぜそういうことを申しますかというと、特に年齢の問題は、国会議員の選挙でも今それぞれの党でも議論されておりますけれども、国会議員は六十歳以上はもうやめようとか、いや六十五歳にしようとか、何かの問題、公安委員会の問題もあると、あの公安委員会のメンバーの皆さんは高齢者ばっかりだねとか、すぐそういう問題にいかないで、その人がその年代で考えたことを討論すればいいはずなのに、年代全部を、その年代の人全体に影響するようなそういう考え方がさっと出てくるということになりますと、私たちは何をしようと、その個人の状況の中から判断して討論をしていった方がいいのではないか。
 そういう意味で、私は、働く場合も定年の問題がすぐ問題になりますけれども、定年制というのは反対です。国会議員の、それから議員の定年制も反対です。それはその年代に対して不十分であれば本人がやめる、あるいはやめてもらう、やめるようにお勧めをする、そういうふうにいけばいいわけであって、何かを決めて、その年齢に達した人は、その人の経済状況であれ身体であれ、考え方の問題、そういうものを含めて年齢で切るということは、これはやっぱり個人を大切にしていないというふうなことを思います。
 そういうことで、大変横にそれてしまいましたけれども、特に学歴の問題もそうですし、先ほど公的企業の問題もありますが、学歴によって差別をされる、それから職業によっても差別をされる、それから資産によっても、持っている者、持っていない者の差別というのが特に最近は多くなったように思います。
 そういう状況を克服するためには、やはり教育というものが非常に重要であろうと思います。
 先日の先生のお話の中に儒教ということもありましたけれども、儒教ももちろんありましょうけれども、特に日本の明治政府以来の教育の問題が非常に大きな影響を与えているというふうに思っております。ですから、ジェンダーフリーの問題もございましたけれども、生まれて生涯終わるまでそれぞれの段階においてお互いを尊重し、それぞれが自立していくような教育が行われていかなくてはならないというふうに思います。
 国際問題としても非常に重要ですが、先日スウェーデンのお話もございましたけれども、やはりあの歴史を見ますと、あのときもちょっと申し上げましたけれども、私の生かじりですけれども、政府自身が女性を働かそうと思ったときに女性たちは何を叫んだかといえば、私たちが生きるために、働けるようにするためには子供の問題、老齢の親たちの問題を考えるべきだということから、自分たちが要求し、そして政治参加をしていったのはそのずっと後ですけれども、そういうことを政府自身が認めながらやってきたところにスウェーデンの今日があるようにも思うわけです。
 そういたしますと、私たちがこれから二十一世紀を目指して政策をつくる場合に、根本的にはやはり自立し、協調していくようなものが育てられるようなことで各省庁とも考えてもらいたいというふうに思います。
 パラサイトシングルというのがこのごろ言われておりますけれども、私もびっくりしましたが、今、若者たちはずっと働くことを喜んでいます。学校を卒業したら、私たちの時代はもう働かないということが当たり前でしたけれども、今や働いていこうと。働いた上で何をするかといったら、親のところにいつまでもいるんですね。いつまでもいるという言い方はおかしいんですけれども、親に養われながら自分は働く。親自身も貧しいけれども、ある意味で余裕があると言うと語弊がありますけれども、余裕があると思うんです。
 それと同時に、精神的に自分たちの若き時代に非常に寂しかったこともありましょうけれども、子供と一緒に暮らしたいということの中で、子供が自立して社会人として働いていくことを少し忘れているんではないか。ですから、働いても一緒にいようね、いようねと言って、いつまでも一緒にいる。子供たちはよかったよかったといって精いっぱいのことをやっているということで、パラサイトシングルと言われていることを十分に言えるかどうかわかりませんけれども、そういう問題があるというふうに思います。
 それは、これからの教育の課題としても、それから政治に参加する政策の問題にしても共通する課題であろうというふうに思います。
 私も、男らしさ、女らしさの特徴はあると思いますけれども、そのことがすべてに、男は男らしくでずっと支配的に、女は女らしく従属的になって生きてきた、それを今ようやく変えようとしている時代ですから、特に気をつけながら私たちは参加をしていきたいと思います。
 終わります。

○堂本暁子君 私は、先ほど南野委員が冒頭で言われたことに全面的に賛成です。
 と申しますのは、南野委員の言われたことは、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚のメンバーが参加している男女共同参画推進本部が、一九九五年に北京で開かれた第四回世界女性会議を受けて、一九九六年、平成八年に策定された男女共同参画二〇〇〇年プラン、これの進捗状況を単に概要としてではなく数量的、具体的に本調査会が、あるいは国会、立法府として知っておく必要があるということを冒頭おっしゃいました。私も全くそこが一番のかなめではないかというふうに思っております。
 北京の第四回女性会議からちょうど五年たつわけですけれども、ニューヨークで六月に女性特別総会が開かれるわけですが、そこに向けての準備として、現在女性の地位委員会の準備会合が開かれている真っ最中です。
 日本の場合も、九六年に男女共同参画ビジョンの答申が男女共同参画審議会から出され、十二月には先ほど申し上げた男女共同参画二〇〇〇年プランが北京の行動綱領をもととして、日本も採択した国としてこれが策定されたわけですが、そのプラン、項目ごとにどのぐらい具体化しているか。ここに私持ってきておりますけれども、二〇〇〇年プランが大変よくできているのは、各項目について全部横に、これは全省庁がやるべき政策である、あるいはこれは農水省がやるべき政策である、これは通産省、厚生省、郵政省、労働省あるいは警察庁、法務省といったように、それぞれすべての行政のやるべき政策がきちっと書き込まれているということです。
 以後、総理府から男女共同参画白書として三回、男女共同参画社会形成に関しての二〇〇〇年プランに関する報告書が出されています。ただ、この報告書の場合には、実際に実施された内容がむしろ書き込まれていると申し上げた方がいいかと思います。先ほど南野委員が言われたことは、この中には非常に数量的に、どこまできちっと何が検討され、そして何が実施され、あるいは何がどのような形でこれから実施される予定なのかというような形での報告にはなっていません。
 ことし、男女共同参画基本計画が策定される予定ですけれども、それを前にこの調査会がこのような男女共同参画、特に女性の政策決定への参加について審議していることは大変貴重で、やはりさすが参議院、さすが共生社会調査会だと、大変誇らしくも思いますけれども、大変タイムリーだと思います。六月の国連の特別総会に向けてもタイムリーですし、それから日本の国として男女共同参画基本計画を策定するやさきに、前の会でも、どうやって国会の意思を実際にこういった基本計画に入れるのかということをいろいろな形で、例えば国連に出す文書にも国会からどうやって私たちは出していこうかというようなことを議論いたしましたけれども、国連とまで言わなくても、足元の日本国の基本計画に、私ども女性議員並びに男性議員でできているこの調査会から国会を代表してぜひとも意見を入れていくことがいい、そのためにはこの場しかないのではないかというふうに思います。
 前回見えた植野妙実子参考人のお話で私が非常に印象に残りましたのは、フランスでそういった男女平等を実現するために憲法の改正までやったと。私はフランス語を知らないのですが、パリテという、男女同数という考え方を憲法まで変えて男女同権ということを実現する。男女同権と申しますか、クオータ制を導入するためにそういう法的な措置までやったということなのですが、日本国の場合はそこまでやらなくても、もう憲法にきちんと男女の性の平等はうたわれておりますし、この二〇〇〇年プランの冒頭に「男女共同参画推進本部は、男女共同参画社会の実現が、憲法にうたわれた基本的人権の確立という意味で、たゆまぬ努力によりその達成を目指すべき課題であると同時に、我が国社会が、そして世界が、現在直面している極めて重大な諸課題への対応の鍵として緊急の課題であるとの認識の下に、この計画を策定する。」というふうに書いています。
 この計画は、内閣総理大臣並びに全閣僚が参加した会議のもとで策定されているわけですから、日本国の方針というふうに考えてよろしいわけで、その達成年度が二〇〇〇年度、平成十二年度内に達成するあるいは検討するということが決められております。つまり、ことしです。そういう意味でいいますと、この調査会の責務と申しますかやるべき仕事というのは、このプランがどこまできちっと数量的にあるいは細部にわたって、法的にあるいは行政的に実施されているかということを確認していくという作業が大変重要なのかというふうに思います。
 最後に一言だけ、国家公務員のことで岩本参考人がお話しになって、日本では非常に少ないということで、私も見てみたのですが、確かに採用はしているんですが、まさにこの報告書である白書を見ますと管理職に非常に少ないんです。一級という本当に若い方たちは三二・八%おられるのですけれども、もう九、十、十一級、これは本省の課長あるいは準課長クラスに当たるところですが、そこになりますと一・三、一・二、一・〇と、十一級が一・〇なんですが、もう一%台。それに引きかえスウェーデンでは、国家公務員が多いとか少ないとか、これはフランスもアメリカも全部五〇%近い、半分近い国家公務員がいるわけですが、やはり一番注目すべきことは管理職の中に女性が四四%いるということだと思います。そのあたりを注目していくことが大変大事かというふうに思います。
 ありがとうございました。

○会長(石井道子君) 次に、委員相互間の意見交換を行います。
 御発言のある方は挙手をしていただきまして、会長の指名を待って発言されますようお願いいたします。
 なお、多くの方が御発言できますよう、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 それでは、御意見のある方は挙手を願います。

○八田ひろ子君 今の皆さん方のお話を伺いまして、本当に今までの参考人の先生方の政治だけでなく社会全体の重要なポストに女性が少ないという御指摘や御意見を思い出していました。私は、あらゆる分野の政策決定過程への女性の参画のため、基本的には女性の経済的自立が必要で、今、堂本先生もおっしゃいました女性が働くステージの環境整備が非常に大事だというふうに思っております。
 先月、実は雇用均等政策研究会の報告書というのが出まして、これは六月をめどに出されます男女雇用機会均等対策基本方針にも反映されるそうなんですが、その中にも、例えば民間でも千人以上の規模の大企業においては八八年以降男女賃金の格差が拡大をして、その賃金格差は勤続年数が長くなるほど拡大する傾向にある。我が国の男女間の賃金格差は、管理職への登用が少ないなど女性の能力発揮の場が十分でないこと等を反映して、欧州諸国と比べるといまだ大きくなっていると分析されています。
 均等法ができた以降に、とりわけ大企業では社会的責任が大きいにもかかわらず後退しているという数字は非常に衝撃的なんですが、日本で大企業と言われる千人以上の規模の企業でも、部長と呼ばれる職制の方は百四十九人とか、コース別の雇用が男女差別の隠れみのになっているとか、あるいは女性が選択できる働き方がパートや派遣など低賃金、不安定雇用ということで、女性が政策決定過程に参画することから外されているというのが複数の参考人から指摘をされてきました。男女の賃金格差の影響というのは、家庭責任を男女で協力し合うという前提も崩していますので、こういった家庭責任についての、参考人からも出たんですが、男性の異常な長時間労働を野放しにしたままでは家庭責任を負えといっても無理だというお話がありました。こういうことが積み重なって、結局、性的役割分担からも自由になれずにあらゆる分野の政策決定過程に女性が参加するのを阻んでいる、こういう現状があるのではないかと思います。
 ですから、この調査会でもこういった問題解決に向けた提言をいろいろな形で皆さんと御論議して、六月をめどに、国連もありますし、あるいは基本法に対する意見もあります。あるいは、先ほど挙げました男女雇用機会均等対策基本方針というのも六月をめどに出されますので、こういうものをこの提言の中で明らかにしながら積極的な役割が果たされたら大変ありがたいのではないかと思います。

○三重野栄子君 先ほどのに一つだけ加えさせていただきたいと思います。
 自立と協調と申しましたけれども、もう一つ労働というか、人は働くことによって成長していくわけですし、働かなければ生活できないわけですから、そういう意味で労働ということを考えていることを落としておりました。
 何か働くということは経済的な問題だけを強調しますけれども、でも働くというのはお金をもらって、賃金をもらってから働くというものだけではなくて、病気をしていても自分の健康の問題を維持するために長く生きるというか、生きていくということ、それは人のために自分の病状が影響していってよくなるかもわからないとか、自分の状況を通じて人が助けられるということを含めることも考えたいと思っています。小さくてお金がもらえなくても、お母さんの手伝いをするとか兄弟をいたわり合うということも働くことの一つだと考えまして、私はその労働ということを落としておりましたから、つけ加えたいと思います。
 それから、自立、協調、労働というのは、家庭もありましょうし地域もあります。県もあるし国もあるし、それからお互いの、それぞれの国際的な問題も、全部その言葉というか内容というのは共通点があるということを申し上げまして、先ほどの追加にさせていただきたいと思います。

○渡辺孝男君 今のこととも少し関係するんですけれども、前に藤原参考人が女性のアンペイドワークが大きな問題だということは挙げられました。
 私も、市場で評価されない、要するにお金で換算できないようなそういう働きとか活動とか、そういうものをやっぱりいろいろ評価していくことによって男女の共同参画に非常に貢献するんではないか、あるいはもっと広く言えば共生社会に貢献するのではないかというふうに考えております。
 女性のアンペイドワークだけでなくて、やはり男性のアンペイドワークというのもあるんじゃないかなと、そのように思います。定年退職してしまうと男性は余り役割を果たしていないみたいな、そういう風潮もなきにしもあらずというふうに考えておりまして、やはり男女のアンペイドワークというものを研究したりすることが非常に大事なんではないかなというふうに思います。
 実は私は、アンペイドワークというのと関係していると思うんですけれども、農業の多面的機能というのを今農業委員会の方でやっているわけでありまして、市場で評価されないいろんなものにはそういう効果を及ぼすものがある、あるいは働きをしているということがありますので、そういうものを評価していくことが大事なのかなというふうに思います。
 ただし、余りにも女性、男性の役割をお金で換算するとかそういうものにし過ぎますと、これまた非常に大きな問題であります。二十一世紀は心の時代というふうに言われますので、余りにも物で換算する、お金で換算するということを強調し過ぎてもいけないのではないか、やはりあくまでも参考にして、それをもとに男性の役割、女性の役割、あるいはもっと自然の役割等々を考えていくことが非常に大事なのではないか、そのように考えておりまして、こういうアンペイドワークについてもそういう参考資料として研究していくことが大事なのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。

○末広まきこ君 女性国会議員が大変伸び悩んでいるというのは私たちにも大変な責任があるんだろうなと、非常に未熟さを痛感しているところでございますが、まず三点ばかりちょっと申し上げたいと思います。
 一つは、学校の教育で我々は何を学んできているのだろうかということなんですが、確かにお勉強とかそれから進学のための学習ということは熱心にやっているように思うんですが、人間が生きていく、生涯生きていく、それも自立して生計を立てるというようなことをどこかのプロセスで真剣に学んだだろうかというような疑問を感じています。
 つまり、自立して生計を立てるということは、先ほど先生がおっしゃいましたパラサイトシングルではないわけなんですね。生活も自分でやって、働くこともやって、経済もちゃんと身を立てると。その上で男女共生という、男性、女性、同じ視点で協力し合って補い合うという、このような教育を小学校、中学校、高校、どこかで受けただろうかなという疑問が一つあって、これは働くための環境整備ということとともに、教育というのを整備しなきゃいけないのじゃないかというのが一つ。
 それから、昨今の民事で起きているさまざまな問題ですね、男女間にかかわるトラブル、夫婦の問題、それからストーカーの問題。夫婦の問題では家庭内暴力というのを我々は議論してきたわけですけれども、そういう民事のトラブル、人間関係で、お隣の家とのトラブル、親類とのトラブル、そういうようなときに、民事不介入というので警察が受け付けてくれない場合に、じゃどうやってそこを乗り越えていくんだろうかという、男女の問題ですからねと言われてしまうと救われる場所がない。未然に解決するためにはどうしたらいいんだろうかというようなことで、警察法の民事不介入というところに多々問題を感ずるきょうこのごろでございます。
 それから、三点目に、政党助成金の活用方法というのがもう少し考えられてもいいのではないか。つまり、女性を議員に、送るための活用資金という活用の部分も考えられるのではないのかなというのがきょう感じた点でございます。
 ありがとうございます。

○仲道俊哉君 今、教育という問題が出たんですが、あわせまして、渡辺先生が先ほどおっしゃった男性の立場から、最近私は、昨年からこの調査会に入って随分考え方が変わってきたんですが、実際に、この前千葉先生からいただいた男子の料理教室、大津町の食生活改善推進協議会でこれをいただいて、すぐ直後に、先日お亡くなりになりました熊本の福島知事からサツマイモを送っていただいたんですね。実はきょう、この会がありますので、私はサツマイモもちというのをきょうつくってきたんです。つくりながら思ったのは、実際にこうするようなことが男女平等なんだろうか何だろうかと。いろいろな意味で、男性が男女平等ということに参画する、今は女性の立場からの御発言が多いんですが、男性の立場で男女平等ということはどういうことだろう、実際に自分であんこを練りながら実は考えたわけですね。
 ですから、そういう意味では、午後、私は文部省に、男女平等とあわせて、それの教育を進めるにはどういう考え方を持っているかというのをちょっと質問したいとは考えておるんですが、実際に、先ほど佐藤先生がおっしゃった男らしさ、女らしさですね、いろいろと突き詰めて考えてみますけれども、どうしても我々の認識としては、男らしさ、女らしさということを言うと、何か皆さん方、女性の国会議員の先生から怒られそうな気がするんですね。
 男女平等といいながら、しかし、男性の持つ特性、女性の持つ特性、そういうのを考えながら、なかなかまとまらないんですが、あんこを練りながら、男らしさ、女らしさというのはどういうことだろうかなというような、今自分自身がジレンマに実は陥っておるんですが、そういう点について率直な先生方の、フリートーキングで何か御意見をお願いいたしたいなという、そういう気持ちでいっぱいでございます。

○堂本暁子君 もう本当に私も先生が、日本の男性はそんなに横暴ではないとドメスティック・バイオレンスをやっていたときにおっしゃって、えっと。それから、あれの最後のときに、いや、私の考え方が変わりましたとおっしゃったので、大変うれしくも思い、それから、若い男性ならいざ知らず、お幾つか存じませんが、とにかく大変変身というか、やわらかい頭を持っていらっしゃる、感性を持っていらっしゃるということで、大変敬意を表したいと思っているところです。
 今おっしゃった問題なんですけれども、私も何も女性の主張だけをわめいているわけではなくて、むしろ女性の主張というのはイコール男性にとっても住みやすい社会をつくるということだろうと思うんですね。
 ですから、二つの言葉がよくこの調査会で出てまいります。一つは、性的な分業とか性的な役割、いわゆる性という言葉で言っている場合と、それからジェンダーという言葉と、二つ使われていますね。
 そういうことでいうと、前者の方でいえば、男性が子供を産むこともないし、それから女性が本当に重労働のところで労働ができるというわけでもない。そういう意味で、あえてそういうことを申し上げなくても、男性と女性とそれぞれ違った役割を果たしていることは、常日ごろ、家庭の中だろうが職場だろうが地域だろうが、いろいろあると思います。
 ただ、ジェンダーという言葉は違うんですね。それは社会的、文化的につくられてきた性の差別ということで使われている言葉なんですが、余り日本語に上手に訳せないままジェンダーという言葉で使われておりますが、今恐らくこの調査会で一番私たちが問題にしているのは後者のジェンダーの視点だというふうに思います。
 ですから、フランスの例で、この間聞いた例で言いますと、フランスは、上位法ではなくて一番下の法律で、男女の同数というのを決めるためには憲法まで変えなきゃならない、こういう考えで彼らは整合性のある法律の体系をつくったみたいですが、日本は最初から、占領下の憲法とはいえ何であれ、とにかく日本の憲法では性の平等というのは保障されているわけなんですが、でも、憲法で保障されていながら、それを上回るやはり慣習とか、それから憲法にありながらなおかつ実態としては性のための不利益というのが横行していると。
 そこの中での不利益あるいは不平等を解消していかないと、日本の人口の半分を占める女性たちがやはり生きにくく感じて、女性が生きにくく感じているということは男性も生きにくいことなので、そこのところをもう少し是正して、男女ともに参画する、そして両性も、老いも若きも生きやすい社会をつくろうという主張を私の場合は、ほかの方はとにかくとして、とにかくじゃなくて多分同じようにお考えかもしれませんけれども、私はそういった意味で、今の御質問というか、ぜひわかっていただきたいということで発言させていただきました。

