147-参-予算委員会-5号 平成12年03月06日

平成十二年三月六日(月曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月三日
    辞任         補欠選任
     岩井 國臣君     佐藤 昭郎君
     岩瀬 良三君     世耕 弘成君
     谷林 正昭君     櫻井  充君
     益田 洋介君     魚住裕一郎君
     島袋 宗康君     佐藤 道夫君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     富樫 練三君     小池  晃君
     奥村 展三君     堂本 暁子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         倉田 寛之君
    理 事
                竹山  裕君
                長谷川道郎君
                保坂 三蔵君
                溝手 顕正君
                伊藤 基隆君
                峰崎 直樹君
                荒木 清寛君
                笠井  亮君
                照屋 寛徳君
    委 員
                市川 一朗君
                大野つや子君
                釜本 邦茂君
                岸  宏一君
                北岡 秀二君
                久野 恒一君
                国井 正幸君
                小山 孝雄君
                鴻池 祥肇君
                佐藤 昭郎君
                斉藤 滋宣君
                世耕 弘成君
                谷川 秀善君
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                木俣 佳丈君
                久保  亘君
                櫻井  充君
                竹村 泰子君
                直嶋 正行君
                堀  利和君
                本田 良一君
                魚住裕一郎君
                松 あきら君
                山本  保君
                小池  晃君
                須藤美也子君
                宮本 岳志君
                清水 澄子君
                三重野栄子君
                入澤  肇君
                高橋 令則君
                松岡滿壽男君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       法務大臣     臼井日出男君
       外務大臣     河野 洋平君
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       文部大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       中曽根弘文君
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
       農林水産大臣   玉沢徳一郎君
       通商産業大臣   深谷 隆司君
       運輸大臣
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)      二階 俊博君
       郵政大臣     八代 英太君
       労働大臣     牧野 隆守君
       建設大臣
       国務大臣
       (国土庁長官)  中山 正暉君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    保利 耕輔君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       青木 幹雄君
       国務大臣
       (金融再生委員
       会委員長)    谷垣 禎一君
       国務大臣
       (総務庁長官)  続  訓弘君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  瓦   力君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  清水嘉与子君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  松谷蒼一郎君
   政務次官
       外務政務次官   山本 一太君
       大蔵政務次官   林  芳正君
       文部政務次官   河村 建夫君
       農林水産政務次
       官        金田 勝年君
       運輸政務次官   中馬 弘毅君
       郵政政務次官   小坂 憲次君
       建設政務次官   加藤 卓二君
       建設政務次官   岸田 文雄君
       自治政務次官   橘 康太郎君
       総務政務次官   持永 和見君
       防衛政務次官   依田 智治君
       経済企画政務次
       官        小池百合子君
       科学技術政務次
       官        斉藤 鉄夫君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宍戸  洋君
   政府参考人
       警察庁長官    田中 節夫君
       厚生省健康政策
       局長       伊藤 雅治君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
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  本日の会議に付した案件
○平成十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)
○平成十二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
 議院送付)

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○委員長(倉田寛之君) 次に、三重野栄子君の質疑を行います。三重野栄子君。

○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。
 きょうはちょっと変な声で申しわけありませんけれども、当面する農政の課題についてまずお尋ねをいたします。
 遺伝子組みかえ食品の課題でございますが、国民は遺伝子組みかえ食品について高い関心を持っています。一九九九年、昨年ですが六月、コーデックス委員会でバイオテクノロジー特別部会の設置を我が国が提案し、代表国になりました。同じ六月、WTOで「次期交渉に向けての日本の提案(農業)」の中で、遺伝子組みかえ食品に関する現状分析、問題点の洗い出しなどを多角的に検討するための適切な場を設けるよう提案いたしまして、作業部会が決まっています。
 そのような積極的な活動の中で、ことしの一月にカナダのモントリオールで遺伝子組みかえ作物の国際取引を規制するバイオ安全議定書が採択され、遺伝子組みかえ農産物の輸入を拒否できる国際ルールができました。大変御活躍でございますが、政府はこの問題につきましてどのように評価しておられるのですか、農水大臣にお尋ねいたします。

