150-衆-内閣委員会-2号 平成12年10月26日

平成十二年十月二十六日(木曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 佐藤 静雄君
   理事 大野 松茂君 理事 阪上 善秀君
   理事 平沢 勝栄君 理事 持永 和見君
   理事 荒井  聰君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 塩田  晋君
      岩倉 博文君    岡下 信子君
      熊谷 市雄君    高木  毅君
      谷川 和穗君    谷田 武彦君
      近岡理一郎君    根本  匠君
      二田 孝治君    森  英介君
      井上 和雄君    石毛えい子君
      仙谷 由人君    中田  宏君
      長妻  昭君    楢崎 欣弥君
      山花 郁夫君    白保 台一君
      松本 善明君    植田 至紀君
      北村 誠吾君    粟屋 敏信君
    …………………………………
   国務大臣
   (内閣官房長官)     中川 秀直君
   国務大臣
   (総務庁長官)      続  訓弘君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   内閣官房副長官      上野 公成君
   総務政務次官       海老原義彦君
   沖縄開発政務次官     白保 台一君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (人事院給与局長)    大村 厚至君
   政府参考人
   (総務庁人事局長)    中川 良一君
   政府参考人
   (外務大臣官房審議官)  横田  淳君
   内閣委員会専門員     新倉 紀一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十六日
 辞任         補欠選任
  熊谷 市雄君     高木  毅君
  井上 和雄君     長妻  昭君
  山花 郁夫君     仙谷 由人君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     熊谷 市雄君
  仙谷 由人君     山花 郁夫君
  長妻  昭君     井上 和雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(内閣提出第一四号)

    午前九時一分開議
     ――――◇―――――

○佐藤委員長 次に、植田至紀君。

○植田委員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 きょうは、給与法の改定にかかわっての話は後でしますけれども、まず簡単に、官房長官にお伺いしたきお話もございますので、御答弁いただければと思います。
 まず、せんだって人事院勧告が出た際にも私は官房長官にお伺いしたことがございまして、それはどういうことかといいますと、ひょっとしたら官房長官はお忘れかもしれませんが、議事録がありますので、内容証明の郵便は必要じゃないと思いますが、ここで、いわゆるイギリスの大臣規範にかかわって、日本でも厳格な行動の規範を定めていく必要がある、どうでしょうか官房長官ということでお伺いしたと思うのです。
 そのときに官房長官の方も、従来より、国民の疑惑を招くような行為は厳に慎むということで、倫理の保持に万全を期すということを申し合わせてきているということをおっしゃった上で、こうした申し合わせが、閣議の申し合わせであったり官房長官の発言であったりあるいは閣僚懇談会の申し合わせであったり、幾種類か積み重ねるような形で来ておりますので、そういうものもきちっと一本にまとめて整理することも必要であるかな、そんな観点もございまして、種々これから検討していかなければならぬというふうな御発言をされておるわけです。
 この件については、今回、やはり行政府に参画する政治家として、新たに一本にまとめたそういう規範というものが必要だ、また、そうしたものをつくっていくためにそれを検討していきたいという意思をお示しされた、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。まず、その点についてお答えいただけますでしょうか。

○中川国務大臣 植田委員の前回の内閣委員会においての御質疑はよく記憶をいたしております。そこで申し上げました、中央省庁再編、新省庁体制が明年の一月六日から始まる、これを受けまして、副大臣や政務官等々新しい体制もまた始まってくるわけでございますので、今日までございました、今お触れになった申し合わせあるいは官房長官発言、閣僚懇での申し合わせといったようなものを一本にまとめまして、なおかつ、でき得れば、公務員の政治的中立性を守るということについて、大臣がそれを犯してはならないといったようなことも十分視野に入れながら検討して、そして大臣規範という形でまとめられたらいいのではないか、こういう観点から、今、官房において検討を進めているという状況にございます。

