153-参-共生社会に関する調査会-1号 平成13年11月05日

平成十三年十一月五日(月曜日)
   午後一時開会
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  委員氏名
    会 長         小野 清子君
    理 事         有馬 朗人君
    理 事         橋本 聖子君
    理 事         小宮山洋子君
    理 事         渡辺 孝男君
    理 事         吉川 春子君
                阿部 正俊君
                大島 慶久君
                小斉平敏文君
                小林  温君
                竹山  裕君
                鶴保 庸介君
                仲道 俊哉君
                南野知惠子君
                森下 博之君
                岡崎トミ子君
                郡司  彰君
                高橋 千秋君
                谷林 正昭君
                千葉 景子君
                弘友 和夫君
                山本 香苗君
                林  紀子君
                田嶋 陽子君
                高橋紀世子君
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   委員の異動
 九月二十七日
    辞任         補欠選任
     阿部 正俊君     有村 治子君
     大島 慶久君     後藤 博子君
     小斉平敏文君     大仁田 厚君
     小林  温君     大野つや子君
     竹山  裕君     中原  爽君
     鶴保 庸介君     田浦  直君
     仲道 俊哉君     小泉 顕雄君
     南野知惠子君     段本 幸男君
     橋本 聖子君     清水嘉与子君
     森下 博之君     山下 英利君
     高橋 千秋君     鈴木  寛君
     谷林 正昭君     羽田雄一郎君
     千葉 景子君     平田 健二君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         小野 清子君
    理 事
                有馬 朗人君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                羽田雄一郎君
                渡辺 孝男君
                吉川 春子君
    委 員
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                大野つや子君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                中原  爽君
                山下 英利君
                岡崎トミ子君
                郡司  彰君
                鈴木  寛君
                平田 健二君
                山本 香苗君
                林  紀子君
                田嶋 陽子君
                高橋紀世子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
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  本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○共生社会に関する調査
 (共生社会の構築に向けて)
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
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○会長(小野清子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、阿部正俊君、大島慶久君、小斉平敏文君、小林温君、竹山裕君、鶴保庸介君、仲道俊哉君、南野知惠子君、橋本聖子君、森下博之君、高橋千秋君、谷林正昭君、千葉景子君及び山口那津男君が委員を辞任され、その補欠といたしまして有村治子君、大仁田厚君、大野つや子君、小泉顕雄君、後藤博子君、清水嘉与子君、田浦直君、段本幸男君、中原爽君、山下英利君、鈴木寛君、羽田雄一郎君、平田健二君及び弘友和夫君が選任されました。
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○会長(小野清子君) 理事の選任を行いたいと思います。
 去る八月七日の本調査会におきまして、一名の理事につきましては、後日、会長が指名することとなっておりましたので、本日、理事に清水嘉与子君を指名いたします。
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○会長(小野清子君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
 小宮山洋子君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○会長(小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 理事の辞任及び委員の異動に伴いまして現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますけれども、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○会長(小野清子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に田浦直君及び羽田雄一郎君を指名いたします。
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○会長(小野清子君) 本調査会の調査テーマにつきまして、理事会等における協議の結果を御報告いたします。
 調査テーマにつきましては、調査会設置以来、理事懇談会等で精力的に協議を重ねまして、その結果、「共生社会の構築に向けて」とすることに決定いたしました。また、具体的な調査項目に関しましては、児童虐待対策、障害者と健常者の共生、女性の健康などの意見が出ております。
 今後、具体的な調査計画等策定の参考に資するため、本日の調査会におきましては各委員の御意見を伺うことといたしました。
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○会長(小野清子君) 共生社会に関する調査のうち、「共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
 本日は二時間程度、おおむね午後三時をめどに委員各位の御議論を伺いたいと存じます。
 議事の進め方でございますが、まず、各会派からそれぞれ五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員相互で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、御意見のある方から順次御発言を願います。

○清水嘉与子君 私、まず発言するに当たりまして初めにお断りしておきたいんですけれども、私はこれまで理事懇におきまして調査会で取り上げるべきテーマをずっと協議してまいりました。そして、その中で自民党として提案してきたことを中心にお話をしたいというふうに思っておりますけれども、これはもちろん理事の間では調整がついておりますけれども、必ずしも調査会に所属しておられる自民党委員のすべての意見をまとめたものじゃございませんので、後ほどのフリートーキングではこれにとらわれることなく先生方から御発言いただけるものというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 共生社会調査会が参議院に設置されましてから三年たちまして、これまで男女の共生という立場から、通常の委員会活動ではできないような、取り上げにくいかなり幅広い観点から男女の共生という点を取り上げてこられたわけでございまして、第百五十一国会ではDV法を成立させるなど、まさに参議院の調査会らしい成果を上げてこられたわけでございます。
 それに引き続く今回二期目ということになるわけでございますけれども、そういう意味で小野会長からも、調査テーマの選定に当たってはもう既に三回にわたりまして理事懇を開いて、なるたけ幅広い観点からこの「共生社会の構築に向けて」ということで決定を見るように努力されてきたわけでございます。
 自民党としてその中で提案してまいりましたこと、もう少し具体的にこの中で何をするのかということでございますけれども、私どもは、思い切って今度はテーマを少し変えまして、障害者と申しますか、ハンディキャップを持った人とそうでない人との共生の問題を取り上げたらどうかということについて提案をしてまいりました。
 日本の社会、健康で経済活動に参加している人にとってはとても住みやすい社会だというふうに思いますけれども、一たび健康を害したり、あるいは年をとって不自由になると決して住みやすい状況にないということはもうだれでも認めているところだと思います。
 一般に障害者といいますと、これは各障害ごとに政策があり定義もあっていろいろなことが行われているわけでございまして、障害者というイメージがもう既にあるかもしれません。一般に、障害者の中でも程度の重い人というのはどちらかというと隔離をされて、重く施策が行われているというふうなことで、逆にそのことによって、その障害の程度がよくなっても一般の社会に帰ってこられないような、そういう状況になっていることも問題を抱えております。例えば、これは精神障害者の問題なんかまさにそうだというふうに思います。
 また、そうでなくても、障害を持って生活している人たちにとっても、やはり健康な人に合わせたような生活環境のもとではまだまだ住みにくい状況だというふうに思います。私たち自身がこれから高齢者になっていくわけでございまして、そういう点から考えますといかがであろうかという感じがするわけでございます。既にバリアフリー法が整備されたり、あるいは障害者プラン等も進められております。けれども、まだ十分じゃないんじゃないか。
 さらに、高齢社会の中で、障害者だけでなくて、高齢者も子供も、そして例えば妊婦さんなんかも、だれもが住みやすい社会、そしていつまでも自立した生活が送れるような日本の社会、生活環境あるいは生活慣行も見直してみたらどうかということを調査会では取り組んだらどうかということをこれまで提案を申し上げてまいりました。
 またさらに、ここのところ非常に大きな社会問題化しております児童虐待問題、これについても調査会の緊急な課題として取り上げてもいいんじゃないかということもあわせて御提案させていただいております。
 数日前の新聞にも、虐待被害で治療を受けた子供たちの約六割は生まれたときの慢性疾患を持っていたり、あるいは未熟児であったりといったような、お母さんにとっては育児のハンディキャップになっている、こういう子供たちがやっぱりその被害を受けているというような研究報告も出されておりました。
 昨年から児童虐待防止法も動き出したわけでございますけれども、そういうことによって少しこの例数が多くなっているのではないかという御指摘もございますけれども、やはりちょっと目に余るような状況でございますので、こういったなかなかほかの委員会では取り上げられないような問題についてまず先に取り上げてもいいんじゃないかというふうなことを提案させていただいたわけでございます。ぜひ御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。

○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会から理事として出席をさせていただいております羽田雄一郎でございます。
 この調査会は、平成十年の第百四十三回国会より、共生社会に関し長期的かつ総合的な調査を行うために設置をされたということでございまして、そして三年間、男女の共生を中心として調査が進められ、大きな成果を持ったということだと思います。特に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法、これが十月十三日に施行されました。
 今国会より新しい三年を始めるわけでして、そういう意味では理事懇の中でも新しいテーマを考えていってもいいんじゃないかという声が多くあったことと、そしてまた、まだまだ男女の問題はこの共生社会でしか取り上げられないから、もうちょっと深めていった方がいいんじゃないかという御意見が出たと感じております。三回の理事懇の中では、児童虐待の問題、また障害者と健常者との共生の問題、また女性の健康について調査項目が挙げられてきました。
 児童虐待に関しては、防止法が施行されちょうど一年がたったわけですけれども、連日のように児童虐待の問題が報道をされ、そして私の地元なんかに帰っても、病院祭なんかに行って婦長さんからよく言われることが、明らかに児童虐待を受けて来ている子供たち、しかしそのことに病院が関与するとまた両親の問題に踏み込んでしまう、そんなことも感じてしまって、どういうふうに、児童虐待法ができてからも、対応していいのかまだまだ理解がされていないというのが現状ではないかと思われます。
 そういうことで、また三年目には見直しが来るわけで、そういう意味ではここの調査会で取り上げていくことが一つ大切なことではないかというふうに感じている次第です。
 そしてまた、障害者と健常者との共生ということでは、今まで隔離政策というものがとられてきたと私は感じておりまして、そういう意味では二十一世紀に入ってともに生きていくということをもっともっと一般に広く考えていける、ただ、これは僕らみたいな大人になってしまってから、これからともに生きていくんだよということではなかなか浸透してこない。やはり子供のころからともに生きているんだということが自然になることが大切なわけでして、まだまだそういう意味では、障害者、健常者、またお年寄り、子供、これの共生というものをしっかりと調査していく必要があるんではないかなと感じています。
 また、女性の健康の問題、リプロダクティブヘルス・ライツ、このことに関してまだまだ一般的に知られていない。もっともっと幅広く議論を深めていきたいという意見が私どもの民主党・新緑風会の中でもされております。そういう意味では、なかなか一つに集約していくというのは難しいわけですけれども、その中で何をまず最初に行わなければならないのかということを特に皆様には議論をしていただき、二十一世紀、少子高齢化社会の中での共生という観点で調査会が進められていき、またその中でフルにこの調査会が生かされる、そして三年後にきちんと果実が残せるようなそんな調査会にしていくよう皆さんとともに努力をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上です。