○千葉景子君 仲道先生の御議論にはまたいずれ参加をさせていただきたいと思います。
 でも、差し上げたのが効果が出まして大変うれしく思っています。
 せっかく参考人からいろいろ貴重なお話を伺い、そしてこの参議院の中に共生社会に関する調査という調査会があって、一体どんな役割といいますか、どういうことを果たしていったらいいんだろうか、こういうことを考えているところです。
 ちょっと冒頭、私は遅参をいたしましたものですから南野先生の御意見をつぶさに拝聴できなかったところですけれども、幸いなことに国の方も、政府の方も男女共同参画審議会のビジョンを受けてプランというものをみずから策定されて、それから国会でも昨年、男女共同参画社会基本法が制定をされた。ある意味では私たちの向かうべき大きな道筋みたいなものができている、私たちはそれを持っていると言うことができるのではないかというふうに思います。
 そこで、やはり施策なり実情がそれと照らして一体今どうなっているのかということを私たちは本当に一回きちっと整理をし、あるいは総括をしておく必要があるのではないだろうか。そして、それを具体的に、不足の部分には施策を講じ、あるいは何か少し方向性が曲がってしまっていそうなところは正していくという作業をする必要があるのではないかなという感じがしております。
 もう一つ、調査会でこういう仕事をするのと同時に、各委員会などでもいろいろな法案、施策が提案をされ、そして論議をされています。考えてみると、そういう際に必ずジェンダーチェックといいましょうか、本当にこれが共生社会に向けて問題点はないだろうか、どこかで一回必ずチェックが入るような機能というものができないものだろうか。大体論議が進んで、最後になって、えっ、こんなはずではなかったということもあるわけで、だとすれば余りかた苦しく考える必要はないかと思いますけれども、どこかで一度、共生社会、そういう点で大丈夫かなという、チェックシートではありませんけれども、そういうことでチェックができるような機能が国会全体でうまくできたら大変これは運営上効果が上がるのではないかな、そんな感じがいたしております。
 共生社会調査会というのが設置されたというだけでも大変大きな意味があるのだろうというふうに思いますけれども、やっぱりみんな各ところで一つ一つをチェックしていく、そこの積み重ねというのが大事なのかなと、こんな気持ちもしているところでもございます。
 来年、中央省庁の再編ということで行政の部分も大きな再編がされるわけですけれども、行政の部分でも、多分内閣府でしょうか、そこに男女共同参画を統括するような部署がつくられるやには聞いておりますけれども、それを各行政機関でもチェックができる、こういう仕組み、そして国会の方でも各部署でチェックができるような仕組み、私も知恵がなかなかありませんので思いつくだけではありますけれども、そういうことなども、せっかくここでお互いに共生社会に向けてのいろんな論議がされていることを全体に生かしていくような手法というものもぜひまた今後考えられたらと、そんなことを今思っているところでございます。

○林紀子君 またちょっとお話をもとに戻すようで申しわけないんですが、仲道先生から先ほどお話のあった問題ですけれども、私もそのことについて今一生懸命考えておりました。仲道先生は、そういう意味では前からお料理はお好きだったというお話も聞きますけれども、男性が今まで厨房に入るべからずみたいな形で料理はできなかったという方がいらっしゃるとしたら、そこで男性が料理をするという能力を獲得するということはやはり新しい自立に向かって一つ前進をしたんだというふうに思うわけですね。
 今、議員の方々は単身赴任の男性の議員さんもたくさんいらっしゃいますから、厨房に入らないわけにはいかないという方もいらっしゃるかもしれませんけれども、やはり今までの歴史的な考え方からいうと、男は料理なんかするもんじゃないという話はあったんだと思うんです。しかし、実際単身赴任というのもありますし、それから例えば定年後奥さんが先に亡くなられて男の人が立ち往生しているというような話もあるわけですから、男性がそういう能力を獲得するということは男性の自立という意味で非常にすばらしいことなんだと思うんですね。
 ですから、それは今までできなかったことを一歩前進してそういうことができるようになる。それじゃ、女性の側が今までできなかった、させてもらえなかったといいますか、そういう能力を一歩前進して獲得する、そのことも大変必要だと思うわけです。ですから、今、論議をされております女性の政策決定過程への参画というのはそういう問題なんじゃないかなというふうに思うわけなんです。
 私は、この前九州に皆さんと御一緒に視察に行きまして、大変ああそうかと感じたことがあるんです。先ほどのサツマイモ産地の大津町に行きまして、実際に活動していらっしゃるNGOの女性の皆さんも含めてお話を聞きましたが、そのときに、今までだれも女性がいなかった農業委員会に女性が二人参加をしたという話がありましたね。
 そのときいらした女性の方は、女性が二人参加して、農業委員会がいつでも一杯飲み会というのを必ずやる、それがちょっとなくなったかなというぐらいのことしかありませんと言ったんです。そのとき町長さんが口を挟まれておっしゃったのは、いやいや、それだけじゃありませんと、やはり専門部会というので女性が、私たちはまだわからないところがいっぱいあるから勉強しようといって一生懸命勉強を始めたら、今までずっとやってきた農業委員会の男性の皆さんも、いや、我々もそれは勉強しなければいけないということで専門委員会というのをきちんとつくって勉強するようになったという話を聞いて、ああそうか、女性が参加するということはそういう意味では組織全体がまた一つそれでプラスになったんだということを非常に印象深く伺ったわけなんですね。
 ですから、農業委員会という場に女性がたった二人参加しただけでもそういう事態が生まれているということでは、あらゆる分野で今まで女性がほとんど参画をできなかった、そういうところに、特に意思決定、政策決定をするようなところに女性が男性と同じように参画していくということは、社会全体をもっと一歩も二歩もレベルアップしていく、それは女性が今までしなかったことをできるようになったからうれしいということじゃなくて、社会全体にプラスになる問題だというふうに私はそのとき受けとめたんですね。
 だから、女性の政策決定過程への参画というのはそういう問題だということで、今後もこの場で論議を重ねていけたらというふうに思うわけです。

○有馬朗人君 いろいろおもしろい御議論を伺っていて、感ずることがありますのでちょっと述べさせていただきます。
 まず、家での男の料理の話ですね、これからちょっと考えますと、私は海外によく出かけていきますが、一月以上いるときにはアパートなりなんなりを借りて自炊をします。ただし、余り大したものはつくれません。せいぜいステーキとか卵焼きとかそんなものですが、それはやります。
 ただ、私の弟子の家庭などを見ていたときに、一つ思うのは、男が厨房に入れないのは男の責任では必ずしもないのです。奥さんたちが、自分たちの方がうまいよ、男に変に入られると困るよという問題もあるんですね。ですから、朝飯ぐらいは易しいから男がつくるとか、それは一つ考えてもいいと思いますが、女性の側も温情主義じゃなくて少し男にもやらせたらいいんじゃないかと思います。
 ところで、私は、ずっと自分の人生を振り返ってみますと、随分女性の参画はよくなってきていると思います。
 まず、一つの例を申しますと、文学という立場をとってみますと、男だけの文学であるようなものもあったはずなのですが、今はむしろはっきり言って女性の方がはるかに強いです。短歌とか和歌、特にそうです。それと、もう一つは俳句です。俳句は特に今までは男の文学でありました、二十年前までは。今は完全に構造が変革してしまった。詳しくは私の論文がございますのでお読みいただきたいと思います。こういう意味で、随分女性の参画がふえてきております。
 ただ、私が非常に残念に思っているのは、最も進歩的と思われている大学です。
 大学は、私は随分女性を入れ外国人を入れたらどうかと言いながら努力をしてまいりました、主張に主張を重ねましたけれども、外国人も少ないし女性も非常に少ない。典型的な例は学長です。今、多分、国立大学は九十八ありますが、その中でやっと一人、奈良女子大の学長に女性がなられた。女子大ですら女性がなかなか学長にならない。これは大問題ですね。さすがに津田塾とかあるいは日本女子大とか、そこは女性の方が学長をやっておられますが、東京女子大でもなっていないんじゃないか。ですから、大学の教授、助教授にもっと女性をふやすべきだと思う、そして学長もさらにふやすべきだと思います。
 そういうことで、具体的に私はぜひやるべきだと思っていることは、やはりクオータ制とかアファーマティブアクション、これが法律的に難しいならば何らかの格好でそれをやるべきだと思います。
 中央教育審議会、私はずっと会長をやっておりましたが、これはかなり女性が入っておられます。かなり目標に近いぐらい入っている。それでも、特に中教審というところは初中教育を中心に議論をいたしますから半数は女性でいいと思うんですが、まだそこまで行っていません。そういう意味で、数値目標というお話がありましたけれども、もっと積極的に数値目標を高めるべきだと思います。
 そして、そのために、南野先生や堂本先生が言っておられましたが、現状の把握が必要だと思います。二〇〇〇年プランなら二〇〇〇年プランをつくったときに、一体現在はどこまで行ったのか、今評価の時代でありますので、まず隗より始めよで、この問題について十分な情報を調べて評価をすることが必要だと思います。そして、いろんなプランをつくってもお題目だけでは役に立ちませんので、本当に伸びてきているかどうか、目標に向かっているかどうかをきちっと調査すべきだと思います。
 私もアメリカが長くて、当時、今からもう二十年、三十年前になりますが、アファーマティブアクションが非常に強かった時代でありました。ですから、いろんな場合に、例えば教授を探せ助教授を探せというときには、いつも申し上げているように、必ず学長なりそこの教室主任なりから手紙が来まして、女性がいたらまず女性の教授を選べ、あるいは同時に、あそこはマイノリティーの問題がありますからマイノリティーより選べというようなことが常に言われておりましたけれども、なかなかそれでも伸びませんでした。ですから、相当強い努力をしなきゃいけないと思うんです。
 ところが、フランスと中国は、御存じかどうかわかりませんが、非常に女性の科学者が多いのです。
 なぜかというと、一つにはマダム・キュリーみたいな偉大な天才があらわれたこともありますし、中国でもマダム呉という非常にすぐれた女性の科学者がいるんです。こういう人がいることもあると思いますが、もう一つの理由というのはやはり男女が働きやすいんだと思うんです。男も女も働きやすいところがある。そういう点で、科学者を育てるということ一つとりましても、女性が働きやすい環境をつくっておかなきゃいけないんだろうと思っています。中国では多分アファーマティブアクションなんて一言も言っていないと思う。でも、実際問題として随分科学者が自然に出てきている。そういう意味で、環境を整えてやることが必要であろうかと思います。
 先ほど、パリテという話がありましたけれども、パリテというのはプラスとマイナスのパリティーだと思います、英語ではパリティーと言っていますが。要するに、男女がプラス・マイナスです。これは平等にという意味で、フランスのやり方というのは非常に私はいいと思っています。そういうことが日本に使えるだろうかどうか、導入できるだろうかどうか。
 それからもう一つ、非常に不思議な発言をさせていただきます。核家族というのがいいのであろうかという問題です。
 戦後、急激に核家族化しました。このことは、一面においては、一人の男性と一人の女性が結婚して独立した生活をし子供を育てていく、これはすばらしいことなのですが、同時に失われたものも非常に多かったですね。
 一つは、子供の教育において両親がどうも自信が持てないようなことが今非常に起こっております。そういう意味で、おじいさん、おばあさんの知恵というものをもっと導入すべきではないかとかねがね思っておりましたけれども、この男女共同参画社会の中でもう一度いい意味での三世代家族構成というのを考え直した方がいいんじゃないか。おじいさん、おばあさんは、昔に比べてはるかに元気になりましたし、昔ほど甘くなくなっていると思います。なぜおじいさん、おばあさんに子供の教育を任せられなかったかというと甘過ぎるからということが今までの通則でありますけれども、そうじゃなくなってきていると思うんです。
 そういう意味で、もう一度、核家族よりも三世代の家族が一緒に住む、ちょっと古いと言われるかもしれませんが、そういう社会を構成する努力をした方がいいのかとも考えております。これはちょっととっぴな意見ですので、御参考までに私の考えを申し上げた次第であります。
 以上です。

○松崎俊久君 先ほどから伺っていますと、料理の問題とかいろいろ出ましたが、戦後ずっと、戦後五十年以上を経過しましたけれども、職業という分野あるいは社会的活動という分野では女性の進出は確かにふえてきているとは思います。
 しかし、家庭という領域を見た場合には、戦争直後に思春期を送った世代の方が現在の若者たちよりもむしろ私は家庭分業に関しての認識は強いのではないかというふうに思います。ということは、戦後五十年の間、男性と女性の家庭内における平等に裏づけされた分業というものは一つも前進していないというのが私の認識です。
 これはやはり学校教育に主たる責任があるし、子供は親を見て育つといいますけれども、親たちが、どだいおやじとおふくろの教育というものがなっちゃいませんから、親を見ていれば当然、おやじが威張っている状況を息子がそのまま受け継ぎ、娘はそれを当たり前と認識するというところに事態が解決しない条件があるわけですから、学校教育で徹底的に、やはり家庭の中で、男女は家庭の仕事も分業しかつ平等にやるという原則を教育しないといけないんだろうと思います。これがないから非常に弱い。ですから、一つも家庭内の分業が前進しない。これが前進しないから女性の社会進出というものが、せっかく進出しても育児などでだめな条件が出てくるわけですね。
 そういう意味でやっぱり料理なんというものも、家庭科の教育はあるにしても、これはせいぜいちょっと男も料理が理解できるようにという程度の教育しかされていません。私の世代なんかも料理なんというのは全くしたことがありません。
 私ごとで恐縮ですが、私は五年半東京から琉球大学へ学生を教えるために、琉球大学の医学部の教授をしておりましたので、毎週東京から通勤いたしましたが、向こうにいる間は一人で生活をしなければなりません。
 そうなりますと、私は料理はそれまで一回もやったことがありません。分業は徹底してやりました。洗濯はしても干すのは私。料理を向こうがつくれば皿はどんなに遅くなっても洗ってはいけない、私が夜中に帰っても洗う、結婚以来この原則は徹底的に今でも貫いていますが、料理に関しましてはやはりそういうことは力がなかったので、一生懸命五年半の間努力をしまして、三食一度たりとも自分でつくらないことはないというところまでようやく到達できてきたわけです。
 やはり、男の料理というものは、先ほどからもいろいろ御意見が出ていますが、自分のために絶対必要なんです。幸いに、女の平均寿命が長いということは男にとって幸せなのであって、男がもしも女よりも長生きしていたら日本の男性などは実に哀れな食生活を送らざるを得ないわけであります。たまたま女性が早く亡くなった夫婦の場合などは、はっきり言って男は非常にだめな状況になっていく、カップラーメンの山なんというくだらない状態で男はみすみすだめになっていくわけであります。
 そういうような意味で、学校教育で徹底的に家庭内分業を教え込み、それがない家庭はだめなんだという教育をやはり文部省は徹底して行うべきであるというふうに考えますし、そうでないと、今の若者を見ていても家庭分業が当たり前だと思っている者は非常に少ないです、はっきり言って。私の世代と比べて果たして今ふえたかといえばふえていません。ですから、そういう点に問題があると思うんです。
 それから、例えば公務員の管理職が少ないというのは当たり前です。少なくて当たり前なんです、だって基盤がないんですから。公務員の数が五〇%女性であれば管理職だって自然に五〇%になるのであって、いもしないのに枠を三〇%にしろとか二〇%にしろなどというのは机上の空論にすぎないわけです。
 そういう意味で、例えば定員が一人しかないところに男女が一人ずつ応募したらこれは女を採用するというような原則をつくるのは私はそれでいいと思います。ただ、基盤がないところに、これは国会議員の場合でも地方議員の場合でも首長の場合でもそうなんでしょうけれども、公務員の管理職の問題が今出ましたが、やはり圧倒的に女性が進出してこないうちはだめなわけです。
 そのために基盤づくりが非常に重要なのであって、やはり保育所というようなものをもっと徹底してつくらなければいけないし、国会内の保育所も当然だと思います、女性職員もいらっしゃるし、議員さんも橋本先生以外にもこれからどんどん可能性があるわけですから。そういう意味では、保育所などというものは国会などが先駆けてつくるべきなのに、これすらつくっていないで男女平等を論じていても、世間では少しあきれて国会を眺めているんじゃないかという気がします。

○大森礼子君 有馬先生の方から厨房に入れないのは男だけの責任じゃない、女性の方も入ってもらったら困るという考えを持っているとおっしゃいました。それから、松崎先生の方から、御自身の体験から分業を徹底していると。でも、これはきっとお互いの黙示の合意といいますか、暗黙の了解といいますか、一つのそういう約束事ができている。お互いが自由意思でやっていることだから、こういう場面では平等云々を論じる必要はないのだろうと思います。
 それから、仲道先生のサツマイモもちですか、これをつくりながら、これが男女平等かと。これも自分が食べたいと思う人が自分でつくるというのはごく自然なことでありまして、平等とは関係ないのかなと。むしろ、食べたい人が食べたくない人につくらせようとするときに不平等が生ずるのかなという気がするわけです。
 私は、男女平等ということを考える場合に、一つ男性の方に理解していただきたいことがあるとするならば、これは私が、たしか二十五年ぐらい前、ある新聞の社説か何かでちょっと見つけた言葉なんですけれども、こういう内容でした。人はだれしも自分をかけがえのない存在であると思っている、他人もまたそう思っているということを認識するところから本当の思いやりが生ずる、こういうことだったと思うんです。これは言われてみるとそうなんですが、なかなかそのことに気づかなかった自分に気づいたわけであります。
 それで、女性の側としますと、やっぱり同じ条件とかそれを与えてもらいたいというのがあります。例えば、男性がやろうと思えばやれるのに、それをやらないがためにだれかの負担をふやしてはいけない。これは男女の間だけではなくて、例えば仕事関係でもそうかと思います。サボる人間がおりますと、責任感の強い人間だけが後始末をしていって仕事をふやしていく。こういう落ち穂拾い的なことをすることになるわけですけれども、他人の仕事をふやすことで他人の自己実現というものを妨げてはいけない、こういうことかなという気がいたします。この他人が夫婦であれば、妻ということになるんだろうというふうに思います。
 例えば、お互いが仕事で自己実現したいと思っている、こういう夫婦が結婚して、家事もできます、育児もできます。男性が仕事だけで家事とか育児をしませんと、女性の負担がふえまして女性自身の自己実現というものができなくなってしまう、ここが問題なんだろうと私は思います。
 ですから、女性についても同じ自己実現の意思を持っているんだと。女性を尊重するならばそれをかなえていただきたい。そうすれば、おのずから何をすべきかという行動も決まってくるのではないかというふうに思っております。
 それから、男らしさ、女らしさということですが、これはつくられたものに対する反発があるわけでありまして、実は、もしかしたら先生がおっしゃろうとする男らしさ、女らしさというのがあるのだろうという気が私もいたします。
 でも、それは別の言い方をすれば、男性女性にかかわらず、その人らしさということではないかなと。その人らしさというものが十分に発揮されたときにその人が一番美しく輝くのだろうと思いまして、その場面を相手が女性であれば女らしさ、あるいは男性であれば男らしさ、こういうふうに表現する場合もあるのかなという気がいたします。
 以上です。

