147-衆-労働委員会-7号 平成12年04月14日

平成十二年四月十四日(金曜日)
    午前九時四十八分開議
 出席委員
   委員長 赤松 広隆君
   理事 谷畑  孝君 理事 能勢 和子君
   理事 穂積 良行君 理事 森  英介君
   理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君
   理事 河上 覃雄君 理事 大森  猛君
   理事 笹山 登生君
      大村 秀章君    木村  勉君
      小林 多門君    白川 勝彦君
      田中 昭一君    棚橋 泰文君
      長勢 甚遠君    福永 信彦君
      松本 和那君    村岡 兼造君
      渡辺 具能君    石橋 大吉君
      中桐 伸五君    松本 惟子君
      西川 知雄君    寺前  巖君
      青山  丘君    畠山健治郎君
      土屋 品子君    藤波 孝生君
    …………………………………
   労働大臣         牧野 隆守君
   労働政務次官       長勢 甚遠君
   政府参考人
   (労働省職業安定局長)  渡邊  信君
   労働委員会専門員     渡辺 貞好君
    ―――――――――――――
四月十四日
 笹山登生君が理事を辞任した。
同日
 大森猛君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月三十一日
 雇用創出対策の実施に関する請願(鍵田節哉君紹介)(第一〇八六号)
 同(北村哲男君紹介)(第一〇八七号)
 同(近藤昭一君紹介)(第一〇八八号)
 同(松本惟子君紹介)(第一〇八九号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第一一六八号)
 同(島津尚純君紹介)(第一一六九号)
 同(葉山峻君紹介)(第一一七〇号)
 同(細川律夫君紹介)(第一一七一号)
四月五日
 解雇規制・労働者保護法の制定に関する請願(石井郁子君紹介)(第一二三〇号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一二三一号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一二三二号)
 同(辻第一君紹介)(第一二三三号)
 同(中島武敏君紹介)(第一二三四号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一二三五号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一二三六号)
 労働時間の男女共通の法的規制とパートタイム労働法の抜本的改正等に関する請願(大森猛君紹介)(第一二三七号)
 同(寺前巖君紹介)(第一二三八号)
 同(東中光雄君紹介)(第一二三九号)
 雇用創出対策の実施に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第一二四〇号)
 同(中野寛成君紹介)(第一二四一号)
 同(山元勉君紹介)(第一二四二号)
 同(安住淳君紹介)(第一二九四号)
 同(石橋大吉君紹介)(第一二九五号)
 同(上原康助君紹介)(第一二九六号)
 同(奥田建君紹介)(第一二九七号)
 同(河村たかし君紹介)(第一二九八号)
 同(五島正規君紹介)(第一二九九号)
 同(日野市朗君紹介)(第一三〇〇号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第一三三五号)
 同(木幡弘道君紹介)(第一三三六号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一三三七号)
 同(肥田美代子君紹介)(第一三三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

    午前九時四十八分開議
     ――――◇―――――

○赤松委員長 松本惟子君。

○松本(惟)委員 私は冒頭に、最近の雇用失業情勢につきまして労働大臣にお尋ねをいたします。
 総務庁が三十一日に発表いたしました労働力調査によりますと、二月の完全失業率四・九%、これは、統計を開始いたしましてから、一九五三年以降最悪の記録になっております。このうち、倒産とかリストラなんかで非自発的失業が百十五万人で、十四万人ふえたということでございます。三月につきましては、学卒未就職者等の増加によりまして五%を超えるのではないかというふうにも言われております。
 この間、労働省といたしましてもさまざまな対策に取り組まれたわけでございますけれども、五%を超える可能性も予測されるような大変深刻な事態の中で、新たな対策が求められているのではないかと私は思いますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。