○国務大臣(玉沢徳一郎君) まず、遺伝子組みかえ食品に対しましては、遺伝子組みかえ農産物を原料とするものであって、加工工程後も組みかえられたDNAやそれによって生じたたんぱく質が存在するものを義務表示とする、こういうことを一つ決定いたしました。組みかえられたDNAやそれによって生じたたんぱく質が加工工程で除去、分解され、食品中に存在しないものは義務表示の必要はないものとしておるところでございます。
 WTOにつきましては、我が国から遺伝子組みかえ食品等についての安全性等について討議することを提案いたしまして、作業部会も設けられたわけでございますけれども、残念ながらシアトルの閣僚会議等におきましては時間が十分ではございませんで、検討するあるいは議論する機会がなかったわけでございまして、これは引き続き議論をする、こういうことになっておるところでございます。

○三重野栄子君 シアトルの会議については大変多くの皆さんの注目を集めておりますが、これからの御検討をよろしくお願いします。
 次に、EUは二〇〇二年までに新たに安全規則を強化する方針と伝えられて、それまでは遺伝子組みかえ農産物は認めないと言っています。我が国は食糧輸入大国でございまして、健康と環境を守るための新たな安全評価の国際基準が策定されるまでは遺伝子組みかえ農産物の生産というのは凍結しよう、国際社会の場でこういう提案をすべきだと思いますが、これにつきまして農水大臣並びに環境庁長官の御見解をお尋ねいたします。

○国務大臣(玉沢徳一郎君) 遺伝子組みかえ農産物等について、我が国としましては、遺伝子組みかえ技術の持つ大きな可能性への正当な評価をまずしなければならない。また、環境や健康等に与える影響についての最新の科学的知見に基づく十分な評価の必要性、さらに消費者の関心に対して的確にこたえる必要性の三つの点に考慮が払われることが重要と考えておるわけであります。
 そして、我が国は、大豆は四百万トン、トウモロコシはかなりのトン数を入れておるわけでございますが、その中でこの遺伝子組みかえ食品の表示に関しましてマニュアルをつくりまして、生産から流通、また入れるまで精査をいたしまして、そしてこの表示を的確にする、こういうことを決めたばかりでございます。

○三重野栄子君 遺伝子組みかえ農産物を凍結しようという提案をなさいますかということを伺いました。そこが抜けておりますのでお願いします。

○国務大臣(玉沢徳一郎君) 遺伝子組みかえ農産物全部が悪いというわけではございませんで、これは科学的に証明されて安全が確保されたものは評価する、そういう観点をとっておるわけでございます。
 例えば、WTO協定にもいろいろな点で関連してきているところがございます、食品の安全とかいろいろな面で。そういうところについて今後議論するという態度をとっておるわけでございまして、WTOにおきまして我が国が提案した趣旨は、まずいろんな観点から議論をしまして今後万全を期していかなきゃいかぬ、こういう趣旨でございます。

○国務大臣(清水嘉与子君) 遺伝子組みかえ農作物につきましては、国の内外におきましてかなり開発が進んでいるわけでございます。そしてまた、実用化されているわけでございまして、それに対しましては、先生御指摘のように、生態系に対しまして何か悪い影響があるんじゃないだろうかという御心配をする向きもあるということをよく存じております。
 例えば、遺伝子組みかえ農作物が雑草化してしまうのじゃないかとか、あるいは導入した遺伝子が周辺の植物にうつってしまうのじゃないかとか、いろんな御心配があることはよく存じております。
 そういった点から、環境庁といたしましては、やはり生態系への影響防止という意味で、環境保全の確保が重要であるというふうに認識しているところでございます。
 国内では、遺伝子組みかえ農作物の安全性を確保するために農林水産省が指針を策定して、そして審査を行っているところでございますけれども、環境庁といたしましても、この審査に当たりまして、必要に応じて環境保全上の観点から意見を申し述べるという体制になっているところでございます。
 また、遺伝子組みかえ農作物によります環境への影響評価に関する知見がまだ足りのうございまして、今、私どもといたしましても、十二年度予算におきましても、具体的に遺伝子組みかえ生物等の利用に関する安全性評価手法確立調査といった経費をちょうだいいたしまして検討しているところでございますけれども、今後とも環境への影響、これを未然に防止できますように適切に対処してまいりたいというふうに思っているところでございます。