○植田委員 これは前向きにやっていただきたい。もし、中川長官が長官を続けられるのであれば、これはひとつお仕事としてやっていただければと思うのです。
 ただ、従来から、こうした国民の疑惑を招くような行為は厳に慎むということで常に申し合わせをやられていることは、現在でもやられているわけですよね。そして、もし万が一、いろいろな問題が起こってくる、過去、現在にわたって現職の閣僚にさまざまな問題が起こってくる、そういう場合、例えばですよ、だれがどうしたこうしたということを私は聞こうとは思いませんが、例えば覚せい剤の疑惑で、現職の大臣が過去、現在において何かそういう問題があったんじゃないかというようなことで追及をされるような事態が起こったときに、当の本人がうそを言ったり、国民が納得できぬような説明しかされていなかった場合、やはりそういう場合は国民の疑惑を招くような行為に該当するんじゃないかなと私は考えるのですが、長官の御所見はいかがでしょうか。

○中川国務大臣 そこに違法性があり、そしてまた法に触れるような行為があるという場合には、やはり国民の疑惑を招くのであろうと存じます。大臣の職にある限り、その職責を全うするそのときに、そういうような法に触れること、また国民の疑惑を招くということが起きた場合は、当然、そこは厳に慎まなければならぬことですし、また、行為規範に具体的にそういうことまで書くかどうかは別として、やはり責任を明らかにしていかなければならないケースではないかと思います。

○植田委員 官房長官は、男女共同参画の担当もなさっておられますよね。私自身、この内閣委員会でも一般質問をやるときには、特にこうした男女平等社会に向けた課題について、一度やらせていただきまして、これからもやっていきたいなと思っているのですけれども、これからの、例えば、最近はDV、ドメスティック・バイオレンスに関しての問題等も答申が出ておりますけれども、やはり二十一世紀、男女共同参画社会というものをしっかりと形成していく上で、男女共同参画担当大臣として要求される資質というのはどういうものだと長官はお考えでしょうか。

○中川国務大臣 今、男女共同参画基本法に基づきます基本計画を策定すべく審議会からも御答申をいただいて、そしてその作業に取り組んでいる最中でありますし、明年からは新しい男女共同参画局、新しい体制も、担当大臣もできましてスタートしていくわけでございます。
 この審議会の答申では、男の役割とか女の役割とか、そういう固定的な役割ではなくて、やはりジェンダーフリーといいましょうか、そういう新しい観点での個人の選択性といったものも十分視野に入れるようにといったような観点もございました。そういう意味で、二十一世紀の共同参画社会は日本の社会の新しい発展のために一つの大きなかぎでもございますから、そういう意識を持ったものが必要であろうというふうには思います。

○植田委員 当然、男女共同参画社会基本法に書かれている中身、それを具体的に実現するという意味では、そういうことを十分認識しているというのは一つの条件だろうとは思います。ただ、そのことを読みました、理解しましたというだけで資質がありますとはなかなか言いがたい面もありまして、やはり公私ともに、男女共同参画社会の形成に向けて適性を持っているかどうかということも問われるべきものだろうと私は思うのです。
 そういう意味で、例えば、過去、現在にわたって、恋愛関係にあった女性に対して不実を働いた、また、不実を働いたなどとあちこちで言いふらされたというふうなことをされた方というのは、当然ながら、ちょっと男女共同参画という観点から見てふさわしいのかな、いや、やはりふさわしくはないのと違うかなと私は思わざるを得ないのですけれども、長官の御見解をお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 記者会見でもそれは申しましたが、今委員がお触れになったようなケースは好ましいことではないと思います。
 しかし、翻って、現在私は、その担当大臣として、この基本法に書いてある、男性も女性もいろいろなものを、喜びも、また家政のそういったお互いの共同参画の気持ちも、お互いに分担し合ってやっていく、こういう基本法の精神にのっとって、今職務に、至りませんが全力を尽くしているところでございまして、過去の私事、そういうことだけで左右されるということではなく、その職にあるときにそういうことをきちっとやっているかどうかが大切なことなのではないか、このように考えます。

○植田委員 いや、今記者会見とおっしゃいましたけれども、私は一言も主語は申し上げてございません。長官が何かしたからその件についてこうだとは聞いていないつもりだったのですけれども、身に覚えがおありだということを私も認識させていただきます。
 さて、これも一般的にですが、大臣の資質としていろいろな条件があると思いますけれども、その一つにやはり記憶力というのはあると思うのです、大臣の資質の中で。私はそう思うのですけれども、長官の御見解をちょっとお伺いできますでしょうか。あると思うか思わないかだけで結構です。