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 本調査会の今後の大きなテーマである「共生社会の構築に向けて」に関しまして意見を述べさせていただきます。
 参議院共生社会に関する調査会は平成十年八月三十一日に設置され、これまで約三年間の活動を行ってきました。本調査会は、我が国の社会環境が大きく変化している現状にかんがみ、男性と女性、健常者と障害者、日本人と外国人、現役世代と年金世代など、社会を構成しているさまざまな人々が互いにその存在を認め合い、共生していく社会の構築を目指して調査を行ってまいりました。
 これまでの三年間は、「男女等共生社会の構築に向けて」を当面の調査テーマと定め、その中でも女性に対する暴力と女性の政策決定過程への参画を具体的テーマとして調査を行ってきました。各年度ごとにも重要調査課題を設定し、第一年目は女性に対する暴力、第二年目は女性の政策決定過程への参画、第三年目は生涯にわたる女性の健康支援及び女性の経済・社会的自立支援とし、それらについて精力的に調査を行ってまいりました。
 その成果として、女性に対する暴力と女性の政策決定過程への参画に対する提言を含む二つの中間報告を議長に提出することができました。また、女性に対する暴力に関する法的対応策については、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案としてまとめ、その成立に至ることができました。このように、本調査会がこの三年間で大きな成果をおさめたことを公明党の委員として大変に喜ばしく思っているところであります。
 今後も、男女等共生社会の構築に関して、これまでの調査を積み重ねてきた重要課題、例えば配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の成立後のドメスティック・バイオレンスの改善状況の把握とさらなる推進について調査を行うことが重要と考えます。また同様に、ストーカー規制法の成立後のストーカー行為等の改善状況の把握と防犯対策の充実について調査を行うことが重要と考えます。
 さらに、女性の政策決定過程への参画に関して適時調査を行うことも必要と考えます。したがって、男女共同参画基本計画の進捗状況に関しても調査をする必要があると考えます。
 また、ドメスティック・バイオレンスとも関連する児童虐待に関しても、その防止法施行後の改善状況の把握とさらなる推進について適時調査を行うことも必要と考えております。
 一方、本調査会設立時に、男性と女性との共生とともに重要であると指摘されました健常者と障害者との共生、あるいは日本人と外国人との共生という新たなテーマについて調査を進めることも大事であると考えます。
 健常者と障害者との共生に関して言えば、平成五年度に障害者基本法の改正がなされ、十カ年の障害者に関する新長期計画が進められておりますけれども、その最終年度が平成十四年度となっております。その具体的な政策目標を定め、実施されている障害者プラン、ノーマライゼーション七カ年戦略も平成十四年度が最終年度となっております。これらの目標達成の進捗状況を把握し、さらなる改善へ向けての課題について調査し、平成十五年度を起点とする新たな障害者対策に関する新長期計画策定に向けて提言等をまとめることを本調査会の当面の年次テーマとしてはいかがかと提案をさせていただきます。
 また、このテーマについて調査が行われることになる場合には、一九九〇年に米国で成立したアメリカンズ・ウイズ・ディスアビリティーズ・アクト、略してADA法といいますけれども、これが我が国にとっても大変に参考になると考えられますので、調査対象としていただきたいと提案させていただきます。
 日本人と外国人との共生に関して言えば、平成十二年十二月に調査を行い内閣府が発表した社会意識に関する世論調査では、外国で生活をしてみたいと答えた人の割合が四年前と比較して三七・二%から四〇・七%へと三・五%割合が上昇しており、外国人と友人になりたいと答えた人の割合も四四・八%から四六・二%へと一・四%上昇しておりました。また、今外国人の友人がいると答えた人の割合も六・三%から八・五%へと二・二%上昇しておりました。
 グローバリゼーションの流れは今後も進展していくと予想され、それに伴って、国内、国外での就労や生活などさまざまな面で日本人と外国人との共生という課題もますます重要となってくると思われますので、日本人と外国人との共生に関してもこの調査会で取り上げていただきたいと提案いたします。
 以上でございます。

○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 この共生社会調査会は三年前にスタートいたしました。そしてこの三年間は男女の共生について調査を行い、その一年ごとのテーマ、今まで他の委員からお話もありましたけれども、女性に対する暴力、二年目は女性の政策決定過程への参画、そして三年目は女性のための環境整備という形で取り上げてまいりました。
 特に、女性に対する暴力については理事会の中にプロジェクトチームを設けて、三年目に集中的に作業を重ね、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法をまとめまして、この調査会として国会に提出し、成立にこぎつけたことは大変大きな成果だったと思っております。
 十月十三日から施行されましたけれども、駆け込み寺と言われております民間シェルターには、十月になりまして、マスコミなども大いに報道をしたということもあるのでしょうけれども、今までになく相談の電話が急激にふえている。また、保護命令の裁判、裁判所に提出するという例も、まだ半月余りですけれども、かなりの数に上っていると聞いております。
 ですから、このDV法が成立をしたということは、今まで一人で悩んでいた、家庭の中で暴力を受けながら悶々としていた女性が勇気を持って救済を求める、そういうことに大変大きな力を発揮していると思います。
 参議院の調査会というのは、内閣の後追いではなくて、参議院自身が、立法府自身が調査をして方向を示す役割を持ち、ほかの委員会に立法や法改正を促したり、またみずから立法を行えるということがうたわれてはいるわけですけれども、DV法の成立というのはこうした調査会の意義が十分に発揮された成果だと考えております。先ほど、これからも果実を残せるようにというお話がありましたが、今までの三年間のこうした成果を今後さらに積み上げていくことが大切ではないかと思います。
 男女の共生をめぐっては、さらに調査を深めるべき問題、立法や法改正をしなければならない問題もたくさんあるのではないかと思うのです。しかし、我が国では、政府の機構としては女性に関する問題といいますのは内閣府が中心となっているわけですが、厚生労働省や法務省や文部科学省、その他多くの省庁にまたがりまして、国会では女性問題を集中して論議する常任委員会というものも存在いたしません。ですから、本調査会が男女の共生という視点から引き続き調査をすることが重要だと思うのです。
 そして、その中でも、生涯にわたる女性の健康というのをまずテーマとして取り上げたらどうかと考えます。前回の共生社会調査会、三年目のテーマの中で、さらに深めるべき問題としてリプロダクティブヘルス・ライツ、この問題が浮かび上がってまいりました。このリプロダクティブヘルス・ライツという考え方は、国際的には一九九四年のカイロの人口会議で提唱され、その翌年の九五年の北京の女性会議で女性の人権として確認されたものですが、国内では本調査会で論議されたことが集中的な論議という意味では初めてではなかったかと思われます。
 ことしの二月十四日から三回にわたって参考人と各省庁への質疑を行い、その後委員間でフリートークを行いましたが、そのときもいろいろ議論が百出でした。堕胎罪につきましては、続けるべきだという意見や廃止するべきだという意見もありました。また、少子化は日本社会にとって大きな課題であるけれども、出産を女性自身の固有の健康上の権利としてとらえるべきだという意見もあったわけで、このリプロダクティブヘルス・ライツについてはまだ各人がいろいろな考え方を持っている。ですから、さらに多方面にわたる調査が必要だと私も実感した次第です。
 そして、参考人からは法制度の問題として、堕胎罪と母体保護法の廃止、避妊と中絶に関する女性の自己決定権尊重の新たな法律の制定などということが提起をされましたけれども、これは三年目でしたので提起を受けただけで聞きっ放しということになっているわけですので、立法府としてこの論議を深めていくべきではないかというふうに考えるわけです。
 以上が、共生社会では最初のテーマとしてリプロダクティブヘルス・ライツを調査すべきだと私が考える理由ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。
 先ほど、羽田さんが何を最初にした方がいいかということと、それから今、共産党の林さんが国会の中で女性の問題だけを専門に扱うところがないということと、そういうことを兼ね合わせて私が考えていることを申し上げます。
 まず、この共生社会調査会のところでは大変な成果を上げてこられて、私は国会議員になる前にも大変心強く思っていました。
 なぜここで徹底して女性の問題だけを扱ってほしいかといいますと、先ほど清水先生がおっしゃったように「共生社会の構築に向けて」、この共生社会、私は男女共生社会に限ってほしいんですね。それは、済みません、ちょっと上がっていて、繰り返しになりますけれども、ほかのところで扱っていないということです。
 女性差別というのは、やっぱり男女共生社会を構築するに当たって最大の障害になっているんですね。
 なぜ女性差別があるかというと、言ってみれば、例えば黒人たちは綿摘みのためにアフリカからアメリカに連れてこられて奴隷になりました。女性は子供が産めたから男社会に連れてこられて、そして最後の植民地になってしまったわけですね。これはフランスのフェミニストの言葉ですが、女性はまだ最後の植民地です。これは、結婚制度を見ればわかりますが、植民地化された国というのは、まず、朝鮮がそうでしたが、名前を奪われます、これは今夫婦別姓で頑張っていますが。それから、ただ働き、労働を提供させられます。それから、財産を奪われます。女性の場合は専業主婦となり、あるいは家事労働をすることで不払い労働。
 それから、子宮は女性自身が管理していません。これはまだ厚生省が管理したり、夫が管理したり、しゅうとめが管理したり、世間の神話が管理しています。子供まだ産めないのとか、一人しかいないのとか、そういう、女性は自分の子宮を自分で管理する状態にない、自己決定権がない。これも植民地化の一つの理由だと私は考えます。
 そして、この男女共生社会は女性の植民地化を限りなくよす。そのためには、女性の肉体を女性に返してあげなくてはいけない。ところが、まだ国が管理し、力のある主人と言われる男性たち、あるいは男性社会に管理されている、この状態を早くやめないといけないと思っています。
 例えば、今皆さんがおっしゃってくださったどの問題一つをとっても次々解決していかなければいけない問題なんですが、男性がかかわっていることはどんな差別でも解決が速いんです。障害者も隔離されたら大変な目に遭っていますが、その障害者の中でも女性差別があって、女性の精神障害者は例えばレイプされたり性的行為を強要されたりもあります。それから、性別役割分業で男女の障害者が一緒になれば、そこで女性はやっぱり家事労働をさせられたりというのがあります。
 それから、テレビでも、例えば放送を聞いていると、表向き障害者の悪口といいますか差別的発言は禁じられていますね。でも、女性差別に関しては、例えば女は性格より外見が大事だとか、夜の番組を見ると女の体は全部おもちゃにされていますね。顔がかわいくて胸が小さい子より顔がぶすでも胸がでかい方がいいとか、それから女は結婚したら男に尽くすものだとか、もうあらゆる神話あるいは差別用語が当たり前に横行しているわけです。
 そして、男の人たちは、そう言っては悪いですが、ここにいらっしゃる方は別だと思いますが、女性の体は性的快楽の道具として見る、その結果の女性の不幸は非常に多いわけですよね。ですから、女性差別がなくなることであらゆる差別の中での差別もまた少なくなるんじゃないか、そういうふうに思っています。
 そして、やっぱり女の人が、働く女性が今苦しいのも、女は働いても子供の面倒を見なきゃいけない、老人の面倒を見なきゃいけない、それが当たり前だ、産まない女はうまずめだという、石女なんという言葉は今使われませんが、それでもまだ暗黙の了解でこれは女性たちを苦しめているわけです。
 ですから、私は、もちろん精神の問題も大事ですが、とりあえずはこの植民地化されてしまった女性の体を解放してあげなければいけない、女性の手に戻してあげなくちゃいけない。そのためには、女性の体に関すること、女性の健康という言葉でいろいろあります、今おっしゃられた堕胎罪なんという明治時代からある、この女性の自己選択権を奪うものですね。母体保護のこともそうですけれども、中絶に関してもそうですね。そういった不妊治療だとか、女性は産めないということで人間扱いされないから、非常に苦しい不妊治療をしたりしているわけですね。
 それから、十代の女の子たちは自由かというと、性的に自由なようでいて自分の体を大事にすることを知らないですから、今やっぱりえじきになっています。薬物と、それから男性の性的対象で性を売られています。でも、若い子たちは、それがおかしい、何がおかしいのか、苦しいけれどもわからないという、そういう性教育もなされていません。ですから、そういった不妊治療や性教育や十代の妊娠のことだとかひっくるめて、女性の体に関することを徹底してここでやっていただくことで、私はあらゆるところのバランスがとれてくるように思います。
 以上です。