○三重野栄子君 大変詳しく御助言いただきまして、ありがとうございました。積極的に農水大臣への御協力をお願い申し上げます。
 安全規則がどうなのかということが一番大事でございまして、私は何も食べたくないと言っているわけでもないわけですから、その点、どうぞ留意をいただきまして、安全なものを国民に出されるようにお願い申し上げます。
 次に、林業問題についてお尋ねをいたします。
 我が国の森林、林業、木材産業を見ますと、木材価格低迷や、林業労働力の減少と高齢化などによりまして危機的な状況を迎えています。国有林については昨年改革法が成立しまして、今後の管理経営の方針を公益的機能の維持増進を重視したものに転換しましたけれども、新たな政策提言がございましたらお知らせいただきますよう、お願いします。

○国務大臣(玉沢徳一郎君) まず、我が国の林業の現状でございますが、昭和三十七年に木材を完全自由化したわけでございまして、それ以来外材が流入してまいりまして、なかなか競争力がございません。
 戦後の我が国の経済復興のためにかなりの木材を使いまして、その後、人工林としまして一千万町歩が植林をされました。そういう中でございますから、木はまだ若いわけでございます。競争力がないわけです。そういう観点の中で、国産材の使用率は二〇%というような状況でございまして、大変厳しい状況が続いておるわけでございます。
 したがいまして、こういう中におきまして、今後林業がなりわいとしてやっていけるかどうかというところに視点を置きまして、できるだけ森林の多様な機能を持続的に発揮することを主体としたことに政策の転換を図りながら林業も発展をすることができるような形ができないか、そういう考えのもとに基本法の制定に向けまして今検討をしておるところでございます。

○三重野栄子君 今、日本の森林は若いので云々ございましたが、二、三日前のNHKでは、間伐した材木を使って木材の家を建てようとか、あるいはおはしをつくろうとかというのがボランティアとか地域によって活動が始まっているようでございます。
 森林・林業に対する国民の要請は、木材生産、国土の保全、水資源の涵養に加えまして、保健、文化、教育的利用、地球温暖化防止など多様化、高度化をしています。森林の公益的機能をより維持増進するためには、国の責任において、国有林七百六十五万ヘクタール、民有林千七百三十万ヘクタールが一体となって森林整備を推進する体制が何より重要であると考えます。今、大臣、御説明いただきましたけれども、もう少しお力添えいただきたい気がいたします。
 農水省は、現行の流域管理システムを積極的に推進する中で、国の責任において、木材に自給率の設定、森林整備計画の具体化、国産材の需要拡大対策を初め林業労働力確保対策など総合的施策を推進するために、私は新たな森林・林業基本法を制定すべきだと考えます。
 今、農林大臣が基本法とおっしゃいましたけれども、それと合致するのかどうかよくわかりませんが、そこらあたりの御説明をお願い申し上げます。

○国務大臣(玉沢徳一郎君) 委員のおっしゃられるとおり非常に極めて重要な課題である、こう考えております。
 国有林とか民有林を問わず、今、日本の森林資源を守っていくためには何が一番必要であるかといいますと、除間伐をしなければならない。本来ならば、国有林におきましても民有林におきましても、事業主体として林業をなりわいとする方々が育林から除間伐をしまして、そして伐採するまで一つの連関があったわけでございますが、これが今途絶えているというところが問題でございますので、国が中心となりましてまずしっかり間伐をやろう、こういうことになりまして、本年の予算の中におきましては、国の予算としまして、間伐の対象面積を二十万町歩であったものを三十万町歩にしまして、緊急間伐五カ年計画で約百五十万町歩をこの五年間に整備しよう、こういう計画でございます。
 それから、さらに間伐した木材をどのぐらい利用率があるかと申しますと、約四三%から四五%と見込んでおるわけでございますけれども、半分以上が山に捨てられているという状況で放置されている。これはゆゆしきことでございますので、委員がおっしゃられたように、今国産材をいかに利用していくか、こういう観点からいろいろなことをやっております。
 例えば、予算におきましては、二十四億確保いたしたところでございますが、林業構造改善事業による間伐材の集成材加工施設、集出荷施設等の加工流通施設の整備、さらに関係省庁との連携強化を通じた河川事業、農業農村整備事業等、公共事業や畜産等の地域産業への利用促進、建築材、生活用品、机、いす等への間伐材の利用促進を図るということで努力をする、こういう方向を出して政策も具体的に進めておるわけでございますが、基本法も、できれば国が主体となってこうした政策を進めていくということを主眼としてまいりたいと考えております。