○堂本暁子君 有馬先生の三世代同居のことを少し発展させて考えさせていただきたいと思うのですが、この白書に大変おもしろい統計が載っております。国別高齢者、六十歳以上なのですが、家族類型という表が載っております。これで見ますと、日本の三世代同居は二九・一%、大体三分の一です。アメリカは何と一・八%、ドイツも一・八%というわけで、日本の方が多くなっています。それから、男性の単独世帯は日本が二・四%、それからアメリカは二八・八%、それからドイツは二一・三%で、妻が先に死んだら困ると松崎先生おっしゃいましたけれども、六十歳以上で一人で生きている男の人が本当に多いということがこれから読み取れるわけです。
 私は、先ほどおっしゃったように、やはりいい意味で日本の高齢者は今大変元気ですので、孫と生きることがどんなに、今は若いカップルが自由に働けるというようなこともあって、いろんないい住み方が工夫できるんではないかというふうに思っています。
 そのことを家庭だけではなくて、私はむしろ高齢者のホームや何か、そういったところでもやはり保育園と一緒とかそういうことがあっていいと思うんですね。北欧とかヨーロッパへ行くとそういうところが多々見受けられるんですが、日本は行政が縦割りであるがゆえにそれがなかなか実現できません。
 きのうの朝、テレビを見ていましたら、高齢者のホームとそれから何らかの不幸のために親と住めない施設の子供たちとが一緒のところにいて、おじいさん、おばあさんが一緒というのがテレビに出ていて、大変お年寄りにとってはいい風景だというふうに思いました。
 先生のおっしゃった発想を、単に家族の単位だけではなくて、それを社会化していくということができる行政のフレキシビリティーと申しますか、横断的な施策のあり方、包括的な施策のあり方というものがこれからもっとあっていいんではないか。そのことによってもっと男女の性役割分担を解消していくことが可能になるのではないかというふうにお話を伺いながら思いましたので、大変うれしく伺いました。
 ありがとうございました。

○三重野栄子君 先ほど千葉議員がおっしゃいましたジェンダーチェックの問題につきまして、昨年ですけれども、私は議運の委員長とともに南アフリカに行かせてもらいました。そのときに、やっぱり国会議員の中で女性は女性だけでグループをつくって、法案が出ると、これは女性のためにいいか悪いかとか、これはどういう修正をするとかしないとか、そういう議論をしているということを伺いました。そのことをするかどうかは別といたしまして、ジェンダーチェックの問題についてはこれから何か考えていいのではないかというふうなことを思っておりました。
 それから、有馬先生のお話の中の三世代の話について言いますと、いろいろあると思いますけれども、私は、親子の情とか夫婦の情というのは、それはほかの人よりも深いというのは当たり前だと思いますけれども、同居しなくてもそういうことがあり得ると思います。核家族にしていったというのは日本の経済政策の中であったと思いますけれども、もうそこまでになっているものをまた三世代家族へというようなことよりも、地域の皆さんとも仮にひとりになっても仲よくしていけるような、交流していけるような風潮をつくっていく方がこれからの問題としていいのではないかと思います。
 と申しますのは、ここに参りまして、私はそんな力量は全くないんですけれども、実はどこどこの職安に、就職しようと思ったけれども私の地域のところは非常に採用がないということで東京に来ました、東京へ来たけれども親のところへ早く帰りたいから帰してくださいという連絡があるんですね。何の理由もないんです。早く帰りたい、親と暮らさなきゃならないということなんです。そういうことにならずに、親は親、子は子として場所を得た方がこれからの問題としてはいいのではないか。そして、何かお休みをもらって帰って交流するとかということの方がいいのではないかとも思いまして、私は、今お話しされたから、どうということではないんですけれども、私自身の考え方も含めまして、これからの家族というのはどうあるべきかということと同時に、生きる場所というのが同じでなければならないかということは一つの課題であろうというふうに思います。

○会長(石井道子君) ほかにございますか。

○堂本暁子君 三十秒だけ。
 今、三重野先生のおっしゃったこと、私もそれはもちろん同感なんですが、今、有馬先生のおっしゃったことは自由選択のことではないかと思うんですね。
 そういう制度とか政策誘導をするのではなくて、比較的アジアでは三世代が一緒に住むような習慣もあるので、何かひとりでは、外国みたいに四五%の人がひとりで住んでいるというのは大変コミュニティーをつくることの下手な日本ではなかなかつらいというところもありまして、三重野さんがおっしゃるようなことももちろんやりながら、一方で三世代というのもまたあるんじゃないか、両方あっていいんじゃないかなというふうに私はちょっと思っております。

○有馬朗人君 私は無理に三世代ということを言っているわけじゃなくて、私が文部省にいたときに随分推進したのは、先ほど堂本先生がおっしゃってくださいましたけれども、多分品川あたりで実行されているかと思います。要するに、お年寄りの方たちが住んでいるところに小学校を隣接させるというふうなことで、子供たちが年齢の高い人たちに対する尊敬の念を持つようになるんです。非常に簡単な手仕事なんかもすっとやってみせてくださるので子供たちは感心する。こういう意味で、何も三世代全部を狭い中に入れるという、必ずしもそうじゃなくて、もうちょっと高年齢の方たちが子供たちに接触できる場を提供したらどうであろうか。これが、社会的な政策としての問題が一つ。
 それから、これは日本の大問題なのですが、ヨーロッパやアメリカは割に核家族が多いけれども、子供たちの家に近いところへ住んでいるんですね。住宅が割に自由ですから、全部が全部そうだとは申しません、かなりの人が、おじいさん、おばあさんが割に近くに住んでいる。ですから、時々何かあれば手伝いに来る、ベビーシッターというようなことも頼みやすい。日本もややそれに近くはなってきましたけれども、そういう意味で、高年齢の方たちの教育への参画をお願いしたいと思うわけです。
 これは、教育とは広い意味で、何も普通の教育という意味では必ずしもなくて、しつけにしてもあるいはそのほかのことでも、高年齢の方はかなり知恵を持っていますので、そういう知恵を孫の世代に教えてほしいと。それと同時に、そのことによって特にお母さんたちが働きやすくなれば、それはどの世代にとっても幸せなことであろうということを主張したかったわけです。
 私も実は三世代で住んでいるんですけれども、難しい問題もあるんですね。テレビのドラマどおりのことが起こるわけでありまして、これは身にしみております。私はそういう点では、すぐに三世代が一緒に住んだ方がいいと言い切るわけではありませんが、ただ、いろんな意味での知恵を使っていただくというふうな機会をふやすことがいいのではありませんかということを申し上げたわけです。

○南野知惠子君 学校教育の中で司書教諭というものを議員立法でつくらせていただいたことがあるんですけれども、そのときに、子供たちが図書館に行きながら、インターネットなどで塗り絵の下絵をつくって、それから高齢者と一緒に塗り絵をするというようなことも、これは学校の五日制、これからずっとなっていくわけですので、そういう交流の場もあるのではないか。家庭での二世代しか体験できていない子供たちは、そこでお年寄りの、おじい様という方、おばあちゃまという方たちとまた交流してみるということもこれから頻繁に取り入れられてほしいものだなというふうにも思っております。
 以上です。

○仲道俊哉君 今の核家族の問題ですが、私は、例えば農村社会とか都市生活、そういうところでのそれぞれのまたパターンがあろうと思うんですが、農村社会において核家族というのはなかなか難しい面もあります。
 大家族で住む場合の今までのパターンでは、やはり来た嫁が一番苦労する、その犠牲の上に立って生活が成り立っているという点等があるわけですが、しかし、私は、戦後の今の風潮なりを見たときに一番の欠点は、やはりお年寄りに対しての尊敬の念であるとか、また日本の場合には外国と比べて宗教というものに対する教育がないわけですね。ですから、一緒に住んでおりますと、家の中に神様があり仏様があって毎朝先祖にお参りする、そういうような風潮がどうしても核家族だけで若い夫婦がアパートなんかに住んでおりますとないわけですね。そういうところからやはり、そしてまた、今は子供の数が少ないわけですから、子供同士でのそういう切磋琢磨するところもない。
 私自身は、私が八人の男兄弟の長男ですから、全部親と一緒に自然に兄弟同士で鍛えられていくわけです。今、一人か二人でしょう。そうしますと、どうしてもやはり若い夫婦だけが中心になってくるわけです。その点は一概に核家族が悪い、核家族がよいということだけでなくて、そういういろいろなことを考えながら、今後二十一世紀にかけて日本の家族というのはどうあるべきがよいのか、またこの男女共生の面で実際にどういう家族がいいのかということも一つの切り口として考える必要があるんではないかなと、そのように思います。

○会長(石井道子君) ほかに御意見はございませんか。

○仲道俊哉君 あわせて先ほどの、男らしさ女らしさの、随分いろいろと出たんですが、混声合唱団のお話を聞きながら、先ほどの大森先生のお話を聞いて、まさに混声合唱団というのはその点が出ておるんではないかなというような感じがしたんですが、御意見なりをぜひお聞きいたしたい。

○佐藤雄平君 有馬先生を見ると、どうしても頭の中は私は文部大臣というふうなことになってしまうんですけれども。
 本当に三つ子の魂百までということで、私はここでいろいろ議論して、いろんな形をつくっていこうと。このまた基本となるのはやっぱり教育だと思うんです。それで、厳密に言うと、私なんかは共生という言葉と平等というのは微妙に違う感じがするんです。
 それは、ずっと地元の田舎を歩いてみると老夫婦が、おじいちゃんが横座に座っておばあちゃんがそのそばに座っていると。どうしても仕事というのは家庭の中で決まっている。それで、すごそうなおじいちゃんと優しそうなおばあちゃんがいる中で、時々桃太郎を思い出すんですけれども、昔話を。おじいちゃんは山へしば刈りに、おばあちゃんは川へ洗濯に行って、桃太郎を育てて、退治に行ったと。もう本当にいるんです、そういうふうな家庭が。そうすると、私はそういうふうな家庭を訪問して帰ってくると何かほのぼのとした、これがある意味では共生社会なのかなと思う。
 しかしながら、あれ、おじいちゃんとおばあちゃん、本当に仕事面でいろいろな意味で平等だろうかと思ったらもう全然、おじいちゃんがどなり散らしているような状況がある中で、おばあちゃんはまたうまくそれをかわしているんです。これが本当にある意味ではほのぼのとした家庭でもあるのかなと思いながらも、そういうふうなことを考えるとやっぱり共生というのと平等というのはニュアンス的にちょっと違うような感じがするし、これは基本的には共生社会という大前提ですから、結果としてお互いの、これは人の社会はもちろんですけれども、地球全体とか、特にさっきも言ったんですけれども、環境等を考えるともう本当にそれぞれの生物の生き方とか生きざまというのがあるわけですから、こういうふうなことも私は大事なことであろうと思うんです。

○会長(石井道子君) ほかに御意見はございませんか。

○末広まきこ君 子供たち、未来の我々の国をしょっていく子供たちをしっかり育てていくというのが、これはもう国家の宝だと思うんですけれども、子供を育てるというところで学校という場所とそれから家庭という場所があって、家庭にいるのは、今、佐藤先生のあれでいくとおじいちゃん、おばあちゃんがという、それもいい面もあると思います。それから、お母さんがしつけをするといういい面もあると思うんですが、ただ私たちの戦後の歴史の中で、男性は仕事に、企業戦士にということで、家庭は女に任せたよというところで、若干人を家庭で育てるというところにゆがみが出てきているんではないのかなと。
 つまり、男性、お父さんの意見も入り、お母さんの意見も入り、お父さんとはこういう人だ、お母さんとはこういう人だというのをしっかりと子供が見定めて、夫婦の役割、役割と言うとあれですけれども、その違いというか、それは個人差でもあると思うんです、個性でもあると思うんです。そういうものをしっかりと自分の目で見ながら育ってくるところがちょっと不足しているんではないかなと。つまりは、子育てにおいても男性の参画というのをもっともっと積極的にお願いしていった方がいいんじゃないのかなということを思います。

○仲道俊哉君 いいですか、ちょっと今の件で。
 私たちが育った時代に比べれば今の若い青年はそういう意味では非常に私は理解が、例えば昔、家内が子供を産むときに絶対に我々は入れなかったです。入ってはいかぬと。今は、私の孫が生まれるときなんかはもう長男が平気で行くし、娘が生まれるときなんかだんなが産室に入って、そういう実に今の若い人は女性に対してというか、本当にそれが男女平等という考えなのかどうかわかりませんが、入っておる。だから、そういう考えでいきますと、昔の我々よりも今の若い者の方が女性に対して理解があるのかなというような気がするわけです。
 あわせて、核家族の今の教育の問題で、だんだん女性と男性が働きに出ると残された子供の教育というものに対してじゃどうするのかという問題が、先ほどの核家族との関連で、私は、ますます女性の社会参加になってくると本当にこれは真剣に子育てというものをやはり考えなきゃならないんじゃないかなというふうに思っております。
 以上です。

○八田ひろ子君 本当にこの調査会というのはいろんな皆さんが本音で議論ができて、とってもいい調査会に参加させていただいてありがたいなと思いますし、最初の仲道先生のお話のように、話し合う中でいろんな形で勉強させていただけて、いろんな形で理解がし合えるというのが、この一年ちょっと大変大きな成果だったなと思います。
 ただ、今、教育の話とか、男性も女性も協力し合って家庭生活とか、そういう面で一致する面がここの場では非常に多いんですけれども、それでもなお政府統計の数字でいいますと、先ほど挙げたように、最近になって雇用機会均等法が改正されてから男女の賃金格差が開いているとか、それから女性の問題、女性に対する暴力でいうと、ずっとドメスティック・バイオレンスをやってきたんですけれども、それも数字としては大変ショッキングな大きな数字になっている。
 やっぱりこういうものを、先ほども言われたんですけれどもきちんとした数字で出しながら、それをどういうふうにしたら、世界の中でも発達した資本主義国と言われていても女性の進出度が公的な場でもあるいは地域の場でも政治の場でも低いのか。こういうのをこの調査会として整理して、そして提言までいかなくても、数字に基づいてこれはどこまで、よくなっている部分もあるんですけれども、私なんかは、世の中が進んでいるのに男女格差が開いていく、これはやっぱりメスを入れなくてはいけない問題じゃないかなと思います。話し合えば必ず理解はできるんですけれども、すべての人と話し合えないものですから、そういうものを提言か何かにすることがすごく必要ではないかなというのを思います。

○会長(石井道子君) ありがとうございました。ほかに御意見は。

○橋本聖子君 諸先生のお話をお聞きしましていろいろな御意見があるので、大変私は自分自身も勉強になったんですけれども、いろんなことが頭の中を駆けめぐってどれからというと難しいんですけれども、例えば家庭と社会とを分けたときの女性の立場といいますか、そういうときにどうしても個人差があると思うんです。
 私の年代というのは三十年代ぎりぎり、三十九年生まれなんですけれども、今の時代、仲道先生が今の若い人はと言った年齢の中に私の年齢が入るか入らないかはちょっとわからないんですけれども、私自身は父親が年になってからの子供なものですから、大正十三年なんですね、父が。北海道の農業を営んでいる家庭で育ったんですけれども、やっぱり昔ながらの日本の風土というんですか、男は仕事、女は家庭というような中で育っていまして、それだけは今になってもどうしても抜けられないんですね。
 私も一昨年結婚したんですけれども、男女共同参画社会ということで男女共生ということがあったとしても、では自分自身の家庭の中はどうなのかとなると、主人に、できないというんじゃないんですけれども、よっぽど一人でいる時間が長かったりとかするときは別ですけれども、台所に一歩でも入られると私のストレスになるんですね。そういう家で育ってしまったものですから、どうしてもいまだに自分自身はもう絶対に家庭のことはすべて私がやらないといけない、主人に何かをされるとそれが何かプレッシャーに感じてしまうというか、そういう家で育ったので、今も自分自身にはそういうふうなものが身について、それを社会は男女共同参画だからといって平等にとなっても、家の中ではもう絶対にそれはできないようになってしまっているんですね。
 そういう中で、では何で国会議員になったかと、いろんな福祉の仕事をしたかったからなんですけれども、周りの方のスポーツ界の声もこれからは女性が、若い女性が積極的に政治の場に参加をしていかなければいけない、そういう時代が日本にも必要なんだからというふうなことで後押しもいただいて、思い切ってこの世界に入らせていただいたんです。周りの方は、三十歳でなったものですから、これから結婚もあり、出産、育児というふうなものを経験して、国会内からも、初めてだったといっても園田天光光先生がいらっしゃいましたけれども、初めてだからどんどんそういうことをパイオニアとしてやっていけばいいんだというふうに言ってくださる方がたくさんいたんです。ああ、そうかというふうにして心強かったんですけれども、いざ結婚して、そして妊娠をした、出産をこれから迎えるとなったら、言っていた同じ方が、政治家以外の方ですけれども、そういう方たちも私がいないところでは、聞いた話ですけれども、本当に大丈夫なのかなと。本当にそういうふうなことをすると、いざ日本人が政治の世界で本当にそれでやっていけるんだろうかというふうに、これから先進国と同じように日本もそういう意味で女性も進出をしていかないといけないというふうな意見を述べながらも、ある意味ではやっぱり心の中ではまだまだそういう日本の風土というものが根強く残っている方たちがいるということが現状なんですね。
 ですから、やっぱり女性は女性らしさ、男性は男性らしさというものの本当の本質のところを考えた中で、環境整備だけではなくて心からも変わっていかなければいけないんじゃないかなというふうな、本当の意味での社会においての役割分担といいますか、そういう立場を考えていく社会があってこそ、いろんな事件が、お母さんがお子さんを殺すとか、またその逆もありますけれども、そういうようなことも、やっぱりお互いが自分自身にはないものを持っている人間の心というものを知ることによってそういうことが少しずつ少なくなっていくんじゃないかなと、またそういうことを願っているんです。
 最後、まとまりませんでしたけれども。