○高橋紀世子君 共生ということは私にとっては本当に大きな夢であり、人と人とが深く手を取り合って助け合っていく社会の構築というのは、やはり人間だれでも一生一度しかありませんから、すばらしいことだと思っております。
 実は、この間、アメリカでテロ事件が起きまして、そしてテロに対して報復しなきゃいけないということで、アフガニスタンに爆弾を落としたり、それから地上戦をしたりしておりますけれども、それを受けた人たちは実際テロではなかったりしています。だから、私はあの報復の仕方は大変、共生ではない、問題があると思っています。そして、結局はアフガニスタンに攻撃を加えていますから、アフガニスタンがいろんな意味で被害をこうむって弱くなっている。
 私は、ちょっとがんの治療を思い出したんですけれども、私の連れ合いはがんで亡くなりましたけれども、とにかく抗がん剤を打ちますと、本当に健康な細胞も壊しますから、大変体じゅうが弱くなっていく。ですから、今度のアフガニスタンのことも、やはり共生という意味でどうしても間違っていると思います。
 それから、皇室のことなんですけれども、皇室はこれは本当に男女共生というこの日本の考え方に私は反していると思うんです。
 まず、天皇が男性しかなれません。そして、世襲なんですけれども、それは男性ばかりなんです。女性は結婚したら皇室を出ていく。そして、例えば女性が結婚をしても、男性は普通の平民の中から結婚によって皇室になるということはないんですけれども、女性の場合はそれがあると。私、こういうことについては、多分、庶民の私たち大衆にも随分考え方は影響していると思いますし、また天皇にしても、やはり幾ら象徴であっても同じ人間ですから、それがみんな、日本の社会と立場が違っていることについては非常な重荷であると思うんです。
 私は、今度のことはやはり共生という意味で、皇室典範を中心に、男女が本当に共生して手をつないでやれる社会を構築するために、いろいろもう少し変えていったり、勉強したりしたいと思います。
 終わりです。

○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、委員相互間の意見交換を行います。
 御意見のある方は挙手をしていただきますが、会長の指名を待って発言をされますようお願いをいたします。
 なお、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきたいと思います。
 それでは、御意見のある方は挙手を願います。

○大仁田厚君 僕ら新人議員が入ってはや三カ月がたちます、三カ月以上ですけれども、正確には。
 最初に、国会議事堂に学生服を着てきまして、ある種、半分パフォーマンスだったと思います。同じ目線で学生たちが国会に興味を抱いてくれればそれでいいと思ったんです、半分恥ずかしかったんですけれども。それで、国会の本会議場に入る前でとめられまして、トイレでスーツに着がえて本会議場に入りました。そのときに羽田先生が省エネルックを着られていまして、何で僕が学生服で悪いのに羽田先生が省エネルックがいいのかということを感じながらはや三カ月がたちました。
 僕は今、石黒剛志という、糖原病って御存じですか、糖原病というのは筋ジストロフィーと似たような病気なんですけれども、筋肉が萎縮していく病気なんです。その子とライブ活動をしながら、これは身体障害者と健常者の共生ということなんです。
 そこで、一つはちょっと問題提起なんですが、松江の国立病院なんですけれども、そこに石黒剛志がいるんです。小学校五年生のときに糖原病になり、急に倒れて高熱を出し、難病指定されて国立病院にいるんです。多分、ネガティブを超えたポジティブシンキングだと僕は思います。自分の小さな心の中で悩み苦しみ、どうやって生きようかと思った結果が、ああ、前向きで生きようと。
 その子と僕が初めて会ったときに、僕が声をかけようと、人間ってそうじゃないですか、頑張れよと、普通、頑張れよと言葉をかけるのが当たり前だという姿勢を見せます。その子からエネルギーを感じたんです、僕は。あっ、この子に頑張ってという安易な言葉を僕は吐いちゃいけないなということを感じたんです。これはもう感じるものです、フィールです、感じるものなんです。その子が、頑張っている、頑張れよという言葉を言わせないんです。それだけのエネルギーを発しているんです。それはどこからくるのかなと思ったら、ずっとこうやってCDを出し、ライブ活動を続けていく上で感じ取ったんですけれども、自分の中で自分の人生を子供ながらに見きわめているというか、自分の生き方はこうなんだと。
 その中で、はっきり言って、そのCDを出せば、周り何十人と同じ病気の子がいるわけですから、普通ジェラシーもわけば、そうじゃないですか、この中で十一人の女性がい、そして十一人の男性がいてこの調査会が成立して、会長も含めましたけれども、そうなんです。その同じ病気を持った難病の子たちがある種、普通一人がスポットライトを浴びれば僕らはどう思うでしょうか。この中で多分一番勉強していない僕がスポットライトを浴びたら、何であいつなんだと言う人がもしかしたらいるかもしれません、これはもしかして、仮定ですよ。
 だけれども、不思議なことに、その子が僕たちとテレビに出、ライブをしようと言ったときに、その子たちはどう言ったかというと、おい剛志、頑張れよと拍手を送るらしいんです。僕はその現場にいました。僕はある種、あれ、健常者って、僕たち五体満足ですよね、だけれども、逆に精神的に強いのは、ああ、この子たちじゃないのかと。僕が一番問題提起したいのはここです、一つ考えてもらいたいのは。
 はっきり言って、難病指定になり、国立病院に入れば国の保護を受けるわけです。僕たちと同じです、税金で治療を受けられるわけです。というと、はっきり言って、パソコンの中で絵をかいたり、特殊技能を持った剛志みたいに何かをやろうとする子供たちが、もし収入を得たときにその病院から出されてしまうんです。そういった制度をもう一回見直し、だってそうじゃないですか、僕らがここで何を議論しているか、僕はそう思うんです。僕たちが逆に生きる力を、そしてまた前向きな希望を、そして一歩踏み出す勇気をここで論じて何かを示すべきだと思うんです。
 もしよろしかったら、会長、そういったものを調査し、その辺のところを、難病の人たちでもいいから、その人たちが元気になれば、活力を生み出せば、健常者と一緒に何かを生み出し、稼ぐことができればちょっとずつ変わっていくような気がします。もしよろしかったら考えていただければ。そういう調査会ですよね。

○岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。
 林さんと田嶋さんから女性の抱える問題を専門的に扱う場がない、そして集中して論議する場が大変大切だというお話がございました。私も、DV法がこの十月十三日から施行される、それは三年間こういう問題について少しずつ少しずつ取り組んできて、非常に特筆すべきことは、女性に対する暴力に関するプロジェクトチームというものを立ち上げて、そこで集中的にこの問題について取り組んで、そしてそれが調査を通じて法律案をつくって、そして成果が法律となる、結実したと、これは参議院の独自性あるいはまた存在価値を高めるという意味でも大変大きな成果だったと。
 この新しく出されましたドメスティック・バイオレンス防止法という本の中でも石井道子前共生社会調査会長が書いていらっしゃるんですけれども、私はこれがこれからの調査会のあり方に大きな方向づけをしているなというふうに思うんです。つまり、調査をほかのところでは絶対に扱えない、なかなか女性の問題について専門的にはできないという問題がこの調査会の中で扱われるということが非常に大きな意義があるというふうに思うんですね。
 殊にこのDV法に関しては三年後の見直しということがありますけれども、これは一回二回の見直しで多分これらがフォローアップされるということはないだろうというふうに思います。定期的に見ていく。ですから、全部それじゃなくてもいいんですけれども、定期的にフォローアップするということをこの調査会の中でぜひ行っていただきたいというふうに思うんです。
 最大の目玉は司法に基づく保護命令を盛り込んだことですけれども、被害者は地方裁判所に申し立てが認められましたけれども、事前に警察に相談しない場合が多いというふうに考えられるんですが、そういう場合には公証人の認証が要る、書類をそろえて出さなきゃいけないという問題などがありますし、また全国に三十数カ所しかない民間シェルターでありますけれども、これは都市に集中をしています。
 ですから、例えば宮城だったら宮城の本当に地方のところ、大変保守的で偏見が強いそういう地域では、その地域の中で被害に遭っている人たちなどは殊に理解が得られていない、そして支援が得られていない、その中で孤立して大変ひどい被害を受けているという状況があるだろうというふうに思うんですね。
 ですから、そういうことについて、最初にまず相談事が持ち込まれる警察でありますとか、あるいは非常に責任の重い自治体の行政の働きですとか、こういうところが、まずその人たちの意識変革がきちんとなされているかどうかというのも大変心配。これまで新聞などでも問題とされてきた点は、警察の窓口のあり方ですとか自治体のあり方ですとか、それからそれぞれの自治体だけではなくて、逃げる場合には加害者から本当に姿を消さなければいけないという意味では隣の県に対しても、遠いところに持っていくという意味では広域的な連携というのもまだまだできていないという状況ですから、それら一つ一つがフォローアップされていくということについて調査をし、定期的にぜひ取り上げていただきたいというのが願いです。