○三重野栄子君 今、いろいろ政策は伺いましたが、その中で働く人たちはどういうふうになっていくでしょうか。

○国務大臣(玉沢徳一郎君) 二十万町歩から三十万町歩に対象面積を進める、こう申し上げたわけでございますが、そのために約百億以上の予算をふやしておるわけでございます。
 これに地方自治体も協力をする、また事業主体も資金を出してやる、こういう形になっておるわけでございますので、約百億の国の予算で山村で働く担い手は五千三百人を大体雇用できる、こういうような形になるかと思います。

○三重野栄子君 今五千三百人とおっしゃいましたが、もっともっと拡大していただきたいんですが、それはここで討論にはなりませんので。
 もう一つ、さらに大臣に対してよりも、今度は環境庁長官に間伐材の利用につきまして、私は自然エネルギーの議員連盟の一員でございますけれども、間伐材を燃焼してエネルギーをつくろうという話も出ているんですけれども、それにこだわらず、環境庁長官としての森林・林業基本法についての御見解をお伺いします。

○国務大臣(清水嘉与子君) 我が国の亜熱帯から亜寒帯に及びます多様な森林、国土の六七%を占めるということでございまして、非常に我が国の豊かな自然環境の最も重要な構成要素だというふうに考えております。
 これらの森林、生物多様性の保全あるいは人と自然との豊かな触れ合いの観点から見て非常に大きな役割を果たしているわけでございます。また、森林というのは地球温暖化の原因となります二酸化炭素の吸収源でもありますことから、森林の保護あるいは整備、こういったものは地球温暖化対策の観点からも進めなければならないというふうに理解しているところでございます。
 また、今いろいろ先生、間伐材の利用とおっしゃいましたけれども、確かにそういったものにつきましても、環境保全の点からもまた十分考えられる問題が出てきているのではないかというふうに思っております。
 また、明年は環境庁が環境省になるわけでございますけれども、そのときにも、森林の保全について共管するという役割もございますので、より積極的に役割を果たしていきたいというふうに考えております。

○三重野栄子君 ありがとうございました。
 建設大臣に、先ほど農水大臣からも建設の問題が出ておりましたけれども、五千三百人をオーバーするようなもっといろいろなものができないかと思いますけれども、それも含めてのお話をお願いいたします。