○牧野国務大臣 御指摘のとおり、完全失業率は四・九%という、調査を始めましてから戦後最高の失業率になっております。
 今そういう状況にありますが、政府におきましては景気対策のために最大の努力をいたしておりまして、見通しとしては明るいという方向で、決定していただきました予算を十二分に有効に使用しなきゃならない、こういう方向に行っております。
 私どもとしましては、失業率が五%を超すなんということは想像してはいけないことでありますが、そういう可能性もありますし、したがいまして、今私どもがとっております政策をいかに有効に活用して失業率を低下させるか、こういう点で、現在実施いたしております諸施策につきまして、あかんところはあかん、再検討すべきは再検討すべきだ、こういう考え方で、現在、諸政策を洗うべく事務当局に命じているところでございます。

○松本(惟)委員 ありがとうございました。
 では、続きまして、雇用保険法の改正法案についてお伺いをいたします。
 改正案の大きな柱の一つは、一般求職者の求職者給付の重点化ということでございます。
 現行の給付体系を見直し、一般の離職者に対する所定給付日数と、倒産、解雇等による離職者に対する所定給付日数を分けた上で、一般の離職者に対する給付日数を全体として圧縮して、他方でいわゆる離職を余儀なくされた特定受給資格者に対しては十分な給付日数を確保する、このような内容になっております。
 具体的に給付日数を見ますと、全体の給付水準を大幅に低下させていますので、一見重点化がクローズアップされて見えますけれども、しかし、実際は、現行に比べて幾つかの年齢層で三十日がプラスされたにすぎません。
 これで果たして離職を余儀なくされた就職支援の緊要度の高い者に対する十分な給付日数というふうに言えるかどうか。諸外国の例を単純に比較することはできないといたしましても、国民生活白書の中でも、我が国の失業給付期間が他の国に比べて決して長くないことが示されております。
 重点化を図るというのであるならば、障害者等の就職困難者の給付日数を含めてもう少し引き上げないと十分な給付日数とは言えないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○長勢政務次官 今般の改正におきましては、給付の重点化を図っていくということで、関係審議会における公労使三者の合意のもとに、あらかじめ時間的余裕を持って再就職の準備ができる方々については給付日数を圧縮する一方で、再就職の準備を行う時間的余裕のない状況下で離職を余儀なくされた方々には手厚い給付を行うというふうに体系を改めさせていただいておるところでございます。
 所定給付日数がもっと長くあるべきではないかという点も含めた御質問だと思いますけれども、限られた財源の中で重点化を図るということで、特に中高年層の倒産、解雇等による離職の方々に手厚い給付が行えるようにしたという点に御理解を賜りたいと思いますし、あわせて、今度の高齢者雇用安定法の改正等も含めまして、再就職の促進等により一層の充実を図ることにより、雇用保険の受給者の再就職に万全を期していきたい、このように思っております。

○松本(惟)委員 お答えいただきましたけれども、私の主張は主張としてお心にとめておいていただければというふうに思います。
 次の質問でございますが、昭和四十九年の雇用保険法制定当時の資料を拝見いたしますと、現行制度のように年齢などによる就職の難易度に応じて給付日数を定めた理由として、次のように言っています。我が国の雇用慣行と労働市場の状況からすれば、就職の難易度を決する最も大きな要因は年齢であることにかんがみ、年齢を中心に所定給付日数が決められていたというふうにされております。就職困難者等個別事情によっても配慮されておりましたけれども、基本的には年齢による区分けであったと言えます。
 今般の改正は、年齢による区分けに加えて、むしろ離職を余儀なくされたかどうかという離職の事由によって重点化を図ろうとするもので、その意味では、求職者給付のあり方が根本的に変わろうとしているのではないかと私は思います。この改正の直接的な動機には、保険料の負担と給付など、先ほど述べられました雇用保険財源の問題があるといたしましても、底流には、これからの雇用保険のあり方を根本的に見直していくことにむしろ力点があるのではないかというふうに思います。
 しかし、そうであるとしたならば、求職者給付のみならず、雇用保険全体の仕組みについても見直しが必要であるのではないか。
 例えば、在職中から再就職活動を促進していくとすれば、就職促進給付について、再就職手当の日数についての技術的な見直しだけではなく、移転費とか広域求職活動費などほとんど活用されていないものがありますが、こういったものにつきましてもリニューアルが必要でしょうし、雇用保険三事業につきましても、同僚委員がさきにも幾つか述べておりましたが、能力開発についてより重点化されるような仕組みが必要ではないかというふうに私は思います。この点についての御見解を伺いたいと思います。