○小泉顕雄君 自民党の小泉でございます。
 この七月の選挙、比例区の方で国会の方に送っていただきました。全くの新米でございますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 新米でございますので、最初にこの共生社会に関する調査会という名前を聞いたときに、私は共生というものが示している内容というのは、広く自然との共生というようなことまで含めて調査をされる会かなというような印象を持っておったんですけれども、先日、理事の先生からお話をお伺いしたところ、どうもここで言う共生というのは人間社会の問題なんだという、そういう了解があるというようなことをお聞かせいただきまして、ああ、なるほどということで納得して、またある意味では残念に思ったわけです。
 人間の社会の中で共生ということを考えていく上で、先ほどからいろいろ出されました具体的なテーマというのはそれぞれすべて大切なことであるというふうにもちろん思います。田嶋先生もかなり具体的に女性の問題について言及をされたわけですけれども、それは女性の問題というものに焦点を当ててみれば具体的にはそういうものは出てくるわけでありまして、それは、事情はすべて、障害者と健常者の間の問題にしても、あるいは外国人と日本人との間の問題にしても、それぞれに焦点を合わせていけばおのずとそれぞれがいろいろな問題点を指摘できるということですから、余り田嶋先生の御意見に肩入れをしないようにというような姿勢でもお聞きしたわけです。
 私、それぞれの問題が、今言いましたように、それぞれ焦点を合わせていけばそれぞれに大切な中身というものが見えてくるわけですから、それはそれとしておいて、すべて大切な問題だという前提に立って、特に今のこの社会の中で深刻な問題というのは私はやっぱり児童虐待の問題かなという感想を持っております。
 何とかこの問題を取り上げていただいて、法律が昨年できたという中で、できたにもかかわらずますますこの事態というものは深刻化をしているというようなことも多く報道されているわけですから、その辺の事情というものをもう少し研究してみる必要もあると思いますし、この法律が見直しがあるのかどうかということについて私は十分勉強していないわけですけれども、過去の三年間において調査会の活動の中で一つの法律をつくられたということは私はすばらしいことだと思いますし、この三年間もそういう方向で進んでいくべきではないか。
 特に、私の考えとしては、児童虐待というところにこだわりながら、そういう目標を持って進んでいただくのがいいのではないかというふうに思っているところです。
 ただ、いずれにしましても私は新米ですのでこれ以上申し上げることはできませんので、この調査会として三年間に取り組むテーマとしては、やっぱり会長の御意向とか、あるいは理事さんの御協議の中で我々に示していただければ、私としては今の段階ではありがたいというふうに思っております。
 以上です。

○後藤博子君 私も新米に続き手を挙げる勇気が持てましたので。自民党の後藤博子と申します。
 私も本当に今まで政治の世界は全く経験がなく、一般の、本当に普通の主婦から、草の根から立ち上がってきましたので、この場で何か言うことすらまだちょっと自分自身が不思議な感じがしております。
 私も共生社会に関する調査会ということで入らせていただきまして、ともに生きるというそういう視点からとらえていけばいいのかなと、そういう思いをしておりました。まず、私も感じたことをそのまま言わせていただきまして、何を準備していることでもなくこの調査会に入ってまいりましたから、いろいろともし間違っていることがあればまたアドバイスをお願いしたいと思います。
 共生社会にいる私たちがともにこの共生社会のことを考えるのに、本当にともに共生していける調査会だろうと思っております。今、各党からいろんな意見が出ておりまして、いろんな提案がありますが、私とか田嶋先生とかいろんな先生方が、ここは党派を超えた一つの調査会として調査をしていくのかな、そういうふうなことも思っておりまして、いろいろな障害者のことも児童虐待のことも女性の問題も、どれを取り上げてもすごく大事なことではあると思います。
 これは質問なんですけれども、調査会のメンバーがこんなにたくさんいらっしゃいます。だから、テーマを一つに絞るのか、あるいはプロジェクトチームのようなものをつくって一つか二つを真剣に取り上げていって調査するようなことに持っていくのか、いやいや、そうじゃなくて一つに絞っていくんだよということなのか。その辺がちょっとわかりません。
 だから、意見としては、どれを取り上げても調査していかなきゃならないことが多いし、その中で一つ二つを取り上げた中で、これだけの人数がいますから、一つに絞らずに、一つ二つぐらい取り上げてプロジェクトチームをつくったらどうなのかなという、これはもういい悪いじゃなくて本当に率直な意見だと思っております。
 そういうことを踏まえながら、私といたしましては、先ほど小泉先生おっしゃいましたけれども、児童虐待がなぜ起こるのか、あるいは健常者と障害者の共生がなぜこういう問題として取り上げられるのかという、非常に今家族の崩壊ということで、私の取り組んでいる自分のテーマが家族というものをテーマにしたところからいろんな問題を見ていきたいというのがありまして、男女のこともいろんなことも家族というものをテーマに自分自身が取り上げているものですから、その中でマクロ的な部分をもう少しやってみたいと思っております。
 もっともっと身近な問題として、国民の皆様が本当に不安に感じられていることをこの調査会で取り上げ、それが示していければ一番いいことだし、私にとってもありがたいことだと思っております。
 一つ、障害者との問題で私自身がこれから取り上げたいな、勉強したいなと思っていることにオプトメトリストということがありまして、私も初めて聞いたんですけれども、障害者といって一つにくくるんじゃなくて、障害者の中でももっとこういう小さなテーマで具体的に取り上げたらどうかなということがありますので、今ここではもうちょっと時間がありますから申し上げられませんけれども、要は、この調査会が身近な問題として取り上げられる、そしてすぐ役に立つといいますか、そういう問題として調査をしていったらどうだろうかということで私は思っております。よろしくお願いします。

○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 この参議院に調査会が設けられた歴史が十七、八年あるわけなんですけれども、私は、まず国会の役割というのは、政府に対する監視と、それからもちろん立法府ですから法律をつくる、その二つだと思うんです。そしてまた、二院制のもとで、じゃ参議院はどういう役割を持つかというと、やっぱり任期が六年あってじっくりした検討ができる、解散がない、そういう中でいろんな政策提起をやっていくということが二院制のもとでの参議院の役割だと思いますし、その役割を果たすために三つの調査会ができて、そして先国会ではDV法がこの調査会で立法化されたと。その前には高齢社会対策基本法とか、それなりに意欲的な活動を調査会がしていますので、私たちもそういう成果を受けとめて、それを引き継いでいきたいというふうに基本的には考えております。
 それで、女性の問題ということでいえば、国政の中でもかなり未開拓な分野だと思うんです。九九年に北京の行動綱領を受けて政府自身が男女共同参画社会基本法という法律をつくりまして、昨年の十二月だったと思いますが、これに基づいた計画を、女性分野全般の計画を政府はつくりました。そういうものに基づいて、今、条例等が各都道府県でつくられようとしているんですけれども、私は、そういう中で、いろんな問題、何でも必要なんだけれども、やっぱり前回の共生調査会の本会議での報告の中で筆頭に挙げられていたのが女性の健康という問題であったと思うんですね。
 だから、順序はどれでもいいんだけれども、やっぱり前回、三年間やった成果として一番最初にリプロダクティブヘルス・ライツということを石井道子会長が本会議で報告されたということを受けて、これを引き続きこの調査会で調査していったらどうかというふうに思います。
 と同時に、少子化ということが非常に日本の社会にとって重大問題なんですけれども、この少子化をめぐって、やっぱり女性の性という問題が、例えば健康な赤ちゃんを産むことができなくなるようないろんな環境問題、労働問題が一方で起こってきている。さっき少女の性の問題がありましたけれども、そういうこともありまして、やっぱり日本の女性の健康と権利がどういう状況に置かれているかということを調査して、そして政策提言か、あるいは立法という形で生かしていけたらというふうに思います。
 どれもこれも重要なテーマなので悩んでしまうんですが、私自身悩んでしまうんですが、今申し上げましたような判断基準で、一番最初に女性の健康問題を取り上げてはいかがでしょうかということを私は申し上げたいと思います。
 以上です。

○有村治子君 私もこの七月に当選させていただきました自民党の有村治子と申します。私は、現在もなんですけれども、青山学院大学の国際経営学博士課程の学生でもおります。
 そこで、国際経営を学んでいる、研究しているときに一番問題になってきたのが、問題というのが、日本語の問題というのは、英語で言うプロブレム、解決しなきゃいけない何か問題があるというようなプロブレムと、それからイシュー、課題ということの両方含んでいると思うんですけれども、今までの議論をお伺いしていましたら、女性にかかわる問題とか女性に関する問題とか女の問題というふうな議論が今なされているんですけれども、問題というとイシューなのか、それとも本当に問題なのか、プロブレムなのかということを考えると、私たち自身も、女性問題と時々言われるんですけれども、女性問題と言われるとこれの関係なのかというふうに何となく言われますけれども、そうじゃなくて女性にかかわる課題なんだということで、私たちの意識も問題じゃなくて課題なんだということを始めることも大事なんじゃないかなというふうに思います。
 ですから、問題というと日本語ではどうしてもやっぱり悪い、何か女が悪いことをしでかしたみたいなそんなニュアンスも含まれないわけではないので、課題というような、積極的に私たちが取り組んでいくようなイシューですよというような、そういう取り組みの仕方もあるんじゃないかなと思います。
 それから、今、吉川春子先生がおっしゃいましたけれども、後藤先生もおっしゃいましたけれども、家庭、家族の、ごく普通の家庭の営みができるためにはどうすればいいのかということで少子化問題も入ってきますし、女性の健康の問題、課題ということも入ってくると思います。
 私がアメリカに留学していたときに、これは日本でもあったらいいなと思ったものにプランド・ペアレントフッドというのがありまして、それは計画された親精神とか心の準備をしていく親精神というようなものがありまして、はっきり言ってシェルターみたいな感じなんですけれども、そこで不妊症とかいわゆる婦人科系の病気とか子育ての悩みとか、あるいはボーイフレンドとガールフレンドが中絶に対してどう思うか、実際に中絶を必要であればしてくれるというようなところなんですが、私もお世話になりました。私は、ただ婦人科系の病気というんじゃなくてそのチェックのために行ったんですけれども。収入によってその支払う金額も違う。私も大学院の学生で行きましたので、お金がなかったときには本当に廉価で相談に乗ってくれる。家族として一人の自立できる人たちを育てていくためにそういう取り組みが地域でなされているというのは非常に勇気づけられました。
 ですから、夫とか奥さんとか学生とか子育ての世代というように別々に分析的にアプローチするんではなくて、家族、ごく普通の家族の営みをする、そういうのが健康的にできるためにはどうすればいいかという議論がなされていったら非常にありがたいな、勇気が出るなというふうに思います。
 以上です。