○国務大臣(中山正暉君) 大変貴重なお話だと思います。このごろは外材が六四%でございまして、材木は山からとれるんじゃなしに海からとれるような時代になってしまいまして、これは地域材、日本の国内生産の地域材をいかに活用していくかというのは大変重要なことで、国産材の有効利用を通じた地球環境の保護や国土保全の推進を図るために、また木造住宅に対する国民の強いニーズに対応するためには、国産材を利用した良質な木造住宅の供給を促進したい、かように念願をいたしております。
 建設省といたしましても、木造住宅供給総合対策事業の活用によりまして、林野庁と連携による地域材を活用した木造住宅団地、フォレストタウンというものを整備してまいりたい。
 それから、地域の実情を踏まえた木造技術の開発、私は、ちょっとどなたか先ほども御答弁申し上げましたが、江戸城の復元なんというのを言っておりまして、江戸城は六十メートルございまして、大木造建築物、こういう技術を日本にも残さなきゃいけない。どういう構造でやるかといいましたら、集成材を使いまして、そして新しい化粧材、それから被覆材、構造部材、木造材、こういう中に鉄骨を入れて、日本は地震国でございますから、スイスとか外国へ行きますと五階建ての木造のきれいなホテルとか、それからまた小学校なんかでも私は木造でつくるべきじゃないかと思う。
 そのためには、建築基準法、木造は三階までしかできませんから、その突破口を私はつくりたいというのが、江戸城という六十メートルの城を復元するような、それによって木材業界の活性化、その象徴にしたいというのが、私は十三年前、昭和天皇様の御在位六十周年のときにアイデアを実は出したわけでございますが、そういうことをやりながら私は大いに木造住宅、木造建造物というのを復元する。
 この間、これは建設省の技術者の方から聞いたのでございますが、ネズミの実験でございますが、金属のものに入れるともう本当に早く死ぬ、ちょっと今数字を忘れたんですが。いわゆるコンクリートなんかに入れますともう少し長生きするんですが、木材の中で育てますと大変長生きをするということでございます、やっぱり木材というのは息をしているから。
 特に、余計なことをまた申しますが、万葉集、万の葉っぱの集といって千二百年前に日本は四千五百の歌を、その中に花と緑、これは大阪の万博をやったものですからちょっと勉強したんですが、「いにしへの人の植ゑけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし」という歌があります。千二百年前に、千二百年以前の人が植えてくれた木にかすみがたなびく春が来たという。
 それからまた、日本書紀とか古事記にも、スサノオノミコトが日本を平定したときに胸毛を抜いたら杉の木になった、それからすね毛を抜いたらカエデになったとかいう、いかに日本の政治を統一した人が日本じゅうに木や森を育成したかということが神話の中、神話、四万数千年前の古墳が問題になるならば、私はそういう神話の世界というのも本当はそういう為政者の心意気を言っているんだと思いますから、先生の心意気にも私は同じものを感じますので、敬意を表して答弁にいたします。

○三重野栄子君 ありがとうございました。新たな森林・林業基本法が、もうすばらしいものができ上がるような感じを抱きました。
 農水大臣、それから林野庁長官も含めまして、環境庁長官、建設大臣、皆様方のお力をいただきまして森林・林業基本法が速やかに制定されるように御尽力をお願いいたします。間伐材は、植林をしても間伐をしなければ立派な森林にならないわけでして、今は間伐がされないことに大変困っている状況ですから、ぜひとも御検討をよろしくお願いします。
 続きまして、障害者の雇用促進につきまして、とりわけ教育関係の雇用でございますが、お伺いをいたします。
 ことしは大変経済状況が厳しいということで、高卒、大卒の卒業生の問題がありますけれども、障害を持っている子供たちはさらに困難であろうということは想像にかたくありません。雇用率の達成状況、達成のための対策等々につきまして労働大臣の御所見をお願いします。

○国務大臣(牧野隆守君) 障害者の雇用につきましては私どもも非常に力を入れさせていただいておりまして、なるべく差別がないように、また雇い入れていただくところでも十二分の配慮をしていただけるように、こういう形で努力をいたしております。
 法律に基づきまして、それぞれ一定規模の会社においてはこれだけの障害者をぜひ雇っていただきたいと率を決めてお願いをいたしているところでありますが、まだ民間企業では私どもがお願いできるような状況になっておりません。
 そこで、障害者の皆さんをお雇いいただけるように具体的ないろんな方法をとっておるわけですが、障害者を基準どおりお雇いになることのできない企業からはお一人当たり大体五万円ぐらいのお金を出していただきまして、それを具体的に障害者を雇っていただいている企業の福祉関係も含めて諸般の措置を講じさせていただいているところでございます。

○三重野栄子君 民間はなかなか難しいと思いますけれども、公的機関は一応の規定が達成されているようですが、そのうち教育的機関はもう全くというほどほど遠いものでございます。
 私の調べたところによりますと、九九年の労働省調査雇用率では教育関係は一・一八%ということでございますけれども、これにつきまして総務庁の行政監察によりまして勧告を受けたということも聞いておりますけれども、その後どのような対策をおとりになっておるのか、文部大臣にお尋ねいたします。