○大森礼子君 今、橋本聖子委員のお話を伺って、台所に入るとストレスがたまるということで、やっぱりそれぞれの個人の問題があると思います。
 それで、私は学生時代、友人が学生結婚なんかします。それで、恋愛時代、彼女と彼女のお相手の人が、相手の男性に彼女のどこら辺がいいですかと、非常にもう天真らんまんでいつも明るくて、ここが気に入ったと言う。結婚すると、だんだんその彼女の方が暗くなっていくわけですね。それで、だんだん仲も悪くなって、そのとき相談に乗ったことがあるんですが、その御主人の方がこう言うんです。要するに、家事ができない、それから片づけもきちっとできないとずっと言うから、そういう奥さんが欲しいんだったら彼女を選んだのは間違っていますよと私は実は言ったんです。だから、ない物ねだりをして、そのとおりにならないからといって不平を言う、そうすることによって彼女自身も非常に暗くなってしまうんです。それは、先ほど言った、その人らしさというものが発揮できないということなんですね。
 ですから、そういった意味で、一概にこうあるべきだと余りうまく言えないんですけれども、それがまた共生とは言えないと思いますし、大事なことは、男女共同参画社会にしましても、男女ともに生き生きと生きるといいますか輝いて生きるといいますか、これが目的だと私は思います。そういった意味で、今、聖子さんがおっしゃった個人差があるということはとても示唆に富んだ発言であったと思います。
 以上です。

○堂本暁子君 橋本さんの、もうじきお子さんを持たれるので、私もとても感動してお話を伺いましたけれども、やはり大きな時代の流れとして女性が社会で仕事をし、また自己発揚していくという、人間らしく生き生きと、今、大森さんがおっしゃったように生きるということで、私は一つとても大事だと思っていますのは、この北京の綱領、それから男女共同参画二〇〇〇年プランという中にリプロダクティブヘルス・ライツという言葉が出てくるんです。
 日本はなぜかそれを女性の何か違う意味に非常に歪曲してこの言葉を言うんですけれども、これは、六〇年代から後、世界の女性たちが仕事をするようになったときに、妊娠し出産してもそのことが社会の中での活動あるいはボランティア、学校で学ぶこと、仕事、そういったものの足かせにならないという理念で打ち出された言葉なんですね。非常に日本語に翻訳しにくいので困るんですけれども、言ってみれば、必ず妊娠、出産ということで何カ月あるいは子育てのために何年と仕事なりそういった勉強なりを離れる場合でも、そのことによって不利益を受けない。なぜなら、それは、少子化の時代ですけれども、子供を産み育てることは女性だけではなくて、それは男女の、それからその社会なりみんなのことであるというふうに受け取った場合に、産む方の性が不利益をこうむるということは私たちはやめましょうと。だから、楽しく豊かに子育てを一緒にしながら、なおかつ社会的なことも一緒にできる、そういった理念としてヨーロッパを中心にそのリプロダクティブヘルスという言い方が広がったわけなんですね。
 私は、やはりとても頑張っていらっしゃるように今思いました。台所にという、私だったら多分そういうふうにストレスには絶対考えないで逆に考えちゃうんじゃないかなと、その場に立ってみないとわかりませんけれども、それでも手伝ってというふうにきっと言ったりするんじゃないかなと思ったんですが、それでもやはりぜひ勇気を持っていただきたい。やはり子供を産み育てながらでも堂々と、そのことが不利益にならないということを橋本さんが率先してやってくださると、日本じゅうの女性は、ああ、国会議員の橋本さんがこうやって豊かに両立させているんだから、自分たちもそれでやっていこうと私は思うだろうと思うんですね。だから、とてもたくさんの希望を橋本さんにつないでいる若い女性たちがいるだろうと思いますので、ぜひそういった子育てをしながら、なおかつ国会議員としても大いに活動していただきたいなというふうに感想を持ちました。

○仲道俊哉君 賛成。頑張って。

○会長(石井道子君) 御意見も尽きないようでございますが、予定の時間が参りましたので、午前の意見交換はこの程度とさせていただきます。
 委員各位には、貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。ただいまの皆様方の御意見を踏まえ、さらに調査を進めてまいりたいと存じます。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会

○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 共生社会に関する調査のため、本日の調査会に人事院事務総局任用局長上村直子君、内閣総理大臣官房審議官佐藤正紀君、警察庁長官官房人事課長芦刈勝治君、総務庁統計局長井上達夫君、経済企画庁国民生活局長金子孝文君、法務省民事局長細川清君、大蔵大臣官房審議官福田進君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、文部省教育助成局長矢野重典君、社会保険庁次長高尾佳巳君、農林水産大臣官房審議官大森昭彦君、通商産業大臣官房長佐野忠克君、労働省女性局長藤井龍子君及び自治大臣官房長香山充弘君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

○会長(石井道子君) 午前に引き続き、共生社会に関する調査を議題といたします。
 「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性の政策決定過程への参画についての現状と課題に関する件について、午後は政府に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○仲道俊哉君 自由民主党の仲道でございます。
 これまで政治や行政など政策方針決定過程への女性の進出状況についていろいろと勉強してまいりましたが、さきの先進諸国、特に北欧諸国に対して大変おくれていることを痛感いたしております。
 我が国においては、男女共同参画審議会は平成八年に行った「男女共同参画ビジョン 二十一世紀の新たな価値の創造」と題する内閣への答申の中で男女共同参画社会への目標として五つの目標を挙げておりますが、その中で私は、「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に敏感な視点の定着と深化」という目標について、主に教育の視点から取り上げてみたいというふうに思います。
 午前中のフリートーキングでも男女共生、特に男女平等について教育の問題から随分フリートーキングがありました。そこで、実際に男女平等の教育についてどのような文部省は考えを持っておるのだろうか、そのことをまず最初にお聞きをいたしたいというふうに思います。

○政務次官(小此木八郎君) 仲道委員には先日もこの分野に関して御質問をお受けいたしましたけれども、ある意味では同じ答えになるかもしれませんけれども、おっしゃるように男女平等あるいは男女共生社会ですとかあるいは男女共同参画社会、こういうことについて、その社会を形成するためには、やはり幼少時のときから男女平等の理念に基づく教育、これは家庭、学校、地域、こういった社会であらゆる分野において行われるということが重要であると、これはもちろん思っておるところでございます。

○仲道俊哉君 そこで、もう少し突っ込んで、ジェンダーフリー教育ということについて基本的な認識をお伺いいたしたいと思うんですが、ジェンダーフリーというのは非常になかなか解釈も難しいんですが、性別にこだわらず、性別にとらわれずに行動することというように解しますと、これは男はこうあるべき、女はこうあるべきといった伝統的な性別役割分担意識に異議を挟む立場であると思います。
 そうしますと、学校教育においてジェンダーの視点に立って、例えば教育課程を編成する場合にはどうするのか、また各教科の中でどう進めるのか、また教科外活動を通じての取り組みや一番身近な性教育の中での進め方等ジェンダーフリー教育を進める上での基本的な視点や認識について所見をお伺いいたしたいと思います。

○政務次官(小此木八郎君) 先ほど私が申し上げましたような観点から、教育の段階で申し上げるならば、児童生徒の心身のこれはもちろん発達段階に応じて、教科で申し上げますと社会科、家庭科、道徳あるいは特別活動等において、小学校では、例えば日本国憲法の学習において男女の平等を取り上げたり男女の協力の大切さなどを指導しているところであり、また中学校では、家族制度における両性の本質的な平等というものをその理解とともに教えているということでありまして、特に高等学校につきましては、人間の尊厳と平等あるいは男女相互の理解と協力、職業生活や社会参加において男女が対等な構成員であること、そしてこれからは高校生ともなりますと、あるいは家庭をどう男女が築いてまいるか、そういったところの大切さも指導しているというところでございます。

○仲道俊哉君 一番身近な教科、教科外のあれは今聞いたんですが、性教育ですね、その立場から実際にこの問題をどのようにとらえて教育するかというのは非常に難しい問題でもございますが、その点についてちょっと答弁がなかったのでお伺いいたしたいと思います。

○政務次官(小此木八郎君) 申しわけございません。
 性教育については、小学校の体育科で、新たに第三学年、第四学年に保健領域を設けて体の発育・発達に関する内容を指導していくことといたしております。中学校の保健体育科においては、新たに性の問題行動への対応として、性的成熟に関する正しい理解や行動選択の重要性について指導をすることとしております。

○仲道俊哉君 次に、教育におけるジェンダーバイアスと隠れたカリキュラムということについて。隠れたカリキュラムというのは恐らく初めて耳にするんじゃないかなとも思いますが、これについては質問の中でおいおい説明いたしたいと思います。
 教師たちが日常無意識に発している子供たちへのメッセージや教科書などの教材、学校の中の生活環境、規則、それから教員の採用における男女の偏り、教員の公務文書などの中にジェンダーバイアス、すなわち性による認識や存在のひずみが潜み、それが隠れたカリキュラムとして機能し、子供たちに知らず知らずのうちに性差別を植えつけているという現実があります。
 教育におけるジェンダーバイアスの例を二、三挙げてみますと、例えば学校段階の上昇に伴い女性教員は少なくなり、女性管理職の割合も少なくなっております。ちなみに、女性教員の割合は、幼稚園で九割以上、小学校で約六割、中学校で約四割、高等学校で約二割というような実情です。教員の公務文書に、女性向け、男性向けと分ける傾向があります。ちなみに、教務主任、学年主任、進路指導主任には男性教師がなりがちであります。また、出席簿や整列などで男子が先、女子が後という序列化がいつの間にか定着をしております。教科書の性差別としては、父親が仕事、母親が家事というような場面、また物語の主人公は男性が多くなっておりますし、歌の歌詞でも僕たちで私たちではないというような現実。
 ここで私が言いたいのは、本来、このような気がつかずに自明のこととして見過ごされがちなジェンダーバイアスは、直接には学校のカリキュラムとして教えることはないはずなのですが、隠れたカリキュラムとして機能し、少なからず子供たちに影響を与えているということであります。
 そこで、教室で生徒の中にイメージされている性別役割分担意識をいかに気づかせるかでありますが、さきに質問しましたジェンダーフリー教育では、表のカリキュラムに対しまして、今申しました隠れたカリキュラムとしてどのような取り組みをするのがよいのか、非常に難しい問題ですがお伺いをいたしたいと思いますが、それに関連して、具体的にちょっと質問しましょう。
 例えば、男女混合名簿についてであります。
 教育の実質的な男女平等を確保してジェンダーバイアスから解放されるためには、区別は差別という認識を持つことが重要だと言われております。出席簿、性別による色分け、係の割り当て、褒め方しかり方、運動会の種目での区別等々、あらゆる面での性別による区別をなくすべきであるというような提起が実は国立市や横浜市の教育委員会から提言をされております。
 そこで、男女別名簿による男子が先で女子が後といった男子優先のルールが繰り返されることによって、無意識のうちに男子優位の観念が植えつけられてしまうとすれば、回避のための一つの方法として、男女混合名簿の採用というようなことはどうだろうかというふうに思います。
 その次に、例えば具体的な例としては、教科書検定におけるところのジェンダーフリーへの配慮ということですが、教科書や副読本の内容や記述が子供たちに隠れたカリキュラムとして作用し、性差別意識を植えつけてしまっているとしたら、さらにさかのぼって教科書の採択作業にもジェンダーフリーの光を当てなければならないと思います。
 文部省の検定作業において、記述内容が極端に男性中心に偏らないようにチェックするなどの審査が必要になっておりますが、文部省としてジェンダーフリーなどにどのように配慮をしているのか、所見をお伺いいたしたいと思います。
 教科書に関連しまして、教科書を男性が執筆したのと女性が執筆したのでは、描かれた内容にも微妙な違いが生ずるのが普通であります。
 昨今、男女共同参画の分野では、とかくクオータ制の論議が盛んでありますが、もし極論を言うなら、子供たちの意識形成への影響絶大な教科書や教材の執筆者こそクオータ制が求められるべきではないかという意見も成り立つのでありますが、そこまで申しませんが、参考までに、教科書への女性の進出状況についてお教えをいただきたいというふうに思います。
 以上です、ちょっと長くなりましたけれども。

○政務次官(小此木八郎君) 多方面からいろいろな御指摘をいただきましたが、まず、先ほど申し上げましたように、男女共生社会あるいは共同参画社会というものを築くためには、幼少時からのそういった学校での教育は必要であるということは既に申し上げました。
 そして、それを今度は教える側でありますけれども、教員そのものがジェンダーあるいはジェンダーフリーにかかわる問題についてきちっと意識をして、そして子供たちに与える影響を考えながらその指導をしていく立場をとるということは大変重要なことだというふうに思います。
 このために、文部省としては、主宰する中央研修講座において男女共同参画社会にかかわる講義を行ったり、国立婦人教育会館において教師のための男女平等教育セミナー等々、こういうことを行っております。あるいは、各都道府県、指定都市の実施する初任者研修等の機会においても男女平等等にかかわる研修が既に行われているということでございます。
 もう一点、男女混合名簿に対するお話がございました。
 出席簿の様式等については、学校または教育委員会において、学校運営上の必要等を考慮して作成されるものであるというふうに考えます。出席簿を男女別にするかあるいは男女混合で作成するかなどは、各学校で教育指導や学校運営上の実態に即して、現在は校長先生が判断をしているというところでございます。
 健康診断ですとか保健体育が別々に行われているということが現実のものとしてある中で別々に男女の名簿がつくられるという現実の話もございますが、委員の御意見をさらに伺いながらも、この点についてはさらに私どもも勉強してまいりたい、こういうふうに思っております。
 引き続き、教科書についての御質問もございました。
 この件におきましても、男女の平等が基本的に重要な視点として十分配慮される必要があるとの認識を持っております。
 教科書の検定においては、例えば検定申請された図書の中に女性差別や男女の固定的な役割分担を助長するような記述がある場合には規定基準に基づいてこれに意見を付すなど、男女の平等、性による差別の是正などの観点に留意をして行っているところであります。
 今後とも、このような観点に配慮をして適切に検定を実施してまいりたいと思っております。

○仲道俊哉君 あえて私は今、隠れたカリキュラムという言葉を使ったんですが、本当に無意識のうちに、表に出てこない中で、自然の生活の中で、学校生活の中でいつの間にか、男子が先、女子が後というようなことが、本当に無意識のうちにそういうことがあるわけでございまして、実際に、今御説明をいただきましたが、その中で一つ、例えば、今言いました男女混合名簿のことについて。
 身体検査やそういうときにはそれぞれのが必要でしょうけれども、国立市や横浜市あたりでは現実にそのことを運用しておるんですが、特に今のような、これまでの学校の実態に即してそれぞれの各地方の教育委員会に、特に地方の時代になりますと、そういうことで地方分権で各都道府県の権限にはなるんでしょうが、男女共生社会という、この今の日本の実態で男女平等ということを考えたときには、文部省としてそういう教育的な指導等がもう少し強力にできないものかなという気持ちを持っておるんですが、それについてはいかがでしょうか。

○政務次官(小此木八郎君) 先ほどその点についてさらに勉強させていただきたいということは申し上げましたが、学校における各種の名簿というのは、委員もおっしゃいましたが、今のところ教育委員会において判断されるべきものであるとの認識を我々は抱いておりまして、さらに委員とも今後御議論できれば幸いでございます。

○仲道俊哉君 冒頭、午前中のフリートーキングで、実際これまで学校の中でどのように男女平等教育がなされたんだろうかなというような、随分いろいろな意見が出たんですが、ある教育評論でこういうような文章が出ておるんです。
 これは、学校以外では、男性の列、女性の列と分かれたり、受付を男性が先にしている等の例はほとんど見られないと。性的暴力やプライバシーにかかわる問題、例えば更衣室、ふろ、トイレ以外は分けられないのが一般的ではないだろうか。
 それに比べて学校では、分けること、それも男子を必ず先にすることが習慣化している。また、女だから、女のくせにという言葉も教員から言われている実態がある。女のくせにの後には、おとなしくしなさい、文句を言うな、暴れるななど、ほとんど制限や禁止する言葉が続く。男の後には励ましの言葉が来ることが多い。
 男女にかかわらず、人間として人を大切にすることや自分らしく生きることを求めたり励まされたりすることは大事だが、性にこだわって育てられることは、お互いに人間として豊かに伸びていけず、とても窮屈な感じがするというような、一つの教育評論の雑誌でこういう文章がちょっと目にとまったものですから。
 一般社会では男女差別が一般的に多いというような認識があるんですが、具体的にこのように挙げてみますと、案外学校の中にそういう先ほど言いました隠れたカリキュラムとしての面が多いんじゃないかなということを、午前中もそのことが指摘されたんですが、そのことをあえてここで私の意見として聞いておいていただきたいと思いますし、今後、この問題についての一つの参考にしていただきたい、そのように思います。
 次に、教育機関における女性の進出状況についてですが、これまで国会議員や高級官僚への女性の進出状況を勉強してまいりましたが、学校教育の性差別意識を含む意識形成への影響力の大きさを考えますと、女性の教育界での管理職等への進出状況を把握しておくことが重要になってまいります。国家百年の計の担い手である教育界が男中心の保守社会では、男女共同参画社会の実現もかなり危ういものになりかねないからであります。
 今、私の手元にある少し古い資料ですが、一九九三年時点での女性の学校管理職の割合は、小学校が校長が七・二%、教頭が一六・九%、中学校で校長一・二%、教頭が四・一%、高等学校で校長が二・五%、教頭が二・〇%、大学で学長が私の資料では四・〇となっておるんですが、午前中のあれでは有馬前文部大臣は一人しかいないというようなお話がちょっとあったんですが、これでは四・〇%、副学長が一・七%となっております。
 全体として、衆議院議員における女性の比率が五・〇%、同参議院議員が一七・一%、これは平成十一年一月時点でありますが、よりも低く、本省の課長級以上の職員における女性比率一・一%より高い、これは一九九七年時点の数字ですが。もしこれで直近のデータがあればお示しを願いたいと思いますし、なお、都道府県及び区市町村の教育長、指導主事、管理主事などへの女性の進出状況についても、もしお手元に資料があればお教えをいただきたいというように思います。

○政務次官(小此木八郎君) 平成十年度末の人事異動において申し上げますが、公立小中高等学校の校長、教頭に新たに登用された者は一万四百九十九人で、このうち女性の占める割合は約一五%の千五百八十人となっております。これは、十年前の昭和六十三年度末の人事異動において新たに管理職となった一万七千五百八十三人のうち女性が約六・二%であったものと比較して、大きく増加してきているというところであります。
 また、国立大学においては、先ほどおっしゃいましたが、学長が一名ということでありますが、副学長が置かれている四十七国立大学中、女性が任命されている大学はまだございません。また、そもそも、国立大学の教授等に女性の占める割合は近年少しずつではありますが増加をしてきているものの、平成十一年度現在、八・八%程度にとどまっているのが現状でございます。