○中川国務大臣 お尋ねの趣旨がわかるようでわからないところもございますが、記憶力というのは、やはり個人差もあろうかと思いますし、また状況によって、年齢によって弱まるところもあろうかと存じますし、状況にもよるものだと思います。本当にある意味で、きちっと記憶にとどまるようなそういう状況と、また、記憶にとどまらないまますっと終わってしまう事実もあるのではないか、かように考えますから、それは一概に言えることではない。
 それからまた、閣僚と記憶力というもの、これが明確に、数量的にこれだけは必要だ、そういうことは簡単には言えない。記憶よりも大事なのは、やはり職務に対する熱情だとかあるいはまた精神だとか、そういうものの方がもっと高い評価を与えるべき、そういう要素だってあるのだろうと存じます。

○植田委員 いや、別に、大臣の資質すべてを私は言おうとしたわけじゃないですから、その一つにはそういうこともあるでしょう。当然職務に対する情熱も必要だと思います。私だって物を忘れますし、十日前の晩御飯がサンマだったかアジだったか、そんなの一々覚えていません。そういうレベルの話で別に私は議論しようとは思いませんけれども、当然そういう意味では、人間も物忘れをする生き物ですから、忘れることも多いわけですね。
 ただ、少なくとも重要な問題について、これは長官が主観的に重要と思われるかどうかではありません。少なくとも重要な問題について指摘される場合、そういうことについて記憶がないとおっしゃる場合、そういう記憶力のなさというのは、やはり資質ということが問題にされるのじゃないかなというふうに思うのですけれども、御見解はいかがですか。

○中川国務大臣 これまた余り抽象的過ぎて、どうお答えしていいのかよくわかりませんが、重要な問題という、価値観といいましょうか、判断、認識というものは、その都度個人個人で判断、認識していくしかないのだろうと思います。一々これは重要でしょうかと、本人が判断するのじゃなくて、周りに聞きながら、これだけは覚えておかなければいけないというような、そういうことはなかなかできないわけで、長い人生の中には、やはり覚えておかなければいけないことだったけれども、それだけのまた状況でなく、相手の名前を忘れておったり、あるいは本当にお会いしたんだかどうだか、先生だってそういうことがおありになるでしょう。
 今まで私も、本当に何万人という方々にお会いし、それを二十数年続けておれば、それ掛けるもう本当に大変な倍数の数お会いしておるわけですけれども、その全員を覚えておる、あるいは本当にお顔を合わせたことも全員覚えているということは、私は不可能だと思います。植田先生、私が逆に反論というか、お尋ねして恐縮ですが、全員覚えておられましょうか。私は、それはなかなか難しい。
 一般論でお尋ねでございますから、そういうようなケースも含めて、一々、これだけは覚えておかなければいけないと、その都度周りの方々に聞きながら、御意見を伺いながら覚えておく、そんなことはできることではないのではないでしょうか。

○植田委員 いや、私も、人間は当然物を忘れる生き物やと言うているわけです。だから、重要な問題についてぐらいは、記憶がありませんというのは、これはあきませんやろという話をしているわけですよ。
 例えば、国民から現に疑惑を受けているような自身にかかわる問題に関して、事実かどうか記憶がないというふうにもし仮に国民におっしゃるようであれば、それはやはり資質にかかわるのじゃないですかということを言っているんですよ。いかがですか。

○中川国務大臣 その疑惑と言われていることをもう少し具体的におっしゃっていただきたいのです。そうでないと、どの部分が記憶が弱くて資質にかかわるのか、お答えしにくうございます。
 例えば、私が御指摘をいただいているような右翼団体幹部とお会いしたのかどうか、そこについての記憶が、そんな大事な、二十年前に疑惑だったわけではないのであって、今日出てきていることでございますから、それについて記憶がないのはおかしいではないか、こう言われるケースであるならば、先ほどお答えしたように、植田委員も、忘れることもあるんだ、覚えられないこともあるんだとおっしゃったケースのうちに入るわけであって、個々についてお答えさせていただきます。