○国務大臣(中曽根弘文君) 労働省の発表によりますと、都道府県教育委員会における障害者雇用率は平成十一年六月一日現在で一・一八%でありまして、法定雇用率の二・〇%をかなり下回っております。
 これは大変残念なことでございますけれども、都道府県教育委員会が雇用する職員の大部分が教員である一方、教員免許状を有する障害者の方の数が極めて少なく、計画的に一定数の障害者を採用することが困難であることも一因ではないかと考えられます。
 文部省では、これまで教員採用選考におきまして、単に障害があることのみをもって不合理な取り扱いがなされることのないよう選考方法上の工夫など適切な配慮を求めるなど、各教育委員会における障害者雇用を促進する観点に立って各教育委員会を指導してきたところでございます。
 なお、法定雇用率を達成していない教育委員会におきましては、労働省の指導によりまして、平成十二年一月一日から三年間の採用計画を作成し、これに基づいて障害者の積極的な採用に努めているところと承知いたしております。
 各教育委員会におきましては、これまでも障害者の積極的な雇用について努力をしてきているところでございますけれども、文部省といたしましても、引き続きましてあらゆる機会を通じて各教育委員会における積極的な取り組みを促進してまいりたいと思っております。

○三重野栄子君 ありがとうございました。
 ただいま文部大臣が教員の免許状を持っている人が少ないというお話でございましたが、ことし政令が出まして、四月一日からは校長先生は免許状を持たないでも校長先生になれるという政令が出ております。そういうところから考えますと、教師といってもすべての教育の課題をやれというわけではありませんから、専門的な教育のテーマだって教師になる、そういう採用をしてもいいのではないかということを私は思います。
 それから、郵政大臣が車いすとともにここで御活躍でございますけれども、私が住んでおります市内でも教育長はつえをつきながら教育長の任務を果たしておられます。そういうことをいたしますと、これからの社会では普通学校に障害児が在学する、ともに学びともに生活する、それと同時に障害を持った、生まれながらに持った人もいるかもわからない、途中で持つようになったかもわからない、そういう人々も教職員として働く、そういう状況があれば、もっとお互いに助け合う豊かな二十一世紀になるのではないかと思います。
 先ほど、障害者を雇えない企業は五万円出せということでございましたけれども、やはり都道府県教育委員会で、今指導の問題がございましたけれども、予算措置などにつきましても積極的な具体的施策が必要ではないかと思いますが、もう一度文部大臣のこれからに向けての積極的な御見解をお願いいたします。

○国務大臣(中曽根弘文君) 私どもも、できるだけ障害者の方々も教壇に立っていただけるようにと、そういうふうな気持ちで努力をいたしておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、免許状取得者総数が十三万四千人おられるわけですが、そのうち障害者の方の免許状取得者数は百人ということでございまして、私どもも努力いたしますが、大変に取得者が少ないということでございます。
 重ねての御答弁になりますけれども、引き続いてあらゆる機会を通じて教育委員会等に積極的な取り組みを促進するように指導していきたい、そういうふうに思っております。

○三重野栄子君 ぜひとも障害をお持ちの方々、大人でも子供でも活躍できるようなことを文部大臣としても御努力をお願い申し上げます。
 最後の課題として、ジェンダーフリー教育の推進についてお尋ねをいたします。
 文部省の二〇〇〇年度教育予算の中で、生涯にわたる男女共同参画学習のための新規事業としてゼロ歳からのジェンダー教育推進事業を盛り込み、幼児期から個性を大事にし、理由のない男女の固定的な役割分担にとらわれない、男女共同参画の視点に立った教育を推進するとされたことを大変評価いたします。
 その具体的政策はどのようなものでしょうか、お尋ねいたします。