○中原爽君 私は、この調査会、参加させていただくのは初めてでございますけれども、以前はずっと国民生活と経済の調査会におりまして、ちょうど総理府から内閣府へ移行する時期に関係をさせていただきました。少子化の問題、それから男女共同参画社会の問題を扱ってきました。
 そこで気がついたことは、先ほど吉川理事がおっしゃったように、リプロダクティブヘルスとライツですね、この問題がちょっと中途半端になっておりまして、私が前に所属しておりました調査会の報告書では、この基本的なカイロ宣言、一九九四年のカイロ宣言のこの一番最初の問題が棚上げになっているという感じがいたします。
 したがって、この女性の生殖にかかわる健康、それから生殖にかかわる権利ということですね、それが例えば出産であるとか妊娠であるとか、あるいはいろいろそういう問題を個々に取り上げていきますと、そこのところが限りなく各論になってしまいまして切りがないということになります。ですから、そういうところにのめり込まないようにこの問題が、ヘルスとライツが棚上げになってきたんじゃないかと、そういう気がしております。ですから、それをここでどういうふうに考えていくかということが大事だというふうに思います。
 私は、このことについて反対をしているわけじゃなくて、これをこの共生調査会でどういう形で考えていただくかということを提案したいというふうに思います。
 というのは、この問題がやはり基本的なものだろうと思うんですよ、この男女共同参画というか男女共生という意味の基本的なところ。ところが、これを追い込んでいきますと、ジェンダーフリーという言葉と拮抗してしまうというところになるんじゃないかという気もいたしておりまして、そのあたりのところをどういうふうに調査の中で調整をしていくかということが問題になるのではないかということを提案したいと思います。

○田嶋陽子君 今、中原先生ですか、すごく心強い御意見をいただいたように思っています。
 ただ一つ、やっぱりまだ、フェミニズムといいますかジェンダーフリーというか、男女平等の考え方が日本には中途半端な入り方をしていて、いわゆるフェミニストと言われている人たちも私から見れば中途半端だなと思われて、そういう人たちがリプロダクティブヘルス・ライツの問題をやると、今、先生がおっしゃったような、何ですか、うまくいかない、離れていってしまうというような、限りなく各論になってしまうというようなお話だったんですけれども、そのとおりだと思うんですね。
 先ほど後藤先生の方から家族の問題のことが出て、それから有村さんのところからもやっぱり家族の問題が出て、普通に家族が暮らしていけるようにというんですが、実は家族というのは普通には暮らせなくて、自然なものでもなくて、家族というのはきちんと国がつくったものであって、その家族の模型になっているのが天皇制なんですね。
 ですから、その意味で、さっき高橋先生がおっしゃったような天皇制の中の男女差別というのは、実はこれは憲法の中でも天皇家が私たちのシンボルであるように、存在そのものがシンボルであるように、そこがやっぱりみんなの意識の中では象徴的な生き方になっているとすると、そこでの男女差別、すなわち何かというと、家長が偉くて、男の長老が偉くて、そして女の人が二級市民扱いされて結婚したら出ていかなくてはいけないという、そういう植民地化された状況を、これをやっぱり私はやっていかないといけないと思うんですね。
 さっき、これは、雅子様も御懐妊するかしないか、あれはセクハラですね、マスコミは。人の子宮をかき回すわけですから、あれはセクハラです。でも、雅子様も産むか産まないか、生まれるか生まれないかでみんなが一喜一憂したように、女の役割はやっぱり後継ぎをつくるということであって、その人の人間固有の存在価値として認められているのとはちょっと違う要素があって、これは皇室がそうなら私たち女はみんなそういうふうに考えられている。全部同じなんですね。
 もちろん少子化も、女の人たちは今、結婚制度が自分たちによくないということを気づき出してきて結婚しない人がふえてきた。じゃ、働いていたら女の人は幸せかというと、男の人の働き方に合わせなきゃいけないからとてもみんなつらい。すなわち、これもやっぱり男性中心に組み立てられた社会の構造のあおりをみんな女性が受けて、それを差別という言葉で言ってもいいわけですが、そういう中で、さっき吉川先生もおっしゃったように、女性の健康が日々痛めつけられているという状況もある。これはもう男性に関して言ってもそうなんですけれども、ちょっと違うまた視点になってくるんですね。
 だから、私の提案は、大状況でいうと、女性差別が差別の根幹なんですね。だから、性の、セクシュアルポリティックスと言いますけれども、男族は女族を支配することから政治を始めたと言われていますが、何を支配したかというと、一番最初に申し上げたように女性の子宮ですよね。ですから、そこが解放されないとだめだということはさっき申し上げたんですが、その大きな、リプロダクティブヘルス・ライツをやることは、これは各論になっていくと思いますが、その大もとにあるのは天皇制であり、家族制度、昔の家族制度がなくなったはずなのにまだ生きているということですよね。
 だから、大きなテーマ、さっきマクロという言葉を後藤さんが出してくださいましたが、マクロでは大きな女性差別解消のために、天皇制なら天皇制の問題をやっていく、天皇家の中の民主化ということをやっていく。同時に、そういう大状況を踏まえながら、各論になってもそこでは分裂しないで一つ一つ個々の問題を解決するという意味で、ミクロのこととして例えば、例ですけれども、ミクロにされたくはないんですが、でも天皇制を解決しなければ女性の立場も私は男女平等にはならないと思っていますので、そういう大きな構造をやるところと各論をやるところに分けて、さっき後藤先生がおっしゃったようなグループ分けしてというのが可能なら、そういう集中的な研究調査のやり方でもいいかなというふうに思いますけれども。

○郡司彰君 先ほど小泉さんの方から、共生というのは男女で、生態系は含まないのかという話がありまして、私も三年前に共生社会というのを聞いたときに、生態系その他も含めるのかなと思ったことがございました。
 それで、今なぜそのような話をちょっとさせていただいたかというと、生態系のことを考えると、必ずしも共生ということがみんな仲よくしましょうということにはなっていなくて、例えば、今、コグチバスでも、これはともに生きないということの選択も生態系の中ではあるわけですね。男女の場合にはいかにも共生ということが当たり前の言葉から始まっていて、それがもうにしきの御旗で、そのこと自体に異議を挟むことが、これは余り議論として今多分成り立たないようなところがあるわけですね。
 私自身は、だからそういう共生ということが無理なんだとかということではなくて、日本の場合には非常に、先ほど言った成果の、果実の名前もDV法とか、リプロの問題もそうですけれども、いろいろイシューの分野でいっても概念そのものがほかの国からいろいろ入ってきて、それを日本流に解釈をしたり、いろんなことをしながら問題を共有してきたということがありますから、今、逆な言葉で言うと、田嶋先生がおっしゃったような、根本のところで共生をしなくちゃいけないという、例えば健常者と障害を持つ方が何で共生しなくちゃいけないんだとか、外国の方が来たとき何で日本人が共生をしなくちゃいけないんだとか、そんなのは当たり前じゃないですかという、その当たり前のところが実は日本人全体の中ではほとんど共有がされていないのでなかなか問題が一つずつ片づいていかないんじゃないかなという感じがしていまして、何回か、三年ごとに区切るというときに、改めてなぜ共生ということなのかということをもう少し実は議論をした方がいいのかなと。
 いかにも当たり前であって、しかしながら、出されてくる問題がみんな横文字から入ってきて、それを日本語に訳したことをやっている。これで本当に日本の中でそういう共生という概念が共有できるのかな、ちょっとそんな感じがしております。

○山本香苗君 公明党の山本香苗と申します。
 今いろんな方の白熱した議論がありまして、そうした中でいつお話をしようかなと機をうかがっておりましたが、今まさに共生社会の意義、そういったお話もありましたが、少子高齢化、グローバル化が進む中で、女性や高齢者、障害者、また外国人の方々という、その人たちのさまざまな分野における活躍が求められている。だから、今まさに今後のキーワードが共生なんだという思いがしております。
 この「共生社会の構築に向けて」というテーマでこの調査会が話し合うことの意義の大きさを改めて感じているわけですが、今、男女共同参画社会に向けてのいろんな取り組みについてのお話もありました。ちょっと角度を変えて、外国人との共生ということを一つポイントとして述べさせていただきたいと思っております。
 平成十二年度におきましては、本当に過去最高の外国人の入国があり、また今後、二〇一〇年に向けては留学生をもっともっとふやしていこうと、そういったことも国際公約となっておりまして、外国人と共生する社会のあり方というのが今後の日本の中でも考えていかなくてはならないことかなと考えております。
 先ほど、本当に外国人の労働者の、ちょっと出ておりましたけれども、内なる国際化ということが言われて長いわけですけれども、まだ日本の社会においては制度の壁があり、言葉の壁があり、心の壁が厳然と残っています。先日起きましたテロの問題においても本当に多くの、イスラム教徒の友だちが私にはおりますが、そういった友だちからもいろんな声を聞きました。日本において自分たちが差別されているんじゃないかと、そういった声も直接聞きまして、やはり今、多文化、多民族の方々が共生できる社会をつくる、この取り組みの一歩を進めるべきではないかと思っています。
 いろんな優先順位があってなかなかこの調査会で取り上げるというのは難しいかもしれませんけれども、共生というものを実現していく、これは本当に人の心に刺さっているとげのようなもの、それを一つ一つ抜いていく作業でありまして、そのうちの一つである差別といったものを抜くことがここで取り上げることにもなるんじゃないかと思っておりますので、委員の先生方にも外国人との共生ということもひとつ心に残しておいていただきたいなと思っております。