○植田委員 いや、こちらはできるだけ、別に具体的な話をしたくないからしていないわけじゃないんですよ。はっきり言って、正直申し上げて、かつて、十年前だろうが二十年前だろうが、どこそこの右翼の幹部と酒を飲もうが飯を食おうが、別にそのこと自体一向に構わぬと私は思います。たまさか、それは知っていてか知らずかは別にして。恐らくまともな右翼だったら、自民党の国会議員と酒食をともにはしないでしょう、そういう骨太な人もいるでしょうから。
 ただ、要するに、忘れました、忘れました、植田さんも忘れることはたくさんあるでしょうとおっしゃるけれども、例えば、右翼の幹部、それも指定暴力団の幹部を兼ねているとされる方であるとか、女性問題にしてもそうです、覚せい剤疑惑にしてもそうですよ。いろいろな意味で、記憶がないとかいうことで、果たして国民に対する説明責任というのが果たせるんですか。
 もし、その記憶がないというだけではなくて、少なくとも、過去の事実関係について、自身は仮に万が一お忘れになっていても、当時の事実関係をとにかくどんなことをしてでもきちっと調査をする、そして、その上でそれをきちっと説明されるというのが、当然ながら大臣たる方に課せられた説明責任だと思うのです。だから、ある種の部分がどうしても記憶にないんですじゃ、これはちょっと困るわけです。だから、そこの部分を言っているわけです。どうですか。

○中川国務大臣 今お触れになった点でございますけれども、私が記憶がないと申し上げている点は、二十年、正確に言って何年なのか、要するに、調べているのですが、正確なところが特定できない、確定できない。つまり、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、たくさんの会合へ出ていて、どの会合でそれが御一緒だったのか特定できない。
 それから、少なくとも、御指摘されている方が右翼の幹部であるということを事前に知っていたなんという、そういうことであれば、私、もうちょっと記憶があるかもしれませんが、そういうことは全くない。たまたまどこかで同席したかもしれない、こういう話でございまして、そのように申し上げておるわけでございます。
 それから、調べている中で、例えば当時の、呉という地域の担当、その秘書はだれだったのか、それはたまたま、申しわけないが、私より年配、先輩の者が秘書で担当しておりまして、それは先年物故してしまいました。彼がいればもっとわかるんだろうと思います。しかし、それを聞くことができません。
 それから、今指摘されている方が本当にその当時そういう方であったのか、そしてまた、何の席でその方がいらっしゃったのか、大勢の中での会合でたまたま同席したかもしれない、そういう流れの中で、私自身の記憶がない、こう申し上げておるわけでありまして、いいかげんに申し上げているんじゃなくて、そのとおり私は申し上げておるわけでございます。
 それから、あとの事実、覚せい剤のどうのこうのというのは、記憶がないと申してはおりません。事実無根である、こう申し上げておるわけでございます。

○植田委員 さっきもちょっと申し上げましたけれども、仮に、中川官房長官が過去、例えば右翼団体の人と会食された、一緒に御飯を食べられたという事実そのものは、私はけしからぬとは思いません。それは、そこで悪巧みをすればだめですよ、悪いことを相談していた、悪いことをやっていれば。悪いことをするんであったら紳士と飯を食ったって悪いわけですから。しかし、それが暴力団相手であろうが右翼であろうが、たまさか、どういうわけかそこで対面しちゃったということ自体、別に私自身はそんなに問いません。社民党がそんなことを言うたらおかしいなと思うかもしれへんけれども、別にそれは構わないと思います。
 ただ、どうも、記憶にないとかなんとかかんとかおっしゃると、要するに、そういうふうに、隠ぺいされるような印象を国民は受けるわけですよ。そんなら何か悪いことをしておったん違うかいな、何かそういう相談あったん違うかいなということは、やはり疑われるわけですよね。私は疑っていませんよ、疑われるわけですよ。疑われればそれを晴らしましょうよ。
 やはり、それは、中川長官御自身の人権をしっかり守る意味でも、記憶にない、記憶にない、本当にそうなんだからそうなんですだけじゃなくて、とにかく丹念に、今も、なかなかその過去の事実を調べようがないとおっしゃったけれども、それを調べて、可及的速やかに調査して、納得がいく形でそれについて御報告をされるというのが、少なくとも大臣に課せられた説明責任ではないかと私は思うんですけれども、どうですか。きちっと調査されて、記憶にない以上の報告をきちっとしていただきたいんですけれども、可及的速やかにそれをされる用意はあるでしょうか。(発言する者あり)