○仲道俊哉君 都道府県のはわかりますか、資料があれば。

○政務次官(小此木八郎君) ちょっと手元にございませんので、後でお届けをしたいと思いますが。

○仲道俊哉君 そうですか。それでは、後で資料があったらお知らせをいただきたいというふうに思います。
 次に、日本の伝統文化とジェンダーフリーの抵触についてということで総理府と文化庁にお聞きしたいんですが、私は、この調査会で、男が先で女が後といった、これまでさほど意識もせずにおった自明の理が、当たり前のこととしてきた多くのそういう気持ちがあって、午前中も私が随分進歩したと皆さん方から褒められたわけでございますけれども、いろいろなことを学ばせていただきました。
 しかし、いまだに素朴な疑問がございます。それは、国家はそれぞれ歴史や文化を異にし、諸外国、特に北欧諸国のルールが、我が国のように万世一系の天皇をいただきて、かつて武士道が為政者の認識と行動の規範とされた東洋の国家である日本においてそのまま当てはまるのかという疑問であります。
 例えば、歌舞伎や能のような伝統芸能や相撲のような国技は男性によってのみ培われ伝えられてきた我が国が世界に誇る固有の文化であります。こうした分野にまであえてジェンダーフリーの概念を持ち込まなければならないのかということであります。
 つまり、ジェンダーフリーを振りかざすことが我が国の伝統文化と抵触し、場合によっては文化そのものを滅ぼしてしまうような場合にも、政界や行政などと同じように、女性の歌舞伎役者や能役者、女性の力士などを認め、女性の参画を推進していかなければならないのかどうか。言葉をかえれば、男女共同参画社会の実現やジェンダーフリーが求められる領域には例外があるのかないのか、もしあるとしたらどこで例外の線を引くのかということでありますが、この点に関する総理府と文化庁の率直な御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。

○政府参考人(佐藤正紀君) 先生の御指摘のジェンダーフリーと伝統文化の問題でございますが、男女が性別による固定的な役割分担に縛られることなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現と、これは男女共同参画社会基本法の前文にもありますとおり我が国の重要課題の一つであろうと考えておるわけでございます。
 一方におきまして、日本古来の伝統文化、これは先生の御指摘になりました歌舞伎等にいたしましても、その発生の経緯、それから長い歴史がございますが、その中にはいろいろな変遷をたどってきて現在の形になっていると考えておるわけでございます。
 男女共同参画社会の視点から伝統を見直すべきだという御意見、それから伝統文化はそのまま維持すべきだという御意見と両方あろうと私どもも承知しておるわけでございますが、政府といいますか総理府といたしましては、基本法の基本理念を踏まえた上で国民の間で広く議論がなされていくことを期待いたしておりますし、その議論の結果、いろいろ社会のさまざまな分野におきます制度、慣行におきまして見直しが行われることもあるだろうと、こう期待しておるところでございますが、政府としてどちらにしたらいいかということにつきましては、ちょっと当方としてははっきりとは言いかねるところでございます。

○政務次官(小此木八郎君) 文化庁としてですが、日本の伝統文化である伝統芸能に関しては文化財保護法、こういった法律に基づいて重要無形文化財に指定する等によりその継承、発展をこれまでも図ってきたところでございます。
 例えば、委員おっしゃるように歌舞伎、能については、伝統的に男性により演じられる中で技芸が洗練をされて磨き上げられてきたものでありまして、こうした伝統的な様式を尊重し、その保存を図っていくことは重要であるというふうに考えております。
 他方、歌舞伎、能の中には、女性が中心となって取り組んで活躍されているものもありまして、こうした取り組みが進められることも、一方では私は望ましいというふうに考えます。

○仲道俊哉君 後の言葉の女性が中心となってというところ、ちょっと歌舞伎の社会ではわからないんですが、そこのところの補足説明をお願いしたいと思います。

○政務次官(小此木八郎君) 歌舞伎等におきましては、実際に舞台に上がることはないんですが、公演の中で音楽演奏といいましょうか、こういうときに二人から三人ぐらいの女性が加わることが実際にある。あるいは、女性だけによる「名古屋むすめ歌舞伎」というのがございまして、平成七年度の第五十回芸術祭主催公演に出演するなど、こういった活動が例を挙げてみますと行われているということでありますので、そういうその部分も今御紹介をさせていただいたということでございます。

○仲道俊哉君 これはもう少し論議をしたいと思いますし、具体的には今度の大阪での太田知事の問題もちょっと聞こうと思ったのですが、ちょっとなかなか立場上大変だろうと思います。(「聞いてください」と呼ぶ者あり)
 私自身はこのことについては余りこだわっていないんですよ。例えば、太田知事が土俵に上がることについてはね。というのは、古来の日本の文化の伝統、そういうものについては、しっかり守るべきところは守らなきゃならないが、土俵に上がったことによって日本の伝統文化の相撲が壊れるということにはならないし、かつて戦時中とか戦前に女性禁制の山、登ってはいけないという、そういう山があったわけですが、戦後はどんどん登るようになった。
 そういうようなことから、そのことについて私は余りこだわっていないが、何か古来の伝統文化がなくなることに対して危惧をするわけですが、向こうの方から聞いてくださいという意見もありましたけれども、一応そういう私の気持ちだけお伝えをして、何かお答えがありましたら。

○政務次官(小此木八郎君) 仲道委員の見解は認識させていただきました。

○仲道俊哉君 それでは、残された質問、時間が参っているんですが、次に厚生省と総理府にお伺いしたいと思うんです。
 七〇年代半ばからの少子化が既婚女性の出生率の低下ともなっている、それから適齢女性の晩婚化や未婚が原因であるということは認識しているわけですが、そこで、男女共同参画社会が推進され、あらゆる社会において女性が責任ある立場につくようになりますと、女性が経済的に自立し、反対に結婚生活の魅力が減少すれば、勢い適齢女性の晩婚化、未婚化が進み、少子化にも歯どめがきかなくなるというふうに思います。つまり、政府の男女共同参画推進策は結果として少子化により拍車をかける政策であるとの見方もできると思うんですが、この矛盾について厚生省及び総理府の双方の御意見をお聞きいたしたいというふうに思います。

○政務次官(大野由利子君) 近年の出生率の低下の主な要因といたしまして晩婚化による未婚率の増大がある、このように言われております。その背景には、結婚に関する意識が変わってきたこととか、固定的な性別役割分業を前提とした職場優先の企業風土などがあって、企業と子育ての両立に負担感が増している、こういうことがあると思います。
 経済的な自立が進むとというお話がございましたけれども、経済的に自立できないから結婚でもしようかという考え方で晩婚化に歯どめをかけるということは、これは夫にとっても妻にとっても決して幸せとは言えないんじゃないか。むしろ若い男女が結婚やまた出産によってより人生を豊かにして、そして幅が広がり、新たな発見、新たな出会いがあって、希望に満ちた、喜びに満ちた人生になるという、それであって初めて幸せだと、こういうふうに言えると思います。
 そういう意味でも、少子化の問題、そしてこの男女共同参画社会の問題、決して相反する問題ではない、こう思っておりまして、総理主宰の少子化への対応を考える有識者会議の中でも、男女共同参画を推進していくことが若い男女が家庭や子育てに夢を持てる社会を構築していく上でも不可欠である、こういう提言がなされております。政府といたしましても、この有識者会議の提言を踏まえまして、昨年十二月、少子化対策推進基本方針を定めました。
 厚生省といたしましては、この少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランなどに沿って、保育サービスの充実とか在宅児を含めた子育て支援の推進とか、また母子保健医療体制の整備の推進などによって仕事と子育てが両立できる、負担感を緩和する、安心して子育てができる、こういう環境整備に力を入れてまいりたい、このように思っております。

○政府参考人(佐藤正紀君) 総理府におきましては、男女共同参画社会基本法を制定するに当たりましても諸外国の状況をいろいろ調べたりもいたしておりますが、世界の状況を見ますと、女性の社会進出の進んでいる国の方が逆に出生率が多いとか、そういう傾向もございまして、日本の場合には社会進出は進んでいないけれどもまた逆に出生率が低いというような状況もございます。
 こういうものを勘案いたしますと、女性の社会進出が進んだからといって出生率が必ずしも下がるものとは考えられないと思っております。男女共同参画社会の推進と少子化対策とは相矛盾するものではないのではないかと考えておるところでございます。

○仲道俊哉君 あと一問あるんですが、あと三十秒ですが、ちょっと済みません。考え方よくわかりました。
 次に、新潟県警に対するいわゆる空監察等の数々の一連の警察の不祥事の一つの理由として警察組織の、特に上級幹部に関して女性の進出が立ちおくれていることが考えられるのではないかというふうに私は一方的に考えます。なぜなら、女性は男性に比べて相対的に清潔であり、飲食やマージャンなど接待の誘惑にも強いというように考えられるからであります。つまり、警察組織の上級幹部により多くの女性が進出することが警察の浄化につながるとの見方もできなくはないのであります。
 そこで、警察庁に、女性警察キャリアの過去十年間の採用状況、女性警察キャリアの現在の在職者数及び最上級ポスト、三番目に上級幹部である警視正以上に占める女性の数及び割合をお尋ねいたしたいと思います。さらに、今後公安委員会を含む警察機構の見直し論議が盛んになってくるものと考えられますが、その論議は検討課題として警察組織における女性の進出が大きなテーマとされなければならないと私は思うのでありますが、この点に関する当事者である警察庁のお考えをお聞かせ願って、質問を終わります。

○政府参考人(芦刈勝治君) 警察庁におきましては平成元年から国家公務員のT種試験の合格者の中から女性の警察官を採用いたしておりまして、平成元年からですから、十一年間で採用者累計十五名、現在一人欠になっておりまして十四名でございます。それから、最上級ポストでありますが、一番古い方でも入って十年ちょっとでございますので、現在まだ警察庁本庁の課長補佐でございます。さらに階級的には、一番古い方で先ほど申しましたように十年少しでありますので、現在最上級ポストは警視でございます。警視正以上にはまだなっておりません。これは女性だから男性だからとかいうことではなくて、経過年数が足りないということでございます。
 それから今後のことでございますけれども、当然のことながら、警察庁におきましては男性女性という性別による差異は一切設けることなく、能力、人格、識見、そういったものをよく吟味して採用あるいは昇進をさせているところでございまして、今後とも男性女性といった性別に一切かかわりなく、幹部候補者として真にふさわしい者を職域の拡大を図りながら採用をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○松崎俊久君 共生という理念実現のためには、その下部構造としての経済的な自立という問題を抜きにしては、特に高齢化社会において女性の問題を論ずる場合にこれを避けて通れないと思います。特に、その中での年金の問題というのは非常に高齢女性にとっては大きな問題であります。その集中的な矛盾といいましょうか問題を一番多く含んでいる土地は、言うまでもなく沖縄県であります。
 沖縄は、戦後三回にわたっていろいろな年金制度の補てん作業が行われておりますが、その中で、とにかく沖縄女性の平均寿命というのは現在断トツの日本一であり八十五歳、最低の青森県に比べて二・五年も長い。六十五歳女性の平均余命という点についていえば、一番悪い大阪よりも三・一年ほど沖縄は長いわけです。さらに加えて、男女差というのを見ますと、平均寿命でいいますと七・八年も男女差は沖縄で開いております。さらにもう一つ、初婚年齢から見るところの現在の夫婦の年齢差という点を考えますと、これは今現在は二・二年差となっておりますので、そのように考えますと、男女差を入れて、女性は夫を失った後十年間のひとり暮らしを全国的に強いられるわけでありますが、特に沖縄ではその傾向が非常に強く、他県よりも三年も寿命が長いということは、沖縄の女性はそれだけしわ寄せといいましょうか、苦しい高齢のひとり暮らしを強いられる可能性があります。
 と考えてまいりますと、やはり女性たちにとって一番の支えになるものは年金ということになります。この年金でありますが、沖縄は失業率もまた日本一で八%を割ることがありません。おまけに経済的な格差、全国の七割しか収入がなく、かつ賃金でいいましても六七%ですか、ごく最近の昨年の統計によりましても沖縄は全国の八五%の賃金、しかも、その中で女は男に対して六七%ぐらいしか収入がありません。このことはすべて年金にはね返ってくるわけであります。しかも、パートタイマーの女性が非常に多い。リストラも、非常に中小企業が多いですからつぶれて国民年金になったり、または厚生年金の間を揺れ動く女性も非常に多いということになります。しかも、離島が物すごく多いという関係上、国民年金の未納者も非常に多い。こういうふうになりますと、沖縄というところは年金問題にとっては特に女性には大変な場所だということになります。
 これに対しては、特に離島などに対して国保の女性に対するきちんとした周知徹底、情報伝達ということは大変重要な問題になるかと思いますが、社会保険庁おいでになっているようですので、沖縄の女性に対する情報の提供、知識の提供並びに免除率、未加入率、未納率、沖縄についてお答えいただければと思います。

○政府参考人(高尾佳巳君) まず、数字の関係の方だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 現在、先生御指摘の未加入、それから未納、免除、それぞれ統計数字が違いますので、率となりますと一つの割り切りで数字を出しているところでございますが、沖縄のまず未加入者の数でございますが、万人単位で申し上げますと一万人でございます。それから未納者が三万人、それから免除者が十三万人でございます。
 それで、全体の被保険者ないしは未加入者を含めましたいわゆる対象者と申しますか全体の数が六十七万人という形でございますので、それぞれのパーセンテージを申し上げますと、この全体の数字からで申し上げますと、未加入者が一・九%、それから未納者が四・〇%という形でございます。それから免除者につきましては一八・七%という数字になっているところでございます。
 それで、これに対しまして、沖縄におきますいわゆる普及活動の点でございますが、我が国の公的年金制度におきましては世代間の扶養の仕組みをとっておりますので、保険料の御負担をいただく現役世代の方々に年金制度の意義と役割を十分理解いただくことは極めて重要であるというふうに考えているところでございます。
 そのため、普及啓発活動ということは非常に重要課題ということで、既に先生御案内と思いますが、年金白書を作成したり、また毎年、テレビや新聞、ポスターなどを活用した広報活動を行っているところでございます。特に、未納、未加入ということになりますと若年者の方の問題もあるわけでございますので、近年若年者を中心とした広報に力を入れておりまして、制度の意義や役割、制度改正の必要性等につきまして広く周知を図っているところでございます。
 近年はさらに中学生、高校生を対象としまして、全国の学校教育の場で用いる副読本の作成、配付等を行ってきているところでございます。
 それで、未納関係で申し上げますと、保険料を納めていただく率が非常に低いんではないかというお話でございますが、確かに沖縄県は私ども検認率という言い方をしているのでございますが、検認率が非常に低いことがございます。そういうことで、大都市圏と同様にテレビスポットの放映を強化いたしまして、その回数等をほかの地域よりも多くするとか、ないしは路線バスへのポスターの掲載など交通広告、これも沖縄におきましてはバスに重点的に広告するというような形で、非常に沖縄につきましては私ども大都市圏と同じぐらいのウエート、問題意識を持ちまして重点的な広報活動を行っているところでございます。
 他方、いわゆる未納対策全体といたしましても、このような広報活動のほかに口座振替の促進という形で納付しやすい環境づくりを行ったり、また市町村それから社会保険事務所を通じまして、収納強化対策ということで文書、電話それから戸別訪問等によります納付督励を強化しているところでございます。
 私ども、この未納・未加入問題というのは非常に重要問題というふうにもう認識しているわけでございますので、今後ともさまざまな機会をとらえまして、年金制度の正しい理解のためにより効果的な広報の実施に努めていくという所存でございますし、これらを含めまして、未納・未加入者の解消に努めてまいりたいと考えているところでございます。

○松崎俊久君 先ほども述べましたように、沖縄の高齢女性に対しての年金という問題は深刻でありますが、さらに沖縄は日本一の離婚率ということになっております。日本は欧米諸国に比べて離婚率は低いとされておりますが、沖縄の場合はヨーロッパ並みというところまで来ております。これが明日の日本の姿かどうかはわかりませんが、平均寿命の差とこの離婚率、さらに失業率等を勘案いたしますと、女性が六十五歳の年金受領を六十歳に繰り上げてくる可能性というものは沖縄においては極めて高いと。
 ところが、この六十歳の繰り上げ受給ということになりますと、冷酷な四二%のカットという条件が待っております。これは沖縄の女性にとってはもう本当に性差、地域差と両方勘案して二重苦に年金の問題でそういう位置に置かれるということを意味します。
 この状況に関しまして、厚生政務次官、いかがお考えでございましょうか。

○政務次官(大野由利子君) 老齢基礎年金の繰り上げ減額率につきましては、さきの臨時国会の衆議院厚生委員会におきまして、厚生大臣から老齢厚生年金の一階部分の支給開始年齢を引き上げます平成十三年度から、新規の裁定者、つまり新しく年金を受ける受給者から見直しをする、二〇〇一年から見直しをするということで、早急に検討を進めると、このように答弁をさせていただいたところでございます。
 その際、大臣からは昭和三十六年当時用いました生命表以降の平均余命の延びを考慮いたしまして、繰り上げ減額率は現在御指摘の四二%でございますが、これをあらあら三五%前後にするということで、これから細かい具体的な数字は今後しっかり精査をしてまいりたい、このように答弁をしているところでございます。
 これを踏まえてしっかり検討をしてまいりたいと思っております。

○松崎俊久君 離婚の問題に触れたので、法務省にちょっとお伺いしますが、日本の現在の離婚統計、一九九七年に発行されたものを見ますと、協議離婚で子供の養育費を取り決めて離婚したケース四三%、していないのが五五%、取り決めたという中で養育費をちゃんともらっているというのが七七%、取り決めていない場合は一割、一〇%しか養育費は受け取っていないという状況にあります。
 約束して払わないような言語道断な男はもう問題外で、こういうのを締め上げないといけないだろうと思うんです。そういう意味で強制執行というような手段は、直ちにはそこまでいけないでありましょうが、アメリカのように児童養育費強制履行制度というものが一九七五年に既にアメリカでは行われて、以後三回の法改正のもとで七五%がきちんと追跡して養育料を受け取れるようになっております。日本の場合は一概にそこまではいけないかもしれませんが、とにかく離婚した女性が子供を育てる場合の非常に並々ならぬ苦労を考えれば、この女性の自立の観点からもいろいろな啓蒙がされるべきだろうと思います。
 私は、こういうところに対してまだ日本では一歩も踏み込んでいないようでありますので、私の意見をちょっと申し上げて、それに対する法務省の御意見を伺いたいのでありますが、せめて離婚届が出たときに自治体戸籍係の窓口で、あなたが離婚した場合の養育費に関してこれだけの権利というものをあなたはこういう手段で取れるんだということを、離婚者全員に窓口で配付するというのを法務省の責任でできないかという問題であります。これは啓蒙の手段としても、あるいは女性の権利を周知徹底せしめるという意味で非常に大事かと思ってお伺いいたします。