○国務大臣(中曽根弘文君) ジェンダーフリーの世の中にしていかなければならないと、基本的には私もそういうふうに思っているところでございます。
 平成十二年度から新たに実施する予定の零歳からのジェンダー教育推進事業におきましては、幼児期から個性を大切にし、理由のない男女の固定的役割分担意識にとらわれない、男女共同参画の視点に立った教育を家庭及び地域で推進することといたしております。このようなジェンダーにとらわれない教育は、幼児期からのしつけなど家庭における教育に負う部分が大変大きいことを踏まえまして、年少の子供を持つ親を対象にした学習プログラムの開発を行うほか、地域でモデル的に学習事業の実践研究を行うことといたしております。
 この事業は年少の子供に対するジェンダーにとらわれない教育のあり方を実践研究するものでありまして、中学校、高等学校における教育のあり方まで調査研究することを主眼とする事業ではございませんけれども、実施に当たりましては、特に年齢の上限を設けるということは考えておらず、委嘱を行う研究グループや研究地域の希望に即して弾力的に対応していきたい、そういうふうに思っております。

○三重野栄子君 今のお答えでありがとうございました。小さい子供を対象にしたという問題で、中学生や高校生についてはこれからのようでございますけれども。
 これは文部省がおつくりになりました「家庭教育ノート」です。「家庭教育手帳」、「家庭教育ノート」、これは幼児、これは小学校に入るか入らないかということで、中身は大変細かく、十分であるように私も思います。けれども、上の子はブルーで男の子、下の子はピンクで女の子なんです。そこにもう男の子と女の子の感性が、もう習慣的になっていくという思いも、これは余り私の思い過ぎでしょうか。
 そういう問題も含めますと、このジェンダーフリー教育というのは、高校生になったらばまた考えるということでございますけれども、具体的な問題は今お話がございませんでしたけれども、いつごろにするか、目標はございますでしょうか。

○国務大臣(中曽根弘文君) 委員お話しの、御説明いただきました「家庭教育手帳」、「家庭教育ノート」でございますが、確かに御指摘のとおり、ゼロ歳から六歳までの乳幼児を持つ親に対してこの「家庭教育手帳」を配っております。これは女の子の絵が書いてありますがピンクの色、それから男の子の絵の方は確かにブルーでございますが、私どもは、これが互いに似たような形態、サイズ、厚さでありますから、見間違えることのないように表紙の色を変えたわけでありまして、手帳についてはピンク、ノートについては青色を用いました。
 ピンクについては女性、青色は男性という固定的な区別をするのはおかしいのではないかということでございますけれども、私ども、まず色を分けたのはそういうことでありますが、そういうような御指摘もあろうかと思いまして、中の絵の中では、男の子をピンクの服にして、女の子をブルーの服、女の子はブルーとか黄色でありまして、男の子はピンクとかオレンジとか、こういうふうにやらせていただいておるところでございます。
 このジェンダーフリーといいますか、これは大変大事なことでありまして、学校教育は当然でありますが、いろんな機会を通じてこれの促進といいますか図っていきたい、そういうふうに思っております。
 期間というお話でありましたけれども、どんどんやっていきたいと思っております。

○三重野栄子君 大変細かい御説明をありがとうございました。
 厚生省もこういうのを、「それでいいよ だいじょうぶ」という本を出しておられまして、両親たちも大変喜んで、子供さんを持たない人たちも勉強したいから欲しい、こっちの文部省が出した分も欲しい欲しいと言っておられるぐらい大変人気があるわけですけれども、しかし、厚生省の方も、子供を出産する大人たち、親たちの話でありまして、このジェンダーフリーの問題は年齢に応じてずっとその問題が生涯続いていくわけです。
 心身の成長が著しい学齢期の子供たち、特に第二次性徴期に起こる体の変化は、男女の違いを強く実感し、心理的に大きな影響を受けます。この時期にこそ身体的、生理的、性別、セックスの違いをジェンダーと結びつけながら、自他を規制、抑圧するのではなくて、自分らしい自分、あなたらしいあなたが大切だということをきちんと認識させることが重要であると思います。
 せっかく基本法もできましたし、男女共同参画社会基本法ができたわけですから、これから、今、文部大臣もおっしゃいましたが、厚生大臣もお力をいただきまして、ジェンダーのフリーというか、もう差別なくお互いが助け合って二十一世紀を生きられるような政策を続けていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○委員長(倉田寛之君) 以上で三重野栄子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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