○大野つや子君 諸先生方の御意見、いろいろ伺っておりました。私、母親の立場で実はもっと児童虐待の対策というものについて皆様からいろんな御意見が出るのかなと思っていたのでございますが、児童虐待防止法も昨年、平成十二年五月ですか、できたわけでございます。成立いたしました。その法律施行後も児童虐待による事件が大変多発しているということ、深刻な社会問題であるばかりではありません。命までも奪われている事実が、私は、他の問題二つでございますか、他の二テーマと大きく異なる点ではないかなということを感じております。
 ですから、本調査会は多省庁にまたがる問題について調査を行い、議論を積み重ねるための調査会であると思います。共生社会という最近最も問題になっております根本的な問題、例えば地域社会、少子化、男女共同参画、教育など、複合的要素が強い児童虐待に今まさに私は焦点を当てて、いま一度考えるべきではないかなということを思っておりますので、ぜひお取り上げをいただきたいと思っております。
 以上でございます。

○山下英利君 自由民主党の山下でございます。
 私もまだ議員になってわずか一年でございますけれども、この共生社会に関する調査会というのにこのたび初めて参加させていただきました。
 一番最初に思ったのは、共生社会、大変広いテーマであると。その中でこれをどうやって絞り込んでいくか、国会の、参議院の調査会として何をするべきなのかと、そこからまず私は考えを始めまして、確かにDV法が成立しました。これは一つの大きな成果ということはあるんですけれども、じゃ、それをもって、この調査会の性格をそれに結びつけるということが本当に共生社会という面でいいのかどうかというところまで一応考えてみました。
 その中で、やはりこの調査会が非常にいいという点は、じっくりと参議院としてのテーマを追求できるということだと私は思っております。ある一定の期間をとれるということもこの参議院の調査会の非常にメリットであると。一方では、やはり非常に喫緊の課題として、社会問題として起きていることを他のどこの委員会でも取り上げられない、そういった部分に焦点を当ててこの調査会で議論する、それも一つの大きなメリットであると、そういうふうに思っております。
 私も議員になる前は海外の経験も多かったんですけれども、やはり今一番考えなきゃいけないのは、とにかく生きる、生命というものに対するいわゆる人間の考え方、これをやはり私は日本人として、日本の国としてどうとらえていくのかというところではないかなと、そのように思っております。
 児童虐待対策、確かに児童虐待ということが起こってもいます。これはいろいろな社会的な、経済の不況等、人間の心もすさんでくる。その中にあって、だけれどもやっぱり最後のところは命、生命というものに対する考え方、これを社会の変化に合わせて、これは教育の問題ももちろん絡んでくると思うんですけれども、少なからず影響を及ぼしているというように思います。
 ですから、従来でいうと男女等共生社会というふうな位置づけで、私も最初は、だから共生社会というのが男女共同参画型社会というのを前提とした調査会なのかどうかというのを、悩ましいぐらい男女という問題、きょうも話をいただいておりますけれども、やはり社会のルールというものがずっと以前から培われてきて、それが今の時代になってそれを本当に見直しをして、これはいいものだから残す、あるいは、だけれどもこれはこれからの時代に必要だから組みかえていかなきゃいけない、そういったところの議論というのが大変必要ではないかなと。その中にあって、基本的に、何というんですか、それぞれの人が生きる、生きる環境をつくるという部分で具体的なテーマというものを絞り込んでいったらいいんではないかなと、そのように思っています。
 ですから、この児童虐待というのはまさにこれからの少子高齢化に向かって大きな問題になっていると私は思っていますので、大きな外枠の課題の中から一番優先度ということで取り上げようというのであれば、まさにこれじゃないかなと私は思っております。

○大仁田厚君 僕も山下先生と同感で、ただ郡司先生と小泉先生が言われたように本当にテーマというのは絞り切れないもので、共生と言われると、共生社会と言われると本当に広くて深いものですから、テーマを絞り込んで、各自いろんなテーマがあられると思うんですけれども、僕は、大野先生が児童虐待、私、これをやりたいよねと言われたことが一番素直だと思うんです。いや、先生、失礼します。素直ということは、そういうことをやりたいというものこそパワーが生まれるし、自分が突き詰められるものだと思うんです。
 吉川先生が言われましたね、吉川先生が参議院のあり方が問われている、そうなんです。きのう僕、TBSラジオに出まして、アナウンサーから言われました。今、社会では参議院のあり方が問われている、あなたは参議院をどういうふうに考えていますかと。僕、そのとき答えたんです。
 きょう調査会に来たときに、自分でちょっとだけ自信を持ったんです。長い年月をかけて僕たちはこういうことのテーマでちゃんと論じられるじゃないか、調査会ができるじゃないかということを、これで自信を持てたんです。それ僕、必要なことだと思うんです。
 それで、僕たち何をやらなきゃいけないのかとこの三カ月何ぼ僕はずっと悩んだんです。政治家ってじゃ何をするのかなと。
 僕自身悩んだんです。じゃ、僕に何ができるのか。やっぱり僕らパワーを与えたり、そして社会を明るくするべきもの。だけれども、好きこそ物の上手なれというものがあると思います。僕は、大野先生から言われたときに、はっきり言って児童虐待の現場も見てないし、ただテレビだけで、アメリカの保母さんが子供を殴ったとか、そういう現場があった。実際の現場、知りません。
 もしよろしければ、先ほど後藤先生が言われたように、少数でも、できたら二、三人でもチームができて、そのテーマをじっくり三年間やらせてもらえるなら、やっぱり自分たちが興味があり、それを研究し、またそれ答えが出たら僕、絶対に、これは世の中が求めていることですけれども、実行し、また実現しなければ何にもならないと思うんです。
 そういった部分で、自分たちがやりたいと思うテーマをじっくり三年間やれるのが吉川先生が言われた参議院のあり方じゃないかなと、そんな気がしまして、もしよろしければ、少数チームで自分たちのテーマを決めて、そして三年間じっくりやって、そして答えを出し、そして実行し、実現することが僕はこの調査会のあり方だと自分ながら皆さんの意見を聞いてそう思いました。

○田嶋陽子君 先生という言葉、抜かしていいですか。さんづけでいいですか。

○会長(小野清子君) はい、どうぞ。

○田嶋陽子君 何か面倒くさくなっちゃいました。
 先ほど山下さんが命、生きるとか、そういうことをどう考えるのかと言いましたけれども、今ここで話していることはすべてそのことで、児童たちが虐待を受けていることは命をないがしろにされていることですし、女性が男性から暴力を受けていることも、命がないがしろになってみんな生き切れないんですね。老人が虐待を受けているのも、自分たちの命を全うできないから、それでみんなが頑張って法律つくっているわけで。全部、例えばDV法、女性虐待も児童虐待も弱い者いじめなんですね、違う言葉をかりれば。
 私がフェミニズムをやったのは、皆さん御自分のことを話しますから私も話しますと、私は母親から児童虐待を受けていたわけです、しつけの名において。それを私はフェミニズムでどうしてなのかを一生かけて、結局考えて終わったわけですけれども。
 どういうことかというと、女の人は自分の命を生き切れないときに自分が愛している者にその甘えをぶつけていくわけですよね。いろんな暴力は全部弱い人に向けられているわけです。本当に受けた暴力を、自分に暴力を加えた強い人に、加害者に向けられれば、これはないけれども、この世の中はすべて上下関係でできているから、結局は腕力を持つ人が怖いから、その人には向けられないから、その次の人に向けていくという、これです。だから、女性が子供を、お母さんが子供を虐待するのは、その夫から暴力を受けている人が多いわけです。そのストレスですね。
 そこをたどっていくと、だからさっき家父長制に、父権制に、男が偉いんだ、男が家長なんだという、いやいや、うちは夫は弱いですよ、奥さんから給料もらっていますよなんていうのはそれはうそで、それはそうかもしれないけれども、法律上はやっぱり男が戸主なんですよね。そういう法律を変えていかないと、構造を変えていかないと、この虐待は直らない、みんなが命を生き切れないということを今話しているんだと私は理解しています。
 そして、児童虐待の問題は私もやりたい問題です。でも、これを法律でどうこうすることは、ドメスティック・バイオレンスと同じで、とりあえずは法的対処法です、対処法です。その人たちを逃がしてやり、その人たちが少なくとも残りの命を生きれるように、対処法です、守ってあげるわけですよね。そして罰するわけですけれども、根本は意識変革をしないと何も変わらないわけですよ。
 その意識変革と深くかかわっているのが国の構造なんですね。女性差別の構造なんです。家族制なんです。ないと言っても残っている。そして、抜本にあるのが法律なんですね。日本の法律はまだ封建制度そのものの法律、女に関しては特に、女の体に関しては、女の生きざまに関しては実に古いです。皆さんもおうちに帰れば、例えば男の方たちは自分の妻に自分のことを主人と呼ばせていたら、これは法律はまだ、法律じゃなくて慣習もまだこれは封建制度です。あらゆるところが近代化されているのに、脱近代、超近代と言われているのに、男と女の関係が封建的だから、そこからくるあらゆる抑圧やひずみが女子供の関係に、男と女の関係に来ているんですね。
 ですから、児童虐待もDV法もこれは対処法ですが、その抜本にある意識構造を変革するのにはどうしたらいいかというと、たまたま一つの例としてその抜本にあるのが、さっき高橋さんがおっしゃったような天皇家の中を変えること、そこを民主的にすることがもしかしたら遠くても近い道なのかもしれないという一つの提案はできると思います。
 ちょっと命のことに関して言わせていただきました。山下さん。