○政府参考人(細川清君) 離婚等に伴う女性の権利に関する啓発の問題でございますが、これは問題を抱えた女性が家庭裁判所にお見えになった場合には家事相談という制度がございまして、そこで慰謝料とか財産分与とか養育費等に関する法律問題について御説明することができるわけでございます。
 ただ、市町村でございますと、一般的な窓口の職員の方々がこういう法律的な専門的知識を持っているということは余り期待できないわけでございますし、また多数の方が来られる窓口でお話しするというのはちょっとプライバシーの問題もあるんだろうということでございまして、なかなか難しい問題がございます。
 そこで法務省では、法務局、地方法務局で人権相談所というのを設けまして、一般的な女性からの御相談があった場合には、離婚の際の財産分与、慰謝料、養育費等について御説明申し上げる、そして必要な場合には法律扶助制度を紹介するということになっております。
 ただいま御指摘のございましたように、支払わない人から強制的に取り立てるということは最終的には法律的な手続を経ざるを得ないわけですが、そういった場合に資力の乏しい方には弁護士さんを頼めないという問題がございます。そこで、法務省といたしましてはこの法律扶助制度の大幅な拡充ということがぜひとも必要であるというふうに考えておりまして、実は御審議いただいている平成十二年度の予算におきましては、法律扶助の事業費と補助金としまして二十一億八千五百万程度を計上しております。これは本年度予算に六億一千百万ですから、本年度予算に比べますと約三・五七倍ということでございます。
 それからもう一つは、全国に均質的な法律扶助のサービスを提供するということが大事でございますので、そこで今国会に民事法律扶助法案というものを提出させていただいているところでございまして、そしてこういうものが成立すれば相当女性の離婚等に伴う権利の擁護に役立つのではないかというように期待しております。
 こういった制度ができましたら、私どもとしても仏つくって魂を入れずにならないように積極的に広報してまいりたいと思っているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小川敏夫君 先ほど仲道委員の方から私がお聞きしたいことの趣旨と同じ観点からの質問がございました。警察庁のことでございますけれども、今回のいろいろな新潟県警あるいはその前の神奈川県警の不祥事等見ましても、すべて男ばかりが不祥事を起こすというような状態がございます。
 それで、きょう警察庁に来ていただいた質問の趣旨は、やはり同じように、新潟の事件、いたいけな少女が拉致されて九年ぶりに発見された、このような状態のときに女性の持っている感性あるいは母性といったものがあれば、温泉でマージャンなどをしていないですぐにも取って返すというふうにも思うわけであります。
 あるいは、埼玉の桶川で起きたストーカー殺人事件、これなどはもう被害女性がストーカー被害に遭って保護を求めているというにもかかわらず、警察の方は具体的な手だてを講じなかった。ストーカー被害は別に女性に限らず男もあるわけですけれども、やはり女性の方が実際にストーカーの深刻な被害に遭っていることも随分多いわけです。こういった桶川の事件もそういった女性の立場に立った視点が警察にあればもう少し有効な手だてが打てたのではないか、こういう観点から少し警察庁の方も女性の登用を図り、あるいは女性の持っている母性、感性あるいは人間性というものを生かした警察行政というものをやってもらわなくてはならないと、こういう観点からきょうは警察庁にお越しいただいてもらったわけでございます。
 それで、男女共同参画法のその趣旨を踏まえた人事なり警察行政をやっているかといえば、当然やっているというふうにお答えになるでしょうけれども、具体的にどのような施策を現在講じてやっているのか、それについて説明していただきたいと思います。

○政府参考人(芦刈勝治君) 警察庁といたしましては、警察の職務は非常に特殊な分野ではございますけれども、男女共同参画社会の基本理念を踏まえまして、今後とも女性警察官の積極的な採用を進めてまいりたいというふうに考えております。
 先ほどもお答えいたしましたけれども、女性のT種試験合格者の採用につきましてはここ十年少しやっておりますけれども、その中で毎年約一割ぐらいは女性でありますし、それから勤務が特殊な勤務だということを割り引いてお考えいただきますと、毎年約五千人ばかり各県警察で採用者がおりますが、その中の約一割、五百名ちょっとは女性警察官ということで、女性の採用につきまして特段努力を重ねているところでございます。
 女性警察官の積極的採用のためには、やはり従来の限られた職域を超えまして仕事の幅をさらに拡大していく必要があるというふうに考えております。これは女性にとりましても、職務に責任とやりがいが感じられるそういった仕事、魅力あるものにしていかなければならないというふうに考えておりまして、男女のいろいろな相違を考慮に入れた上でその職域の拡大を積極的に図っていきたいというふうに考えております。
 例えば、従来は、女性警察官と申しますと、交通の指導取り締まりでありますとか、少年補導でありますとか、女性の留置人の看守でありますとか、広報みたいな分野で、割合狭い分野であったわけでありますが、職域拡大ということで相当広がってきておりまして、一般の犯罪捜査あるいは鑑識活動、さらには暴力団対策の場面でも活躍をしていただいておりますし、警衛警護、これは女性のSP、街頭で見かけますが、それからレスキュー隊、ヘリコプター操縦ということで、職域拡大も順調に進んでいるところというふうに考えているところであります。今後とも、この職域の拡大につきましてはさらに積極的に進めてまいりたいと思います。
 また、女性警察官が家事や育児等に従事しながらも仕事に専念できるということが大事なことでありまして、例えば女性の当直室あるいは更衣室、シャワー室といった施設、あるいはベビーシッター制度といった制度面の整備充実にも現在努めているところでございます。
 以上でございます。

○小川敏夫君 一通りの説明をお伺いしましたけれども、男女共同参画法の制定を受けて具体的に警察庁の方でどういう施策を講じているか、その点に絞って具体的にお答えをいただければと思うんです。

○政府参考人(芦刈勝治君) 警察におきましては、先ほど言いましたとおり、毎年毎年そういった職域の拡大を続けておりますし、それからその年における女性の採用者の割合というのも継続的に進めているところでございまして、今後ともそういった施策をさらに努力して続けていきたいというふうに考えております。

○小川敏夫君 どうも何か具体的な施策をこれまでやっていないかのような印象を受けるんですけれども。
 それから、先ほどの仲道委員と重複しない範囲でお伺いしますけれども、先ほどはキャリアのことについてお答えがありましたが、ノンキャリアでは女性はどのように活躍しておられるんでしょうか。

○政府参考人(芦刈勝治君) 先ほど申しました都道府県警察において採用される女性警察官につきましてでありますけれども、毎年各都道府県では男女合わせて五千百名採用しておりますが、大体その約一〇%強、五百三十名余りが女性警察官であります。
 それで、配置、昇任につきましては、これは警察というのは非常に男女平等といいますか、実力の世界でございまして、本人の能力、適性に基づきまして試験その他で昇任していくわけでございます。
 現在、二十二万余の警察官のうちの約八千三百人が女性警察官でありますけれども、勤務している職域は、先ほど申しましたとおり従来より随分広がってきているというふうに思っております。階級的には警視あるいは警部、警視だと小さなところの署長さんあるいは警察本部の課長さんぐらい、それから警部はその下でありますけれども、そういった高位の階級で働く女性警察官もふえてきておりまして、警視庁管内では過去には、御承知のとおり警察署長も出しているところでございます。
 そういったところで、現在、都道府県警察の女性の警視は、東京、大阪にそれぞれ各一名ずつおります。それから、数字は若干古いかもしれませんが、警部の階級で約三十名ぐらいおりまして、いわゆる幹部警察官として活躍している女性警察官もふえてきているという状況でございます。

○小川敏夫君 一つの数字的な目安として二十二万人のうち八千人ぐらいいると。そうすると、ノンキャリアの方の署長さんは随分おられると思うんですけれども、その中で大体どのくらい署長さんはおられて、それが率はどのぐらいになるのか。

○政府参考人(芦刈勝治君) 現在、全国で女性警察官の署長さんはいらっしゃらないと思います。都道府県採用の方の女性の署長さんはいらっしゃらないと思います。

○小川敏夫君 ちょっとその率からいって、女性のそうした活躍の場を絞っている結果そうなっているんではないかというふうに思うんです。
 あと別な話ですけれども、私が経験した話をして恐縮ですけれども、かつて私の知り合いで銀行の支店長さんがいまして、ただ、銀行がアマチュア野球団、社会人野球を持っていまして、その監督になるというので、その監督に招聘される約束で支店長のポストを約束されたので銀行の支店長をしていたという方なんですけれども、銀行の支店長をしているんだけれども実際には支店長をしていない。すなわち、支店長の業務は副支店長がすべてやっていて、その支店長さんは全くのお飾りだったというような例があったんです。
 それで、女性の登用ですけれども、例えば男女共同参画だから女性の署長を登用しようといっても、お飾りであっちゃいけないので、やはり女性の署長を据えたら、そこに女性では足らないから実質的な署長業務をやる副署長を呼んできてお飾りにしてしまうような、そんなやり方ではいけない。今、署長がいないのだから全く話にはならないけれども。形だけでそういう体裁を整えるということではなくて、本当の意味で実質的な仕事をする、職務を担当する女性の署長さんというものを育てていただきたい。
 そのためには女性の警察官も努力をしなくてはいけないけれども、しかしそういう女性が活躍できる場というものがもっと広範に、やはり警察庁も一つの方針として、努力をしていますという言葉だけではなくて、男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえて、もっともっと具体的に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っておるということを述べさせていただいて、その所感でもお答えいただければ、それでもって私の質問を終わりたいと思います。

○政府参考人(芦刈勝治君) 先ほどの警視庁の警視の女性警察官は、今、犯罪被害の対策室長、犯罪被害者対策室長ということで、これはまさにおっしゃるとおり、被害者の立場に立っていろいろなことを考えなきゃいけない立場でありまして、非常に適したポストにいらっしゃるというふうに思います。
 私どもとしては、まさに女性だから男性だからということを全く考えたことがなくて、本当に能力主義であると思います。特にT種試験採用者につきましては、これは全く同期の男性に伍して県警の課長をやったりしております。これもたまたま今いないんですが、人事の都合でいないだけのことでありまして、過去に数名出ております。
 私ども、本当に実力主義の社会だと思っておりますので、力のある女性の方々がどんどん登用されるような、そういうことを考えてまいりたいというふうに思っております。

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。
 女性の政策決定過程への参画についての現状と課題に関して質問させていただきたいと思います。
 まず、先日この調査会で福岡県の大野城市にお伺いしたわけですけれども、そのときに、大野城市は男女共同参画宣言都市でありまして、男女共同参画社会づくりに努力されておったわけであります。
 まず最初に、総理府の方にこの男女共同参画宣言都市奨励事業についてお伺いしたいと思います。
 この事業は、審議会等における女性委員の登用のための特別のプログラム等も含まれておりまして、女性の政策決定過程への参画にも貢献しているのではないか、そのように考えておるわけですけれども、これまで奨励事業の成果がどのように上がっているのか、その点に関してお伺いしたいと思います。

○政府参考人(佐藤正紀君) 御質問の男女共同参画宣言都市奨励事業といいますのは、男女共同参画社会の実現を促進するために、その機運を広く醸成することを目的としてやっておる事業でございますが、その事業の内容といたしましては、大きく言いますと三つございます。
 一つは、市長の声明、議会の決議、あるいは女性問題に関する行政連絡会議等における決定などで男女共同参画宣言都市となることを宣言していただく。それから二つ目には、今、先生もおっしゃいましたが、審議会等における女性委員の登用のための特別のプログラム、あるいは男女共同参画憲章の制定、模擬議会の開催等、行政における具体的な参画の推進をしていただく。それから三つ目には、住民に男女共同参画社会づくりについての理解と協力を得るためのシンポジウムとか研修とか表彰等、いろいろ広報啓発活動をやっていただく。こういうことを目的としております。
 平成十年度までに男女共同参画宣言都市奨励事業を実施いたしました二十四の自治体がございますが、これらにつきましての現状を見ますと、各種審議会の女性委員の比率が二〇%を超える自治体が十六ございます。また、その中でも三〇%を超える自治体が七つあるというような状況にございます。また、係長級以上の役職者に占める女性職員の割合が二〇%を超える自治体が九つ、その中でまた三〇%を超える自治体が四つあるというような状況にございます。
 また、男女共同参画に係る計画、市区町村全体の策定率は一五・七%でございますが、奨励事業を実施しておる自治体は全部の自治体が計画を策定しているというようなことで、宣言都市になっていただいているところにつきましては非常に熱心にやっていただいておると考えております。
 今後につきましても、また機運の醸成のためにこの事業を引き続き推進してまいりたいと考えておるところでございます。

○渡辺孝男君 今、二〇%以上あるいは三〇%以上政策決定過程への、審議会等はなっているということでありますけれども、この奨励事業をやった結果そうなっているのか、宣言都市を宣言する段階で既に高い比率なのか。そこはどうでしょうか。

○政府参考人(佐藤正紀君) 先生、今おっしゃいましたように、特に御熱心な、市町村が名乗りを上げてきているというところがございますので、宣言をした年あるいはその近辺からもそういう数字を出しておりますので、もともと御熱心であったかとは思います。
 ただ、そういう機運を醸成するだけのまた意欲もお持ちであるということがありますので、そういう意味からいきまして、こういう市町村がどんどん出てきていただきたいと考えているところでございます。

○渡辺孝男君 あと、岩手県の大船渡市というのもまたこの男女共同参画宣言都市です。私も先日行ってきたんですけれども、これを宣言したから一生懸命またやっているということでありますけれども、まだまだ東北でも少ないんですね。各県に一つぐらいあるかないかという状況でありまして、私は、この奨励事業をきちんとやりたいと本当に熱心にやっているところだけではなくて、もう少し枠を広げていただいて、頑張ればこういうふうに総理府は応援するんですよというふうにしていただければ、もうちょっとそういう機運が広がるのじゃないかと。
 まだ奨励事業としては小規模で、余り国民に知られていないんじゃないかというふうに思いますので、もうちょっと積極的にやっていただければ、そのように考えているわけであります。どうもありがとうございます。
 次に、総理府の方にまたお伺いしたいんですけれども、平成十一年四月に日本政府は「北京行動綱領実施状況に関する質問状への回答」を行いましたけれども、その中で我が国の審議会委員への女性の参画に関して、「国際的な目標である三〇%をおよそ十年程度の間に達成するように引き続き努力を傾注するものとし、当面、二〇〇〇年度末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成するよう鋭意努める」としております。
 国の審議会委員の女性の割合は現在どこまで伸びているのか、確認したいと思います。

○政府参考人(佐藤正紀君) 国の審議会の委員に占める女性委員の割合につきましては、平成十一年九月末現在でございますが、一九・八%という数字でございます。

○渡辺孝男君 それで、もう一点、総理府にお伺いしたいんですけれども、私は、健康問題は男女共通の部分と、男性女性それぞれの性差に基づいた固有の部分がある、そのように思っております。したがって、健康に直結する問題を扱う審議会の委員構成は男女平等であるのが望ましいと考えておりますけれども、総理府としましてこの点をどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(佐藤正紀君) 基本的には、健康問題であると否とを問わず、社会のあらゆる分野が男性と女性で成っておるわけでございまして、基本的には共同参画が望ましいという立場におるわけでございます。特定の分野のものについて特定の比率を期待するところまでは現在考えておりませんけれども、男女共同参画社会を進めるに当たりましては、あらゆる分野の審議会におきまして女性の比率をとにかく高めていきたいということで、鋭意現在進めておるという段階でございます。

○渡辺孝男君 次に、厚生省の方にお伺いしたいんですけれども、先ほど総理府の方で健康問題にかかわらず男女平等であるのが筋だということでありますけれども、健康問題に視点を当ててちょっとお伺いしたいんです。
 健康問題に直結すると思われる審議会の中で例を挙げると、厚生科学審議会は、審議会の委員の総数十六名中女性五名ということで、女性の比率としましては三一・三%と三〇%を超えているわけでありますけれども、別の審議会、例えば中央社会保険医療協議会では、総数二十名中女性は一名で、女性の比率が五%。それから、医療保険福祉審議会では、総数三十七名中女性が六名で、女性の比率が一六・二%。医療関係者審議会では、総数六十九名中女性が十二名で、女性の比率が一七・四%と、五〇%にはほど遠く、当面の目標である二〇%にも達していないということであります。
 厚生省としましてこれらの改善のために今後どのような方策をとっていくのか、お伺いしたいと思います。

○政務次官(大野由利子君) 現時点におきます厚生省の審議会委員に占めます女性の割合、トータルでは二〇・五%、六百五十四人中百三十四人、こういうふうになっておりまして、今お話が出ました二〇〇〇年度までに二〇%を達成するという登用目標は達成しているところでございます。
 しかし、今委員が御指摘のように、一部の審議会では二〇%に達していない審議会がございまして、これらの審議会においては、関係団体の推薦をいただいている、その団体からの推薦で挙がってくるところになかなか女性の割合も少ない、こういうことで、現時点では女性委員の登用目標である二〇%に達していない状況がございます。
 しかし、厚生省といたしまして、関係団体に対して男女共同参画の趣旨をよく理解していただいて、今後とも女性委員の登用促進をしっかりお願いもし、努めてまいりたい、このように思っております。

○渡辺孝男君 先ほど例に挙げました中でも、中央社会保険医療協議会は二十名中一名しか入っていないということで、これは診療報酬等に直結する協議会でありまして、このような比率であって、女性固有の疾患等々に関して、十分な理解は当然専門家ですからあると思うんですけれども、女性の立場の意見あるいは子供さん等々に対する医療関係の保険点数等々が本当にきちんと反映できているのかといささか心配になる面もありまして、中央社会保険医療協議会等の男女比についても今後は少し改善していくような形が望ましいのではないか。
 ただし、これは推薦団体、各関係団体そのものがまだまだ男性の方々がトップにおられるということで結局女性の比率が少ないということでありまして、そういう意味では政策決定過程にかかわる女性の底上げといいますか、本質的にはそこをきちんとしていかないといけない問題かなというふうに思っております。何らかの工夫をされて、少しでも女性の審議会委員の数がふえてくることで、健康問題あるいは医療に関係する者の、男女の意見が公平、公正に反映されるようになるのではないかなというふうに私は考えておりましたので、ちょっと極端な例も挙げましたけれども、御考慮をいただきたい、そのように考えたわけであります。
 次に、これは総理府の方にお伺いしたいんですけれども、女性の政策決定過程への参画に関しまして、国の審議会等への女性の参画については二〇〇六年、先ほどもちょっと述べましたけれども、おおむね十年程度ということで考えますと二〇〇六年ごろまでになると思うんですが、この二〇〇六年ごろまでに国際的目標の三〇%とすることを政府は目標として掲げておりますけれども、その達成に向けましてどのような具体的計画を立てているのかお伺いしたいと思います。

○政府参考人(佐藤正紀君) 国の審議会等における女性委員の登用につきましては、平成八年の男女共同参画推進本部の決定で、「国際的な目標である三〇%をおよそ十年程度の間に達成するよう引き続き努力を傾注するものとし、当面、平成十二年度末までのできるだけ早い時期に二〇%を達成する」、こういうことにいたしました。したがって、平成十八年度末までに三〇%を達成するようにしなければならぬかというところでございますが、当面はまず二〇%の目標を達成することに全力を傾注しておるところでございまして、かなり近いところまで来ておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘にもありましたように、団体推薦あるいは職務指定のところにかなりのネックがございますので、まずそれをクリアするのが第一段階と考えております。
 また、来年一月に中央省庁の再編が行われますが、このときにあわせまして審議会等の整理合理化がかなり行われますので、審議会の母体自体が変わってしまうというところがございます。この状況を見ながらさらにまた計画を立て直さなきゃならぬというところがございますので、それを見ながら引き続き目標達成に向けて努力してまいりたいと考えておるところでございます。

○渡辺孝男君 午前中のこの調査会の中でも話題になったのが、農業委員会の中に女性が入っていくと、数は少ないんですけれども、まずその効果としまして、男性の委員が多いわけですけれども、やはり緊張感がありまして、本当に農業委員会も非常によい方向に動いているというような、調査に行ったときにそういうお話も聞いておりまして、やはり女性がそういう政策決定過程に入るということは非常に大きな意味があると思うんです。
 国連開発計画の中の「人間開発報告書」によりますと、まだまだ日本ではジェンダー・エンパワーメント測定、女性が政策決定過程に入っていくという比率が本当にそこの順位ではかなり低くて落ち込んでいるわけでありますけれども、ここを日本としては早く改善しなければならないということであります。
 この間の調査会でも、藤原房子参考人が、やはり国の審議会委員は日本の場合、国際的に見るとまだまだ国連の目標の三〇%には達していなくて、本当は究極は五〇%だということでありまして、日本も本当に努力しなければならない、そのような御意見もお聞きしたわけであります。今度省庁再編におきましては、権限と機能が強化される内閣府に総理を長とする男女共同参画会議が設けられて、男女共同参画に関しましても力を入れていくということでありますので、今後本当に努力して、二〇〇六年、早い時期にという意味だと思うんですけれども、本当に早い時期にいろんな工夫をしながら国際目標の三〇%を早く達成できるように頑張っていただきたいなと、そのように期待しておるわけであります。
 質問は以上で終わります。ありがとうございました。