○長勢政務次官 今回の求職者給付の見直しは、おっしゃるとおり、年齢を基本とするものから、さらに離職事由も含めた形で必要な方々に重点的に給付が行えるようにしようという観点からの見直しでございます。こういうことにあわせて、再就職手当制度等についてもより抜本的な見直しを図ったらどうか、また雇用保険三事業についても、能力開発等さらにやるべきことがあるのではないか、こういう御意見であると思います。
 再就職手当につきましては、御案内のとおり、今一応の改善を図らせていただいておるところでございますが、先生の観点もあるようでございますし、また雇用保険三事業につきまして、今後能力開発等々がもっともっと充実をしていかなければならない、効率的な制度にしていかなければならないということはおっしゃるとおりだろうと思っておりますので、今後さらに検討を進めさせていただきたいと思います。

○松本(惟)委員 四十九年の改正そのものについての評価は別といたしましても、改正の思想というか基本的な考え方とか枠組みが大変明確だったように私は思います。それに比べますと、今回の改正は制度設計のちぐはぐなところがあるのではないかというふうに思うわけであります。今後、審議会等で改めて御検討されることになるでしょうけれども、述べましたようなトータルな検討に取り組んでいただきますよう、つまり、経済、雇用動向の変化に合わせた、シフトをしたような、そういったものとして体系的にしっかり取り組んでいただくようにお願いをしておきたい、そう思います。
 次の質問ですけれども、離職理由の確認について伺いたいと思います。
 事業主が作成をする離職証明書における離職事由と離職者本人の自己申告をもとに判断をするということになっておりますけれども、両者が異なった場合どうするかが問題だというふうに思います。
 この点について、さきの委員会で、客観的資料や事業主や離職者の両方の主張を吟味して慎重に判断をする、その運用について通達等でマニュアルをつくるというふうな御答弁がございました。失業給付に関することでありますから、迅速に処理をされるようにすべきだと思います。一月も二月もかかるようでは、事実上給付制限されたようなものではないかと思います。
 いつまでに判断をするのか、その歯どめはどのようにお考えになっているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

○長勢政務次官 離職理由の判断をいつするかということでございますが、現行の給付制限についての判断におきましても、安定所の窓口におきまして、受給の手続の後、四週間以内に設定されます最初の失業の認定日に行うということを原則にいたしております。今回の改正におきましても、現行と同様に、初回の失業の認定日までに、いわゆる受給手続後少なくとも四週間以内には離職理由の判断を行うということにしたい、そういうことになるだろう、このように思っております。

○松本(惟)委員 お答えのように、初回のときに判断をなさるということでございますけれども、仮にその決定に不服がある場合、通常の労働保険審査官への審査請求を行うようなことになるのかどうか、確認的に伺っておきたいと思います。

○長勢政務次官 御指摘のとおりでございまして、都道府県労働局に配置をいたしております雇用保険審査官に審査請求を行っていただくということになります。

○松本(惟)委員 続いてでありますが、特定受給資格者となるかどうかは離職をしている者にとっては深刻な問題だと思います。離職理由について事業主との間で主張が異なった場合の判断基準が明確でなければならないというふうに思います。そうでなければ、その取り扱いをめぐって、職安の窓口で大混乱が起こるのではないかと危惧をしているわけでございます。
 基本的には、労働者の自己申告を第一義的に尊重するというふうにすべきであると思いますけれども、この点につきましていかがでしょうか。