○中川国務大臣 お約束は、完全にするということはできないかもしれませんが、引き続き努力をいたします。

○植田委員 速やかにそれはやっていただきたいと思います。
 何かちょっとひとり言が聞こえて、法案審議とおっしゃっていましたけれども、当然それは十分用意しておるつもりでございます。はっきり言って、こういう話については、正直言って私はそんなに時間はとりたくない。
 改めて申し上げますけれども、中川長官がどういう女性と交際されようがどうされようが、別にそんなことは私は何も関心がないわけです。ただ、そういう中で、少なくとも、グレーゾーン、どうもよくわからない部分がある。それが公人として疑惑と言われるわけですから、そのことを晴らすという努力をきちっとやっていただきたい、晴らされれば皆さん納得するわけですから。そうでしょう。

○中川国務大臣 私も努力いたしますけれども、こういう場でお取り上げをいただくからには、やはりお取り上げいただく方も、いろいろお名前も出ているわけでございますから、私が今皆さんが御指摘になっている方のところへ行って、これは事実はどうだったんでしょうかとお伺いするのは、私の立場ではない。私は、私自身のことについて、そういう会合に出席したのか、そういう中でそういう方がいらっしゃったのか、そういう観点から調べなければなりません。したがって、お取り上げいただくからには、一部報道でだけお尋ねいただくのではなくて、こういう疑惑があるのではないか、そして、こういうことではないかということもひとつ視野にも入れてお取り上げいただきたい、かように存じております。
 いずれにしても、そういうことについても、私自身も引き続き努力をしてまいります。

○植田委員 十分努力していただきたいと思います。その努力が十分に達成されなければ、それは当然出処進退にかかわってくる話でございますから、あえて辞任せよとは申し上げません。やはり立派な政治家でございますから、そうであれば、だれが言わなくてもみずから御判断されることだろうと思いますので、それ以上私も余計なことは申し上げませんけれども、当然、その結果いかんによっては出処進退にかかわるということだけは申し上げた上で、給与法にかかわっての質問の方に移りたいと思います。
 これについてはもう人勧のときにも幾つか御質問させていただいたんですけれども、給与法、これは公務員労働者のみならず、国民生活、地域経済にもやはり影響を及ぼすわけですね。それは、公務員の家族、年金生活者、また多くの中小企業がその人勧で給料を上げ下げしている。私の父親もそうでしたので、人勧、人勧というのは、なぜか中小企業に勤めているうちの父親も非常に関心事でした。
 そういう意味で、今回の、既にもう質問でも、詳細に塩田先生も取り上げておられますけれども、二年連続で年間ベースが落ちるというような状況の中で、非常に大勢の人が影響を受けるのではないか、そんなふうに私は考えておるんですけれども、この点について、まず総務庁長官に、どんなふうにお考えかということをお伺いしたい。
 それと、やはり、内閣の中核にお座りでございますので、官房長官にもその点についての御所見をお伺いしたいと思います。ひょっとしたら最後の答弁になるかもしれませんが。

○続国務大臣 先ほど松本委員、塩田委員にもお答え申し上げましたけれども、今回の給与改定は、政府として、人事院勧告制度尊重の基本姿勢のもと、民間が厳しい経済状況にあることなどを踏まえ、経済への影響などを含め国政全般の観点から十分議論を尽くした結果、勧告どおり実施を決定したものでございます。この点も御理解を賜りたいと存じます。

○中川国務大臣 ただいま総務庁長官がお答えになられたとおりでございますが、確かに二年連続のマイナスということでございますけれども、専門第三者機関である人事院が、植田委員もよく御承知のとおり、人勧、人勧とお父さんが言っておられたということですが、長年のそういう人事院勧告制度、こういうものにのっとって、民間の給与の実態等も正確に調査した上で出した答申。政府としてはこれを制度尊重の基本姿勢で決めていくというのは、これはもう当然のことでございまして、勧告どおり実施を決定した、こういうことでございます。
 いろいろ、国民生活や地域経済に与える影響等についても議論もいたしました。給与対策閣僚会議で議論もいたしました。しかし、最後は国政全般の観点から、そういう議論を十分した上で、勧告どおり実施するというふうに決定したものであります。