○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 政府の男女共同参画二〇〇〇年プランにも、
  政策・方針決定過程への女性の参画は、民主主義の要請であるのみでなく、政策に女性の関心事項が反映されるための必要条件でもある。このため、ナイロビ将来戦略勧告において、意思決定レベルの地位における女性比率を一九九五年までに三〇%にするという国際的目標が提示されたが、特に我が国については、公的分野・私的分野を問わず国際的に見て極めて遅れた状況にある。
というふうに指摘をしているわけです。昨年は男女共同参画社会基本法も成立しまして、いよいよこの問題について政府が積極的に取り組まなければいけない、その責任があるという状況になっていると思うわけです。
 そこで、まず、政府が公的分野での女性の政策決定過程への参画をどのように進めていくのか、国家公務員の登用について、まず人事院にお聞きしたいと思います。
 これは、参考人からもいろいろ御意見が出されましたけれども、国家公務員、特に上級職の採用について、女性は試験には合格しても省庁にはなかなか採用されない、こういう問題が指摘されました。男性の場合は民間企業に就職が決まったなどということで選択肢の一つという場合があるわけですけれども、女性は国家公務員第一志望で、しかし合格したのに行き場がない、こういう事態になっている。
 二〇〇〇年プランにも、国が率先して取り組みを進めるというふうに書いてあるわけですけれども、今後女性の採用をふやすためにどういうような対策をとるのか、国家公務員の分野ですね、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(上村直子君) 今、先生がお話しになりましたように、昨年六月に男女共同参画社会基本法が制定をされまして、公務においては男女が社会の対等な構成員として政策の立案・決定過程に共同して参画する機会を確保することが求められております。人事院としましては、公務における女性の採用、登用の拡大、これが非常に重要な問題であるというふうに認識をいたしております。
 人事院は、昨年八月の人事院勧告の際の報告におきまして、女性の採用、登用の拡大というのを一つの大きな柱に掲げまして、今後これを積極的に進めていきたいということを鮮明に表明して、その施策に取り組んでいるところでございますけれども、具体的には、まず意欲と能力のある優秀な女性に公務に積極的に入っていただきたいということで、そのためのいろいろな活動をするということで、この三月には女性公務員による女子学生のための霞が関セミナーというようなことを実施しまして、公務員に現在在職している先輩たちが後輩の女性にいろいろな情報提供をするというような活動、あるいはいろんな大学に出向きまして女子学生を対象とした講演会でありますとか、そういった特別の募集活動を実施するといったようなことを実施しております。
 それからまた、各省庁に対しましては、採用試験の合格者から女性を積極的に採用してほしいということを精力的に働きかけているというようなことを実施しております。

○林紀子君 採用の部分でいろいろ工夫もしながら御努力もなさっているというお話は今お聞きしたわけですけれども、それじゃ、入った後ですね、女性の昇進、昇格ということですけれども、同学歴、同職種で、同じ年数働いても女性は昇格で明らかに差別されている、こういう現場の女性公務員の皆さんが行政措置要求を出して是正を求めているという状況もあるわけです。
 政府の女性の政策決定参画状況調べ、これを見ましても、行政職の課長クラスの女性はわずかに一・三%。これは民間企業の課長さんよりも割合が低くなっているということなんですね。等級別で見ますと、女性は男性と比べて、三級、四級と、こういう低いところに集中をしている。政府としてぜひこの是正を急いでいかなければいけないと思いますけれども、差別の是正の特別対策というのはどういうものを考えていらっしゃるのか。
 それからもう一つ。そのために、まずそれぞれの省庁での昇進、昇格の実態がどうなっているのか、これを明らかにする必要があると思いますが、情報開示ということが大変重要ですが、国民も基本法施行後の対応を注目して見ているわけで、この情報開示についてはどういうふうに取り組むのか。
 この二点、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(上村直子君) まず最初の採用後の女性の登用ということでございますけれども、今、先生がおっしゃいましたように、いわゆる管理職の在職率が女性の場合一・三%というふうに御指摘ございましたけれども、大変低いということは私どもも認識をしております。
 それで、今後登用の拡大ということを図っていかなくてはいけないというふうに思っておりますが、登用し、あるいは登用されてだんだん重い責任のある仕事についていくわけですから、まずそのためにはいろいろな幅広い職務経験をしていただく。それからまた、研修への積極的な参加といったことを各省庁においてやっていただきまして、そして女性職員を育てていっていただきたいというふうに思っております。
 人事院としましては、いろんな機会をとらえて、各省庁に対しましてそういう積極的に取り組むようにという働きかけを行っておりまして、先月もある都市で人事担当の方を集めて、セミナーといいますかシンポジウムといいますか、そういうことを開いたりいたしました。今後とも、そういったようなことをいろいろなところで積極的に行って、各省庁に対する働きかけをやっていきたいというふうに思っております。
 それから、第二点目の資料の件でございますけれども、人事院では、一般職の国家公務員の任用行政の基礎資料を得るためということで、採用でありますとか離職でありますとか、そういった任用の状況に関する調査を実施しております。今御指摘のございました級別の在職の状況でございますけれども、これは俸給表別、それから級別、それから男女別ということで集計をしておりまして、現在のところ、各省庁別というのをクロスさせた集計はしておりません。
 ただ、先ほど来出ておりますように、全体の集計結果を見ますと、管理職相当の、非常に管理職の在職率が低いということは十分認識しております。これはもうどこの省庁がどうとかいうことではなくて、全省庁に共通の認識を持って取り組んでいただかなければならない問題だと思いますし、また人事院も各省庁に対してひとしく働きかけを行っていきたいというふうに思っております。

○林紀子君 一・三%ぐらいですとどこも低いのだということは確かにそのとおりなんですけれども、しかし三級、四級というようなところに固まっているというところは、それぞれの省庁でいろいろあるかもしれないし、同じように固まっているかもしれないと。そういうことを考えましたら、やはり省庁別の資料というのがぜひ必要だと思うんです。具体的に私たちもそれを見ていかないと、具体的にどうするのかということはなかなか論議ができないと思うわけですね。
 これは会長の方にお願いしたいと思うんですけれども、これからあらゆる部門で女性の政策決定過程への参画というのを進めようというときに、一番基本的な資料というのをぜひ欲しいと思います。省庁別の等級別の男女在職者数というのを提出するようにということ、これから作業になるかもしれませんし、これは人事院がなさるのか、それとも総務庁の統計局の方がなさってくださるのがいいのか、その辺の担当はよくわかりませんけれども、ぜひそれを出していただきたいということを調査会としてもお願いをしてほしいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○会長(石井道子君) ただいまの林君の要求につきましては、後刻その取り扱いにつきまして理事会で協議したいと思います。

○林紀子君 よろしくお願いいたします。
 次に、文部省にお聞きしたいと思いますけれども、学校現場での政策決定過程への参画というのも非常に重要な問題だと思います。教育の中身については先ほどいろいろ御質問がありましたので、私はどういうふうに参画しているのかというところを中心にお聞きしたいと思うんですけれども、最近では、小学校は女性が校長になるということもだんだんふえてきているというお話は聞いておりますし、小学校では二割ぐらいは女性の校長先生がいるということですね。中学校では五%、高校になりますと三%、このくらいだということを聞いております。
 高等学校では女性の教員の比率も低いわけですけれども、こういう話を聞いているんですが、ある地方によっては、依然として高校の社会科の先生、教員は女性を採らないと。どうして社会科と、こういうふうになるのかもよくわからないんですけれども、女性を採らないと言われているところもあるという話を聞いております。
 また、具体的に、夫婦共働きで教員をやっている人、これもかなりいらっしゃるわけですけれども、最近も私実際お話を聞いたんですが、夫婦ともに五十代になって夫が教頭になったころ、妻の方が肩たたきを受けて、だんなさんを校長にしたかったらあなたは教員をやめてください、これは前時代的な話で、本当に現在もあるのかなと耳を疑うような話なんですが、実際にこういうことはあるんだということなんですが、こういう事例について文部省としてはどのように指導をなさっていくのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(矢野重典君) 公立学校の校長及び教頭、あるいは一般教員もそうでございますけれども、そうした教員の採用につきましては、これは任命権者でございます都道府県教育委員会の権限と責任において行われているところでございまして、文部省といたしましては、従来から性別にかかわらず指導力のある管理職としてふさわしい人材が登用されますように各都道府県教育委員会等を指導してきているところでございます。
 先ほど御指摘のようなケースについては、実態は私ども把握はいたしておりませんけれども、それぞれの任命権者におきましては、このような考え方に立って具体の管理職選考等を行っているというふうに私ども承知をいたしているところでございまして、管理職の登用者に占める女性の比率が年々増加してきているというところでございます。
 いずれにいたしましても、文部省といたしましては、今後とも、学校の管理職等にふさわしい人材が選任されるように指導をしてまいりたいと考えているところでございます。

○林紀子君 本当にこういう理不尽なやり方というのがまかり通らないような、そういうことをぜひ文部省としてもきちんと目配りをしていただきたいとお願いいたします。
 次に、最も女性の進出のおくれている大学の教員についてお聞きしたいと思います。
 大学の女性の教員、それから院生の学生の皆さんが書かれた「キャンパス性差別事情 ストップ・ザ・アカハラ」という本、私はこれを見たんですけれども、このアカハラというのはアカデミックハラスメントという言葉の略だそうです。この本を見ますと、大学における女性差別の実情というのが非常に生々しく書かれているわけですね。
 この中で、ある先生が女性教員の登用につきまして、学位のある女性に対してではなく、研究歴もない学位もない男性や、教室にとってずっと自分と比べたら貢献度の少ない後輩に先にポストが与えられた、こういう実態が書かれているわけですね。そして、その女性にはまず一年契約の医学部の助手に、次にはやはり一年契約の農学部の助手に採用された。こうした一年契約の助手には今でも女性が大変多いということを指摘されているわけですけれども、実際、女性教員の中で一番多い助手のポスト、助教授、教授になるのは非常に少ない。これをふやしていくために、どういうふうに文部省は対策をとるのかというのを聞かせてください。

○政府参考人(矢野重典君) お尋ねの大学の教員への女性の採用につきましては、平成六年の大学審議会答申、これは「教員採用の改善について」と題する答申でございますが、その答申におきまして、女性の教員への積極的な採用に配慮していく必要がある旨指摘されているところでございます。
 このような提言もございまして、全国の四年制大学の教授から助手までに占める女性の割合は近年少しずつ増加してきているものの、国立大学について見ますれば、平成十一年度現在、八・八%程度にとどまっている、こういう状況にございます。
 もとより、大学における教員人事は、それぞれの大学がその責任に基づき適正に行うべきものでございますけれども、先ほど申し上げました大学審議会答申の趣旨も踏まえ、また男女共同参画の視点に立って、それぞれの大学において教員への女性の採用を積極的に進めることを私どもとしても促してまいりたいと考えているところでございます。

○林紀子君 促すというのがどういう形で、言葉だけで済むのかどうかというのがなかなか難しいわけですけれども、それは次の質問ともちょっと関係がありますので、その辺もぜひお考えいただきたいと思うんです。
 最後に総理府にお聞きしたいわけですけれども、冒頭にも申し上げましたけれども、二〇〇〇年プランというのはナイロビ将来戦略勧告、政策決定過程への女性の参画を九五年までに三〇%という目標を掲げたわけですが、これは審議会だけに限定をしているわけではないんですよね。それなのに、日本はいつの間にかこのプランでは審議会だけに限定をされてしまっているわけなんですね。各分野でこれをどうやって、一九九五年までに三〇%といったらもう時期は過ぎちゃっているわけですけれども、しかし、審議会では目標を掲げましたら、先ほど来御回答がありますように、やはりその目標に向かって実際に数を伸ばしていっているわけですね。
 ですから、今のところ、審議会しかその数字の目標はありませんけれども、フランスではパリテという考え方があるんだという、男女半々という、そういう話も私たち参考人から伺っておりますけれども、目標や積極的な差別是正措置、ポジティブアクションというのが非常に有効な対策だと思いますけれども、政府として、その数値目標も含めまして、今後各分野で、特に公務員、地方公務員、大学の女性教員、そういうところできちんと目標を掲げるということを検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(佐藤正紀君) 先生御指摘のとおり、ナイロビの話では政策決定過程ということで特定の分野を示しているわけではございませんが、我が国の二〇〇〇年プランにおきましては、審議会につきまして数値目標を掲げたと。公務員の登用につきましては、採用をふやせということは書いてございますが、特に数値は示さなかった、こういう経緯がございます。
 男女共同参画社会基本法が通りまして、現在、法律に定められております基本計画を策定するということで、審議会において審議中でございますが、昨年三月十六日、公務員制度調査会から公務員制度改革の基本方向に関する答申というのも出まして、女性の登用につきましていろいろな提言も出ております。そういうものを含めまして、現在その計画を策定するに当たりましての基本的方向につきまして御審議いただいているところでございまして、そういう審議の経過を見ながらまた検討を進めてまいりたいと思っております。
 現在、特にT種の公務員について見てみますと、例えばT種試験合格者の比率が大体一四、五%というふうに聞いておりますが、各省で採用された数字も大体同じぐらいの比率で採用されているようでございますので、特に差別をして減らしているということはないかと思っておるのでございますが、先生御指摘の点も踏まえまして、基本計画の策定に当たりましてはいろいろな御審議の経過を参考として、また新しい計画をつくってまいりたいと考えております。

○林紀子君 ぜひその新しい政策ということもありまして、総理府といたしましては今まで調整機能ということでやっているわけですけれども、縦割りではなくて、本当に総理府の機能というのを十分に発揮していただきまして、これがきちんと実現をしていくような、そういうリーダーシップもとっていただきたいということもお願いをいたしまして、質問を終わります。

○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。大変お忙しいところありがとうございます。
 男女共同参画社会基本法にのっとりまして、今までの企画、それから実績等々に乗って新たな計画がつくられていくと思いますけれども、その中間的な問題としてこれからのお取り組みも含めてお伺いしたいと思って、きょうは五つの省に来ていただきました。私がいただいている時間は十五分でございますから、まことに少ないところで恐縮でございますけれども、粋のところのお話をお聞かせいただきたいというふうに思います。順序といたしましては、総理府、通産省、三番目に労働省、四番目に農水省、五番目に文部省はいかがかと思います。
 まず、総理府にお伺いいたしますのは、二〇〇年プランの課題もありますけれども、男女共同参画推進連携会議というのが平成八年に発足したということ、それから東アジア女性上級担当官会議が平成八年に開催されたということを前回のこの会議で伺いました。この問題は公務員だけじゃなくて民間ともやっていかなくちゃならないということで、前段の連携会議のお話がお伺いしとうございますし、それからやはり日本だけではなくて国際的視点、特に東アジアの問題としてお伺いしたいと思いますから、そこらあたりをお酌み取りくださいまして四分以内でお話しくださいますでしょうか。

○政府参考人(佐藤正紀君) 御質問のありました男女共同参画推進連携会議、通称えがりてネットワークと申しておりますが、これは男女共同参画社会づくりに向けまして広く各界各層との情報、意見交換、その他の必要な連携を図るということを目的といたしまして、内閣官房長官が依頼します有識者十三名、それから各界の団体を代表する個人六十七名を構成員としております。
 これは平成八年に発足をいたしておりますが、この会議はこれまで男女共同参画社会の形成にかかわります我が国の重要施策や国際会議等につきまして広範な国民各界各層との情報、意見交換を行ってきております。特に事業といたしましては、広報のパンフレットを作成するとか、あるいはイラスト、写真、標語の募集などを通じましての啓発活動等を行ってきております。
 男女共同参画社会の形成に当たりましては、国、地方公共団体、国民が相互に密接な連携を図る必要があるということでございますので、今後ともこの会議の活動を通じまして各般との連携を深めてまいりたいと思っております。
 開催状況につきましてちょっと申し上げますと、全体会議それから有識者を中心にいたします企画委員会というのを設けておりますが、これが大体各年二回程度ずつ開催しておりますほか、企画委員会の主催によりまして広範な国民各界各層との情報、意見交換のための会、聞く会と申しておりますが、これを毎年五回程度開催しておるところでございます。今後とも、これら鋭意努力して開いてまいりたいと考えております。
 また、東アジア女性問題国内本部機構上級担当官会議というものを毎年開いておりますが、これは我が国と地理的に関係の深い東アジア、東南アジア地域を対象といたしまして、男女をめぐります状況の改善について意見交換を行うことなどを目的として、平成八年から毎年開催をいたしております。
 内容といたしましては、東アジアの九カ国、ブルネイ、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、ベトナムの九カ国でございますが、ここから各国二名ずつの上級担当官、課長以上の方々でございますが、この方々を招聘いたしまして、東京におきまして国内本部機構相互の意見交換を目的とする会議を開催した後に地方自治体との共催事業を実施しておりまして、地方におけるシンポジウムへの参加でございますとか民間女性との交流等を行っているところでございます。この事業を通じまして東アジア、東南アジア地域との連携を深めていくことができたと考えております。
 我が国の男女共同参画社会の形成の促進につきましては、基本法にも書いてございますが、国際社会における取り組み等、密接な連携を持っていく必要があるということもございますので、今後ともその促進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○三重野栄子君 ありがとうございました。
 民間と公務員の交流の問題は、先ほどからもずっとあったんですけれども、民間の方が進んでいて公務員関係は少ないようでございますから、積極的にお互いに刺激し合って成果があるといいと思います。
 それから、韓国の女性と交流する人たちがいるんですけれども、韓国がすごく元気がよくて、いろいろ事業も進んでいるということを伺っておりますので、ぜひともこの両方の会議を進められて成果が上がりますようにお願いいたします。
 それでは、通産省の方にお伺いいたします。
 新しい企業を始めよう、それから男性にかかわって女性も起業家としていろいろ活動する人がふえてはきたんですけれども、これをさらに育成、強化するためにはどのような施策をおとりでしょうか、お伺いします。

○政務次官(茂木敏充君) 通産省といたしまして、昨年の臨時国会以来中小企業国会といった形でベンチャー、創業の支援に取り組んできております。そこの中で、三重野委員御指摘のとおり、女性の社会参画意識の高まりの中で、女性のさまざまな能力の一層の発揮に向けた環境整備を行っていくことは極めて重要な課題であると我々は考えております。
 このような観点から、具体的施策といたしましては、女性の起業家の方が新たに事業を開始しようとする場合には、中小企業金融公庫等によりまして一般よりも優遇された資金面での支援策、例えば利率を安くするとか担保を弾力的に考える等々を講じてきているところであります。
 この共生社会調査会に各省庁お招きいただきまして、通産省だけ政務次官が出てきている、意気込みを感じていただければと。また、委員御指摘のように、今後とも施策の充実に努めてまいりたいと考えております。