○長勢政務次官 離職理由の確認が大変重要な問題であるということは、重々認識をいたしております。この確認に当たっては、いわゆる離職票における離職理由と離職者本人の自己申告をもとに判断をすることになりますし、また、それが異なる場合には、客観的資料を求め、両者の主張などを十分に吟味した上で慎重に判断をいたすことにいたしますけれども、その際には、離職者本人の申し立ても十分に尊重される、こういうふうな事務手続にしたい、決して不当に不利なことが生じないように、十分気をつけて適切に運用してまいりたいと考えております。

○松本(惟)委員 離職者の自己申告を十分に尊重するということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、離職を余儀なくされた者の範囲についてお尋ねをいたします。
 現行法では、正当な理由のない自己都合退職について一定の給付制限が行われております。労働省の説明によりますと、大ざっぱに言いまして、正当理由があるものの六割のうち、半分くらいが定年退職等で、残りの三割が解雇、倒産等余儀なくされたものというふうになっているとのことでございました。
 その三割に一体どこまで含まれるのか。具体的には関係審議会でこれから検討されることになると思いますけれども、私は、家族的責任を有する労働者の場合について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 離職を余儀なくされた者の範囲について、法案にも例示されている、倒産、解雇その他の労働省令で定めるものということでございますけれども、当委員会における政府側の答弁を聞いていますと、例えば、時間的に余裕がなくて離職をした方、そういう意味で再就職に大変困難な方というように、時間的な余裕があるかどうかが一つのメルクマールとなっているようでございますが、そのように理解してよろしいのでしょうか。

○長勢政務次官 基本的にそのような観点から考えておるところであります。

○松本(惟)委員 それでは、認定基準の中の正当理由ありとされている中に、「父もしくは母の死亡等家庭の事情の急変により退職した場合」や「配偶者等と別居生活を続けることが困難となったことにより退職した場合」等があります。
 時間的に余裕がないという点では、例えば家庭事情の急変も含まれると思うのですが、どうでしょうか。

○長勢政務次官 いろいろなケースもあると思われますので、その事情によって慎重に、また、関係審議会の御意見を踏まえて検討することになると思います。
 その際、先生お話しのように、家庭の事情といいますか、家庭が社会に大変重要な場であり、その家庭責任を果たすということも大変重視をすべきではないかという観点も十分傾聴に値するお考えでございますので、いろいろなケースがあると思いますが、単に家庭の事情があるからということだけではなかなか今、法の予定する基準に当たらないのではないかと思いますが、離職の実態を踏まえながら、関係審議会において十分慎重に御議論いただきたいと思います。