○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 私は、参議院の役割という議論がございますけれども、私の中では大変明快でございまして、結局、数の論理に対する立憲主義の実現と、これを担っているのが上院と裁判所であるということは自明の理でありまして、我が国の上院である参議院が立憲主義の実現を図るというのがその役割だろうと。とりわけ、日本においては司法消極主義でありますから、そういう意味でも参議院の課せられた役割というのは大変に高いと。じゃ、立憲主義の最たるものは何かと。これはまさに基本的人権の実現ということでありまして、数の論理の中で埋もれてしまう特に少数派のまさに人権といいますか、平和と幸福の確立ということについて、やはり参議院が率先して取り組むべき役割を持っているというふうに思います。
 とりわけ、まさに調査会というのは、何人の先生、何人の方からも御発言がありましたように、中長期的な課題についてじっくり取り組んでいくということで、調査会こそがこの立憲主義の実現ということについての最大の責務を負っていると、こういうことだと思います。
 では、翻って、この共生社会の調査会は何をすべきかと。二十一世紀の課題は、まさにマルチカルチュアリズムの時代においてどのように少数派というものの尊厳というものを確保し、さらにその実現をしていくのかということになりますから、そのマルチカルチュアリズムにおける少数派問題ということをきちっと取り扱っていくと。過去三年間の調査会の活動も、そういった基本方針に非常に沿った活動が行われてきたというふうに思います。
 先ほどから議論を聞いていますと、児童虐待にするのか、それとも男女にするのかという二大争点のごとくなっておりますが、少しお話を申し上げたいのは、私は、実はプロップ・ステーションというNPOをお手伝いしております、この七年間ほどですね。ここは何をしているNPOかといいますと、障害者を納税者にという運動をいたしております。しかし、ここで障害者の訳として、我々はハンディキャッパーという言葉は一切使いません。皆さんにチャレンジドという言葉を覚えていただきたいわけであります。
 この中には一神教者、多神教者、いろいろいらっしゃるんで、そこはケネディ大統領がこう言っているということで御理解いただきたいんですが、これはケネディ大統領が大変好んで使われた言葉でありまして、神から挑戦する機会、使命を与えられた人々ということでチャレンジドという受け身形になっております。
 ここで我々が言っているチャレンジドというのは、もちろん知的、身体的障害者は含みますが、しかし老人もチャレンジドであり、そして子供もチャレンジドでありという、別にすべて、今の社会構造の中から歴史的、制度的に挑戦を強いられている、そしてそのことを、先ほど大仁田委員もありましたけれども、前向きにポジティブシンキングでとらえて、具体的なその活動をしていこうとしている人をチャレンジドといい、それを応援をしていこうというのが我々のNPOの基本方針であります。
 昨日も、チャレンジド・ジャパン・フォーラム第七回、これ七年目に入っておりますが、その初回から私は携わってきたわけでありますが、このような発想で、二項対立ではなくて、もう少し新しいパラダイムというものについて御議論ができないかなと。
 私は、個人的にはこのリプロダクティブヘルス・ライツの問題というのは大変重要な問題だと思っております。それは、チャレンジドの中の非常に重要な一部として、部分、対象者として、現在のあるいは過去の歴史的な、あるいは制度的な日本社会の背景において、女性がチャレンジドであるということは私も現状認識として認めるべきだというふうに思っていますが、しかし、そのチャレンジドは女性がすべてではないと思います。なので、こうした発想に基づく御議論をいただきたいなということでございます。
 例えば、児童虐待の問題、これも大変な問題だと思っていますが、ちょっと皆さん、もう一回ドメスティック・バイオレンスということを文字どおり訳しますとどうなるか。ドメスティックというのは、これ家庭内ということですから、家庭内暴力防止法というのがドメスティック・バイオレンス防止法の正式な訳でございます。現行法は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律となっておりますが、配偶者からの暴力を初めとする家庭内における暴力の防止というふうに例えばDV法を改正していくということになれば、その第一類型としてはその配偶者、しかし、通常男性が暴力を行うときというのはそこに子供も巻き込まれている可能性というのは非常に高いわけでありまして、別にそのことを排除する、児童虐待を排除する必要はないわけであります。
 特に、現行児童虐待の実態を見ますと、家庭外の問題については児童福祉法など、あるいは刑法によってそれなりの対応が、もちろんここも不十分でありますが、しかし、とりわけ問題なのは、家庭内における、あるいは隠ぺいされた、クローズなサーキットにおけるいわゆるバイオレンス、要するに弱者に対するバイオレンスが問題でありますから、例えばこうしたDV法という議論をもとにこの対象を広げていくというような議論の設定の仕方もできると思います。
 それは別に、最後の法律論でありますからいいんでありますけれども、いずれにしても、そうした二項対立から超えて、我々が新しいやっぱり我々なりの概念設計というかフレームワークというものをつくっていくということを少し最初の間は考えていって、その共通理念の中で、社会的ニーズの高い問題からそのワーキンググループなり対象別に個別の議論をしていく、あるいはそれを包括法ということで実現することも可能なのかもしれないということを思います。
 それから、最後に申し上げたいことは、もちろん世論の喚起ということは極めて重要であります。しかし、国会議員が独占的に行使できる権利は何かというと、これは立法の権利と、それから税金の徴収とその配分については、これはほかの方はできない、まさに国民の皆様方から我々に独占的に負託をされている権利であるということからしまして、私は、最終的なこの調査会の成果物としてはきちっとした法律という形で提起するということがやはり望ましいし、そのことが私は国民の皆様方の負託にこたえる最大の方法論だというふうに思っておりますし、とりわけ超党派で取り組めるという調査会のメリットといいますか、最大のメリットをもかんがみまして、そうしたDV法に倣った形の法案制定に向けたアウトプットが出ることを強く期待をいたしまして、発言にかえたいと思います。

○田浦直君 今、いろいろ議論が出ていましたけれども、どのテーマにするにしても私は立派なものだと思いますし、それぞれ我々の努力によっては立派な成果をまた上げることができると、そういうふうに思っておるわけですね。
 そのテーマを選ぶのにはいろんな考え方があると思うんですけれども、今出ております例えば障害者あるいは虐待を受けた児童とか外国人とか、いろんな方々がおられると思うんですよね。私は、この調査会にはそういう方々は直接的にはおられない、おられないから発言する機会もないわけですね。したがって、我々はやっぱりそういった方々の声を代弁してやらぬといかぬという、義務ではないけれども、そういった配慮はまた必要ではないかなと思うんです。障害者がおれば、恐らく障害者は障害者を対象にしてくれと、虐待されている子供がおれば、早く自分たちの意見を聞いていただいて改良していただきたいということを発言するだろうと思うんですよ。その場を与えられないわけですね、先ほど先生がおっしゃっていましたように国会議員でなければ発言できない、この場では。だから、私どもはやはりそういうものも配慮をするという政治家としての一つの使命というものは忘れてはいかぬ。
 だから今、女性のことについて、これはもうこの世の中は男と女ですから、一番大きなテーマであるのは間違いないわけですけれども、そういった方々から見れば、障害者とか外国人とか虐待を受けている児童とか、早く自分たちのことも話していただきたい、女性についてはもう三年間もやったじゃないかということを、おられれば言うかもしれないなという気もあるんですね。だから、その辺を我々は政治家としてひとつ十分酌み取りながら命題を、テーマを決めていかなければいかぬのではないか、そういうふうな私は気持ちを持っております。

○岡崎トミ子君 先ほどはDV法に関して、これから三年後の見直しに向けてのフォローアップという意味で、被害者保護に関して体制を整えるスタートラインについたのだと。そこから、これからが問題だということについて発言をいたしました。それは定期的にやっていただきたいという提言でしたけれども、これから扱うべき問題としては、男女共同参画社会基本法が成立いたしましたときに、これは理念法ですから、DV法を個別で当たると。それから、リプロダクティブヘルス・ライツ、性と生殖に関する健康と権利も法律として個別法で扱うというのが問題として残されていたというふうに思うんです。
 それで、少子化に関する、女性たちが政府に望むこと、世論調査によりますと、上位四位の第一位のところでは、まず教育費の支援、第二位に子育ての経済的な支援、そして第三位に仕事と家庭の両立支援法、第四位に企業の雇用慣行ということで労働時間の短縮などが挙げられておりますけれども、私たちが大事なのは、なぜ子供を女性が産まないのかというこのことに関して耳をしっかり傾けて対策を打っていないと。
 十一月二日に、小宮山洋子参議院議員、民主党の、本会議質問の中でも、国の方で扱っている会議、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議、これは、会議は立ち上がったけれども、当事者の声を取り入れた支援策が十分とられてこなかったので少子化がどんどん進んでいるというようなことについて触れているんですが、やはりいつ何人子供を産むか産まないかということに関して、選択の自由というのは女性が自由に選び取ることができるという、それが世界各国で今重要視されてきている問題で、これまでの中にも、カイロ会議の問題ですとか第四回の世界女性会議の問題で、基本的権利だということについてここははっきりしたわけですね。
 そうすると、今までの話の中にも、田嶋さんの話にもありました家父長制の問題、体と性という問題は国とか宗教とか家父長制とか道徳などによって管理、支配されるものではない、自分自身のものなんだという、ここが大変重要なポイントでして、昨年の十一月一日にこの共生社会調査会での参考人の芦野由利子さんの中でも、大変重要なものは、一、個人の選択の自由と自己決定権の尊重、二は女性と男性の間にある社会的、文化的につくられたジェンダーの是正、三番目に生涯を通じた健康という視点、四に優生思想の排除ということで、こういう視点から、性と生殖に関する健康と権利が少子化を考えていく上での基本的な考えではないだろうかということについて私たちも参考人から学びましたので、ぜひ次回からはこの問題については取り上げていただきたいなというふうに強く申し上げたいと思います。
 以上です。

○渡辺孝男君 今までいろんなテーマについてお話ありましたけれども、これまでの三年間、女性の問題についていろいろ取り上げてきたわけです。またゼロからスタートというのでは、やはり調査会としてこれまでいろいろな参考人の方からも御意見聞いておりますので、またゼロからスタートというのは問題ではないか。今までの調査の結果を踏まえた上で、欠けているもの、あるいは継続的に調査をしなけりゃならないもの、そういうものを選別して継続のテーマとしていただければいいのかなと、そのように思います。
 そしてまた、今まで取り上げられてこなかった健常者と障害者、あるいは日本人と外国人、あるいは現役世代と年金世代などの社会、最初の共生調査会を考えたときにこういうテーマも上がっておりましたので、今まで取り組まれていなかった調査課題について一年ぐらいの単位を決めて、少し長目にやるテーマを決めていただく、そのほかのものはサブテーマとして時折によって大事なものを臨時に取り上げていただく、そういうことでいいのかなというふうに私は考えております。
 障害者のことが大分先ほどから話題になりました。私も、人工呼吸器を使いながら勉強をし、あるいは家庭生活をしている方々ともいろいろ意見交換しているんですが、そういう方々もやはり医療的ケア、医療行為というものが規制があって吸引行為ができないという現実の問題がございます。そういういろんな制度によって困っている方もおられますので、私は、第一年目の、直近の一年目は障害者と健常者の問題をまず取り上げていただいて、あと、その時折々にドメスティック・バイオレンス、児童虐待、そのほかのリプロの問題も取り上げていただければと、そのように思います。