○植田委員 さっきも申し上げたわけですが、そういう意味で、民間中小はやはり定期昇給もないところも非常に多いわけですね。そして、人事院勧告がないと、うちの父親の例を挙げましたけれども、給与改定されないところもあるわけです。そういう意味で、人勧というのは、国、地方の公務員労働者の給与改定だけではなくて、今申し上げたように地域経済へ与える影響も非常に大きい。
 そういう意味で、国民からの関心も高いわけでございますけれども、そういう意味での人勧の機能として、公務員労働者の賃金、労働条件の決定機能だけでなく、定期昇給の仕組みが未整備の民間中小に働く人々に対する影響にも大きいものがあるというようなことを、やはり政府がしっかり受けとめて今後も運用をしていただきたいというふうに私は考えておるのですけれども、総務庁長官、御見解、御所見をお伺いいたします。

○続国務大臣 確かに今御指摘のように、ここで法案をお願いしている直接の影響は五十万人の国家公務員でございますけれども、なおそのほかに特別職国家公務員等々七百五十万人の方々に影響をするものであります。あわせて民間給与にも関係があると存じますけれども、先ほど来お答え申し上げましたように、いろいろな事案を検討した結果、人事院勧告を尊重すべしとの政府の方針を踏まえて今回お願いしておるわけでございますので、重ねて御理解を賜りたいと存じます。

○植田委員 今度は関連しまして、公務員の人数の削減にかかわって若干幾つかお伺いさせていただきたいのです。
 実際大幅削減になれば、当然公務員労働者の処遇や労働条件に大きくかかわってくるわけですけれども、まず、これはせんだっても申し上げたと思うのですけれども、大幅削減する必要があるならば、やはり現場とのしっかりした話というもの、現場の声というものをしっかり踏まえた対処策が必要であろうと思うのです。
 そこで、特に現場の声として切実な問題になっているのは超過勤務の問題であろうと私は考えるのですが、超過勤務については、昨年人事院として、三百六十時間を上限とする超過勤務の縮減の指針というのを出されているはずですね。そしてまた、先日の公務員人事管理の改革に関する報告でも、人事院として支援を積極的に行うというふうにされているようです。
 しかし、現実はどうか。例えば、きょうもお越しでしょうけれども、霞が関のお役人の皆さん、夜遅くまでどこの省庁でもこうこうと明かりがついています。恐らく日本の中で一番よう働いてはる人らやと、その点については非常に評価いたします。その状況は、実際変化がないわけです。今でもやはり、夜遅くまでこの霞が関の官庁街、明々と明かりがともっていますね。そういう状況は変わらない。いわゆるサービス残業というのも少なくないということは伝え聞いておるわけです。そういう中で、一九九六年度からの定員削減によって、職場では要員不足で、超過勤務というのは慢性化している。そして、労働過重と心身の健康障害、病気休業、自殺者の急増というふうな、そうした事例がやはり頻発しているわけです。そういう見過ごすことのできない状況にある。
 その意味で、総務庁はこの実態、サービス残業、公務員労働者の置かれている現在の労働実態についてどれぐらいまで正確に把握されているのか、どういうふうに把握されているのか。そして、その把握されている状況を踏まえてどうした対策を講じようとされているのか。その二点、お伺いできますでしょうか。

○海老原政務次官 超過勤務の実態把握、それから、それに対する対策という御質問でございます。
 超過勤務の実態把握というなかなか難しい問題でもございます。簡素で効率的な行政の実現の要請を踏まえまして、国家公務員について、必要かつ最小限の定員によって業務の遂行に当たるという一つの前提があるわけでございまして、新規行政需要に対処するために、毎年度所要の増員措置を行うなどによって必要な人員を確保した上で、一時的な業務の繁忙に関しては、必要に応じ超過勤務等により対処しているところでありまして、超過勤務というのは、本質的にはそういった一時的な業務の繁忙に対応するものだとお考えいただいていいのだろうと思います。
 ところが、おっしゃるようないろいろな現象があるのかということでございますけれども、実はこの超過勤務について、その実態を正確に把握することはなかなか困難な面もございまして、人事院でもその把握に努めておられる、いろいろ資料もございますけれども、必ずしも十分な把握が行われているということは言えないという面もございます。もちろん、今後の方向といたしましては、業務の合理化あるいは行政運営の改善などを通じまして、超過勤務の縮減に努めてまいる所存でございます。