○松本(惟)委員 政務次官のお答え、大変含蓄のあるお答えであるというふうに承っておきたいと思います。
 私は、家族的責任に対する配慮につきましては、単に個人の問題ではなくて、今日では社会的な責任があるというふうに価値観が変化をしつつあるのではないかというふうに思います。
 御承知のように、東亜ペイント事件の最高裁判決が、配転命令権の限界、乱用基準を示して以降、多くの下級審判例がございますが、この判決の判断枠組みに沿って配転命令の当否を判断しております。
 最高裁判決は、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に労働者の生活に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制限に行使することができるものではなく、これを乱用することの許されないことは言うまでもないとしつつも、その乱用の判断基準については、労働者に対し、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利乱用になるものではないと述べております。
 その後の幾つかの下級審の判断もおおむねこの判決にのっとったものですが、例えば大阪地裁決定では、七十歳の病弱の母親がおり、その面倒を見る必要があった事情が考慮されて、転勤命令は乱用に当たると判断をされております。
 ことしの一月ですけれども、ケンウッド事件というのがありまして、その最高裁判決も同様の考え方に立ってはいますけれども、未就学児を持つ労働者の現実に置かれている立場に十分な配慮が必要だという裁判官の補足意見が添付をされております。
 つまり、今までは特にひどい事例について権利の乱用となるとしてきましたけれども、それ以外につきましても、労働者の家庭責任に対する配慮が必要であるというように、考え方に変化が見られているのではないかと私は思います。
 もう一つ指摘をしておきたい点がございます。御承知のように、一九八一年に採択されましたILOの百五十六号条約は、ジェンダーフリーの立場から、育児、保育、介護といった家庭責任を負う労働者が労働生活と家庭生活との調和を図るような措置を講ずることを求めました。これを受けて、我が国でも、九一年に男女労働者を対象とする育児休業法が制定をされまして、さらに、九五年には同法の改正として育児・介護休業法が制定をされました。
 政務次官が同法の制定に御尽力されていたことはよく承知をいたしておりますし、私の申し上げることにつきまして同感いただけるかと思いますけれども、同法の制定は、家族的責任による休業が日本の労働契約法制の中に初めて持ち込まれたという意味で、私は、画期的な意義があったというふうに思っております。
 今や、労働関係も、育児や介護など家庭責任との両立のあり方と無関係には成立し得ないのです。男女共同参画基本法の中にも指摘されているように、今日、女性が男性と平等に職場に進出できる条件を充実させる必要があるとともに、男女平等で家庭、社会生活に参画できる条件整備が求められているわけでございます。今回の雇用保険の見直しに当たっても、このような社会の流れや労働立法の変化等について十分な配慮が必要なことは言うまでもないことだというふうに思います。
 そこで、改めてお尋ねをいたします。余儀なくされた者の範囲につきまして、今後関係審議会で審議されるわけですが、例えば、父もしくは母の死亡等家庭の事情の急変により退職した場合や、配偶者等と別居生活を続けることが困難となったことによって退職した場合、また結婚に伴う住所の変更等によって通勤不可能になったことにより退職した場合など、家族的責任を含めた家庭の事情による場合につきましても、社会的責任重視という考えに立って、時間的に余裕なく離職した者と同等に扱うことが必要と考えますが、いかがでございましょうか。

○長勢政務次官 家庭責任に対する配慮を企業においても一種の社会的責任として重視をしていかなきゃならぬということは、非常に必要なことだと思いますし、今回の雇用保険法の施行に当たっても、そういう観点も踏まえて考えるべきではないかということは、先生の一つの立派なお考えだと思います。
 それにつきまして、抽象的には先ほども申し上げたとおりでございますが、今、具体的にいろいろなケースでお話しになりました。先ほど申し上げましたように、いろいろなケースがあると思いますので、また、今言われたことだけで私ここで軽々にいいとか悪いとかと言う立場にもございませんので、離職の実態等々を踏まえて、関係審議会において、先生の観点も踏まえて十分に御検討いただいて、先生の御趣旨が生かされるような方向で結論を出していただければありがたい、このように思う次第であります。

○松本(惟)委員 時間が参りましたので、最後に申し上げておきたいことが二つほどございます。
 一つは、今るるお答えをいただきまして、家族的責任を持つ労働者に対する血の通った御答弁があったかと思いますが、二十一世紀、今後の雇用保険制度にふさわしいものとするための審議となりますよう、審議会の審議がそういった方向で深められますように期待をいたします。
 あわせまして、今回、育児休業、介護休業の給付金が積み増しになりまして、評価をいたすものでございますけれども、家庭と仕事の両立支援を充実させていくためには、お金の問題だけでは解決できないというふうに思います。
 そういった意味から、私、たびたびこの委員会で、大臣の所信に対しても申し上げさせていただきましたけれども、均等法の整備をして性差別禁止法の方向へ向かっていくわけですけれども、仕事と家庭の両立支援法の制定が必要ではないかというふうに思います。その際、勤務時間の短縮だとか家族看護のための休暇の制度が大変急がれているというふうに思いますので、そういった意味合いから、今後、両立支援策、両立支援法の方向に向けてお取り組みをいただきたい。
 実は御答弁いただきたかったのですが、時間が来てしまいましたので、考え方だけ述べさせていただいて、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。

○赤松委員長 畠山健治郎君。