○吉川春子君 皆さんからの意見を伺っていましてもう本当に刺激を受けまして、自分がちょっとまとめられなかった考えもピントが合うような思いをして、フリートーキングというのはこういう効果があるのかなと思って伺わせていただきました。
 それで、方法論と内容について二つ議論があったと思うんですけれども、方法論としては、テーマがたくさんあるからそれぞれ小グループに分かれてやったらどうかというような御意見もありました。
 実は、十八年前ですか、古い話なんですけれども、私、一番最初の、特別委員会とそのころ言ったんですけれども、調査会では、たしか高齢化社会と科学技術ともう一つは公共事業だったかと思うんですけれども、小委員会三つに分けまして、それで同時並行的にやりながら時々全体のフルメンバーで調査をやるという、そういうことを思い出しましたけれども、後で理事会で御相談になると思うんですけれども、方法論としては、もうそれぞれ甲乙つけがたいテーマがあるときはそういうこともあるかなという感じがいたしました。
 それから内容なんですけれども、確かに家族という問題がどちらの立場からとっても一つ大きなテーマとして浮かび上がっているかなと。そして、DVと実は虐待が結びついている、テーマとしてですよ、というような新たな切り口もあったりして、大変何というんですか、今までと断絶した形でぱっと新たにというんじゃなくて、何となく継続性を持ちながらできるんじゃないかなと思いました。
 いずれにしましても、非常にいろんな示唆的な御意見がありまして、やっぱりうまくまとめて、皆さんの御意見は立法という形で果実を生み出したいと。立法に限らないと思いますが、そういうことでは一致していると思いますので、成果を焦るという意味じゃなくて、新たな分野に国会として切り込んでいって、国会議員らしい調査をしながら新たな果実に結びつけられればということは、私も皆さんと同じ考えであるということを申し上げたいと思います。

○鈴木寛君 私、リプロダクションということについてぜひ共通の御認識をいただきたいという立場から御発言をさせていただきますが、これも文字どおり訳しますと、要するに次の世代をいかに再生するかと、こういうことですよね、産み育てると、こういうことであります。
 それで、児童虐待というのは、まさに次の世代に対する直接的、物理的脅威をこれは児童虐待と呼んでいるわけであります。それで、いわゆる私はリプロダクティブヘルス・アンド・ライツというのはもっと広い概念だと思っていますけれども、その最大の庇護者といいますか、育成者に対する脅威を議論しようというのがこのリプロダクティブ・ライツであるわけであります。
 ただ、いずれにしても子供に、次世代に対する直接的な脅威も、あるいは間接的、準間接的といいますか、準直接的、密接不可分な脅威も、それから物理的な脅威も、法的なハラスメントも、あるいは経済的なハラスメントも、これはやっぱりすべて同じ話といいますか、要は皆さんの思いは次の世代をいかに健康に、そして幸せに、平和的に育てていくかと、こういうゴールにおいては全く同じでありまして、その方法論はどっちが大事じゃなくてどっちも大事なわけでありますから、一つは、そういう次の世代をどう育てていくかということについての共通の議論のフレームワークはできるのではないかというふうに思っております。
 その中で、女性というものは大変重要な役割、最大の役割を果たすということについて、私はもちろんそういう立場でございますけれども、その中での議論というのはできるんではないかと思います。

○田嶋陽子君 ちょっと余り変な結びつけ方をしないでいただきたいと思います、想像力は買いますけれども。
 リプロダクションそのものは再生産ですけれども、リプロダクティブヘルス・ライツと言ったときには女性の生殖に関する権利なんですよね。女性が、さっき岡崎さんがおっしゃったように、自己決定して、自分の体を自分で守り、同時に産むか産まないかも女性が決めるというそういうことであって、もちろんそれは大きく考えれば今おっしゃったように将来の子供とか何かにかかわります。ちょうど子どもの権利条約があるのと同じように、女性にもやっとそういう権利が、一九九四年のカイロですね、認められて、そして九五年の北京会議でそれはもう国際規模のものになったんですね。ですから、それとこれとはまた別だということをきちんと理解してほしいです。その上での子供のことというふうに考えていただけるといいと思います。
 未来の子供があるから女性があるんじゃなくて、今の女性があるから未来の子供もあるという、そこを相変わらず女を産む道具にしないでいただきたいと思います、発想のことですけれども。
 以上。

○有村治子君 手短にいたします。
 鈴木寛先生がおっしゃったように二項対立で、虐待の問題とか女性の問題ってこれは二項対立じゃなくて、全部そんなに対立する概念じゃないんじゃないかというのに全くもって賛成でして、あと、田嶋先生……(発言する者あり)

○会長(小野清子君) 私語はこの際お慎みください。

○有村治子君 あと、田嶋先生のこの直近ではなくて一つ前の議論だったんですけれども、女性も弱い立場を強いられてきたというのはそれは私は同感なんですが、私が今、私にも愛する夫が実はいるんですが、彼の話や彼の同僚の話を聞いて思うことは、男性も困っているという……(発言する者あり)

○会長(小野清子君) 少々御注意申し上げます。
 発言者がいるときには私語をお慎みください。

○有村治子君 私自身は、やはり今まで確かに二項対立では女性が虐げられてきたとか、あるいは子供が虐げられてきたという議論もありますけれども、私が家庭ということにこだわるのは、なるだけより多くの人たちにこの議論に参加してもらいたい、そして共感してもらいたいということを考えますと、女性ばっかりがという議論じゃなくて、やっぱり男性も困っている、男性も声なき声があるというところも認識した上で、本当に健やかな気持ちで、そして社会的な環境で家庭を生み育てられるか、あるいは愛情をはぐくんでいけるかという議論も非常に大切で、より多くの人が入っていけるような議論を展開していくということも大事なことだと思います。
 以上です。

○有馬朗人君 私は、児童虐待を、せっかく法律ができながら依然として十分阻止できないというのは残念に思っています。
 確かにいろいろ御議論があって、この調査会として何かの格好をまとめなきゃいけないというお気持ちはよくわかるけれども、ともかく現実問題として児童虐待があり、あれだけ子供が死んでいるような状況のもとで何とかしなきゃいけないと。これはだれがやるかというと、やはりここしかない。今のところここしかないと私は思いますので、やはり早急に、半年なら半年、一年なら一年でこの問題を相当解決すべく、まず一つ答えを出していったらどうかと思うわけです。
 同時に、それ以外のいろんな御提案もきちっと取り上げて、実行できるものはしていったらどうかと思います。

○田嶋陽子君 最後になると必ず、男も苦しい、困っているって、必ずそういう意見なんですよ。もうそういういい子ぶった意見はなしにして、男が一級市民で女が二級市民って、これ国際的に認められたことで、その立場改善のために頑張っているんですから。
 それで、やっぱり一番苦しいのは、もしかしたら戦争中も一番地位の高い天皇陛下や、そうでしょう、偉い人たちが一番苦しかったんですよ。だから、ここは、男性中心社会の中で男性がいろんな権力を持っていらっしゃれば、その分すごく苦しいんですよ。それとこれとは別な話でということを私は一言言いたいと思う。
 必ず最後は、男も苦しんでいる、だから男は頑張って状況を変えればいいじゃないですか、そうでしょう。私ら女の人も頑張っているんだけれども、二級市民は仕方がないんです、男の人の助けをかりないと、国の助けをかりないと、命も危ないんですよ。そのことをきちんとやっぱり認識した上で、私は児童虐待、やることはちっとも反対じゃありません。賛成です。賛成ですけれども、考え方の基本というのをもう少し考えていただけたらなと思って。
 二項対立はしていないと思います。

○羽田雄一郎君 多くの御意見が出されて、大変大切な問題だと私も考えておりますし、ただ児童虐待法、これは三年後ですからあと二年で見直しということになります。これに対してきちんと意見を聞いて、そしてこの調査会でよりよいものに、実効的によりよいものにしていくことが大切であろうと思いますし、DV法もせっかくここの調査会でつくったものでして、そして三年後には見直しがあります。この三年間でやはりきちんとフォローアップをしながら見直しに向けてきちんとした議論をしていかなければならないと。この二つは必ずやらなければならないものであると思います。
 また、一つ一つ今まで出された問題も大切な問題ですから、その間、間にきちんと議論を深めていくような形で進めていければいいんじゃないかなということを皆さんの御意見を聞きながら感じました。
 あと、一番最初に大仁田さんが言われた、僕に対して言われたものですから、これに関してちゃんと答えておかないと、後で答えをさせていただいてもいいんですが。
 大平総理時代、オイルショックが起きまして、省エネルックという形でこれは議会の議運で決まった制服でございますんで、半そでの。スーツ着用が国会内は義務づけられています。その中で、半そでのスーツは認めるということで議運で決定されているもので、学生服は学生の制服ですから、これで国会に入ることと議運で決まったスーツと同様に認めるというものを一緒にされると困るということ。
 そして、あと障害者と健常者の問題。これは、子供のころからなるべくともに生きるという中で、今少子化の中で空き教室があったりします。ですから、できることは一緒に子供のころからやっていくことが僕は大切だと思っていますし、健常者、障害者という分け方はどうかと思いますけれども、先ほどチャレンジという話もありました。今、核家族化して、なかなか健常児、いろんなところから刺激を受けることが少なくなって、言われたことしか感じられなくなっているそういう中で、一緒に生きていくことによって得るものは大きいんじゃないかなということを感じていますので、そういうことはしっかりと議論をしていきたいなと思っています。

○会長(小野清子君) 御意見も尽きないようでございますけれども、御発言よろしゅうございますね。
 他に御発言もないようですので、本日の意見交換はこの辺で終わらせていただきたいと思います。
 委員各位には貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。ただいまの皆様方の御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。
    ─────────────

○会長(小野清子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますけれども、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○会長(小野清子君) 御異議ないと認めます。
 また、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと思いますけれども、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○会長(小野清子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

○会長(小野清子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続につきましては会長に御一任願いたいと存じますけれども、御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○会長(小野清子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らわせていただきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十二分散会