○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
 ほかのところは何かとダブっていてお出かけができないということで、それぞれのところで積極的においでくださるようにお願いをしたところでございます。政務次官、頑張ってください。
 女性起業家であると何か保証が余計要るとか、いろいろなことも聞きますけれども、そんなことはどうでしょうか。

○政務次官(茂木敏充君) そのようなことは全くございません。しかも、昨年の四月から女性起業家向けの資金援助を今御説明申し上げましたように実施をいたしておりますが、実際に国民金融公庫関連で千十六件、額にいたしまして五十八億円を超える融資等を既に実行いたしております。

○三重野栄子君 こういうこともできますよというのはどういうところで宣伝がされるのでしょうか。

○政務次官(茂木敏充君) これは、各地域にあります中小企業金融公庫や国民生活金融公庫の支店を通じまして御案内しているところであります。
 しかし、委員御指摘のとおり、今通産省で進めております施策にしても、なかなか十分個々の企業また女性起業家の皆さんに浸透できない、こういうこともございまして、特にことしの一月からは、深谷通産大臣の肝いりで全国的にキャンペーンをしていこう、こういう施策を通産省でもとっていますよ、こういうことを周知徹底できるように今努力をしているところであります。

○三重野栄子君 ありがとうございました。
 ぜひそういうことを積極的にやっていただきたいと思います。インターネットのホームページもありますし、よろしくお願いします。
 それから、では労働省にお願いいたします。
 女性労働者の特性と簡単に言ってしまいますけれども、それらの問題についてはどのように各企業の中でお広めになっているだろうかということを伺います。
 それと、それは女性だけじゃなくて男女の問題として考えるようにしてもらいたいし、また企業家の方もこれを男女の問題として考えてもらいたいんですけれども、そこらあたりの御指導についてもお広めいただきたいと思います。

○政府参考人(藤井龍子君) 私どもで男女雇用機会均等法という法律の施行をさせていただいておりますが、平成九年に改正いたしまして、昨年の四月一日からその改正均等法の施行を行ってございます。
 この男女雇用機会均等法というのは、女性が性別によって差別されない職場をつくるということを目的にしておるものでございますので、女性が女性であるがゆえにこういう職場あるいはこういう仕事でなければいけないというような使い方をされない、配置転換等されないという趣旨でございます。すなわち、男性女性を問わず、その方の個性といいますか個別の能力によって配置、採用、昇進、昇格をしていただくようにという指導をしてございます。
 これは昨年の四月一日から施行でございますので、全国全事業所、特に中小、小規模事業所がまだ徹底していない、必ずしも十分でないというところがございますので、そこを中心に、今、法の周知徹底を進めておるというところでございます。

○三重野栄子君 具体的にはどういうことか、一カ所でもいいんですけれども、その方法についてお伺いしたいんです。
 これは文部省ですが、文部省は家庭教育ノートとそれから家庭教育手帳ということで、幼い子、それから小学校に入る入らないということで、ジェンダーの教育のためにプリントをこうやってつくっておられますけれども、そういうことというとあれですが、できるだけ今おっしゃったようなことを広めるための方法というのはどんなのがあるでしょうか。

○政府参考人(藤井龍子君) 男女雇用機会均等法の周知徹底につきましては、事業主の方々を集めて集団説明会というのが最もオーソドックスな方法でございます。
 これまでの雇用慣行等によりまして、大変男女の間に大きな格差が生じているというところがございます。そういうところで一日も早く実質的な男女均等の状態を実現していただくことが必要であるということで、女性を積極的に採用あるいは管理職等に登用していただく、それを国が援助できるという規定を、差別をしないという規定にあわせまして新たに今度の改正均等法に設けてございますので、その積極的取り組み、ポジティブアクションと申しておりますが、これを事業主の方々にぜひ自主的に積極的に取り組んでいただければということで、例えばそのポジティブアクションをやるためのハンドブック、ガイドブックといいますか、そういうものを策定いたしまして、四十七都道府県ごとに企業のトップの方々に、大体業種別が多うございますが、集まっていただきまして、ポジティブアクションの必要性、それから具体的にそれぞれの企業でポジティブアクションを実施していただくための段取り、手続、こういうものにつきまして、ハンドブックを材料にしながらセミナーを開催させていただいている。
 また、トップの方々の理解が得られた後は、人事担当の方々あるいは中堅管理職の方々を対象にセミナーをそれぞれ四十七都道府県で実施しているという状況でございます。

○三重野栄子君 ありがとうございました。
 それで、もう時間が来たんですけれども、あと二つどうしてもちょっと聞きたいけれども、一言許してください。

○会長(石井道子君) まだあと二分ございます。

○三重野栄子君 農水省においでいただいておりますが、女性が積極的に参加をするための方策について一つ。それから、文部省で初等中等教育局長にお見えいただいておりますが、小学校までは聞いたんですけれども、中学校、高校はどういうふうにジェンダー教育をなさいますか。そこらあたりを一言ずつお願いします。

○政府参考人(大森昭彦君) いわゆる生活の場と生産の場が共通しております農林水産業、農山漁村におきましては共同参画の推進が非常に重要なわけでございまして、私ども、昨年の食料・農業・農村基本法の中におきましても、第二十六条で女性の参画の促進を明記したところでございます。そういう中で、昨年の共同参画基本法にも基づきまして私どもは共同参画推進指針というものをつくりまして、省全体のあらゆる補助事業等を通じましてその採択等の際に共同参画を推進するような形でその促進に努めておる、こんな状況でございます。
 具体的な成果等々もかなり上がってきておるわけでございますが、一層その方向で努力してまいりたいと思っております。

○政府参考人(御手洗康君) 簡単にお答えさせていただきたいと思います。
 学校教育におきましては、学習指導要領に基づきまして男女平等を推進するという教育を、小学校、中学校、高等学校、それぞれの段階で、例えば社会科、家庭科、保健体育などの各教科、さらには道徳や特別活動など、こういうふうにさまざまな学習場面で扱うことにしております。
 特に、御指摘ございました中学校におきましては、家族制度の中で両性の本質的な平等や男女の相互理解というようなことを例えば社会科の公民科の教科書、あるいは技術・家庭の家庭生活や社会生活の中で扱っておりますし、特に高等学校におきましては、職業生活や社会参加などにおきまして男女が対等な構成員として協力して社会に参加しさらには家庭を築くというようなことにつきまして、具体的に教科書の中でもページを割いて学習をするということになっているところでございます。また、ホームルームや学級活動などにおきましては、積極的に男女の役割などについて話し合いが行われて男女平等について具体的に考えさせ、また学校のさまざまな活動の中で協力的な活動を行うというような取り組みを行っているところでございます。
 今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
 延びまして済みません。

○堂本暁子君 質問に入ります前に、よく外国の方に日本では女性の国会議員の割合はどのぐらいですかというようなことを聞かれるんですが、そのときに、参議院は一七%、ただ、あと大変に少ないところが二つありますとよく言います。学術会議は二百何十人かいらっしゃる中で女性の委員は二人だけ、もう一つ大変少ないのが中央省庁で、百二十八人局長がいるうちに女性は二人しかいないということをしょっちゅう言って歩いているんですが、きょうはその二人の局長がここにいらして、藤井局長はしょっちゅうお目にかかっているんですが、上村局長はきょう初めてお目にかかりますけれども、大変うれしく思っています。百二十八人中二人しかいらっしゃらないお二人がきょういらっしゃるので、私も何かとてもいい気分になっているということをちょっと申し上げて、質問に入りたいと思います。
 大事な質問からさせていただきたいと思いますが、やはり国家公務員の問題、けさからもうずっと問題になっているんですけれども、参考人でいらした方がいろいろ比較なさいました。
 その比較が非常に説得力のある比較でございまして、アメリカの場合ですと、労働力人口全部の中で女性の占める割合というのは四五・五%、しかし国家公務員の中の女性は四八・三%。それから、もっと差があるのは、例えばフランスですと、全労働力人口の中で女性の占める割合が四四・一%、国家公務員の女性が五五・八%なんですね。一般の労働力人口よりも国家公務員の方がはるかに高い。それは、やはり国家公務員の方が採用が平等であるからということの理由でした。
 日本はどうかといいますと、十年のこの白書によりますと、労働力人口が五〇・一%、そして国家公務員の中に占める女性職員は一九・九%、極端に低いんですね。先進国の中では本当にこういうケースというのはほとんどないと思っています。やはり国家公務員がこれだけ少ないというのは大問題。ましてをや、さっき採用はほとんど平等だろうとおっしゃいましたけれども、その参考人の、これは十一年度の公務員白書からの数字ですけれども、女性の合格率が一・九%、それから男性の合格率は四・〇%です。しかし、採用者を比較しますと、男性の場合は四五・一%、女性の場合は三七・五%なんですね。ですから、やはり女性の方が差をつけられている。
 それから、きょう通産省にわざわざお越しいただいて大変恐縮ですが、そのときの指摘で、通産省の場合には女性を何人採用するということを最初から決めているという御指摘があったんですね。現在もそうなのかどうかは知りませんけれども、とにかくそのような指摘が参考人からありました。そういうことで、最初から女性を少なく採用するということであると、外国のように国家公務員が一般の就労の割合よりも上に行くということはあり得なくなってしまいます。どんなに優秀な女性が出てもあり得ない。ということで、やはりこれは大変問題だろうと思います。きょう同僚議員から、ぜひそのことについて詳しいことを知りたいということがありました。
 それから、先ほど総理府の方から、審議会等については二〇%を達成するようにということを言っているけれども、国家公務員については決めていないというふうにおっしゃいましたが、その一段下を読みますと、平成十二年度末までのできるだけ早い時期に達成するようにというところの下の段ですか、女性国家公務員についても、平等取り扱いの原則並びに成績主義の原則を踏まえ、男女共同参画社会を目指す中において、女性の一層の活用を図るということで、採用、登用、職域拡大並びに研修・訓練の機会、積極的に活用するよう能力の開発を積極的に促進すると書いてあります。
 これが、男女共同参画二〇〇〇年プランが策定されてからもうちょうどことしはその目標の年なわけですが、少なくとも、決めていないとはいうものの、ここにそのようにはっきりと明記されているにもかかわらず実態は今るる参考人から報告があったような内容になっている。
 この点については、修正というかきちっとした御報告をぜひ国会にいただきたいことと、それからことしじゅうに、あるいは今後どのような、国家公務員の採用の中できちっとこういうジェンダーバランスをとっていくのかということの方針を、これはどこがかかわっているかというと、全省庁というふうにここには書いてございます。これは全省庁の問題なので、上村局長にお願いしたいんですが、後で全部それを調べていただきたい。
 これから、るるいろんなところでばらばらに出ていますけれども、この二〇〇〇年プランには、ここに全部担当省庁というのが書いてございます。きょう全省庁いらしていただいているわけじゃないので、その全省庁について、今後これをきちっとどういうふうに、ここに努力をするということが、促進するということがうたってありますので、これは内閣総理大臣が本部長で、各閣僚全部が参加しているところでお決めになったことですから、そのことについてきちっと後で報告していただきたいということが一つです。
 それからもう一つは、会長にお願い申し上げたいと思いますけれども、けさ自民党の南野先生から、それから有馬先生からも同じような発言をいただきましたけれども、二〇〇〇年プランを、単にここまでできたということをここで発表していただくだけだと非常に細切れ的になってしまうので、私どもとしても、基本計画ができるまで、そしてこの六月に国連の女性特別総会が開かれますが、そこへの報告も踏まえて、国会としてもこれがどこまで進捗したかということをきちんと知りたいということで、あえてきょう私は、今人事院の方には国家公務員の採用について特にお願い申し上げますが、そのほかに、自治省、警察庁、通産省、総理府、総務庁、経済企画庁、それから大蔵省、文部省、そして農水省、労働省、厚生省とお越しいただいておりますのは、主にかかわっている省庁ということだけではないんですが、全省庁に関して、どこまで具体的に進めたか、そして検討したか、あるいは政策化したか、あるいは政策化する予定があるかということを、それぞれの項目について、時間はかけていただいて結構なんですけれども、この調査会に報告していただくようにぜひお願いをしたい。
 これは会長の方にお願いをして、会長の方の御指示に沿いたいと思いますけれども、それぞれ、全省庁のところもございますし、例えば雇用の分野だったら労働省、それから農水省のところも非常にたくさんございまして、農山漁村におけるパートナーシップの確立というのが農水省についてはたくさんのページが割いてあります。これ、それぞれ具体的にどのくらい実際にもう実行に移されているか、あるいは検討されているか、あるいは今後どのような具体的な法律あるいは政策として運用されるのか、それを御報告いただきたい。それから、多様なライフコースと子育て支援というようなところでは、厚生省、文部省、通産省、郵政省、労働省というふうに全部書いてあります。
 これを読んでいると一時間かかっても間に合わなくなりますので、この二〇〇〇年プランについての進捗状況、それを具体的に、そして項目別に当調査会に御報告いただきたい。会長、それは後で。

○会長(石井道子君) ただいまの堂本君の要求につきましては、後刻取り扱いを理事会で協議させていただきます。

○堂本暁子君 ありがとうございます。
 それでは、具体的な質問に入らせていただきたいと思いますが、まず大蔵省にこの二〇〇〇年プランについてのことで伺いたいと思います。
 この二〇〇〇年プランで大蔵省についての一番基本的な問題というのは税制の問題です。税制、社会保障制度、その他ずっと飛ばしますが、ここのところで、個人のライフスタイルの選択に対する中立性等の観点から総合的に検討するということが書かれております。
 男女共同参画の白書、三年に出ていますけれども、各省庁からそれぞれ実行した政策については白書に報告されているんですけれども、大蔵省からの報告は載っていません。ここでぜひ御報告を伺いたいと存じます。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。
 御案内のように、我が国の個人所得課税におきましては、個人単位の課税を基本としつつ、世帯構成等に応じて配偶者控除あるいは扶養控除などのいわゆる基礎的な人的控除を適用することによりまして税負担の配慮をしているところでございます。
 例えば、専業主婦の世帯あるいはパート主婦世帯のように、所得がないあるいは所得が少ない配偶者がある世帯につきましては、配偶者の所得税を計算する際に、配偶者控除あるいは配偶者特別控除を適用することによりまして税制上相応の配慮を行っている。本人の所得税を計算する際に、配偶者控除、配偶者特別控除を適用する、こういう配慮を行っているわけでございます。
 他方、共働き世帯あるいは独身世帯の女性につきましては、みずからが夫、親などから独立した納税者としてその収入に応じた課税を行うこととされております。これは何も女性だけじゃありません、男性も同じことでございます。
 ただ、先生御指摘のように、近年におきます女性の社会進出の拡大を背景に、こういった配偶者控除などの税制が女性の就業に対して中立性を損なっているのではないかとの御指摘がなされております。その一方で、共働き世帯のいわゆる専業主婦につきましても、所得を稼得する仕事に直接は従事していないけれども、いわゆる内助の功に対して何らかのしんしゃくを加えることが妥当ではないかといった意見もあるわけでございます。
 所得課税の課税単位を個人とするのか、あるいは世帯とするのか、家庭におきます配偶者の貢献に対する評価、あるいは片働き世帯と共働き世帯との税負担をどういうふうにするのか、こういった問題、さらには女性の社会進出との関係等について、個人所得課税の基本問題としてこれまで長年議論してきているところでございますし、世の中でも議論されているところでございます。
 いずれにしても、御指摘のように、こういった控除等を含めたいろんな控除あるいは課税単位の問題につきましては、課税最低限、課税方式等の諸課題とあわせまして将来の抜本的な見直しを行う際の大きな検討課題の一つと考えているところでございまして、現在、政府税制調査会に基本問題小委員会が設置されておりまして、今申し上げましたような点について検討が行われているところでございます。

○堂本暁子君 ここにございますのは、十二年度中にきちっとそれだけのことをやれということが書いてあるわけですけれども、もうここで御報告いただく必要はございませんが、もし税制調査会の中でそういうことがもう検討されているのであればそれも御報告いただきたいと思いますけれども、なぜ大蔵省は、今までその内容について検討しているのであれば、きちっと三回も報告すべきことが出ているにもかかわらずこの項目だけについては一切報告されていないということは非常に理解に苦しむので、このことは後日御報告をきちっといただきたい。
 今後の抜本的ではなくて、私ども女性の問題としては、税制の問題ゆえに年金の問題その他すべてがそこから派生してくるわけでして、税制が変わらないからということで年金の方の問題も同じようなことが起こってくるわけなので、今後の抜本的な問題ではなくて、これはあくまでも二〇〇〇年までというふうに時間がついているにもかかわらず、私は、大蔵省は内閣総理大臣が決めたにもかかわらずこの二〇〇〇年プランを非常に軽視してこられたのではないかと申し上げざるを得ないような気がいたします。
 次に、総務庁と経企庁に伺わせていただきたいんですが、ジェンダーの視点に立った統計調査というのが少ないように思います。例えば、女性の失業率とかそれから不完全雇用、特にパートタイムが非常に多い。そういった実態がどれだけ失業統計に反映されているのかということが、私どもにはいつも大体賃金格差は男性に対して女性は六三・一%であると言われていながら、いざパートを加えると大体五〇%ぐらいという言い方をされてしまう。これは、そういった統計のとり方に問題があるのではないかと思います。これも、これを書いていただくときにそのことをきちっとお書きいただきたいというふうに思います。
 それから、あと労働省にお願いしたいのは、パート労働者、六七%は女性と言われていますが、そういったパートの方たちの調査を見ますと、正規の仕事につけない、つきたいのだけれどもつけないというような、非常にそういう訴えが女性の側から強く出ていますので、正社員になるためにどういうような制度にしていったらいいのかということがるるこのプランの中に私は盛り込まれていると思うので、そこに対しての労働省の今までの御検討、それから実際に政策化なさったこと、今後どのような形でその労働条件の格差を狭めていく御努力をなさるのかをぜひ伺いたいというふうに思います。
 農水省、いらしていただきましたけれども、単に農業協同組合とかそれから農業委員の数がふえればいいという問題ではないというふうに思います。むしろ、農村での労働のあり方、そして本当にそこで十分に成人女性が自己発揚できるような制度に今農村地域ではなっていない、そういう訴えが大変強く出ているところです。
 特に、農水省については、女性の経済的な地位の向上とか、それからここに技術・経営管理能力の向上とか、それから快適に働くための条件整備、そしてあと住みやすさというようなこともあります。
 ちょうど時間が来たという紙が来たので、これで終わらせていただくことにいたしますけれども、あと、唯一せっかく厚生政務次官お越しくださいましたが、実は、大蔵省と同じようにやはり二〇〇〇年プランで社会保障についても個別な形にするということがここに書かれているわけですが、国民福祉委員会でもるる御答弁があるように、税制の方の関係でということが言われています。やはり、これは税制とそれから社会保障と両方の制度をぜひともお考えいただきたい。
 文部省も、ここに書いてあるプランの中でのぜひ御検討をよろしくお願いいたします。学術会議も女性は二人しかいないので、そこのところももう少し、女性がせめて二〇%は学術会議に入るように文部省から御指導いただけたらうれしいと思います。
 どうもありがとうございました。

○会長(石井道子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時二十七分散会