○植田委員 公務員の削減にかかわっては常に、前にも申し上げましたけれども、公務員の定数が多過ぎるというふうな問題、また公務員は労働条件が恵まれている、そういうふうないわゆる謬論が風説として飛び交っている。そして必ず、行革といったときに公務員のそうした問題に常に行くわけですね。
 でも、今おっしゃったように、実際、そうした実態把握も非常に困難な状況にあるということを政府の側としても改めて認識していただいて、公務員労働者の置かれている実態というものを正確に把握することは困難だ、今申し上げたような問題についてもなかなか困難だとおっしゃるようですから、特にそうした面、これからより精細な調査なりなんなりを行っていただいて、適切な対応をとっていただくことを希望しております。やはり行革というのは、政官業の癒着、利権、高級官僚の特権、そこにメスを入れることであって、一生懸命額に汗して働く公務員が真っ先にやり玉に上げられるものではないのだということだけは、一応申し添えておきます。
 それで、最後なんですけれども、一点だけお伺いして終えたいと思うのですけれども、一つ提案させてほしいのですが、週休二日から始まって、育児休暇なんかも浸透しつつある。そういう意味で、滅私奉公と言われた日本も、ここに来てやっと休暇に関する認識が変わってきたように思うのです。
 ただ、そうはいっても育児休暇、もう制度自体まだまだ不備なところもあります。そんな中で、政府が昨年、少子化対策推進基本方針の中に育児休暇の拡充を盛り込まれた。これは非常にいいことだと私は評価しているのですけれども、ただ、もっと今働く人たちが切実に願っているのは、例えば子供や年をとった御両親が病気になったり、予防接種や定期健診で子供に付き添わなければいかぬということはしょっちゅうあることなんですね。
 そういうときに、職場の同僚に、子供の注射を打ちに行くからちょっときょうは休むねんと、やはりまだ気兼ねなくそれが言えぬ状況に職場があるわけです。そういう意味で、いざというときに有給休暇をできるだけ使わないで残しているような状態というものじゃなくて、気兼ねなくそういうときにちゃんと休暇が使えるような、特にこれは、実質的に育児や看護をされている働いている女性にとって、切実な悩みだろうと思うのです。
 週休二日制というのは、これは公務員が先行したわけですね。そして、それが社会に拡大していった。そういう過去の成果もあるわけですので、そういう意味で、公務員労働者がパイロット的役割も果たしてきた。そこで、検討してほしいなと思っているのが、家族看護休暇制度を公務員労働者に設ける必要があるのじゃないだろうかと思うのです。これは、やはり働く女性が本当に社会進出するためにも、一番冒頭申し上げましたけれども、担当大臣がいらっしゃいましたが、男女共同参画社会を本当に具体的に形成していくためにも喫緊の課題だろうと考えるのですけれども、できれば前向きの答弁をいただければと思うのですが。

○海老原政務次官 公務員に対する家族看護のための休暇制度という御設問でございますけれども、おっしゃるとおり、男女共同参画社会の形成に向かって今社会が動こうとしておるとき、非常に重要な問題かと考えます。
 具体的には、これは八月の人事院報告の中にもございますように、今、人事院において各方面の意見を聞きながら検討を進めているところでございます。その導入につきまして、社会的な合意形成の状況、あるいは男女共同参画社会の実現に向けての条件整備の必要性などを勘案しながら御検討を進めているというふうに報告にもございます。
 総務庁といたしましても、民間におけるこの制度の導入の動向などを参考にし、また人事院の検討状況を十分踏まえまして、適切に対処してまいりたいと存じます。

○植田委員 終わります。

○佐藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――